【漁夫の利】現代語訳と書き下し文!返り点とテスト対策を徹底解説

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校の国語(言語文化・古典探究)の授業で『戦国策』の有名な故事成語「漁夫の利(ぎょふのり)」を習い、ドブガイ(蚌)とシギ(鷸)の場面の正確な書き下し文や現代語訳、返り点の付け方で迷っていませんか。
漁夫の利は、単に「二者が争っている隙に第三者が利益を横取りする」という意味を覚えるだけでなく、再読文字「且(まさに〜んとす)」や仮定条件「不雨(雨ふらずんば)」、熟語線を用いる「并擒之(之を并せ擒ふ)」、願望句形「願〜(願はくは〜んことを)」など、定期テストや共通テストで狙われる重要句形が凝縮された超重要教材です。
そこで今回は、高校国語科で20年以上教壇に立ってきた現役教員の視点から、漁夫の利の全文の白文・訓読文・書き下し文・現代語訳から、縦書き訓読カードによる返り点と送り仮名の仕組み、燕・趙・秦の比喩関係、定期テスト頻出の記述予想問題・無料30問カード暗記デッキまで余すところなく徹底解説します。

たく先生!「漁夫の利」の本文って、「蚌」や「鷸」「啄」「箝」「喙」など普段見慣れない難しい漢字が多くて、読み仮名や書き下し文でどこをひらがなにするのか混乱してしまいます……!

みちかさん、安心してください!「蚌(どぶがい)」と「鷸(しぎ)」の攻防は、場面のイメージと「書き下し文から逆算する訓読ルール」さえ掴めば驚くほどスラスラ読めるようになりますよ。テストに必ず出る急所を一つずつ一緒に整理していきましょう!
漁夫の利の意味と出典『戦国策』の歴史的背景
まずは故事成語「漁夫の利(ぎょふのり)」の現代における意味と、この物語が生まれた中国・戦国時代の緊迫した外交背景を確認しておきましょう。誰が誰を説得するために語った寓話なのかを押さえることが、記述問題攻略の第一歩になります。
漁夫の利の意味と類義語・四字熟語(鷸蚌の争い)

故事成語「漁夫の利(ぎょふのり)」とは、「二者が互いに争っているすきに、無関係な第三者が何の苦労もせずに利益を横取りすること」を意味します。「漁夫(ぎょふ/本文では漁者・漁父)」とは漁師のことです。
また、同じ故事から生まれた四字熟語に「鷸蚌之争(いつぼうのあらそい)」があります。こちらは「シギ(鷸)とドブガイ(蚌)の争い」という意味から、「双方が目先の対立にこだわって一歩も譲らず、結果として第三者に利益を奪われて共倒れになる愚かな争い」を指します。定期テストでは日本のことわざである「鳶(とんび)に油揚げをさらわれる」や「犬骨折って鷹の餌食」との類義語選択問題も頻出します。
| 重要項目 | テストで覚えるべき要点解説 |
|---|---|
| 故事成語 | 漁夫の利(ぎょふのり):二者が争う隙に、第三者が労せずして利益を横取りすること。 |
| 関連四字熟語 | 鷸蚌之争(いつぼうのあらそい):互いに譲らず争い続け、第三者に利益を奪われる無益な争い。 |
| 出典・編者 | 『戦国策(せんごくさく)』燕策(前漢の劉向[りゅうきょう]が編纂した戦国時代の遊説家の言行録) |
| 登場人物 | 蘇代(そだい):燕の使者として趙へ赴いた縦横家(弁論家)。 恵王(けいおう):趙の恵文王(燕を攻めようとしていた君主)。 |
| 日本の類義諺 | 鳶(とんび)に油揚げをさらわれる/犬骨折って鷹の餌食/両虎相闘ひて駑犬其の弊を受く |
寓話の比喩関係(蚌・鷸・漁者=燕・趙・強秦)
紀元前3世紀頃の戦国時代、軍事大国である趙(ちょう)の恵文王が、隣国の燕(えん)に攻め込もうとしていました。この危機を救うため、燕の使者として趙の恵文王のもとを訪れたのが、巧みな弁論術で知られる縦横家の蘇代(そだい)です。
蘇代はいきなり「どうか燕を攻めないでください」と懇願するのではなく、趙へ向かう途中の「易水(えきすい)」という川辺で見かけた「ドブガイ(蚌)とシギ(鷸)と漁師(漁者)」のたとえ話を切り出しました。定期テストの記述問題で100%問われる「寓話と現実の国際情勢の対応関係」を以下の表で完璧に押さえておきましょう。
| 寓話の中の登場キャラクター | 現実の戦国時代の国名 | 文脈上の役割と蘇代の説得ロジック |
|---|---|---|
| 蚌(どぶがい) (川辺で甲羅干しをしていた貝) |
燕(えん) (攻撃されようとしている国) |
シギにくちばしを突っ込まれるが、殻を固く閉じて徹底抗戦し、相手を道連れにしようとする。 |
| 鷸(しぎ) (貝の肉をついばんだ水鳥) |
趙(ちょう) (燕を討とうとしている国) |
ドブガイの肉を食べようとしてくちばしを挟まれ、引くに引けず長期戦で消耗してしまう。 |
| 漁者 / 漁父(漁師) (二匹をまとめて捕らえた人) |
強秦(きょうしん) (虎視眈々と狙う超大国・秦) |
燕と趙が長期戦で兵士や民衆を疲弊させたところへ現れ、両国ともまとめて併呑してしまう最大の脅威。 |
漁夫の利の全文・書き下し文・現代語訳の完全対照
それでは、『戦国策』燕策に収録されている「漁夫の利」の全文を「前半(ドブガイとシギの寓話)」と「後半(蘇代の進言と結末)」の2パートに分けて、白文・書き下し文・現代語訳の完全対照で確認しましょう。どの教科書・問題集でも共通して出題される最重要本文です。
前半(ドブガイとシギの攻防と漁師の登場)の原文・書き下し文・現代語訳

趙且伐燕。蘇代為燕謂恵王曰、「今者臣来、過易水。蚌方出曝。而鷸啄其肉。蚌合而箝其喙。鷸曰、『今日不雨、明日不雨、即有死蚌。』蚌亦謂鷸曰、『今日不出、明日不出、即有死鷸。』両者不肯相舎。漁者得而并擒之。
趙且(まさ)に燕(えん)を伐(う)たんとす。蘇代(そだい)燕の為(ため)に恵王(けいおう)に謂(い)ひて曰(いは)く、「今者(いま)臣(しん)来(き)たりしとき、易水(えきすい)を過(す)ぐ。蚌(ぼう)方(まさ)に出(い)でて曝(さら)す。而(しか)して鷸(いつ)其(そ)の肉を啄(ついば)む。蚌合(がっ)して其の喙(くちばし)を箝(はさ)む。鷸曰はく、『今日(こんにち)雨(あめ)ふらず、明日(みょうにち)雨ふらずんば、即(すなは)ち死蚌(しぼう)有らん。』と。蚌も亦(また)鷸に謂ひて曰はく、『今日出(い)でず、明日出でずんば、即ち死鷸(しいつ)有らん。』と。両者相(あひ)舎(す)つるを肯(がへ)んぜず。漁者(ぎょしゃ)得(え)て之(これ)を并(あは)せ擒(とら)ふ。
趙がいまにも燕を討とうとした。蘇代は燕のために趙の恵文王に語って言った。「今回、私がこちらへやって来ましたとき、易水のほとりを通りかかりました。するとドブガイ(大きな二枚貝)がちょうど水から出て甲羅干しをしていました。そこへシギ(水鳥)がやって来て、その貝の肉をついばみました。ドブガイは殻をピタリと閉じて、シギのくちばしを挟み込みました。シギが言いました、『今日雨が降らず、明日も雨が降らなければ、たちまち死んだドブガイができあがるだろう』と。ドブガイもまたシギに言いました、『今日(くちばしが)抜けず、明日も抜けなければ、たちまち死んだシギができあがるだろう』と。両者とも互いに相手を放そうとしませんでした。そこへ漁師がやって来て、二匹ともまとめて手に入れ捕らえてしまいました。
後半(蘇代の進言と恵文王の決断)の原文・書き下し文・現代語訳
続いて、寓話を踏まえて蘇代が「燕と趙が戦えば、強大な秦が漁師のように両国を奪ってしまいます」と核心を突き、恵文王が進軍を取りやめる後半パートです。
今趙且伐燕。燕趙久相支、以弊大衆。臣恐強秦之為漁父也。故願王之熟計之也。」恵王曰、「善。」乃止。
今趙且(まさ)に燕を伐たんとす。燕趙久しく相支(ささ)へ、以(もっ)て大衆を弊(つから)かす。臣強秦(きょうしん)の漁父(ぎょほ)と為(な)らんことを恐るるなり。故(ゆゑ)に願はくは王の之(これ)を熟計(じゅくけい)せんことを。」と。恵王曰はく、「善(よ)し。」と。乃(すなは)ち止(や)む。
今、趙は燕を討とうとしておられます。燕と趙が長い間互いに戦って対抗し合えば、そのために両国の多くの兵士や民衆を疲弊させることになります。私は強大な秦が(ドブガイとシギを両方捕らえた)あの漁師になることを恐れるのです。ですからどうか王様には、このことをよくよくお考えくださいますように」と。恵文王は言った、「もっともだ(よくわかった)」と。そこで(燕を討つことを)取りやめた。
縦書き訓読カードで完全攻略!漁夫の利の返り点・送り仮名・重要句形
ここからは、定期考査や大学入試で「返り点を付けよ」「書き下し文に改めよ」と直接出題される最重要5文を、教科書準拠の縦書き訓読カードで1文字ずつ解剖していきます。なぜそこにレ点や一二点・熟語線が付くのか、書き下し文からの逆算プロセスを視覚的にマスターしましょう。
再読文字「且(まさに〜んとす)」と「為燕(燕の為に)」の訓読

冒頭の「趙且伐燕」で最も重要なのが、再読文字「且(まさに〜んとす)」です。再読文字は1回目に上から順読して副詞「まさに」と読み、下の動詞「伐燕(燕を伐た)」を読んだあと、2回目に返り点で戻って助動詞「んとす」と読むため、「且」自体に必ず返り点が付きます。
ここでは目的語の「燕(ヲ)」から直上の動詞「伐(タント)」へ1文字戻り、そこからさらに直上の再読文字「且」へ1文字戻るため、一二点ではなく「連続レ点(伐にレ点、且にレ点)」を用います。なお、2回目の「す」は「且」という漢字そのものの読みであるため左側に送り仮名は付けず、書き下し文ではひらがなで「んとす」と表記します。
仮定条件「今日不雨、明日不雨、即有死蚌」の訓読
次に定期テストで頻出するのが、シギとドブガイが互いに脅し合う対句表現「今日不雨、明日不雨、即有死蚌」です。ここでの「雨」は名詞ではなく、動詞「雨ふる(雨が降る)」として使われています。
さらに重要なのが、1つ目の「不雨」と2つ目の「不雨」の送り仮名の違いです。直後に「即(すなはち=そうなればたちまち)」という帰結を表す語が来ているため、1つ目は中止法で「雨ふらず」(不に送り仮名なし)、2つ目は仮定条件で「雨ふらずんば」(不に送り仮名「ンバ」を送る)と読み分けます。
熟語線(ハイフン)の鉄則!「両者不肯相舎」「漁者得而并擒之」
『漁夫の利』で最も多くの高校生が減点されるのが、クライマックスの「両者不肯相舎。漁者得而并擒之。」の返り点と熟語線(ハイフン)です。
まず「両者不肯相舎」では、「相(あひ)」は下の動詞「舎(すつ)」を修飾する副詞なので、上から下へ普通に「相舎つるを」と読みます。そして「舎」の一点から「肯(がへんぜ)」の二点へ返り、そこから直上の「不」へレ点で返って「肯んぜず」と結びます。
一方、「漁者得而并擒之」の後半「并擒之(之を并せ擒ふ)」では、目的語「之(これ)を」を読んだあと、「并(あは)せ擒(とら)ふ」という2文字の複合動詞へまとまって下から返るため、「并」と「擒」の境目に熟語線(縦棒)と二点をセットで配置します。
願望句形「故願王之熟計之也」と主格の「之」の識別
蘇代の演説を締めくくる「臣恐強秦之為漁父也。故願王之熟計之也。」には、入試頻出の願望の句形「願〜(願はくは〜んことを)」と、助字「之」の2種類の用法が登場します。
1つ目の「王之(王の)」の「之」は、主語と述語の間に置かれて名詞節を作る主格の連体助詞(書き下し文では「の」、現代語訳では「〜が」)です。一方、2つ目の「熟計之(之を熟計せんことを)」の「之」は、「燕への攻撃を中止すべきかどうかの問題」を指す指示代名詞(これを)です。同じ1文の中にある2つの「之」の文法識別は定期テストの鉄板問題ですので、縦書きカードで完全に整理しておきましょう。
漁夫の利の重要語句・漢字の読み・一文ごとの品詞分解表
ここでは、定期テストの漢字の読み問題・語句の意味問題・文法問題でそのまま問われる重要事項を、一覧性の高い3列対照テーブルにまとめました。テスト直前の最終チェックに活用してください。
定期テスト必出!重要漢字の読みと古今異義語・同訓異字
| 本文の漢字・語句 | 訓読の読み(現代仮名) | 文脈上の意味・テスト出題のポイント |
|---|---|---|
| 且(伐燕) | まさ(に〜んとす) | いまにも〜しようとする(再読文字。2回目の「んとす」はひらがな表記) |
| 今者 | いま | このたび、今回、先ほど(「者」は時に添える助字で読まない) |
| 蚌 | ぼう(どぶがい) | ドブガイ(淡水にすむ大型の二枚貝。カラスガイ) |
| 方(出曝) | まさ(に) | ちょうどその時、まさに(再読文字ではなく1回だけ読む副詞) |
| 曝 | さら(す) | 日にさらす、甲羅干し(日光浴)をする |
| 鷸 | いつ(しぎ) | シギ(水辺にすむ、くちばしと脚の長い水鳥) |
| 啄 | ついば(む) | (鳥がくちばしで)つついて食べる |
| 箝 | はさ(む) | 挟み込む、締めつけて動けなくする |
| 喙 | くちばし | (鳥の)くちばし |
| 即(有死蚌) | すなは(ち) (現代仮名:すなわち) |
たちまち、その場ですぐに(仮定条件の帰結を表す) |
| 不肯 | がへ(んぜず) (現代仮名:がえんぜず) |
承知しない、〜しようとしない(「肯」=引き受ける・納得する) |
| 相舎 | あひす(つ) (現代仮名:あいすつ) |
互いに相手を放す、見捨てる(「舎」は「捨」と同じ) |
| 并擒 | あは(せ)とら(ふ) (現代仮名:あわせとらう) |
二匹とも一緒に(まとめて)捕まえる |
| 相支 | あひささ(ふ) | 互いに対抗して持ちこたえる、戦い続ける |
| 弊(大衆) | つから(かす) | 疲弊させる、疲れ果てさせる |
| 乃(止) | すなは(ち) (現代仮名:すなわち) |
そこで、こうして(「即=即座に」との意味の違いが頻出!) |
一文ずつの文法・句形・品詞分解(3列対照テーブル)
続いて、本文のすべての文について「書き下し文」「文法・句形・品詞分解」「現代語訳」を1行ずつ対応させた完全解析テーブルです。
| 書き下し文(句区切り) | 文法・句形・品詞解説 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 趙且に燕を伐たんとす。 | 且(再読文字「まさに〜んとす」)+伐た(タ四・未然形)+ん(意志・推量「む」終止形)+と(格助詞)+す(サ変・終止形) | 趙がいまにも燕を討とうとした。 |
| 蘇代燕の為に恵王に謂ひて曰はく、 | 為に(前置詞「為」=〜のために)+謂ひ(ハ四・連用形)+て(接助)+曰はく(ハ四「曰ふ」未然形+ク語法) | 蘇代は燕のために趙の恵文王に語って言った。 |
| 「今者臣来たりしとき、易水を過ぐ。 | 今者(副詞「いま」)+臣(一人称代名詞・謙称)+来たり(ラ変・連用形)+し(過去「き」連体形)+過ぐ(ガ上二・終止形) | 「今回、私がこちらへ参りましたとき、易水を通りかかりました。 |
| 蚌方に出でて曝す。 | 方(副詞「まさに」=ちょうど)+出で(ダ下二・連用形)+て(接助)+曝す(サ四・終止形) | ドブガイがちょうど水から出て甲羅干しをしていました。 |
| 而して鷸其の肉を啄む。 | 而して(接続詞「しかして」)+其の(代名詞+格助詞・ドブガイを指す)+啄む(マ四・終止形) | するとシギがその貝の肉をついばみました。 |
| 蚌合して其の喙を箝む。 | 合し(サ変・連用形)+て(接助)+其の(シギを指す)+喙(名詞)+箝む(マ四・終止形) | ドブガイは殻を閉じてシギのくちばしを挟み込みました。 |
| 今日雨ふらず、明日雨ふらずんば、即ち死蚌有らん。 | 雨ふら(ラ四・未然形)+ず(打消「ず」連用形)/ずんば(「ず」連用形+係助詞「は」の撥音便・仮定条件)+有ら(ラ変・未然形)+ん(推量「む」終止形) | 今日雨が降らず、明日も雨が降らなければ、たちまち死んだドブガイができあがるだろう。 |
| 蚌も亦鷸に謂ひて曰はく、 | 亦(副詞「また」=〜もまた。並立・添加)+謂ひて曰はく(ク語法) | ドブガイもまたシギに言いました、 |
| 今日出でず、明日出でずんば、即ち死鷸有らん。 | 出で(ダ下二・未然形)+ず/ずんば(仮定条件)+即ち(副詞「たちまち」) | 今日(くちばしが)抜けず、明日も抜けなければ、たちまち死んだシギができあがるだろう。 |
| 両者相舎つるを肯んぜず。 | 相(副詞「たがひに」)+舎つる(タ下二・連体形)+を(格助詞)+肯んぜ(サ変「肯んず」未然形)+ず(打消・終止形) | 両者とも互いに相手を放そうとしませんでした。 |
| 漁者得て之を并せ擒ふ。 | 得(ア下二・連用形)+て(接助・置き字「而」に対応)+之(代名詞・蚌と鷸を指す)+并せ擒ふ(ハ四・終止形) | そこへ漁師がやって来て、二匹ともまとめて手に入れ捕らえてしまいました。 |
| 燕趙久しく相支へ、以て大衆を弊かす。 | 久しく(シク活・連用形)+相支へ(ハ下二・連用形)+以て(接続詞「そのために」)+弊かす(サ四・終止形) | 燕と趙が長く対抗し合えば、そのために多くの兵や民を疲弊させます。 |
| 臣強秦の漁父と為らんことを恐るるなり。 | の(主格の格助詞「之」=強秦が)+為ら(ラ四・未然形)+ん(推量・連体形)+こと(形式名詞)+恐るる(ラ下二・連体形)+なり(断定・終止形) | 私は強大な秦があの漁師になることを恐れるのです。 |
| 故に願はくは王の之を熟計せんことを。 | 願はくは(ハ四「願ふ」未然形+ク語法+係助詞「は」)+王の(主格「王が」)+之を(指示代名詞)+熟計せ(サ変・未然形)+ん(意志・連体形)+ことを(終助詞的用法) | ですからどうか王様にはこのことをよくよくお考えくださいますように。 |
| 恵王曰はく、「善し。」と。乃ち止む。 | 善し(ク活・終止形)+乃ち(接続詞「そこで」)+止む(マ四・終止形) | 恵文王は「もっともだ」と言い、そこで燕への進軍を取りやめた。 |
行動経済学と記憶科学で読み解く「漁夫の利」と暗記法
ここで少し視点を広げて、なぜドブガイとシギ(そして戦国時代の王たち)は「このままでは共倒れになる」と分かっていながら相手を放せなかったのか、現代の行動経済学の実験データと、漢文のテスト対策に応用できる学習科学の知見から紐解いてみましょう。
なぜシギとドブガイは手を引けなかったのか?(行動経済学の扉実験)

実は、シギとドブガイが「今ここで手を引けば自分が損をする」と執着して共倒れになった心理は、行動経済学者のダン・アリエリー教授らがマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生を対象に行った有名な「消える扉の実験(選択の自由への執着実験)」で見事に実証されています。
この実験では、画面上の3つの部屋(扉)をクリックして報酬を稼ぐゲームにおいて、「しばらくクリックしないと扉が縮小して消えてしまう条件」を設定しました。すると学生たちは、最も報酬が高い1つの部屋に集中すれば最大の利益を得られるにもかかわらず、「扉が消えてしまう(負けて手放す)のが惜しい」という強迫観念から、消えかけた別の扉を慌ててクリックし続け、結果的に大幅な利益を失ってしまったのです。
私が高校の教室で20年以上生徒たちを見てきても、定期テスト前にまったく同じ現象が起こります。テスト直前に「あの問題集も、この参考書も全部やらなきゃ!」と欲張って手を広げすぎると、結局どれも中途半端になって共倒れしてしまいます。文部科学省の「高等学校学習指導要領解説(国語編)」でも、古典の学習においては基本的な訓読のきまりや伝統的な言語文化の核心を体系的に押さえることが重視されています。まずは本記事で整理した「書き下し文・返り点・比喩の3大急所」に一点集中して固めることが、最短で満点を取る秘訣です。
漢文の故事成語を勉強するとき、教科書の書き下し文を赤シートで眺めるだけで「覚えたつもり(流暢性の錯覚)」になっていませんか。人間の脳は「インプット(読むだけ)」では記憶が定着せず、「白文を見て自分の頭で書き下し文と現代語訳を思い出すテスト(想起練習)」を行った瞬間に神経シナプスが太く結合します。
学校現場の指導でも実証済みの具体的なやり方は、PathMemoria公式ブログの「【2026年最新】科学が認めた最強の勉強法「アクティブリコール」完全実践ガイド!記憶定着率を2倍にする具体的やり方・5つの手順」で詳しく解説しています。暗記効率を劇的に高めたい方はぜひ合わせてご覧ください!
定期テスト頻出の記述予想問題(模範解答・採点基準付き)
定期テストで特に配点が高く差がつきやすい「記述説明問題」の厳選2問です。問題文をタップすると模範解答と現役教員の採点基準が開きます(※書き下し文・返り点・重要語句の一問一答全30問は、記事末尾のPathMemoria無料カード暗記デッキで今すぐ演習できます!)。
記述問題①【比喩の対応と蘇代の主張】:蘇代の寓話における「蚌・鷸」と「漁者(漁父)」はそれぞれどの国をたとえているか。また蘇代がこの話を通じて恵王に伝えたかった主張を60字以内で記述せよ。
【模範解答】:
・蚌と鷸:燕と趙 / 漁者:秦(強秦)
・主張(記述):燕と趙が長く戦って両国とも疲弊すれば、強大な秦に両国とも滅ぼされて利益を独占されるため、燕への攻撃をやめるべきだ。(59字)
【解説・採点基準】:
①燕と趙の長期戦による両国の疲弊、②強国・秦による横取り(併呑)の危険、③燕への進軍中止の進言、の3要素が入っていれば満点です。
記述問題②【同訓異字の識別】:「即有死蚌」の「即」と、「乃止」の「乃」はどちらも「すなはち」と読むが、文脈上の意味の違いを説明せよ。
【模範解答】:
・「即」:たちまち、その場ですぐに(即座に)
・「乃」:そこで、こうして(順接の接続詞)
【解説・採点基準】:
「すなはち」と読む漢字(則・即・乃・便)の訳し分けは定期考査・共通テストともに最頻出です。「即=すぐさま」「乃=そこで」と明確に対比して答えましょう。
漁夫の利に関するよくある質問(FAQ)
最後に、高校生の皆さんから授業中やテスト前によく質問される疑問点4つに回答します。
ただし学校の定期テストでは、「蚌と鷸」をセットで「燕と趙」と答えさせる設問が一般的です。もし個別に問われた場合は、「先に肉をついばんで攻撃した鷸=燕を伐とうとした趙」「殻を閉じて抵抗した蚌=燕」と答えれば完璧です。
冒頭の「且(まさに〜んとす)」は2回読む再読文字ですが、「方」は返り点で戻って2回目を読むことはありません。この2つの「まさに」の区別はテストで非常によく狙われます。
「不」は動詞や形容詞を打ち消す語(〜ず)であるため、直後の「雨」は名詞「あめ」ではなくラ行四段活用動詞「雨ふる(雨が降る)」となります。
『戦国策』の原文では前半に「漁者(ぎょしゃ)」、後半の蘇代のセリフに「漁父(ぎょほ)」と書かれており、そこから後世に「漁夫の利(ぎょふのり)」という成語として定着しました。
まとめ:漁夫の利の重要30問をカード暗記してテスト満点を狙おう!
今回は、高校漢文の最重要故事成語である『漁夫の利(戦国策)』について、原文・書き下し文・現代語訳から、縦書き訓読カードによる返り点・送り仮名の仕組み、燕・趙・秦の比喩関係まで徹底解説しました。

たく先生、ありがとうございます!「両者相舎つるを肯んぜず」の返り点や、「之を并せ擒ふ」の熟語線、そして2つの「之」の見分け方まで縦書きカードでスッキリ理解できました!

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同じ『戦国策』を出典とする超頻出故事成語「虎の威を借る狐」や、テスト範囲になりやすい重要故事成語・漢文句形一覧もあわせて復習しておきましょう!













