十八史略「臥薪嘗胆」書き下し文と現代語訳・句形テスト対策

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校の国語科科目『言語文化』や『古典探究』の漢文分野で、故事成語の最高傑作として必ず学習する名文が、歴史書『十八史略』に収められた「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」です。
中国の春秋時代、南方の覇権を争った「呉(ご)」と「越(えつ)」の宿命の対決を描いたこの物語は、呉王夫差(ふさ)の「薪に臥す(がしん)」復讐と、越王句践(こうせん)の「胆を嘗める(しょうたん)」復讐の二重構造になっており、使役形・疑問反語形・置き字など、漢文の最重要句形が凝縮されています。
今回は、現役高校教員の視点から、十八史略「臥薪嘗胆」の白文・訓読・書き下し文・精密現代語訳、縦書き訓読カードによる返り点の解説、そして定期テストで必ず問われる使役構文や記述問題の採点基準まで徹底的にわかりやすく解説します!

たく先生!「臥薪」と「嘗胆」ってそれぞれ誰が何をしたのか、登場人物が多くて混乱しちゃいます!使役の「人をして呼ばしむ」の返り点もテストでよく出ますよね!

みちかさん、大丈夫ですよ!「夫差の臥薪(父の敵討ち)」と「句践の嘗胆(会稽の恥の復讐)」という2大ストーリーの対比を整理すれば、登場人物の関係も使役や反語の句形も驚くほどスッキリ理解できますよ!
十八史略「臥薪嘗胆」書き下し文と現代語訳あらすじ
まずは、物語の歴史的背景と登場人物の敵味方関係を整理した上で、夫差の臥薪から会稽の戦い、句践の嘗胆、伍子胥の悲劇、そして呉の滅亡に至る全ストーリーを原文・書き下し文・現代語訳で詳しく見ていきましょう。
臥薪嘗胆の歴史背景と呉越の登場人物相関図
「臥薪嘗胆」は、元代の学者・曽先之(そうせんし)が編纂した初学者向けの歴史書『十八史略』に収められています。舞台は紀元前5世紀(春秋時代末期)、長江下流域に位置する「呉(都:姑蘇)」と「越(都:会稽)」という隣り合う二大強国の間で繰り広げられた、約30年間に及ぶ凄絶な復讐劇です。
| 陣営 | 人物名 | 立場・役割と物語における行動 |
|---|---|---|
| 呉(ご) | 闔廬(こうりょ) | 先代呉王。越との戦いで足に重傷を負い、子の夫差に復讐を遺言して没する。 |
| 夫差(ふさ) | 呉王(闔廬の子)。「薪に臥す(臥薪)」ことで父の無念を忘れず、越を撃破するが、後に油断して国を滅ぼす。 | |
| 伍子胥(ごししょ) | 呉の忠臣・大軍師。越を徹底的に滅ぼすよう進言するが、奸臣の中傷で自害に追い込まれる。 | |
| 伯嚭(はくひ) | 呉の太宰(宰相)。越から賄賂を受け取り、夫差に越を許すよう説得して呉を滅亡へと導く。 | |
| 越(えつ) | 句践(こうせん) | 越王。会稽山で夫差に降伏後、国に戻り「苦い胆を嘗める(嘗胆)」ことで20年耐え忍び呉を滅ぼす。 |
| 范蠡(はんれい) | 越の天才軍師。句践を支えて軍備を整え、夫差の助命嘆願を一蹴して呉を滅亡させる。 | |
| 文種(ぶんしょう) | 越の大夫。句践から国内政治を任され、内政と経済を建て直す。 |
夫差の臥薪と父闔廬の敵討ちを誓う名場面

紀元前496年、呉王闔廬は越との戦いで負傷し、死に際に子の夫差へ「必ず越を討って仇を討て」と言い残します。王位を継いだ夫差は、父の無念を絶対に忘れないよう、自分自身に過酷な試練を課しました。
【原文】
呉伐越。闔廬傷而死。子夫差立。子胥復事之。夫差志復讎。朝夕臥薪中、出入使人呼曰、「夫差、而忘越人之殺而父邪。」
【書き下し文】
呉越を伐つ。闔廬傷つきて死す。子の夫差立つ。子胥復た之に事ふ。夫差讎を復せんと志す。朝夕薪中に臥し、出入するごとに人をして呼ばしめて曰はく、「夫差、而越人の而の父を殺ししを忘れたるか。」と。
【現代語訳】
呉は越を討伐した。(しかし)闔廬は傷を負って死んだ。子の夫差が王位についた。伍子胥は再び夫差に仕えた。夫差は復讐を志した。朝晩、薪(木の枝)の中に寝起きし、(部屋を)出入りするたびに家来に叫ばせて、「夫差よ、お前は越人がお前の父を殺したのを忘れたのか。」と言わせた。
| 出 | ||
| 入 | ス | |
ルゴトニ | ||
| 使 | メ | |
| 二 | テ | |
| 人 | ヲ | |
シテ | ||
| 呼 | バ | |
| 一 | ||
| 曰 | ハ | |
、 | ク |
使役助字「使」は、下に「被使役者(人)」と「動詞(呼)」を従えているため、「使」に【二点】、動詞「呼」に【一点】を配置します。「使」は助動詞「しむ」の語幹に相当するため活用する部分(活用語尾)である「メテ」を送り仮名とし、「呼」の未然形「バ」と合わせて「呼ばしめて」と訓読します。
夫椒の戦いと会稽山での句践の屈辱的な降伏
復讐に燃える夫差は軍を猛訓練し、紀元前494年、「夫椒(ふしょう)の戦い」で越軍を徹底的に打ち破ります。追い詰められた越王句践は、残兵5千とともに「会稽山(かいけいざん)」に立て籠もりますが、もはや勝ち目はありませんでした。
句践の降伏条件:
「請為臣、妻為妾」(=私自身は呉王のしもべとなり、妻は召使いとなって仕えますので、命だけはお許しください)。
伍子胥の進言:
「不可なり」(=絶対に許してはなりません。今ここで越を根絶やしにしなければ、必ず後悔します)。
結末:
しかし、越から密かに莫大な賄賂と美女を受け取っていた呉の宰相・伯嚭(はくひ)が夫差を説得。夫差は油断して句践を赦免し、国へ帰してしまいました。これが故事成語「会稽の恥(かいけいのはじ=敗戦の屈辱)」です。
句践の嘗胆と苦い胆をなめて誓う二十年の復讐

命からがら越国へ帰還した句践は、会稽山で受けた屈辱を決して忘れないため、今度は自ら過酷な誓いを立てます。これが故事成語の後半部分にあたる「嘗胆(しょうたん)」です。
【原文】
句践反国、懸胆於坐臥、即仰胆嘗之曰、「女忘会稽之恥邪。」挙国政属大夫種、而与范蠡治兵、事謀呉。
【書き下し文】
句践国に反り、胆を坐臥に懸け、即ち胆を仰ぎ之を嘗めて曰はく、「女会稽の恥を忘れたるか。」と。国政を挙げて大夫の種に属し、而して范蠡と兵を治め、呉を謀るを事とす。
【現代語訳】
句践は国へ帰り、苦い胆(獣の肝)を自分の寝起きする場所に吊るし、事あるごとにその胆を仰ぎ見てなめ、「お前は会稽山で受けた恥辱を忘れたのか。」と言った。国政の全権を大夫の文種に任せ、自分は范蠡とともに軍備を整え、呉を討ち滅ぼす計画に専念した。
| 即 | チ | |
| 仰 | ギ | |
| レ | ||
| 胆 | ヲ | |
、 | ||
| 嘗 | メ | |
| レ | テ | |
| 之 | ヲ | |
| 曰 | ハ | |
、 | ク |
「胆(1文字)」から「仰」へ、「之(1文字)」から「嘗」へと、直下の1文字から直前の動詞へそれぞれ戻るため、「仰」に【レ点】、「嘗」に【レ点】を配置します。
忠臣・伍子胥の悲劇と東門に目を抉る壮絶遺言

一方、勝利に酔いしれる呉では、奸臣の伯嚭が忠臣・伍子胥を激しく妬み、「子胥は王を恨んでおります」と讒言(嘘の告げ口)をします。愚かな夫差はこれを信じ込み、子胥に自害を命じる名剣「属鏤(しょくる)の剣」を下賜しました。
【原文】
子胥告其家人曰、「必樹吾墓檟。檟可材也。抉吾目、懸東門。以観越兵之滅呉。」乃自剄。
【書き下し文】
子胥其の家人に告げて曰はく、「必ず吾が墓に檟を樹ゑよ。檟は材とすべきなり。吾が目を抉りて、東門に懸けよ。以つて越兵の呉を滅ぼすを観ん。」と。乃ち自剄す。
【現代語訳と意味】
「必ず私の墓にヒサギの木を植えよ。その木は(成長した頃、滅びる夫差の)棺桶の材料にできるだろう。私の目を抉り出して都の東門に吊るせ。その目で越軍が東から攻め寄せて呉を滅ぼすさまを見届けてやる!」と言い残し、自ら首をはねて果てた。
| 抉 | リ | |
| 二 | テ | |
| 吾 | ガ | |
| 目 | ヲ | |
一 、 | ||
| 懸 | ケ | |
| 二 | ヨ | |
| 東 | ||
| 門 | ニ | |
一 。 |
「吾(ガ)」に送り仮名「ガ」を送り、「目(ヲ)」の下には一点とともに読点「、」を配置します。また「東門」という2文字熟語に対して直前の動詞「懸」に【二点】、末尾「門」に【一点】と句点「。」を配置します。
呉の滅亡と「子胥に合わす顔なし」夫差の自害

越は「十年間で民を増やして国力を蓄え、十年間で軍事訓練を行う」という計20年間の雌伏の時を経て、ついに呉へ怒涛の進撃を開始します。呉軍は「三たび戦ひて三たび北ぐ(=3回戦って3回とも大敗して逃げる)」という壊滅状態に陥ります。
夫差は豪壮な高楼「姑蘇台(こそだい)」に追い詰められ、かつての句践と同じように命乞いをしますが、越の軍師・范蠡は冷徹に拒絶します。
夫差は、
「吾以つて子胥を見る無し。」(=私はあの世で子胥に合わせる顔がない)
と激しく後悔し、死者の顔を覆う布(幎冒=べきぼう)で自らの顔を覆い隠して自害しました。こうして呉は完全に滅亡したのです。
| 吾 | ハ | |
| 無 | シ | |
| 三 | ||
| 以 | ツ | |
テ | ||
| 見 | ル | |
| 二 | ||
| 子 | ||
| 胥 | ヲ | |
一 。 |
「無以〜(以つて〜する[こと]無し)」は、「〜する方法がない・〜する手段がない」を表す重要構文です。「子胥(一点)」➔「見(二点)」➔「無(三点)」と順番に返って訓読します。
十八史略「臥薪嘗胆」テスト予想問題と重要句形
ここからは、定期テストや大学入試の漢文問題で最も配点が高い「使役形」「疑問・反語形」「重要語句の読みと意味」、そして頻出の記述問題を完全攻略していきましょう!
使役形「使・教・令」の書き下しと送り仮名
漢文の使役構文は、使役助字(使・令・教・遣・俾)を用いて「AをしてB(未然形)+しむ(=AにBさせる)」と訓読します。「臥薪嘗胆」にはこの使役構文が2か所登場し、どちらもテスト超頻出です!
| 本文の使役文 | 書き下し文と送り仮名 | 現代語訳と解説 |
|---|---|---|
| 闔廬挙伍員、謀国事。 | 闔廬伍員を挙げて、国事を謀らしむ。 | 闔廬は伍子胥を登用して、国家の大事を計画させた。 |
| 出入使人呼曰 | 出入するごとに人をして呼ばしめて曰はく | (夫差は)出入りするたびに、家来に叫ばせて言った。 |
| 説夫差赦越 | 夫差に説きて越を赦さしむ | 夫差を説得して、越を赦免させた。 |
疑問・反語形「邪・乎」と重要助字の識別法
文末に置かれる助字「邪(や・か)」や「乎(や・か)」は、文脈によって「疑問(〜か)」または「反語(〜だろうか、いや〜ない)」を表します。
| 本文の疑問・反語文 | 句形種別 | 書き下し文・現代語訳とポイント |
|---|---|---|
| 而忘越人之殺而父邪 | 疑問(反語的) | 而越人の而の父を殺ししを忘れたるか。 (お前は越人がお前の父を殺したのを忘れたのか!) |
| 女忘会稽之恥邪 | 疑問(反語的) | 女会稽の恥を忘れたるか。 (お前は会稽山で受けた屈辱を忘れたのか!) |
| 而/女(代名詞) | 人称代名詞 | どちらも二人称「なんぢ(お前)」と訓読する超頻出漢字! |
| 無以見子胥 | 不可能・慣用 | 以つて子胥を見る無し。 (子胥に合わせる顔がない) |
縦書き訓読カードで学ぶ名文の返り点と読み方
「臥薪嘗胆」の返り点問題で最も間違いやすいのが、「一点・二点とレ点、熟語の組み合わせ」です。以下のポイントをしっかり押さえましょう。
① 使役構文の返り点と送り仮名:使役助字「使」の下に「被使役者」と「動詞」がある場合、「使」に【二点】、動詞に【一点】を配置する。「使」は「し」と読み活用語尾「メテ」を送り、「呼」の未然形「バ」と合わせて「呼ばしめて」と訓読する。
② 1文字目的語への返り点:「仰胆」「嘗之」のように、動詞の直下に1文字の目的語がある場合は、【レ点】を用いて訓読する(一二点は不要)。
③ 否定構文「無以〜」の返り点:「無以見子胥」のように、助字「以」+動詞「見」+目的語「子胥」を否定する場合、「子胥」に【一点】、「見」に【二点】、「無」に【三点】を配置する。
定期テスト頻出の重要語句・漢字の完全攻略表
定期テストの漢字読み・語句意味問題で必ず狙われる最重要語句を一覧表にまとめました。
| 漢字・語句 | 読み方 | 意味・現代語訳・テスト出題ポイント |
|---|---|---|
| 薪中に臥す | しんちゅうにふす | 薪(木の枝)の上に寝て復讐心をかき立てること(夫差の故事)。 |
| 胆を嘗む | きもをなむ | 苦い動物の肝をなめて屈辱を思い出すこと(句践の故事)。 |
| 譖す | しんす | 嘘をついて告げ口をする、人を陥れる(太宰嚭の悪行)。 |
| 自剄す | じけいす | 自分で自分の首を刃物で切って自害すること(伍子胥の最期)。 |
| 鴟夷 | しい | 馬や牛の皮で作った革袋。夫差が子胥の遺体を詰めて長江に捨てた。 |
| 生聚・教訓 | せいしゅう・きょうくん | 人口と物資を増やし(生聚)、民を教育・軍事訓練する(教訓)こと。 |
| 北ぐ | にぐ | 戦いに敗れて逃げる、敗北する(「三戦三北」=3回戦って3回敗走)。 |
| 幎冒 | べきぼう | 死者の顔を覆い隠すための布。夫差が恥じ入って顔を覆った。 |
定期テスト予想記述問題3選と詳しい模範解答
学校の定期テストや高校入試・共通テストで頻出する記述問題を厳選しました。タップして模範解答と採点基準を確認してみましょう!
【定期テスト予想問題】「臥薪嘗胆」頻出記述3選に挑戦!
【模範解答と採点基準を見る(タップで開閉)】
十八史略「臥薪嘗胆」を完全理解して満点へ
今回は、漢文の故事成語の金字塔である『十八史略』から「臥薪嘗胆」の白文、訓読、書き下し文、現代語訳、使役や疑問の重要句形から定期テスト頻出の記述対策まで徹底解説しました。

たく先生、ありがとうございます!夫差の「臥薪」と句践の「嘗胆」の宿命の対決や、伍子胥の凄まじい遺言が鮮明に理解できました!縦書きカードで使役や返り点のルールも完璧です!

よく頑張りましたね、みちかさん!「臥薪嘗胆」は漢文の基本句形(使役・反語・置き字)がすべて詰まった最高の名文です。重要漢字と句法をしっかり復習して、定期テストや共通テストで満点を勝ち取りましょう!
漢文の読解力やテストの得点力を最短で伸ばす秘訣は、「重要句形と頻出漢字の意味・読み方を忘却曲線に合わせて最適なタイミングで復習すること」です。私は全国の高校生が漢文の暗記で挫折するのを防ぐために、最新の記憶定着アルゴリズム「FSRS v6」を搭載した完全無料のAI暗記アプリ「PathMemoria(パスメモリア)」を開発しました。
スマホから「臥薪嘗胆」に出てくる重要句形(使役・疑問反語・無以)や重要漢字をサクサク暗記でき、忘れそうな頃に自動でテストを出題してくれます。通学中やテスト前のスキマ時間にぜひ活用してください!






