【背水の陣】現代語訳と書き下し文!史記・韓信のテスト対策を解説

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校の『言語文化』や『古典探究』の定期テストで、故事成語や『史記』単元の代表教材として必ず出題されるのが、司馬遷『史記』(淮陰侯列伝)および『十八史略』に記された「背水の陣(はいすいのじん)」です。
漢(かん)の大将軍・韓信(かんしん)が、わずか数万の新兵を率いて20万の趙(ちょう)の大軍と対峙した「井陘(せいけい)の戦い」において、兵法のタブーを破って川を背に陣を敷き、劇的な大逆転勝利を収める名場面ですが、いざテスト勉強を始めると「別動隊2000騎の伏兵(赤幟)と本隊1万人の動きが複雑で整理できない!」「『使万人先行、出、背水陳』や『兵法不曰〜』の返り点・送り仮名が書けない…」と悩む高校生が後を絶ちません。
この記事では、高校国語教員歴20年以上のたく先生が、『背水の陣』の白文・返り点付きの縦書き訓読カード・書き下し文・現代語訳から、テストで100%狙われる重要句形(使役・反語・再読文字・限定)、韓信にまつわる4大故事成語(背水の陣・国士無双・韓信の股くぐり・多多益弁)、さらに記述予想問題・無料20問カード暗記デッキまで徹底解説します。テスト直前の総仕上げにぜひ活用してください!

たく先生、助けてください!次の漢文のテスト範囲が『史記』の「背水の陣」なんですけど、なぜ川を背にしたら勝てたのか理由を説明する記述問題もあるし、韓信の他のエピソードも一緒に出るって言われて焦っています……。

みちかさん、安心してください!『背水の陣』は「①別動隊2,000騎による空城のっとりの計」と「②本隊1万人による決死の誘い出し(死地・亡地)」という2つの歯車が噛み合った完璧な心理戦です。まずは全文の対照表から、韓信の鮮やかな戦術を一気に紐解いていきましょう!
【結論】『背水の陣(史記・淮陰侯列伝)』の全文・書き下し文・現代語訳一覧
まずは定期テストで最優先となる『背水の陣』(司馬遷『史記』淮陰侯列伝および『十八史略』)の白文・書き下し文・現代語訳を3列比較表で一覧確認しましょう。自分の教科書の採録範囲と照らし合わせながら全体の流れを掴んでください。
| 原文(白文) | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 韓信引兵撃趙。未至井陘口三十里、止舎。 | 韓信(かんしん)兵を引きて趙(ちょう)を撃つ。未(いま)だ井陘口(せいけいこう)に至らざること三十里にして、止(とど)まり舎(しゃ)す。 | 韓信は軍勢を率いて趙を攻撃した。まだ井陘の狭い谷の入り口まで三十里の手前で、軍を止めて宿営した。 |
| 夜半伝発、選軽騎二千人、人持一赤幟、従間道萆山而望趙軍。 | 夜半(やはん)に伝発(でんぱつ)し、軽騎(けいき)二千人を選び、人ごとに一の赤幟(せきし)を持たしめ、間道(かんどう)より山に萆(かく)れて趙軍を望ましむ。 | 真夜中に出陣の命令を伝え、軽装の騎兵二千人を選抜し、一人につき一本の赤い旗(漢軍の旗印)を持たせ、抜け道から山陰に隠れて趙軍を監視させた。 |
| 誡曰、「趙見我走、必空壁逐我。若疾入趙壁、抜趙幟、立漢赤幟。」 | 誡(いまし)めて曰(い)はく、「趙我の走(に)ぐるを見ば、必ず壁(へき)を空(むな)しくして我を逐(お)はん。若(なんぢ)疾(と)く趙の壁に入り、趙の幟(のぼり)を抜きて、漢の赤幟を立てよ。」と。 | そして韓信は訓戒して言った。「趙軍は我々が退却するのを見たら、必ず城壁(陣地)を空っぽにして我々を追撃してくるだろう。お前たちは素早く趙の陣地に突入し、趙の旗を引き抜いて、漢の赤い旗を打ち立てよ」と。 |
| 信乃使万人先行、出、背水陳。趙軍望見而大笑。 | 信乃(すなは)ち万人をして先づ行かしめ、出でて、水を背にして陳(ちん)せしむ。趙軍望み見て大いに笑ふ。 | 韓信はそこで一万人の兵を先発させ、陣門を出て、川を背にして陣を敷かせた。趙の軍勢は遠くからこれを眺め見て大笑いした。 |
| 平旦、信建大将旗鼓、鼓行出井陘口。趙開壁撃之、大戦良久。 | 平旦(へいたん)、信大将の旗鼓(きこ)を建て、鼓行(ここう)して井陘口を出づ。趙壁を開きて之を撃ち、大いに戦ふこと良(やや)久し。 | 夜明けに、韓信は大将の旗と太鼓を押し立て、太鼓を打ち鳴らして進軍し井陘口を出た。趙軍は城壁の門を開いてこれを迎え撃ち、しばらくの間激しい戦いが続いた。 |
| 於是信・張耳佯棄鼓旗、走水上軍。水上軍開入之、復疾戦。 | 是(ここ)に於(お)いて信・張耳(ちょうじ)佯(いつは)りて鼓旗を棄(す)て、水上(すいじょう)の軍に走(に)ぐ。水上の軍開きて之を入れ、復(ま)た疾(はげ)しく戦ふ。 | そこで韓信と副将の張耳は、負けたふりをして太鼓や旗を投げ捨て、川岸(背水の陣)の部隊へと逃げ込んだ。川岸の部隊は陣を開いて彼らを迎え入れ、再び激しく戦った。 |
| 趙果空壁争漢鼓旗、逐韓信・張耳。韓信・張耳已入水上軍、軍皆殊死戦、不可敗。 | 趙果(はた)して壁を空しくして漢の鼓旗を争ひ、韓信・張耳を逐ふ。韓信・張耳已(すで)に水上の軍に入り、軍皆殊死(しゅし)して戦ひ、敗(やぶ)るべからず。 | 趙軍は案の定、陣地を空っぽにして漢軍が捨てた太鼓や旗を奪い合いながら、韓信と張耳を追撃してきた。韓信と張耳がすでに川岸の部隊に合流すると、兵士たちは皆(後ろが川で逃げ場がないため)決死の覚悟で戦い、打ち破ることができなかった。 |
| 信所出奇兵二千騎、共候趙空壁逐利、則馳入趙壁、皆抜趙幟、立漢赤幟二千。 | 信の出だす所の奇兵二千騎、共に趙の壁を空しくして利を逐ふを候(うかが)ひ、則(すなは)ち趙の壁に馳せ入り、皆趙の幟を抜きて、漢の赤幟二千を立つ。 | その頃、韓信が放っておいた別動隊の二千騎は、趙軍が陣地を空にして戦利品を追うのを待ち構えており、ただちに趙の陣地へ馬を走らせて突入し、趙の旗をすべて引き抜いて、漢の赤い旗二千本を打ち立てた。 |
| 趙軍已不勝、不能得信等、欲還帰壁。壁皆漢赤幟、而大驚、以為漢皆已得趙王将矣。兵遂乱、遁走。於是漢兵夾撃、大破虜趙軍。 | 趙軍已に勝たず、信等を得る能(あた)はず、壁に還り帰らんと欲す。壁皆漢の赤幟にして、大いに驚き、以(おも)へらく漢皆已に趙の王・将を得たりと。兵遂(つひ)に乱れ、遁走(とんそう)す。是に於いて漢兵夾撃(きょうげき)し、大いに破りて趙軍を虜(とりこ)にす。 | 趙軍はどうしても勝てず、韓信たちを討ち取ることもできなかったため、陣地へ引き返そうとした。ところが陣地はすべて漢の赤い旗で埋め尽くされており、大いに驚いて「漢軍はすでに趙の王や将軍たちをすべて討ち取ってしまったのだ」と思い込んだ。趙の兵士たちはついに大混乱に陥って逃げ出し、そこを漢軍が挟み撃ちにして趙軍を大いに破り捕虜にした。 |
| 諸将効首虜、休、皆賀。因問信曰、「兵法、右倍山陵、前左水沢。今者将軍令臣等反背水陳、曰『破趙会食』、臣等不服。然竟以勝。此何術也。」 | 諸将首虜(しゅりょ)を効(いた)し、休し、皆賀(が)す。因(よ)りて信に問ひて曰はく、「兵法に、『山陵(さんりょう)を右倍(うばい)にし、水沢(すいたく)を前左(ぜんさ)にす』と。今者(いま)将軍臣等をして反(かへ)りて水を背にして陳せしめ、『趙を破りて会食(かいしょく)せん』と曰ふ、臣等服せず。然れども竟(つひ)に以て勝つ。此れ何の術ぞや。」と。 | 戦いの後、諸将は討ち取った首級や捕虜を差し出し、休息して皆で戦勝を祝った。そこで韓信に尋ねて言った。「兵法には『山や丘を右側や背後にし、川や沢を前方か左側にして布陣せよ』とあります。ところが今回、将軍は私たちに反対に川を背にして陣を敷かせ、『趙を打ち破ってから一緒に食事をしよう』と言われたので、私たちは心服していませんでした。しかし結局この陣形で勝ちました。これはいったいどういう戦術なのですか」と。 |
| 信曰、「此在兵法。顧諸君不察耳。兵法不曰、『陥之死地而後生、置之亡地而後存』。且信非得素拊循士大夫也。此所謂駆市人而戦之、其勢非置之死地、使人人自為戦。今予之生地、皆走、寧尚可得而用之乎。」諸将皆服曰、「善。非臣所及也。」 | 信曰はく、「此れ兵法に在り。顧(ただ)諸君察せざるのみ。兵法に曰はずや、『之を死地(しち)に陥れて後生き、之を亡地(ぼうち)に置きて後存す』と。且(か)つ信は素(もと)より士大夫を拊循(ふじゅん)するを得たるに非(あら)ざるなり。此れ所謂(いはゆる)市人(しじん)を駆りて之を戦はしむるなり、其の勢ひ之を死地に置き、人人をしてみづから為(ため)に戦はしむるに非ざれば不可なり。今之に生地(せいち)を予(あた)へば、皆走(に)げん、寧(いづくん)ぞ尚(な)ほ得て之を用ゐるべけんや。」と。諸将皆服して曰はく、「善(よ)し。臣の及ぶ所に非ざるなり。」と。 | 韓信は答えた。「これも兵法に載っていることだ。ただ諸君が気づいていないだけである。兵法(『孫子』九地篇)にも書いてあるではないか、『兵士を死ぬほかない絶体絶命の境地に追い込んでこそ初めて生き延び、滅亡するほかない場所に置いてこそ初めて生き残る』と。しかも私は日頃から手塩にかけて訓練した精鋭兵を率いているわけではない。これはいわゆる市場の一般人を狩り集めて戦わせているようなものだから、その状況上、彼らを死地に置いて一人ひとりが自分の命のために必死に戦うように仕向けるしかなかったのだ。もし彼らに逃げ道のある安全な場所(生地)を与えていたら、全員逃げ出してしまって、どうして彼らを指揮して使うことなどできただろうか(いや、できなかった)」と。諸将は皆感服して言った。「お見事です。とても私たちの及ぶところではありません」と。 |
故事成語「背水の陣」の意味と、韓信にまつわる4大故事成語

故事成語「背水の陣(はいすいのじん)」は、文字通り「水(川)を背にして陣を敷く(一歩でも後ろへ下がれば川に落ちて溺れ死ぬため、絶対に退却できない状態を作る)」ことから、「一歩も後へ引けない絶体絶命の立場で、決死の覚悟をもって物事に臨むこと」を意味します。
また、主人公の韓信(かんしん)は、高祖・劉邦(りゅうほう)を支えて項羽を打ち破った「漢の三傑(張良・蕭何・韓信)」の筆頭とされる天才軍略家であり、定期テストや入試の知識問題では韓信の生涯から生まれた4つの重要故事成語がセットで出題されます。
- 背水の陣(はいすいのじん):退路を断ち、決死の覚悟で全力を尽くして物事に当たること(井陘の戦い)。
- 国士無双(こくしむそう):一国の中で二人と並ぶ者がいないほど優れた人材のこと(宰相・蕭何が劉邦に韓信を推薦した言葉「国士無双」より)。
- 韓信の股くぐり(かんしんのまたくぐり):大志を抱く者は、目先の小さな屈辱に耐えて無用な争いを避けるというたとえ(若き日の韓信が町のならず者に絡まれ、黙ってその股の下をくぐった故事より)。
- 多多益弁(たたますますべんず):多ければ多いほど、ますますうまく処理・指揮できること(劉邦が「自分なら10万の兵を率いるのが限界だが、お前ならどれくらいか」と問うた際、韓信が「臣は多々益々弁ず」と答えた故事より)。
【縦書き訓読カード】『背水の陣』の返り点・送り仮名を完全図解!
ここからは、定期テストで白文に返り点・送り仮名を振る問題や、書き下し文への書き換え問題として出題される最重要5場面を高校の教科書・標準文法に完全準拠した「縦書き訓読カード」で1文ずつ徹底解剖します。
① 別動隊2,000騎と赤い旗(赤幟):「選軽騎二千人、人持一赤幟。」

井陘の戦いの真夜中、韓信は本隊を出撃させる前に、機動力のある軽装騎兵2,000人を別動隊として選抜し、一人に一本ずつ漢軍のシンボルである「赤幟(せきし=赤い旗)」を持たせて山陰の間道に伏せさせました。この伏兵こそが、背水の陣を単なる「玉砕戦法」ではなく「必勝の心理戦」へと変えた最大の仕掛けです。
② 表題句「水を背にして陳せしむ」と趙軍の嘲笑:「信乃使万人先行、出、背水陳。趙軍望見而大笑。」
別動隊を配置した韓信は、本隊1万人を先発させて綿蔓水(めんまんすい)という川を背にして布陣させました。当時の兵法の常識では「川を背にするのは自ら退路を塞ぐ愚策」とされていたため、城壁の上から見ていた趙軍は「韓信は兵法の基礎も知らないのか」と大笑いして油断します。
③ 勝因の種明かし(『孫子』の兵法):「兵法不曰、陥之死地而後生、置之亡地而後存。」

見事に趙軍を撃破した後、不思議がる諸将に対して韓信が種明かしをするクライマックスのセリフです。『孫子』(九地篇)の「之を死地に陥れて後生き、之を亡地に置きて後存す」を引用し、寄せ集めの新兵(市人)の潜在能力を100%引き出すためには退路を断つしかなかったのだと説きます。
④ 関連必出文(『史記』淮陰侯列伝・国士無双):「諸将易得耳。至如信者、国士無双。」
同じ『史記』淮陰侯列伝の前半部で、宰相の蕭何(しょうか)が劉邦に対して韓信の類まれな才能を推薦した際の有名な一文です。定期テストでは「背水の陣」の応用問題や、故事成語「国士無双」の由来として頻繁に同時出題されます。
定期テストで狙われる重要句形・語彙の完全整理
『背水の陣』の定期テストでは、本文の現代語訳と並んで重要句形4選と兵法・軍事に関する重要語彙の読み・意味が頻出です。高校国語の学習指導要領(文部科学省「高等学校学習指導要領解説 国語編」)でも重視される漢文の基本句形と重要語を表で整理しましょう。
テスト必出の4大句形&文法チェック表
| 句形・文法名 | 本文中の該当箇所 | 書き下し文とテスト対策のポイント |
|---|---|---|
| ① 使役形 (使・令+A+B) |
・信乃使万人先行、出、背水陳 ・将軍令臣等反背水陳 |
・信乃ち万人をして先づ行かしめ、出でて、水を背にして陳せしむ。 ・将軍臣等をして反りて水を背にして陳せしめ 👉 使役対象に「ヲシテ」、動詞に「シム」を送る! |
| ② 限定形 (顧〜耳) |
・顧諸君不察耳 ・諸将易得耳 |
・顧(ただ)諸君察せざるのみ。 ・諸将は得易きのみ。 👉 「顧」はここでは副詞「ただ」と読み、文末の「耳(のみ)」と呼応して限定(「ただ〜だけだ」)を表す! |
| ③ 反語形 (寧〜乎) |
・寧尚可得而用之乎 | ・寧(いづくん)ぞ尚ほ得て之を用ゐるべけんや。 👉 「どうしてまだ彼らを指揮して使うことができようか、いやできない」。文末の「乎」自体をひらがなで「や」と書き下す! |
| ④ 再読文字・不可能 | ・未至井陘口三十里 ・不能得信等 |
・未(いま)だ井陘口に至らざること三十里 ・信等を得る能(あた)はず(「不能〜」=〜することができない[不可能]) |
差がつく!重要語句・古今異義語の読みと意味一覧

| 重要語句 | 読み方 | 文中での意味・テスト出題ポイント |
|---|---|---|
| 赤幟 | せきし | 赤い旗(漢軍の旗印)。劉邦が自らを「赤帝の子」と称したことから漢は赤をシンボルとした。 |
| 壁 | へき | 城壁、陣地、とりで。「空壁(壁を空しくして)」=陣地を空っぽにして。 |
| 背水陳 | 水を背にして陳(ちん)す | 川を背にして陣を敷く。「陳」は「陣」と同じで、サ変動詞「陣を敷く(布陣する)」。 |
| 佯 | いつは(りて) | 偽って、〜のふりをして(偽装退却を表す重要語)。 |
| 殊死 | しゅし | 死を決すること、決死の覚悟(「殊」=断つ、死ぬ覚悟を決める)。 |
| 会食 | かいしょく | 一緒に食事をすること。「破趙会食」=趙を打ち破ってから皆で朝食をとろう。 |
| 拊循 | ふじゅん | 手なずけ養うこと、日頃から可愛がって訓練すること(「拊」=なでる、「循」=したがえる)。 |
| 市人 | しじん | 市場にいる一般の庶民(専門の訓練を受けていない寄せ集めの新兵のたとえ)。 |
たく先生の教壇メモ:なぜ「退路を断つ」と人は強くなれるのか?(行動経済学の『事前コミットメント』)
授業で『背水の陣』を解説すると、生徒たちからよく「先生、現実のテスト勉強や受験でも、あえて逃げ道をなくした方が集中できるんですか?」と聞かれます。
実は韓信が2,200年前に実践したこの戦術は、現代の行動経済学における「事前コミットメント(Pre-commitment)」および「損失回避バイアス」の理論そのものです。デューク大学の行動経済学者ダン・アリエリー教授らが行った有名な「消えるドアの実験」では、人間は「いつでも他の選択肢(逃げ道・生地)に切り替えられる状態」に置かれると、迷いや先延ばしが生じてパフォーマンスが低下する一方、「あらかじめ自分で退路を断ち、目の前の1つの選択肢にコミットせざるを得ない環境(死地)」を作ると、脳の覚悟が決まって集中力と実行力が劇的に跳ね上がることが実証されています。
韓信の兵士たちは、日頃から訓練されたエリート部隊ではなく、集められたばかりの一般兵(市人)でした。もし後ろに安全な逃げ道(生地)があれば、「危なくなったら逃げればいいや」という甘えが生じて一瞬で崩壊していたはずです。韓信は人間のこの心の弱さを知り抜いていたからこそ、物理的に川を背にさせることで迷いを消し去ったのです。

私たちもテスト前日にスマホを机の上に置いたまま勉強すると、「通知が来たら見ようかな」と気が散ってしまいますよね。スマホの電源を切ってリビングの親に預ける、あるいは図書館の自習室にテキスト1冊だけ持って行くといった「小さな背水の陣(事前コミットメント)」を日常に取り入れるだけで、驚くほど勉強の密度が変わりますよ!
定期テスト頻出の記述予想問題(模範解答・採点基準付き)
定期テストで特に配点が高く差がつく「戦術の勝因と『孫子』の兵法に関する記述問題」厳選2問です。問題文をタップすると模範解答と採点基準が開きます(※書き下し文・重要句形・4大故事成語の一問一答全20問は、記事末尾のPathMemoria無料カード暗記デッキで今すぐ演習できます!)。
記述問題①【なぜ韓信は兵法の原則に反して「背水の陣」を敷いたのか】:韓信が「山陵を右倍にし、水沢を前左にす」という兵法の原則に背いてまで川を背に布陣した理由を、当時の漢軍の兵士の性質に触れながら70字程度で説明せよ。
【模範解答】:
日頃から訓練された精鋭ではなく寄せ集めの新兵だったため、逃げ場のない死地に置くことで逃亡を防ぎ、一人ひとりが生き残るため必死に戦うように仕向けるため。(77字)
【解説・採点基準】:
①兵士の性質(「素より士大夫を拊循するを得たるに非ず/市人を駆りて戦はしむ=訓練された兵ではなく寄せ集めの兵であったこと」)と、②目的(「死地に置くことで逃走を防ぎ、各自が決死の覚悟で戦うようにさせるため」)の2要素が入っていれば満点です。
記述問題②【趙軍が総崩れになった2段階の理由】:圧倒的多数だった趙軍が最終的に大混乱に陥って敗走したのはなぜか。「本隊(水上の軍)」と「別動隊(二千騎)」の双方の働きに触れて70字程度で説明せよ。
【模範解答】:
決死の覚悟で戦う漢の本隊を破れず陣地へ戻ろうとしたところ、別動隊によって自軍の城壁がすべて漢の赤幟に差し替えられており、王や将軍が討たれたと錯覚したから。(79字)
【解説・採点基準】:
「背水の陣の精神論だけで勝った」と書くのは三角(減点)です!①本隊が殊死して戦って趙軍を釘付けにし、②その隙に別動隊2,000騎が空になった趙の陣地を占領して赤幟2,000本を立て、趙軍を心理的パニックに陥れたという両輪を書くのが満点の鉄則です。
『背水の陣』に関するよくある質問(FAQ)
最後に、テスト前の高校生からよく質問される疑問点をQ&A形式でまとめました。
通常は高い場所を背にして戦うのが有利であり、川を背にする(背水)のは退路を失うため兵法の禁忌とされていました。韓信はその常識を逆手に取って趙軍を油断させ、城壁から全軍をおびき出すことに成功したのです。
特に「破釜沈船」は、項羽が川を渡った後に船を沈め、飯を炊く釜を割って生還の退路を断ち、秦の大軍を打ち破った故事であり、「背水の陣」とほぼ同じ意味の最重要類義語として模試や入試でも頻出です。
漢文では「ただ〜のみ」を表す際、「唯・惟・只・但・直・特・徒・顧」などの副詞が文末の「耳・而已」と呼応します。定期テストの読み問題で「顧=ただ」は超頻出のひっかけポイントなので必ず押さえておきましょう!
まとめ:『背水の陣』の重要20問をスマホ単語帳で1秒マスターしよう!
『背水の陣』の定期テスト対策ポイントを最後におさらいしましょう。
- 勝利の2大要因:①本隊1万人を死地(背水の陣)に置いて決死の力で戦わせ趙軍をおびき出し、②別動隊2,000騎が空になった趙の陣地を占領して漢の赤幟2,000本を立てさせたこと
- 最重要書き下し文:「信乃ち万人をして先づ行かしめ、出でて、水を背にして陳せしむ」「之を死地に陥れて後生き、之を亡地に置きて後存す」
- 重要句形と語彙:使役「使・令」、限定「顧〜耳(ただ〜のみ)」、反語「寧〜乎(いづくんぞ〜や)」、殊死(決死の覚悟)、拊循(手なずけ訓練する)
- 韓信の4大故事成語:背水の陣・国士無双・韓信の股くぐり・多多益弁(類義語は項羽の破釜沈船)

たく先生、ありがとうございます!別動隊の「赤幟2,000本」と本隊の「死地・亡地」の組み合わせ、そして「顧〜耳(ただ〜のみ)」の読み方まで完璧に理解できました!

バッチリですね、みちかさん!それでは最後に、下の無料カード暗記デッキを使って全20問のスピード確認をしてみましょう。テスト本番で迷わず満点答案が書けるよう応援しています!
漢文の句形や書き下し文は、目で読むだけでなく「問題を見てパッと答えを思い出す(想起練習)」を繰り返すことで記憶に定着します。この記事で解説した『背水の陣』の現代語訳・書き下し文・返り点・重要句形・韓信の4大故事成語を完全網羅した特製デッキ「【背水の陣・韓信】定期テスト頻出対策マスター20選」を、自作AI暗記アプリ「PathMemoria」で無料公開しています。
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