【史記 四面楚歌】あらすじ現代語訳・重要句形と定期テスト対策

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校の漢文の授業で学ぶ司馬遷の史記四面楚歌。楚漢戦争の最大の山場であり、故事成語「四面楚歌」や「覇王別姫」の語源となった名場面ですが、いざテスト対策を始めると、白文からの書き下し文や現代語訳、そして「垓下の歌」の解釈や重要句形に悩んでいませんか。
なぜ敵軍が楚の歌を歌ったのか、項羽がなぜ涙を流したのか、記述問題のポイントが分からず不安な高校生も多いはずです。
この記事では、現役国語教員の視点から史記四面楚歌のあらすじや完全オリジナル現代語訳をはじめ、「垓下の歌」の詳細な鑑賞ポイント、重要句形(詠嘆・反語・全否定)、テスト頻出漢字、そして定期テストで高得点を取るための予想問題と記述の解法までわかりやすく徹底解説します。

たく先生!『四面楚歌』って「力山を抜き気世を蓋ふ…」の歌が有名ですけど、テストで句形の書き下しや項羽の心情を聞かれると、どう書けばいいか迷っちゃいます…!

大丈夫だよ、みちかさん!前回の史記「鴻門之会」に続く項羽と劉邦の最終決戦なんだ。漢軍の心理作戦と、最強の英雄・項羽が愛する虞美人のために流した涙の意味を押さえれば、記述問題も句形もバッチリ解けるようになるよ!
史記「四面楚歌」あらすじ書き下し文と現代語訳
まずは『史記』項羽本紀に描かれる「四面楚歌」の全体像を整理しましょう。紀元前202年、垓下の地で繰り広げられた楚漢戦争の最終決戦と、英雄・項羽の壮絶な人間ドラマを原文・書き下し文・現代語訳とともに対照しながら解説します。
垓下の戦いの歴史的背景とあらすじ

『史記』は、前漢の司馬遷が著した中国最初の正史(紀伝体)です。「四面楚歌」は、覇王・項羽の生涯を描いた「項羽本紀」のクライマックスに位置づけられています。
・垓下(がいか)の包囲:劉邦率いる漢軍と諸侯連合軍(約30万)が、兵糧の尽きた項羽軍(数万)を幾重にも厳重に包囲。
・四面楚歌の心理作戦:夜陰に乗じ、漢軍陣営の四方から項羽の故郷である「楚の国の歌(楚歌)」を一斉に合唱。
・項羽の絶望:「漢軍はすでに楚の全土を制圧し、楚の民が漢に降伏したのか」と錯覚し、味方の士気も完全に崩壊しました。
なお、古典や漢文の定期テスト勉強法全般については、古文・漢文の定期テスト勉強法!高得点ノート術と現代語訳のコツでも詳しく解説しています。また、漢籍や古典文学の文化財情報は、文化庁の公式ウェブサイトでも公的に確認できます。
四面楚歌の白文と書き下し文一覧

「四面楚歌」の全段落における白文・訓読・書き下し文の対照一覧です。
【第1段落:垓下の包囲と楚歌】
[白文]項王軍壁垓下。兵少食尽。漢軍及諸侯兵、囲之数重。夜聞漢軍四面皆楚歌、項王乃大驚曰、「漢皆已得楚乎。是何楚人之多也。」
[書き下し文]項王の軍垓下に壁す。兵少なく食尽く。漢軍及び諸侯の兵、これを囲むこと数重なり。夜漢軍の四面皆楚歌するを聞き、項王乃ち大いに驚きて曰はく、「漢皆已に楚を得たるか。是れ何ぞ楚人の多きや。」と。
【第2段落:最後の酒宴と垓下の歌】
[白文]項王則夜起、飲帳中。有美人、名虞、常幸従。駿馬名騅、常騎之。於是項王乃悲歌忼慨、自為詩曰、「力抜山兮気蓋世。時不利兮騅不逝。騅不逝兮可奈何。虞兮虞兮奈若何。」
[書き下し文]項王則ち夜起きて、帳中に飲む。美人在り、名は虞、常に幸せられて従ふ。駿馬名は騅、常にこれを騎す。是に於いて項王乃ち悲歌忼慨し、自ら詩を為りて曰はく、「力山を抜き気世を蓋ふ。時利あらず騅逝かず。騅の逝かざる奈何すべき。虞や虞や若を奈何せん。」と。
【第3段落:虞美人の和歌と落涙】
[白文]歌数闋、美人和之。項王泣数行下。左右皆泣、莫能仰視。
[書き下し文]歌ふこと数闋、美人これに和す。項王涙数行下る。左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し。
項羽の心情がわかる完全オリジナル現代語訳

「四面楚歌」の完全オリジナル現代語訳です。英雄の苦悩と人間味あふれる心情を丁寧に訳出しています。
項羽の軍勢は垓下に砦を築いて立てこもった。兵力は激減し、食糧もすっかり尽き果てていた。劉邦率いる漢軍と諸侯の連合軍は、項羽の陣営を幾重にも厳重に取り囲んだ。
夜になると、包囲する漢軍の陣営の四方一面から楚の国の歌が聞こえてきた。項王は大変驚愕して言った。「漢軍はすでに楚の国をすべて奪い取ってしまったのか! 一体なぜ漢軍の中にこんなにも楚の人間が多いのか!」と。
項王はそこで夜中に起き上がり、本陣の天幕の中で最後の別れの酒盛りを開いた。虞という名の美女がおり、項王に深く愛されて常に戦場まで付き従っていた。また騅という名馬がおり、項王はいつもこの馬に乗って戦場を駆け巡っていた。この絶望的な状況に際し、項王は悲痛に歌い、運命を憤り嘆いて感情を高ぶらせ、自ら詩を作って歌った。
「かつて我が力は山を引き抜くほど凄まじく、我が気迫は世界を圧倒して覆い尽くしていた。
だが時運は味方せず、愛馬の騅も前に進もうとしない。
騅が進まないのを、一体どうしたらよいのか。
虞よ、愛する虞よ、残されるお前を一体どうすればよいのか!」
項王が何度も繰り返し歌うと、虞美人もそれに合わせて歌を返した。項王の頬には幾筋もの涙がハラハラと流れ落ちた。傍らに控える側近たちも皆涙を流し、そのあまりの痛ましさと悲壮感に、誰も顔を上げて項王を見つめることができなかった。
垓下の歌の書き下し文と鑑賞ポイント

漢文史上屈指の名詩である「垓下の歌(がいかのうた)」の構造とレトリックの解説です。
① 第1句「力山を抜き気世を蓋ふ(力抜山兮気蓋世)」【過去の栄光】
山を引き抜く怪力と、天下を圧倒する気迫。四字熟語「抜山蓋世」の語源であり、無敵を誇った覇王の自負。
② 第2句「時利あらず騅逝かず(時不利兮騅不逝)」【過酷な現実】
天運(時勢)に見放され、名馬すら進まない絶望。第1句の全能感と第2句の無力感の強烈な対比。
③ 第3句「騅の逝かざる奈何すべき(騅不逝兮可奈何)」【焦燥と無念】
愛馬を走らせることすらできない英雄の限界と苦悩の吐露。
④ 第4句「虞や虞や若を奈何せん(虞兮虞兮奈若何)」【至高の抒情】
自分が死んだ後、敵の捕虜となるかもしれない愛妾・虞美人の過酷な運命を案じ、どうすることもできない断腸の悲嘆。
テスト頻出の重要語句と人名解説

定期テストで必ず問われる、『史記』四面楚歌の重要語句一覧です。
| 漢文語句 | 読み | 意味・テスト解説 |
|---|---|---|
| 壁す | へきす | 砦を築いて立てこもる、籠城する(動詞化)。 |
| 数重 | すうちよう | 幾重にも、何重にも(包囲の厳重さ)。 |
| 已に | すでに | もはや、すっかり(完了の副詞)。 |
| 幸せらる | さはせらる | (君主に)寵愛される、愛される(受身)。 |
| 忼慨 | かうがい | 憤り嘆いて感情を高ぶらせる(慷慨)。 |
| 数闋 | すうけつ | 何回か、数曲(闋=楽曲の一区切り)。 |
| 和す | わす | 歌に合わせて返歌を歌う、調子を合わせる。 |
| 左右 | さいう | 主君の身の回りに控える側近、家臣たち。 |
| 若 | なんぢ | お前、あなた(二人称代名詞)。 |
| 逝く | ゆく | (馬が)前に進む、駆ける、走る。 |
四面楚歌に見る重要文法と句形の品詞分解

「四面楚歌」の主要文節における詳細な文法解説と品詞分解一覧です。
| 該当文節 | 書き下し文 | 文法・句形構造 | 現代語訳 |
|---|---|---|---|
| 夜聞漢軍四面皆楚歌 | 夜漢軍の四面皆楚歌するを聞き | 「皆」副詞+「楚歌」名詞の動詞化 | 夜、漢軍が四面で楚の歌を歌うのを聞き |
| 漢皆已得楚乎 | 漢皆已に楚を得たるか | 「已」完了副詞+「乎」疑問終助詞 | 漢軍はすでに楚を手に入れてしまったのか |
| 是何楚人之多也 | 是れ何ぞ楚人の多きや | 「何ぞ〜や」詠嘆形+「之」主格助詞 | なんと楚の人間が多いことか! |
| 騅不逝兮可奈何 | 騅の逝かざる奈何すべき | 「奈何」反語・疑問形(どうしようか) | 騅が進まないのをどうしたらよいのか |
| 虞兮虞兮奈若何 | 虞や虞や若を奈何せん | 「奈+目的語+何」疑問・反語形 | 虞よ、お前を一体どうしたらよいのか |
| 莫能仰視 | 能く仰ぎ視るもの莫し | 「莫」全否定+「能」可能助動詞 | 顔を上げて見つめられる者はだれもいなかった |
漢文の重要句形や返り点の基本ルールは、助動詞・漢文句形完全攻略ガイド(表と例文で覚えるコツ)も合わせてご活用ください。
史記「四面楚歌」テスト予想問題と重要句形攻略
ここからは、定期テストで高得点を取るための実践演習です。頻出漢字の読み書き、重要句形の書き下し、そして差がつく記述式予想問題の解法テクニックを網羅しました。
定期テストで頻出する重要句形の徹底攻略

定期テストで最も出題頻度が高い3大句形の公式整理です。
① 詠嘆形「是何…之〜也(是れ何ぞ…の〜や)」
意味:「なんと…なことか!」。文末の「也」は詠嘆、「之」は主格助詞(の)です。
② 疑問・反語形「奈何(いかんせん/いかにすべき)」「奈+目的語+何(〜をいかんせん)」
意味:「〜をどうしたらよいだろうか(どうしようもない)」。間に目的語(若=なんぢ)を挟む形が超頻出!
③ 全否定形「莫能〜(能く〜するもの莫し)」
意味:「〜できる者はだれもいない」。「莫」は存在の全否定を表します。
漢字の読み書きと語句の定期テスト予想問題

漢字の読み取りと重要語句の意味を問うテスト予想問題です。タップすると解答が開きます。
問1:次の下線部の漢字の読みを現代仮名遣いで答えよ。
① 垓下に壁す ② これを囲むこと数重なり ③ 悲歌忼慨し ④ 歌ふこと数闋
問2:次の語句の現代語の意味を答えよ。
① 幸せらる ② 左右 ③ 若 ④ 和す
【解答とたく先生の解説を見る(タップで開閉)】
【問1:漢字の読み解答】
① 壁す:へきす(砦を築いて立てこもる)
② 数重なり:すうちようなり(幾重にも)
③ 忼慨し:かうがいし(憤り嘆いて感情を高ぶらせる)
④ 数闋:すうけつ(何回か・数曲)
【問2:語句の意味解答】
① 幸せらる:(君主に)寵愛される
② 左右:身の回りに控える側近・家臣たち
③ 若:お前、あなた(二人称)
④ 和す:調子を合わせて返歌を歌う
句形の識別と現代語訳の記述式予想問題

句形の書き下し文と現代語訳に関する実践問題です。
問1:「是何楚人之多也」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
問2:「虞兮虞兮奈若何」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
問3:「莫能仰視」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
【解答とたく先生の解説を見る(タップで開閉)】
【解答と解説】
問1:
・書き下し文:是れ何ぞ楚人の多きや
・現代語訳:(漢軍の中に)なんと楚の人間が多いことか。
問2:
・書き下し文:虞や虞や若を奈何せん
・現代語訳:虞よ、虞よ、お前を一体どうしたらよいのか(どうすることもできない)。
問3:
・書き下し文:能く仰ぎ視るもの莫し
・現代語訳:顔を上げて(項羽を)見つめることができる者はだれもいなかった。
項羽と虞美人の心情変化を問う記述式問題

定期テストで最も配点が高い記述式問題(全3問)です。模範解答と採点基準を掲載しています。
問1:四面で楚歌を聞いた項羽が「大いに驚いた」のはなぜか理由を説明せよ。(60〜80字)
問2:『垓下の歌』において、項羽は自らの敗因をどのように捉えているか説明せよ。(60〜80字)
問3:「左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し」とあるが、家臣たちが顔を上げられなかった理由を説明せよ。(60〜80字)
【模範解答と採点基準を見る(タップで開閉)】
【模範解答】
問1:漢軍陣営から故郷の歌が聞こえたことで、楚の領土がすでに完全に漢に制圧され、多くの楚人が漢軍に降伏・寝返ったと錯覚したから。(65字)
(採点基準:故郷の歌を聞いた+楚全土が漢に奪われたと錯覚+多くの楚人が漢軍に降伏したと思ったことの網羅で満点)
問2:自らの武勇に衰えはないが、天運(時勢)に見放されたために敗北したと捉えており、運命の過酷さに憤り嘆いている。(57字)
(採点基準:実力不足ではなく天運(時利あらず)に見放されたと捉えている点の言及で満点)
問3:天下無敵を誇った覇王・項羽が涙を流して悲嘆に暮れる痛ましい姿を直視できず、敗北と破滅を悟って深く絶望したから。(57字)
(採点基準:無敵の主君の落涙・痛ましい姿を直視できない+敗北への深い悲嘆・絶望の言及で満点)
史記「四面楚歌」の定期テスト対策まとめ

今回は、中国古典文学の至宝である史記「四面楚歌」について、あらすじ、白文・書き下し文、完全オリジナル現代語訳、重要句形、そして定期テスト予想問題まで徹底解説しました。

たく先生、ありがとうございます!「四面楚歌」の心理作戦や「垓下の歌」に込められた項羽の切ない心情がすごくよくわかりました!句形の書き下しも自信がつきました!

素晴らしいね!『史記』は司馬遷が英雄たちの人間ドラマを生々しく描いた最高傑作です。この記事の書き下し文や予想問題を何度も復習して、ぜひ定期テストで満点を取ってくださいね!応援しています!
・作品の基本:司馬遷『史記』項羽本紀。前202年・垓下の戦いにおける楚漢戦争の決着。
・四面楚歌の意味:孤立無援の状況。漢軍の心理作戦により楚軍の戦意を喪失させた。
・垓下の歌の対比:「力抜山(過去の栄光)」 ↔ 「時不利(過酷な現実)」、「虞や虞や(愛妾への悲嘆)」。
・最重要句形:詠嘆「是何…之〜也」、疑問反語「奈若何」、全否定「莫能〜」。
なお、『史記』に関する貴重な古典籍資料は、国立国会図書館デジタルコレクションでも公的に確認することができます。
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