【史記 項王自刎】あらすじ現代語訳・重要句形と定期テスト対策

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校の漢文の授業で学ぶ司馬遷の史記項王自刎。かつて天下無敵を誇った覇王・項羽が、垓下の戦いに敗れて烏江のほとりへと追い詰められ、自ら命を絶つ壮烈なラストシーンを描いた名場面です。「鴻門之会」や「四面楚歌」に続く完結編として、全国の高校の定期テストや大学入試でも極めて頻出の重要教材です。
しかし、テスト勉強を始めると「烏江亭長とのやりとりに出てくる反語や仮定の句形が複雑で覚えられない」「項羽がなぜ船に乗って逃げなかったのか、記述問題の模範解答の書き方がわからない」と悩む高校生も多いはずです。
この記事では、現役高校教員の視点から史記項王自刎のあらすじ、原文・書き下し文、わかりやすい現代語訳をはじめ、テスト頻出の重要句形(反語・仮定・受身)や重要漢字、そして定期テストで高得点を取るための予想問題と記述の解法までどこよりもわかりやすく徹底解説します。

たく先生!項王自刎の「我何渡為」とか「何面目見之」の反語の訳し方がごちゃごちゃになって困ってます…項羽がなぜ逃げなかったのかの記述対策も教えてほしいです!
史記「項王自刎」あらすじ書き下し文と現代語訳
まずは『史記』項羽本紀に描かれる「項王自刎(項王の最期)」の全体像を整理しましょう。垓下の包囲を突破した項羽が、わずか28騎で漢軍数千を圧倒する東城の奮戦を経て、烏江のほとりで迎えた壮絶な結末を原文・書き下し文・現代語訳とともに対照しながら解説します。
楚漢戦争の歴史的背景と項羽の置かれた状況

『史記』「項王自刎」は、紀元前202年の楚漢戦争最終決戦を描いた場面です。四面楚歌の夜に垓下を脱出した項羽は、精鋭800騎を率いて南へ奔走しますが、追撃を受けて東城に至る頃にはわずか28騎にまで減っていました。
・東城の奮戦(28騎の奇跡):背後に迫る数千の漢軍騎兵に対し、項羽は28騎で突撃。漢軍の武将を斬り百余人を討ち取って「天が我を滅ぼすのであって戦の罪ではない」と豪語。
・烏江への到達:東へ逃れて烏江(長江の渡し場)に到着。渡し場の長である亭長が船を用意して項羽を待っていました。
・再起の機会と拒絶:「江東へ渡れば再び王となれる」という亭長の勧めに対し、項羽は「面目がない」として渡河を拒否します。
なお、古典や漢文の定期テスト勉強法全般については、古文・漢文の定期テスト勉強法!高得点ノート術と現代語訳のコツでも詳しく解説しています。また、漢籍や古典文学の文化財情報は、文化庁の公式ウェブサイトでも公的に確認できます。
烏江亭長との対話と船を断った理由の解説

烏江のほとりで待っていた亭長と項羽の間で交わされた対話の核心部分です。
【烏江亭長の現実的進言】
「江東は狭いとはいえ、千里四方の土地と数十万の民がおり、王となるのに十分です。船を持っているのは私だけですから、大王様、急いでお渡りください」
【項羽の誇りと恥の心理(無面目見之)】
「かつて江東の若者八千人と長江を渡ったのに、今や一人も連れて帰れない。たとえ故郷の人々が憐れんで私を王にしてくれたとしても、何の面目(合わせる顔)があって会えようか。たとえ彼らが責めずとも、私の心が恥じずにはいられない!」
史記「項王自刎」の原文と完全書き下し文

「項王自刎」の全段落における白文・訓読・書き下し文の対照一覧です。
【第1段:烏江到達と亭長の進言】
[白文]於是項王乃欲東渡烏江。烏江亭長檥船待。謂項王曰、「江東雖小、地方千里、衆数十万人、亦足王也。願大王急渡。今独臣有船。漢軍至、無以渡。」
[書き下し文]是に於いて項王乃ち東のかた烏江を渡らんと欲す。烏江の亭長船を檥して待つ。項王に謂ひて曰はく、「江東小なりと雖も、地は方千里、衆は数十万人、亦王たるに足るなり。願はくは大王急ぎ渡れ。今独り臣のみ船有り。漢軍至るも、以て渡る無し。」と。
【第2段:天命への帰着と江東への恥】
[白文]項王笑曰、「天之亡我、我何渡為。且籍与江東子弟八千人、渡江而西、今無一人還。縦江東父兄憐而王我、我何面目見之。縦彼不言、籍独不愧於心乎。」
[書き下し文]項王笑ひて曰はく、「天の我を亡ぼすに、我何ぞ渡ることを為さん。且つ籍江東の子弟八千人と江を渡りて西す。今一人の還るもの無し。縦ひ江東の父兄憐れみて我を王とすとも、我何の面目ありてか之に見えん。縦ひ彼言はずとも、籍独り心に愧ぢざらんや。」と。
【第3段:愛馬・騅の譲渡】
[白文]乃謂亭長曰、「吾知公長者。吾騎此馬五歳、所当無敵。嘗一日行千里。不忍殺之。以賜公。」
[書き下し文]乃ち亭長に謂ひて曰はく、「吾公の長者たるを知る。吾此の馬に騎すること五歳、当たる所敵無し。嘗て一日に行くこと千里なり。之を殺すに忍びず。以て公に賜はん。」と。
【第4段:最後の白兵戦と呂馬童への恩恵(自刎)】
[白文]乃令騎皆下馬歩行、持短兵接戦。独籍所殺漢軍数百人。項王身亦被十余創。顧見漢騎司馬呂馬童曰、「若非吾故人乎。」馬童面之、指王謂王翳曰、「此項王也。」項王乃曰、「吾聞漢購我頭千金、邑万戸。吾為若徳。」乃自刎而死。
[書き下し文]乃ち騎をして皆馬を下りて歩行せしめ、短兵を持して接戦す。独り籍の殺す所の漢軍数百人なり。項王の身も亦十余創を被る。顧みて漢の騎司馬呂馬童を見て曰はく、「若は吾が故人に非ずや。」と。馬童之に面き、王を指して王翳に謂ひて曰はく、「此れ項王なり。」と。項王乃ち曰はく、「吾聞く、漢我が頭を千金・邑万戸に購ふと。吾若の為に徳せん。」と。乃ち自刎して死す。
場面ごとのわかりやすい完全現代語訳

「項王自刎」の完全オリジナル現代語訳です。悲劇の英雄の気高いプライドと人間味を丁寧に訳出しています。
こうして項王は東へ進んで烏江を渡ろうとした。烏江の渡し場の長(亭長)が、すぐに船を出せるよう岸につないで待っていた。亭長は項王にこう言った。「江東の地は狭いとはいえ、千里四方の広さがあり、人口も数十万人おりますので、再び王として君臨するには十分です。どうか大王様、急いでお渡りください。今、船を持っているのは私一人だけです。漢軍が追いついてきたとしても、川を渡る手段はありません」と。
項王はふっと笑って言った。「天が私を見捨てて滅ぼそうとしているのに、どうして川を渡って逃げたりしようか(絶対に渡らない)。それに、私(項籍)は江東の若者八千人と共に長江を渡って西へ出陣したのだ。それなのに今、生きて帰れる者は一人もいない。たとえ故郷の父兄(長老たち)が私を哀れんで再び王に担ぎ上げてくれたとしても、私にどんな合わせる顔があって彼らと会えようか。たとえ彼らが口に出して私を責めなかったとしても、私自身の心がどうして恥じ入らずにいられようか」と。
そして項王は亭長にこう言った。「私はあなたが誠実で情に篤い立派な人物(長者)だと知っている。私はこの馬に五年乗ってきたが、向かうところ敵なしの名馬だった。かつて一日に千里を走ったこともある。この馬を(敵に奪われるまいと)殺してしまうのはあまりにもかわいそうだ。だから、あなたに差し上げよう」と。
そこで項王は従う騎兵たちに全員馬を下りさせ、刀剣を手にして接近戦を行わせた。項王一人だけで討ち取った漢軍の兵は数百人にのぼった。項王自身もまた十数箇所の刀傷を負った。ふと振り返ると、漢軍の騎司馬となっていた昔の仲間の呂馬童が目に入った。項王は言った。「お前は私の昔の旧友ではないか」。馬童は項王を正視できずに顔をそむけ、王翳を指差して「これがあの項王だ!」と言った。項王はそこで言った。「漢の劉邦が、私の首に千金の黄金と一万戸の領地の賞金を懸けていると聞いている。よし、私がお前のために手柄(恩恵)をプレゼントしてやろう」。そう言い終えると、自ら首をはねて命を絶った。
テストに出る重要漢字の読みと語句の意味一覧

定期テストで必ず問われる、『史記』項王自刎の最重要語句・漢字一覧です。
| 漢文語句 | 読み | 意味・テスト解説 |
|---|---|---|
| 檥す | ぎす | 船足を岸につなぎ止めて出港準備をする。 |
| 方千里 | ほうせんり | 四方千里(千里四方、一辺が千里の正方形の広さ)。 |
| 子弟 | してい | 若者たち、兵士たち(故郷の青年層)。 |
| 父兄 | ふけい | 故郷の父や兄、長老・年長者たち。 |
| 面目 | めんぼく | 世間に対する名誉、合わせる顔、プライド。 |
| 見ゆ | まみゆ | (敬うべき人に)お目にかかる、会う。 |
| 長者 | ちようじや | 徳が高く誠実で立派な人物(金持ちではない)。 |
| 不忍 | しのびず | (かわいそうで)とても〜できない、耐えられない。 |
| 短兵 | たんぺい | 刀や剣など、接近戦用の短い武器。 |
| 創を被る | そうをかうむる | 刀傷を負う、傷を受ける(受身)。 |
| 故人 | こじん | 昔からの友人、旧友(死者ではない)。 |
| 徳とす | とくとす | 恩恵を施す、手柄を立てさせてやる。 |
| 自刎 | じふん | 自分の首を刃物ではねて自害すること。 |
反語や仮定など最重要句形の構造徹底解説

「項王自刎」に登場する最重要句形の構造と識別ポイントです。
| 該当文節 | 書き下し文 | 句形分類 | 現代語訳と識別ポイント |
|---|---|---|---|
| 我何渡為 | 我何ぞ渡ることを為さん | 反語形 「何〜為」 | どうして渡ったりしようか(いや、渡らない)。「為」を「なさん」と読む送り仮名が超頻出! |
| 縦江東父兄憐而王我 | 縦ひ江東の父兄憐みて我を王とすとも | 仮定形 「縦〜トモ」 | たとえ江東の父兄が憐れんで私を王にしてくれたとしても。「縦」は「たとひ〜とも」と訓読。 |
| 我何面目見之 | 我何の面目ありてか之に見えん | 反語形 「何〜」 | 私にどんな合わせる顔があって彼らに会えようか(いや、会えない)。 |
| 籍独不愧於心乎 | 籍独り心に愧ぢざらんや | 反語形 「独〜乎」 | 私一人どうして心に恥じないだろうか(いや、恥じずにはいられない)。 |
| 独臣有船 | 独り臣のみ船有り | 限定形 「独〜ノミ」 | ただ私だけが船を持っている。「独」は文脈で限定(〜のみ)となる。 |
| 被十余創 | 十余創を被る | 受身形 「被〜」 | 十数箇所の傷を負った。「被」は被害・受身を表す。 |
漢文の重要句形や返り点の基本ルールは、助動詞・漢文句形完全攻略ガイド(表と例文で覚えるコツ)も合わせてご活用ください。
史記「項王自刎」テスト予想問題と重要句形攻略
ここからは、定期テストで高得点を取るための実践演習です。頻出漢字の読み書き、反語・仮定の書き下し、そして最も配点が高い記述式予想問題の解法テクニックを網羅しました。
定期テストで頻出する記述問題と正解の要点

定期テストの記述問題で満点を取るための3大核心ポイントの整理です。
① 烏江を渡らなかった理由
「江東の子弟八千人を全員戦死させ、一人も連れ帰れなかった責任」「故郷の父兄に合わせる面目(顔)がないこと」「自分の心に恥じ入る誇り」の3点を必ず盛り込むこと。
② 愛馬・騅を亭長に与えた理由
「5年間無敵を誇り千里を駆けた名馬を殺すに忍びなかったこと」+「亭長が誠実で立派な長者であり託すにふさわしかったこと」。
③ 旧友・呂馬童に自刎して首を譲った理由
「敵の雑兵に討たれる屈辱を拒み自ら死を選ぶ王者の尊厳」+「莫大な懸賞金と領地の手柄(徳)を旧友に施してやろうとしたこと」。
重要漢字の読みと語句の意味予想問題テスト

漢字の読み取りと重要語句の意味を問うテスト予想問題です。タップすると解答が開きます。
問1:次の下線部の漢字の読みを現代仮名遣いで答えよ。
① 船を檥して待つ ② 吾公の長者たるを知る ③ 心に愧ぢざらんや ④ 吾が故人に非ずや
問2:次の語句の現代語の意味を答えよ。
① 方千里 ② 長者 ③ 故人 ④ 徳せん
【解答とたく先生の解説を見る(タップで開閉)】
【問1:漢字の読み解答】
① 檥して:ぎして(船足を岸につなぎ止めて)
② 長者:ちようじや(徳が高く立派な人物)
③ 愧ぢざらんや:はぢざらんや(恥じないだろうか)
④ 故人:こじん(昔からの友人・旧友)
【問2:語句の意味解答】
① 方千里:四方千里(千里四方の広さ)
② 長者:徳が高く誠実で立派な人物(※「金持ち」は減点)
③ 故人:昔からの友人、旧友(※「死者」は完全誤答)
④ 徳せん:恩恵を施す、手柄を立てさせてやる
書き下し文と最重要句形の識別予想問題テスト

反語・仮定の書き下し文と現代語訳に関する実践問題です。
問1:「天之亡我、我何渡為」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
問2:「縦江東父兄憐而王我、我何面目見之」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
問3:「籍独不愧於心乎」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
【解答と解説】
【解答と解説】
問1:
・書き下し文:天の我を亡ぼすに、我何ぞ渡ることを為さん
・現代語訳:天が私を滅ぼそうとしているのに、どうして渡ったりしようか(いや、渡りはしない)。
問2:
・書き下し文:縦ひ江東の父兄憐れみて我を王とすとも、我何の面目ありてか之に見えん
・現代語訳:たとえ故郷の父兄が私を憐れんで王にしてくれたとしても、私にどんな合わせる顔があって彼らに会えようか(いや、会えない)。
問3:
・書き下し文:籍独り心に愧ぢざらんや
・現代語訳:私一人どうして心に恥じないでいられようか(いや、恥じずにはいられない)。
項羽の心情変化と記述問題の解法予想テスト

定期テストで最も配点が高い記述式問題(全3問)です。模範解答と採点基準を掲載しています。
問1:項羽が烏江を渡って江東に逃げ帰ることを拒んだ理由を、「江東の子弟」「面目」の2語を用いて100字以内で説明せよ。
問2:項羽が愛馬・騅を殺すことなく烏江亭長に与えた理由を説明せよ。(80〜100字)
問3:旧友の呂馬童を見つけた際、「吾若の為に徳せん」と言って自刎した理由を説明せよ。(80〜100字)
【模範解答と採点基準を見る(タップで開閉)】
【模範解答】
問1:江東の子弟八千人と共に出陣したにもかかわらず全員を戦死させ、一人も生還させられなかったため、故郷の父兄に合わせる面目がなく、仮に許されて再び王に迎えられたとしても自らの心に深く恥じ入るから。(98字)
(採点基準:子弟8000人の全滅責任+故郷父兄への面目(恥)+自らの心への恥の網羅で満点)
問2:数々の戦場を共に駆け巡り一日千里を走った名馬であり殺すには忍びなく、亭長が誠実で立派な人物(長者)であり託すのにふさわしいと判断したから。(72字)
(採点基準:名馬を殺すに忍びない+亭長が長者(立派な人物)であることの言及で満点)
問3:敵兵に討ち取られる屈辱を避け自ら死を選んで王者の尊厳を保ち、自らの首に懸けられた巨額の恩賞・手柄を旧友である呂馬童に施してやろうとしたから。(73字)
(採点基準:自害して王者の尊厳を保つ+莫大な懸賞金の手柄を旧友に施すことの言及で満点)
史記「項王自刎」を完全攻略する勉強法まとめ

今回は、楚漢戦争の壮絶なクライマックスである史記「項王自刎」について、あらすじ、白文・書き下し文、完全オリジナル現代語訳、重要句形、そして定期テスト予想問題まで徹底解説しました。

たく先生、ありがとうございます!「鴻門之会」「四面楚歌」に続いて項羽の最期まで読めて、項羽の気高いプライドと人間味にすごく感動しました!テストに出る反語の書き下しや記述のポイントも完璧です!

素晴らしいね!『史記』項羽三部作(鴻門之会・四面楚歌・項王自刎)は、漢文の重要句形と人間の生き様が凝縮された不朽の名作です。この記事の予想問題を繰り返し復習して、ぜひ定期テストで満点を取ってくださいね!応援しています!
・作品の基本:司馬遷『史記』項羽本紀。前202年・烏江のほとりで覇王・項羽が自刎した最期の場面。
・烏江を渡らなかった理由:江東の子弟八千人を死なせた責任、故郷の父兄に合わせる面目(顔)の欠如、自らの心への恥。
・愛馬・騅の譲渡:一日千里を走る名馬を殺すに忍びず、徳の高い「長者」である亭長に託した。
・最重要句形:反語「何〜為」「独〜乎」「何〜」、仮定「縦〜トモ」、受身「被〜」。
なお、『史記』に関する貴重な古典籍資料は、国立国会図書館デジタルコレクションでも公的に確認することができます。
漢文の重要句形や漢字の読み、故事成語の暗記には、最新の記憶科学アルゴリズム(FSRS v6)を搭載した無料AI暗記アプリPathMemoria(パスメモリア)を活用するのがおすすめです。最適なタイミングで復習できるため、短時間の学習で確実に定着しますよ。








