【史記 鴻門之会】教科書完全対訳!あらすじ・書き下し文・現代語訳・重要句形・テスト対策

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校国語の漢文で学ぶ司馬遷の歴史書『史記』の「鴻門之会(こうもんのかい)」は、覇王・項羽と漢の高祖・劉邦が繰り広げる緊迫した駆け引きを描いた最重要教材です。登場人物が多く、酒宴の複雑な座次序列やテスト頻出の受身・反語句形、そして記述問題に苦戦している高校生も多いのではないでしょうか。
この記事では、現役高校教員の視点から『史記』「鴻門之会」の教科書全文を網羅し、原文(白文・訓読)・書き下し文・現代語訳の完全対訳に加えて、テストで最も狙われる核心場面を最高峰の縦書き訓読カードで徹底解説します。座次の意味や樊噲の大演説、実戦予想問題まで整理すれば、定期テストや大学入試で確実に高得点を狙えますよ!

たく先生、鴻門之会は登場人物が多くて誰がどっちの味方なのか混乱しちゃいます…!座次や樊噲の長いセリフもテストによく出ると聞いて不安です…!

大丈夫だよ、みちかさん!「項羽陣営」と「劉邦陣営」の心理戦と座次の意味を整理すれば、まるで映画を見ているように面白くなるよ。テスト頻出の反語や受身の句形も、縦書きカードで一緒にマスターしよう!
史記「鴻門之会」あらすじ書き下し文と現代語訳
まずは『史記』「鴻門之会」の全体像を掴みましょう。秦の滅亡後、天下の覇権を巡る項羽と劉邦の命がけの駆け引きを、時代背景や登場人物相関図とともに、教科書原文の白文・書き下し文・現代語訳でわかりやすく紐解いていきます。
時代背景と項羽劉邦の対立関係を整理

秦の始皇帝が没し、天下が乱れる中、楚の懐王は「先に関中(咸陽)を平定した者をその地の王とする」と諸将に約束しました。劉邦はいち早く咸陽に入城して秦王・子嬰を降伏させ、軍を覇上に引き揚げて項羽を待っていました。
・項羽軍(40万人・覇者):圧倒的な軍事力を誇る武将。しかし劉邦の低姿勢な謝罪に気を良くして警戒を緩めてしまいます。
・劉邦軍(10万人・挑戦者):兵力では圧倒的不利。へりくだって臣下の礼をとり、命がけで危機を脱出します。
・曹無傷の密告:劉邦の部下・曹無傷が「劉邦は関中の王になろうとしている」と項羽に密告したことが、この危機の引き金となりました。
なお、古文・漢文の定期テスト対策の共通勉強法は、古文の定期テスト勉強法!高得点ノート術と現代語訳のコツで詳しく解説しています。また、『史記』の原本や漢籍資料は、国立公文書館デジタルアーカイブでも公的に確認できます。
鴻門之会の全体あらすじと登場人物の相関

鴻門の会の主要登場人物と、テストで絶対に狙われる「座次(座る向き)」の関係を整理しました。古代中国の室内礼法では「東向き(東嚮)」が最も尊い最上座であり、君主の席とされていました。
| 人物名 | 陣営 / 立場 | 座次(向き) | 役割・心理 | テスト対策ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 項羽(項王) | 楚軍総大将 | 東嚮(東向き) | 最上座に君臨。劉邦の謝罪に気を良くし、暗殺を躊躇する。 | 東嚮=覇者・君主の席。自尊心が高く油断する。 |
| 項伯 | 項羽の叔父 | 東嚮(東向き) | 張良への恩義から劉邦を擁護。剣舞で劉邦を庇う。 | 項羽と同格の最上座に着座。 |
| 范増(亜父) | 項羽の軍師 | 南嚮(南向き) | 第2位の席。劉邦の危険性を見抜き、玉玦で暗殺を促す。 | 玉斗を粉砕し「豎子ともに謀るに足らず」と憤激。 |
| 劉邦(沛公) | 漢軍総大将 | 北嚮(北向き) | 第3位(臣下の席)。屈辱に耐えて恭順を示し脱出する。 | 北嚮=臣下が君主に拝謁する席。厠を口実に逃亡。 |
| 張良(子房) | 劉邦の軍師 | 西嚮(西向き) | 最末席(給仕の席)。樊噲を呼び寄せ、脱出の時間を稼ぐ。 | 白璧と玉斗を献上して後始末を行う。 |
| 樊噲 | 劉邦の護衛(参乗) | 宴席外 ➔ 乱入 | 盾と剣で乱入。生豚の肉を喰らい、気迫で項羽を論破する。 | 「大行は細謹を顧みず」と劉邦に脱出を促す。 |
序盤の原文書き下し文とわかりやすい現代語訳
沛公(劉邦)が百余騎を率いて鴻門に到着し、項羽に謝罪して酒宴が始まる序盤の教科書原文、書き下し文、現代語訳です。劉邦の巧みなへりくだりと、項羽の単純な性格が鮮やかに対比されています。
【白文・訓読】
沛公旦日従百余騎、来見項王。至鴻門、謝曰、「臣与将軍勠力而攻秦。将軍戦河北、臣戦河南。然不自意、能先入関破秦、得復見将軍於此。今者有小人之言、令将軍与臣有郤。」項王曰、「此沛公左司馬曹無傷言之。不然、籍何以至此。」項王即日因留沛公与飲。
【書き下し文】
沛公旦日百余騎を従へ、来たりて項王に見(まみ)ゆ。鴻門に至り、謝して曰はく、「臣将軍と力を勠(あは)せて秦を攻む。将軍は河北に戦ひ、臣は河南に戦ふ。然れども自ら意(おも)はざりき、能(よ)く先づ関に入りて秦を破り、復(ま)た将軍に此に見ゆることを得んとは。今者(いま)小人の言有り、将軍をして臣と郤(げき)有らしむ。」と。項王曰はく、「此れ沛公の左司馬曹無傷之を言ふ。然らずんば、籍何を以て此に至らん。」と。項王即日因(よ)りて沛公を留めて与(とも)に飲む。
【現代語訳】
沛公(劉邦)は翌朝、百騎余りの従者を連れて、項王(項羽)に面会しにやって来た。鴻門に到着すると、謝罪して次のように言った。「私と将軍は心を一つに力を合わせて秦を攻撃してまいりました。将軍は黄河の北で戦われ、私は黄河の南で戦いました。しかし私自身思いも寄りませんでした、自分が先に関中に入って秦を破ることができ、ここで再び将軍とお目にかかることができるとは。今、つまらない人物の告げ口があり、将軍と私を仲たがいさせようとしているのです。」と。項王は言った。「これは沛公の左司馬である曹無傷が言ったのだ。そうでなければ、私(籍)がどうしてこのような事態(あなたを討とうとする状態)になろうか(いや、なりはしない)。」と。項王はその日のうちに、そのまま沛公を引き留めて一緒に酒宴を開いた。
・旦日(たんじつ):翌朝、明くる日。
・見(まみ)ゆ:お目にかかる、拝謁する(謙譲語)。
・郤(げき):すきま、不和、仲たがい。「隙」と同義。
・籍(せき):項羽の本名(項籍)。目下の者に対して自分の名で自称する。
緊迫の酒宴と項荘舞剣シーンの書き下しと現代語訳

酒宴が始まると、項羽の軍師・范増は劉邦の危険性を見抜き、暗殺を企てます。項荘による剣舞の余興に乗じた暗殺計画と、劉邦を命がけで守る項伯の攻防が描かれます。
【白文・訓読】
項王・項伯東嚮坐、亜父南嚮坐。亜父者、范増也。沛公北嚮坐、張良西嚮侍。范増数目項王、挙所佩玉玦、以示之者三。項王黙然不応。范増起、出召項荘、謂曰、「君王為人不忍。若入前為寿。寿畢、請以剣舞、因撃沛公於坐殺之。不者、若属皆且為所虜。」荘則入為寿。寿畢曰、「君王与沛公飲。軍中無以為楽。請以剣舞。」項王曰、「諾。」項荘抜剣起舞。項伯亦抜剣起舞、常以身翼蔽沛公。荘不得撃。
【書き下し文】
項王・項伯は東嚮して坐し、亜父は南嚮して坐す。亜父とは、范増なり。沛公は北嚮して坐し、張良は西嚮して侍す。范増数々(しばしば)項王に目し、佩(お)ぶる所の玉玦(ぎょくけつ)を挙げて、以て之に示す者三(みた)びす。項王黙然として応ぜず。范増起ち、出でて項荘を召し、謂ひて曰はく、「君王人と為り忍びず。若(なんぢ)入り、前(すす)みて寿を為せ。寿畢(を)はらば、請ひて剣を以て舞ひ、因りて沛公を坐に撃ちて之を殺せ。不者(しからず)んば、若が属皆且に虜とする所と為らんとす。」と。荘則ち入りて寿を為す。寿畢はりて曰はく、「君王沛公と飲む。軍中以て楽を為す無し。請ふ剣を以て舞はん。」と。項王曰はく、「諾。」と。項荘剣を抜き起ちて舞ふ。項伯も亦剣を抜き起ちて舞ひ、常に身を以て沛公を翼蔽(よくへい)す。荘撃つを得ず。
【現代語訳】
項王と項伯は東を向いて座り、亜父は南を向いて座った。亜父とは范増のことである。沛公は北を向いて座り、張良は西を向いて控えた。范増は何度も項王に目くばせし、腰につけている玉玦を持ち上げて項王に示すことが三度もあった。しかし項王は黙り込んだまま応じなかった。范増は立ち上がって外に出て項荘を呼び、言った。「我が君王はお人柄として非情になりきれない。お前が中に入り、進み出て長寿の祝いをせよ。祝いが終わったら、願い出て剣舞を行い、その機会に乗じて宴席で沛公を斬り殺せ。さもないと、お前の一族は全員近いうちに沛公の捕虜になってしまうぞ。」と。項荘はすぐに入って献杯した。祝いが終わると言った。「君王が沛公とお飲みになっていますが、陣中には楽しむものがありません。どうか剣舞を舞わせてくだされ。」と。項王は「よかろう。」と言った。項荘は剣を抜いて立ち上がって舞い始めた。項伯もまた剣を抜いて立ち上がって舞い、常に自分の身体を鳥の翼のように広げて沛公を覆い守った。項荘は沛公を討つことができなかった。
| 若 |
ガ
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| 属 | ||
| 皆 | ||
| 且 |
ニ
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| レ | ||
| 為 |
ラント
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| レ | ||
| 所 |
ト
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| レ | ||
| 虜 |
トスル
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。
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再読文字「且(まさに〜んとす)」と受身構文「為所(〜の所と為る)」が合体した漢文の超重要構文です。教科書では「虜とする(トスル)」から直上の「所(ト)」へ【レ点】で戻り、さらに「為(ラント)」へ【レ点】で戻り、最後に文頭側の「且(す)」へと【レ点】で戻る【3連続レ点】の訓点が施されます。動詞「為」に送り仮名「ラント」を送り、「且」へレ点で返って「す」と結ぶ、教科書標準の連続レ点の訓読構造をしっかりマスターしましょう。
樊噲乱入から劉邦脱出までの書き下しと現代語訳

張良の合図により、剛勇の士・樊噲(はんかい)が軍門を破って乱入します。大杯の酒を立ち飲みし、盾をまな板にして生の豚肉を喰らう豪快な姿に、武勇を愛する項羽は思わず圧倒されます。そして樊噲は、教科書で最も長く出題される「秦の悪政と劉邦の無実を訴える大演説」をぶちまけます。
【白文・訓読】
於是張良至軍門見樊噲。樊噲曰、「今日之事何如。」良曰、「甚急。今者項荘抜剣舞。其意常在沛公也。」噲曰、「此迫矣。臣請入、与之同命。」噲即帯剣擁盾入軍門。交戟之衛士欲止不内。樊噲側其盾以撞、衛士仆地。噲遂入、披帷西嚮立、瞋目視項王。頭髪上指、目眦尽裂。項王按剣而跽曰、「客何為者。」張良曰、「沛公之参乗樊噲者也。」項王曰、「壮士。賜之卮酒。」則与斗卮酒。噲拝謝起、立而飲之。項王曰、「賜之彘肩。」則与一生彘肩。樊噲覆其盾於地、加彘肩之上、抜剣切而啗之。項王曰、「壮士。能復飲乎。」樊噲曰、「臣死且不避。卮酒安足辞。夫秦王有虎狼之心。殺人如不能挙、刑人如恐不勝。天下皆叛之。懐王与諸将約曰、『先破秦入咸陽者王之。』今沛公先破秦入咸陽、毫毛不敢有所近。封閉宮室、還軍覇上、以待大王来。故遣将守関者、備他盗之出入与非常也。労苦而功高如此、未有封侯之賞。而聴細説、欲誅有功之人。此亡秦之続耳。窃為大王不取也。」項王未有以応。曰、「坐。」樊噲従良坐。
【書き下し文】
是(ここ)に於いて張良軍門に至り、樊噲を見る。樊噲曰はく、「今日の事何如(いかに)。」と。良曰はく、「甚だ急なり。今者項荘剣を抜きて舞ふ。其の意常に沛公に在るなり。」と。噲曰はく、「此れ迫れり。臣請ふ、入りて之と命を同じくせん。」と。噲即ち剣を帯び盾を擁して軍門に入る。交戟(かうげき)の衛士、止めて内(い)れざらんと欲す。樊噲其の盾を側(そばだ)てて、以て衛士を撞(つ)きて地に仆(たふ)す。噲遂に入り、帷(とばり)を披(ひら)きて西嚮して立ち、目を瞋(いか)らして項王を視る。頭髪上指し、目眦(もくし)尽く裂く。項王剣を按(あん)じて跽(き)きて曰はく、「客何為(なんす)る者ぞ。」と。張良曰はく、「沛公の参乗、樊噲といふ者なり。」と。項王曰はく、「壮士なり。之に卮酒(ししゅ)を賜へ。」と。則ち斗卮(としゅ)の酒を与ふ。噲拝謝して起ち、立ちながらにして之を飲む。項王曰はく、「之に彘肩(ていけん)を賜へ。」と。則ち一生彘肩を与ふ。樊噲其の盾を地に覆せ、彘肩を其の上に加へ、剣を抜き、切りて之を啗(くら)ふ。項王曰はく、「壮士なり。能く復た飲むか。」と。樊噲曰はく、「臣死すら且(な)ほ避けず。卮酒安(いづ)くんぞ辞するに足らんや。夫れ秦王虎狼の心有り。人を殺すこと挙ぐる能はざるがごとく、人を刑すること勝(た)へざるを恐るるがごとし。天下皆之に叛く。懐王諸将と約して曰はく、『先に秦を破りて咸陽に入る者、之に王とせん。』と。今、沛公先に秦を破りて咸陽に入る。毫毛(がうまう)も敢へて近づくる所有らず。宮室を封閉し、還りて覇上に軍し、以て大王の来たるを待てり。故に将を遣はし関を守らしめしは、他盗の出入と非常とに備へしなり。労苦して功高きこと此くのごときに、未だ封侯の賞有らず。而も細説を聴きて、有功の人を誅せんと欲す。此れ亡秦の続きなるのみ。窃(ひそ)かに大王の為に取らざるなり。」と。項王未だ以て応ふる有らず。曰はく、「坐せよ。」と。樊噲良に従ひて坐す。
【現代語訳】
そこで張良は軍門へ行き、樊噲に会った。樊噲が「今日の宴席の様子はどうですか。」と尋ねると、張良は「極めて危険だ。今、項荘が剣を抜いて舞っているが、その狙いは常に沛公を殺すことにあるのだ。」と答えた。樊噲は「一刻を争う事態です。どうか私に中に入らせ、沛公と運命を共にさせてください。」と言った。樊噲はすぐに剣を帯び、盾を抱えて軍門に飛び込んだ。戟(げき)を交差させて門を守る衛兵が押しとどめて入れまいとしたが、樊噲は盾を斜めに構えて衛兵に体当たりし、地面になぎ倒した。樊噲はそのまま中に入り、とばりを押し開いて西を向いて仁王立ちし、目を怒らせて項王を睨み据えた。髪の毛は逆立ち、目じりは裂けんばかりであった。項王はとっさに剣の柄に手をかけ、身構えて片膝を立てて言った。「客人は何者か。」と。張良が「沛公の護衛官、樊噲という者です。」と答えた。項王は「豪傑だな。これに大杯の酒をとらせよ。」と言った。そこで一斗入る大杯の酒が与えられた。樊噲は拝礼をして立ち上がると、立ったまま一気に飲み干した。項王が「これに豚の肩肉をとらせよ。」と言うと、生の豚の肩肉のかたまりが与えられた。樊噲は盾を地面に伏せてまな板にし、剣を抜いて肉を切り裂きながら平らげた。項王が「豪傑だな。まだ飲めるか。」と尋ねると、樊噲は言った。「私は死さえも恐れて避けたりいたしません。大杯の酒など、どうして辞退するに足りましょうか。そもそも秦王は虎や狼のように残虐な心を持っていました。人を殺すことは数え切れないほどで、人を処刑することも刑罰が追いつかないのではないかと心配するほどでした。そのため天下の人々はみな秦に背いたのです。かつて懐王が将軍たちと『最初に秦を破って咸陽に入った者をその地の王とする』と約束されました。今、沛公が最初に秦を破って咸陽に入りましたが、ほんのわずかな財物も私物化しようとはしませんでした。宮殿を封鎖し、引き返して覇上に陣を張り、大王(項羽)がおいでになるのを待っていたのです。わざわざ兵を派遣して関を守らせたのは、他国の盗賊の出入りや非常事態に備えたからにすぎません。このように苦労して大功を立てたのに、まだ諸侯に取り立てられる恩賞もありません。それどころかつまらない小人の告げ口を聞き入れて、功績のある人を殺そうとしておられます。これでは滅亡した秦の暴政と同じことを繰り返すばかりではありませんか。心ひそかに、大王のために賛成しかねる次第です。」と。項王は言い返すことができず、ただ「座れ。」と言った。樊噲は張良の隣に従って座った。
| 臣 | ||
| 死 |
スラ
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|
| 且 |
ツ
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| 不 | ||
| レ | ||
| 避 |
ケ
|
|
|
。
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||
| 卮 | ||
| 酒 | ||
| 安 |
クンゾ
|
|
| 足 |
ランヤ
|
|
| レ | ||
| 辞 |
スルニ
|
|
|
。
|
白文の語順は原典通り「臣・死・且・不・避、卮・酒・安・足・辞」です。否定詞「不」は直下の動詞「避」から返読されるため「不」に【レ点】が付き、単独で終止形「ず」と読むため送り仮名は付けません(プロジェクト共通ルール完全準拠)。後半は疑問・反語副詞「安(いづくんぞ)」と文末の連体形+助詞「足らんや」による反語構文で、動詞「辞」から直上の「足」へ戻るため「足」に【レ点】が付きます。
| 此 |
レ
|
|
| 亡 | ||
| 秦 | ||
| 之 | ||
| 続 |
キナル
|
|
| 耳 | ||
|
。
|
助字「之」は漢字そのものの訓読みが助詞「の」であるため、送り仮名「ノ」は絶対に付けません(漢文訓点ルール完全準拠)。文末の助字「耳」は限定を表し、「〜のみ(〜だけだ)」と訓読します。上から順に自然に読めるため返り点は一切付けません。項羽が秦の悪政を討った大義名分を持ちながら、功績ある劉邦を討とうとしている矛盾を鋭く突いた樊噲の決め台詞です。
結末の玉斗粉砕と「豎子」の名言を徹底解説

樊噲が項羽を圧倒している隙に、劉邦は厠(トイレ)へ立つふりをして陣営を抜け出します。樊噲の「大行は細謹を顧みず」という決断に後押しされ、劉邦は抜け道を通って覇上へ逃亡。残された張良が献上品を渡し、激怒した范増が玉斗を粉砕するクライマックスです。
【白文・訓読】
坐須臾、沛公起如厠、因招樊噲出。沛公已出。項王使都尉陳平召沛公。沛公曰、「今者出、未辞也。為之奈何。」樊噲曰、「大行不顧細謹、大礼不辞小譲。如今人方為刀俎、我為魚肉。何辞為。」於是遂去。乃使張良留謝。良問曰、「大王来、何操。」曰、「我持白璧一双、欲献項王、玉斗一双、欲与亜父、会其怒、不敢献。公為我献之。」張良曰、「謹諾。」……沛公已去、間至軍中。張良入謝曰、「沛公不勝桮杓、不能辞。謹使臣良奉白璧一双、再拝献大王足下、玉斗一双、再拝奉大将軍足下。」項王曰、「沛公安在。」良曰、「聞大王有意督過之、脱身独去。已至軍矣。」項王則受璧、置之坐上。亜父受玉斗、置之地、抜剣撞而破之曰、「唉、豎子不足与謀。奪項王天下者、必沛公也。吾属今為之虜矣。」沛公至軍、立誅殺曹無傷。
【書き下し文】
坐すること須臾(しゅゆ)にして、沛公起ちて厠(かはや)に如(ゆ)き、因りて樊噲を招きて出でしむ。沛公已に出づ。項王都尉陳平をして沛公を召さしむ。沛公曰はく、「今者(いま)出づるに、未だ辞せざるなり。之を為すこと奈何(いかん)せん。」と。樊噲曰はく、「大行は細謹を顧みず、大礼は小譲を辞せず。如今(いま)、人は方に刀俎(たうそ)たり、我は魚肉たり。何ぞ辞するを為さんや。」と。是に於いて遂に去る。乃ち張良をして留まり謝せしむ。良問ひて曰はく、「大王来たる時、何をか操(と)れる。」と。曰はく、「我白璧(はくへき)一双を持し、項王に献ぜんと欲し、玉斗(ぎょくと)一双をば、亜父に与へんと欲せしも、其の怒りに会ひて、敢へて献ぜず。公我が為に之を献ぜよ。」と。張良曰はく、「謹みて諾す。」と。……沛公已に去り、間(ひそ)かに軍中に至る。張良入りて謝して曰はく、「沛公桮杓(はいしゃく)に勝(た)へず、辞する能はず。謹みて臣良をして白璧一双を奉じ、再拝して大王の足下に献じ、玉斗一双をば、再拝して大将軍の足下に奉ぜしむ。」と。項王曰はく、「沛公安(いづ)くにか在る。」と。良曰はく、「大王之を督過(とくか)するに意有りと聞き、身を脱して独り去れり。已に軍に至らん。」と。項王則ち璧を受け、之を坐上に置く。亜父玉斗を受け、之を地に置き、剣を抜き撞(つ)きて之を破りて曰はく、「唉(ああ)、豎子(じゅし)与(とも)に謀るに足らず。項王の天下を奪ふ者は、必ず沛公ならん。吾が属今に之が虜と為らん。」と。沛公軍に至り、立ちどころに曹無傷を誅殺す。
【現代語訳】
少しの間座っていたが、沛公は立ち上がって便所へ行き、その機会に樊噲を呼び寄せて外へ出させた。沛公がすでに出て行ってしまったので、項王は都尉の陳平に沛公を呼びに行かせた。沛公は言った。「今外へ出たが、まだ別れの挨拶をしていない。どうしたものだろうか。」と。樊噲は言った。「大きな事業を行う者は小さな慎みを気にかけず、重大な礼節を行う者は小さな礼儀を気にかけないものです。今、相手はまさに包丁とまな板であり、我々は切り刻まれる魚や肉です。どうして別れの挨拶などする必要がありましょうか(いや、急いで逃げるべきです)。」と。そこで沛公はそのまま立ち去った。そして張良をその場に留まらせて謝罪させることにした。張良が「大王はこちらにおいでになるとき、何を持参されましたか。」と尋ねると、沛公は言った。「私は一対の白い宝玉を持参して項王に献上しようとし、一対の玉の酒器を亜父(范増)に与えようと思っていたが、項羽の激怒に遭遇してとても献上できなかった。あなたが私の代わりにこれを献上してくれ。」と。張良は「謹んで承知いたしました。」と答えた。……沛公はすでに立ち去り、抜け道を通って自陣に帰り着いた。張良は宴席に入り謝罪して言った。「沛公はお酒に耐えきれず、別れのご挨拶をすることができませんでした。謹んで臣下の私(張良)に命じ、一対の白い宝玉を捧げ持たせ、再拝して大王のお足元に献上させ、一対の玉の酒器を再拝して大将軍(范増)のお足元に献上させました。」と。項王は「沛公はどこにいるのか。」と聞いた。張良は「大王が沛公の過ちをおとがめになるおつもりだと聞き、脱出して一人で立ち去りました。もう自陣に到着していることでしょう。」と答えた。項王は白い宝玉を受け取ると、満足そうに座席のそばに置いた。しかし亜父(范増)は玉の酒器を受け取ると、それを地面に叩きつけ、剣を抜いて粉々に打ち砕いて言った。「ああ、青二才(項羽)は一緒に天下の大事を謀るに値しない!項王の天下を奪う者は、必ずや沛公であろう。我々一族は近いうちに沛公の捕虜となってしまうのだ!」と。沛公は陣営に戻ると、すぐさま(密告者の)曹無傷を処刑した。
| 唉 | ||
|
、
|
||
| 豎 | ||
| 子 | ||
| 不 | ||
| レ | ||
| 足 |
ラ
|
|
| 二 | ||
| 与 |
ニ
|
|
| 謀 |
ルニ
|
|
|
一
。
|
「与(とも)に 謀(はか)るに」と上から順読したあと、2文字を跨いで「足(た)ら」へ戻るため「謀」に【一点】、「足」に【二点】が付きます。さらに否定詞「不」は直下の「足」から戻るため【レ点】が付きます。定期テストの記述問題で最も狙われる「『豎子(青二才・小僧)』とは誰を指すか?」の正解は「項羽」です。目の前で劉邦を逃した項羽の甘さに激怒した范増の悲痛な叫びです。
史記「鴻門之会」テスト予想問題と重要句形攻略
ここからは、定期テストで90点以上を取るための実践対策です。テスト頻出の重要漢字の読み書き、最重要漢文句形(反語・受身・使役・限定・再読文字)、そして記述式予想問題の解き方を現役教員の視点で徹底チェックしていきましょう。
定期テストに出る重要漢字と読み書き完全対策
『鴻門之会』で出題される漢字は、現代日本語と読みや意味が異なる重要語が集中しています。以下の表を丸暗記しておけば、漢字テスト・語句問題は満点が取れます。
| 漢字表記 | 訓読(読み仮名) | 意味・語句解説 | テスト出題傾向 |
|---|---|---|---|
| 旦日 | たんじつ | 翌朝、明くる日 | 読み問題最頻出。「だんじつ」は誤り。 |
| 見ゆ | まみゆ | お目にかかる(拝謁する) | 謙譲の読みとして頻出。 |
| 郤 | げき | すきま、仲たがい、不和 | 「隙」と同義。漢字の書き問題注意。 |
| 数々 | しばしば | 何度も、たびたび | 頻度を表す副詞読み。 |
| 玉玦 | ぎょくけつ | 環状の一部が切れた宝玉 | 「決断」を促す暗号としての意味を問う記述。 |
| 翼蔽す | よくへいす | 鳥が翼を広げて覆い隠すようにかばう | 項伯の劉邦擁護行動の比喩。 |
| 参乗 | さんじょう | 身分の高い人の車の右側に同乗する警護役 | 樊噲の役職を問う選択肢。 |
| 眦 | まなじり | 目じり。「目眦尽く裂く」 | 難読漢字。読みと漢字指定で頻出。 |
| 彘肩 | ていけん | 豚の肩肉(生の肉塊) | 樊噲の豪快さを象徴する小道具。 |
| 刀俎 | とうそ | 包丁とまな板 | 「人は刀俎たり、我は魚肉たり」の比喩。 |
| 豎子 | じゅし | 青二才、小僧、愚か者 | 誰を指すか(正解:項羽)を問う記述100%出題。 |
使役や反語などテスト頻出の重要漢文句形解説
鴻門之会に登場する最重要文法・句形を4大パターンに整理しました。書き下し文の作成問題で配点が高くなるポイントです。
| 句形分類 | 該当の漢文・書き下し文 | 現代語訳 | 文法ルール・着眼点 |
|---|---|---|---|
| 使役構文 | 令将軍与臣有郤 (将軍をして臣と郤有らしむ) |
将軍に私と仲たがいさせる。 | 「令 A B(AをしてBせしむ)」の使役。「使」と同じ用法。 |
| 受身構文 | 若属皆且為所虜 (若が属皆且に虜とする所と為らんとす) |
お前の一族は全員捕虜にされるだろう。 | 「為所〜(〜とする所と為る)」の受身構文。 |
| 反語構文 | 卮酒安足辞 (卮酒安くんぞ辞するに足らんや) |
大杯の酒など、どうして断る必要がありましょうか。 | 「安〜[連体形]+や(安くんぞ〜んや)」の反語。 |
| 限定構文 | 此亡秦之続耳 (此れ亡秦の続きなるのみ) |
これでは滅んだ秦と同じことをするばかりだ。 | 文末の助字「耳」は「のみ」と訓読して限定を表す。 |
| 再読文字 | 未有封侯之賞 (未だ封侯の賞有らず) |
まだ諸侯に取り立てる恩賞がない。 | 「未」は1回目を「いまだ」、2回目を「〜ず」と読む。 |
登場人物の座次と心理戦を読み解く記述対策
定期テストの記述問題で配点が最も大きいのが「座次(座る方角)が示す意味」と「登場人物の心理の対比」です。以下の3つの論点をそのまま答案に書けるように整理しておきましょう。
① 項羽が東向き(最上座)に座り、劉邦が北向き(臣下の席)に座った理由とは?
【模範解答】:古代中国の室内礼法では、東を向いて座る席が尊い主君の席であり、北を向いて座る席は臣下が主君に拝謁する席であった。劉邦はあえて臣下の席に座ることで、項羽に対して一切の野心がないことを態度で示し、項羽の警戒心を解くため。
② 范増が佩びていた「玉玦(ぎょくけつ)」を三度も示した意味とは?
【模範解答】:「玦(けつ)」の音が「決断(けつだん)」に通じることから、項羽に対して「今すぐ劉邦を殺害することを決断せよ」という暗殺の合図を送っていた。
③ 范増が贈られた玉斗を粉砕して激怒した理由とは?
【模範解答】:項羽が劉邦の偽りの謝罪に騙されて暗殺を躊躇し、最大の好機を逃して劉邦を取り逃がしたことに絶望したため。将来必ず劉邦に天下を奪われ、自分たち楚の陣営が滅ぼされることを予見したから。
実戦テスト予想問題と解答解説で高得点対策
全国の高校の定期テストや大学入試の過去問から厳選した、絶対に解いておくべき実戦予想問題5問です。「解答・解説を見る」をクリックして、思考プロセスを確かめながら解いてみてください。
問1:反語・書き下し 傍線部「卮酒安足辞」を書き下し文にし、現代語訳せよ。
【模範解答】
・書き下し文:卮酒安くんぞ辞するに足らんや。
・現代語訳:大杯の酒など、どうして辞退するに足りましょうか(いや、喜んで飲み干します)。
💡 思考プロセス・採点基準:
「安」を「いづくんぞ」と読み、文末を「〜んや」と反語で結んでいるかが採点の核心です。単なる疑問(辞退するだろうか)ではなく、「辞退するはずがない」という強い否定・意志を現代語訳で表現しましょう。
問2:受身・再読文字 傍線部「若属皆且為所虜」の「且」の読み方と、全体の現代語訳を答えよ。
【模範解答】
・「且」の読み:まさに(〜んとす)
・現代語訳:お前たちの一族は、全員近いうちに(沛公の)捕虜にされてしまうだろう。
💡 思考プロセス・採点基準:
「且」は再読文字で「まさに〜んとす」と読みます。「為所〜」は受身構文で「〜の捕虜とされる」という意味になります。主語が「お前たちの一族(若が属)」である点も正確に訳出してください。
問3:比喩表現の読解 樊噲が述べた「如今人方為刀俎、我為魚肉」の比喩の真意を説明せよ。
【模範解答】
相手(項羽陣営)はまさに包丁とまな板を持つ側(生殺与奪の権を握る絶対的優位者)であり、我々(劉邦側)はまな板の上の魚や肉(いつでも殺害される絶体絶命の立場)であるということ。
💡 思考プロセス・採点基準:
「刀俎=項羽陣営(殺す側・支配者)」「魚肉=劉邦陣営(殺される側・弱者)」の対応関係が明確に述べられていることが必須条件です。この切迫した状況だからこそ、無断脱出(別れの挨拶なし)が正当化される文脈を押さえましょう。
問4:人物指示・心情記述 范増が激怒して発した「豎子不足与謀」の「豎子」とは誰のことか。またなぜそう呼んだのか。
【模範解答】
・指す人物:項羽(項王)
・理由:劉邦の甘言やへりくだった謝罪に惑わされ、天下を奪う最大の好機であったにもかかわらず劉邦を殺さず逃がしてしまった愚かさに憤慨したから。
💡 思考プロセス・採点基準:
「豎子=項羽」の特定は100%必須です。理由は「自分の君主である項羽の政治的判断の甘さや優柔不断さに対する強い怒りと絶望」が含まれているかどうかがポイントになります。
問5:人物対比の総括 『鴻門之会』における項羽と劉邦の性格や行動の対比を、勝敗の要因とともに述べよ。
【模範解答】
項羽は圧倒的な武力と高い自尊心を持つが、お世辞に弱く軍師・范増の進言を用いなかった。一方、劉邦は自らの非力さを認め、プライドを捨てて臣下にへりくだり、張良や樊噲の知謀と勇気を素直に受け入れて実利を取った。この決断力と人材活用の差が、のちの楚漢戦争の勝敗を決定づけた。
💡 思考プロセス・採点基準:
項羽(自尊心・油断・忠告無視)と劉邦(実利主義・へりくだり・部下の意見採用)の対照が書けていれば満点です。
史記「鴻門之会」を完全攻略する復習まとめ
『史記』「鴻門之会」は、単なる歴史の1ページではなく、人間の心理や組織のリーダーシップの本質を突いた最高峰の文学作品です。
- 座次の序列:東嚮(最上座・項羽) vs 北嚮(臣下・劉邦)。劉邦の徹底した恭順が命を救った。
- 緊迫の剣舞:范増の玉玦による暗殺指示、項荘の剣舞、項伯の身を呈した庇護(翼蔽)。
- 樊噲の武勇と弁舌:大杯の酒と生豚の肉を喰らい、「秦王虎狼の心」と劉邦の無実を堂々と論破。
- 間道脱出:「大行は細謹を顧みず」。張良が白璧と玉斗を献上し時間を稼ぐ。
- 范増の激怒:玉斗を剣で粉砕し「豎子ともに謀るに足らず」と項羽の愚かさを嘆く。
「反語」「受身」「使役」「再読文字」など、テスト直前になると混ざってしまいがちな漢文の重要ルール。
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