塞翁が馬の現代語訳と書き下し文!テスト対策と教訓を完全解説

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校の国語(言語文化)の漢文の授業で学ぶ有名な故事成語『塞翁が馬(さいおうがうま)』。「人間万事塞翁が馬」ということわざとしても非常に有名ですが、定期テストや入試では独特の反語表現や返り点の訓読、登場人物の心情把握などが出題され、意外と失点しやすい単元です。
実は、『塞翁が馬』のストーリーは「禍(不幸)」と「福(幸運)」が交互に入れ替わる見事な4段階のサイクルで構成されており、老翁のセリフに使われる重要句形「何遽〜乎(なんぞ〜ざらんや)」のパターンさえ押さえれば、定期テストで確実に満点が狙えますよ。
そこで今回は、現役高校教員の視点から、『淮南子(えなんじ)』に収められた『塞翁が馬』のあらすじ、白文・書き下し文・現代語訳の全文を教科書準拠の美しい「縦書き訓読図解カード」とともに徹底解説します。テスト頻出の反語句形から重要語句、教訓、記述予想問題まで完全網羅しています!

たく先生、『塞翁が馬』っておじいさんの馬が逃げたり帰ってきたりするお話ですよね!テストでよく出る「何遽ぞ〜」の反語の訳し方が少し苦手です……!

大丈夫ですよ、みちかさん!「何遽不為福乎」は二重否定の反語になっていて、幸と不幸が逆転する理由とセットで理解すれば絶対に間違えなくなりますよ!
塞翁が馬の現代語訳と書き下し文あらすじ
まずは、『塞翁が馬』の作品背景や登場人物、ストーリー全体の流れと全文の現代語訳・書き下し文を場面ごとに詳しく見ていきましょう。
塞翁が馬のあらすじと登場人物・背景

『塞翁が馬(さいおうがうま)』は、古代中国・前漢時代の思想書『淮南子(えなんじ)』人間訓(じんかんくん)に収められている有名な寓話です。
舞台は、北方の遊牧民族(胡)との国境にある「砦(塞=とりで)」。そこに住んでいた占い術に長けた老翁(塞翁)と、その息子を巡るお話です。
① 第1段階【禍(不幸)】:老人の馬が理由もなく異民族(胡)の地へ逃げてしまう。 ➔ 近所が慰めるが、老人は「これが福にならないとどうして言えようか」と言う。
② 第2段階【福(幸運)】:逃げた馬が胡の名馬を連れて帰ってくる。 ➔ 近所が祝うが、老人は「これが禍にならないとどうして言えようか」と言う。
③ 第3段階【禍(不幸)】:息子が名馬に乗って落馬し、太ももの骨を折って足が不自由になる。 ➔ 近所が慰めるが、老人は「これが福にならないとどうして言えようか」と言う。
④ 第4段階【福(幸運)】:異民族が砦に攻め込み、村の若者の9割が戦死するが、息子は足が不自由だったため徴兵を免れ、父子ともに生き残る。
塞翁が馬の書き下し文と現代語訳全文
教科書に掲載されている『塞翁が馬』の原文・書き下し文・現代語訳の全文を対照表で確認しましょう。
| 白文(原文) | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 近塞之人、有善術者。 | 塞上に近きの人に、術を善くする者有り。 | 国境の砦の近くに住む人で、占いの術が得意な老人がいた。 |
| 馬無故亡而入胡。 | 馬故無くして亡げて胡に入る。 | 飼っていた馬が、何の原因もなく逃げ出して異民族(胡)の地へ行ってしまった。 |
| 人皆弔之。 | 人皆之を弔す。 | 近所の人々は皆、気の毒に思って老人を慰めた。 |
| 其父曰、「此何遽不為福乎。」 | 其の父曰はく、「此れ何遽ぞ福と為らざらんや。」と。 | 老人は言った、「このことが、どうして幸運にならないと言えようか(いや、きっと幸運になる)。」と。 |
| 居数月、其馬将胡駿馬而帰。 | 居ること数月、其の馬胡の駿馬を将ゐて帰る。 | 数か月たつと、逃げた馬が胡の素晴らしい名馬(駿馬)を連れて帰ってきた。 |
| 人皆賀之。 | 人皆之を賀す。 | 近所の人々は皆、これを喜んでお祝いした。 |
| 其父曰、「此何遽不能為禍乎。」 | 其の父曰はく、「此れ何遽ぞ禍と為る能はざらんや。」と。 | 老人は言った、「このことが、どうしてわざわいにならないと言えようか(いや、きっと災いになる)。」と。 |
| 家富良馬。其子好騎、堕而折其髀。 | 家良馬に富む。其の子騎を好み、堕ちて其の髀を折る。 | 家には良い馬が増えた。老人の息子は乗馬が好きだったが、落馬して太ももの骨を折ってしまった。 |
| 人皆弔之。其父曰、「此何遽不為福乎。」 | 人皆之を弔す。其の父曰はく、「此れ何遽ぞ福と為らざらんや。」と。 | 人々は皆慰めたが、老人は「これがどうして幸運にならないと言えようか」と言った。 |
| 居一年、胡人大入塞。 | 居ること一年、胡人大いに塞に入る。 | 一年後、異民族が砦に大挙して攻め込んできた。 |
| 丁壮者、引弦而戦、近塞之人、死者十居九。 | 丁壮なる者、弦を引きて戦ひ、塞に近きの人、死する者十に九なり。 | 若者たちは弓を引いて戦い、砦の近くの人で戦死した者は十人のうち九人に及んだ。 |
| 此独以跛之故、父子相保。 | 此れ独り跛の故を以つて、父子相保てり。 | ただこの息子だけは、足が不自由だったために徴兵を免れ、父子ともに無事であった。 |
1場面:馬が逃げて胡に入る【禍】
第1の場面は、老人が大切に飼っていた馬が、何の理由もなく北方の異民族(胡)の領土へ逃げ出してしまう場面です。
当時の人々にとって馬は大変貴重な財産であり、国境の向こう側(敵地)へ逃げてしまったため、取り戻すことは絶望的でした。近所の人々は口々に「弔す(気の毒に思って慰める)」のですが、老人は全く動じません。
| 馬 | ||
| 無 | ク | |
| レ | シテ |
|
| 故 | ||
| 亡 | ゲ | |
テ |
||
| 而 | ||
| 入 | ル | |
| レ | ||
| 胡 | ニ |
① 馬 ➔ ② 故 ➔ ③ 無(クシテ) ➔ ④ 亡(ゲテ) ➔ ⑤ 而 ➔ ⑥ 胡(ニ) ➔ ⑦ 入(ル)
馬故無くして亡げて胡に入る
飼っていた馬が、何の原因もなく逃げ出して胡の地に入ってしまった。
2場面:駿馬を連れて帰還【福】

第2の場面では、逃げた馬がなんと胡の素晴らしい名馬(駿馬)を連れて戻ってきます。
失った馬が戻ってきただけでなく、高価な名馬まで手に入ったため、近所の人々は驚き喜んで「賀す(お祝いする)」のですが、老人は逆に「これがどうして禍(わざわい)にならないと言えようか」と予見します。
| 此 | レ | |
| 何 | ゾ | |
| 遽 | ||
| 不 | ザ | |
| 二 | ランヤ |
|
| 為 | ラ | |
| レ | ||
| 福 | ト | |
| 一 | ||
| 乎 |
① 此(レ) ➔ ② 何遽(ゾ) ➔ ③ 福(ト) ➔ ④ 為(ラ) ➔ ⑤ 不(ザランヤ) ➔ ⑥ 乎
此れ何遽ぞ福と為らざらんや
このことが、どうして幸運(福)にならないことがあろうか(いや、きっと幸運になるだろう)。
3場面:落馬して足の骨を折る【禍】
第3の場面では、老人の予見通り、手に入った名馬がきっかけで災難が起こります。
老人の息子は乗馬が大好きで名馬を乗り回していましたが、ある日落馬して太ももの骨(髀=ひ)をポッキリと折ってしまい、足が不自由(跛=びっこ)になってしまいます。人々は再び同情して見舞いますが、老人はまたしても「これが福にならないと言えようか」と微笑むのです。
| 堕 | チ | |
テ |
||
| 而 | ||
| 折 | ル | |
| 二 | ||
| 其 | ノ | |
| 髀 | ヲ | |
| 一 |
① 堕(チテ) ➔ ② 而 ➔ ③ 其(ノ) ➔ ④ 髀(ヲ) ➔ ⑤ 折(ル)
堕ちて其の髀を折る
落馬して太ももの骨を折ってしまった。
4場面:戦争で父子ともに無事【福】

物語のクライマックスである第4の場面です。1年後、異民族(胡人)が砦に大軍で侵略してきました。
砦の若者(丁壮)たちは全員徴兵され、弓を取って激しく戦いましたが、砦の近くの若者の10人に9人(9割)が戦死するという凄惨な結果になりました。しかし、老人の息子だけは足の骨折で歩けなかったため徴兵を免れ、父子ともに命を落とさずに無事(父子相保てり)だったのです。
| 此 | レ | |
| 独 | リ | |
| 以 | ツ | |
| 二 | テ |
|
| 跛 | ノ | |
| 之 | ||
| 故 | ヲ | |
| 一 | ||
| 父 | ||
| 子 | ||
| 相 | ヒ | |
| 保 | テ | |
リ |
① 此(レ) ➔ ② 独(リ) ➔ ③ 跛(ノ) ➔ ④ 之 ➔ ⑤ 故(ヲ) ➔ ⑥ 以(ツテ) ➔ ⑦ 父 ➔ ⑧ 子 ➔ ⑨ 相(ヒ) ➔ ⑩ 保(テリ)
此れ独り跛の故を以つて、父子相保てり
ただこの息子だけは、足が不自由であったために(徴兵を免れ)、父子ともに命を保って無事であった。
塞翁が馬のテスト対策と重要句形・教訓
後半では、定期テストや共通テストで必ず出題される重要句形「何遽〜乎」、重要漢字の読み、故事成語の教訓、そして実戦予想問題の解法を徹底解説します!
反語「何遽〜乎」の読み方と訳し方
『塞翁が馬』で最もテストに出題される最重要句形が「何遽〜乎(なんぞ〜や)」を用いた反語表現です。
① 基本型(反語):何遽〜乎
・読み:「何遽(なん)ぞ〜[未然形+ん]や」
・意味:「どうして〜だろうか、いや〜ではない」
② 二重否定の反語(最頻出!):何遽不〜乎
・読み:「何遽(なん)ぞ〜ざらんや」
・意味:「どうして〜しないことがあろうか、いや必ず〜する(だろう)」
・例:『何遽不為福乎』➔「何遽ぞ福と為らざらんや(どうして福にならないことがあろうか、いや必ず福になる)」
定期テスト頻出の重要語句・漢字読み
定期テストの漢字読み・語句問題で狙われる必須キーワードを一覧表で整理しました。
| 漢字(本文) | 読み(送り仮名) | 現代語の意味 | テストでの出題ポイント |
|---|---|---|---|
| 善術者 | じゅつをよくするもの | 占いの術が得意な人 | 「善くす」は「得意とする」の意 |
| 亡 | にげて | 逃亡して、逃げて | ×「ほろびて」「なくて」と読まない |
| 弔 | ちょうす | 気の毒に思って慰める | お祝いする「賀す」との対比が出題 |
| 何遽 | なんぞ | どうして(反語副詞) | 書き下し文のひらがな化で頻出 |
| 将 | ひきゐて | 率いて、連れて | 再読文字ではなく動詞として読む点に注意! |
| 髀 | ひ | もも、太ももの骨 | 漢字の読みと部位の意味が頻出 |
| 丁壮者 | ていそうなるところのもの | 成人した若者・青年 | 戦力となる成人男性のこと |
| 跛 | は | 足が不自由(びっこ) | 息子の生存理由のキーワード! |
| 相保 | あひたもてり | お互いに無事であった | 「保」の読みと意味が頻出 |
「人間万事塞翁が馬」の意味と教訓
この物語から生まれた有名なことわざが「人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま)」です。
・「人間(じんかん)」とは?:人のことではなく、「世の中・人間の社会」という意味です。
・ことわざの意味:「人生における幸運や不幸は予測がつかず、転変を繰り返すものである」ということ。
・老翁の生き方の教訓:良いことがあっても浮かれず(驕らず)、悪いことがあっても絶望して取り乱さない。目先の吉凶に一喜一憂せず、泰然自若とした心を持つことの大切さを教えています。
類義のことわざ「禍福は糾える縄」比較
テストの選択問題や記述問題でよくセットで出題されるのが、同じく幸福と不幸の表裏一体を表すことわざとの比較です。
| ことわざ・故事成語 | 出典 | 共通する意味とニュアンス |
|---|---|---|
| 人間万事塞翁が馬 | 『淮南子』 | 人生の幸不幸は予測できないため、一喜一憂すべきではない。 |
| 禍福は糾える縄の如し | 『史記』南越列伝 | 災い(禍)と幸せ(福)は、より合わせた縄の表裏のように交互にやってくる。 |
| 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり | 日本のことわざ | 人生には悪い時もあれば、必ず良い時も巡ってくる。 |
| 楽あれば苦あり | 日本のことわざ | 楽しいことの後には苦しいことがあり、逆もまた然りである。 |
定期テスト予想問題と模範解答解説
定期テストで実際に出題される重要予想問題に挑戦してみましょう!
【実戦予想問題】『塞翁が馬』の定期テスト頻出問題に挑戦せよ
| 此 | レ | |
| 何 | ゾ | |
| 遽 | ||
| 不 | ザ | |
| 二 | ランヤ |
|
| 能 | ハ | |
| レ | ||
| 為 | ル | |
| レ | ||
| 禍 | ト | |
| 一 | ||
| 乎 |
| 其 | ノ | |
| 馬 | ||
| 将 | ヰ | |
| 二 | テ |
|
| 胡 | ノ | |
| 駿 | ||
| 馬 | ヲ | |
| 一 | ||
| 而 | ||
| 帰 | ル |
【模範解答と詳しい解説を見る(タップで開閉)】
塞翁が馬をマスターして古典を満点に

今回は、高校の漢文教材として超頻出の『塞翁が馬(人間万事塞翁が馬)』について、4段階のあらすじ、白文・書き下し文・現代語訳から重要反語句形、テスト予想問題まで徹底解説しました。

たく先生、ありがとうございます!「何遽ぞ福と為らざらんや」の反語の仕組みや、幸と不幸が逆転する4つの段階が縦書き図解カードですごくスッキリ頭に入りました!

その通りです、みちかさん!故事成語は「ストーリーの教訓」と「漢文の重要文法(反語・返り点)」が直結しているので、背景を正しく理解すればテストで確実に満点が狙えますよ!
漢文の重要語句や句形(反語・使役・受身・再読文字)は、一度理解した後に「適切な間隔で思い出す分散学習」を行うことで確実に試験本番で得点できるようになります。私は現場の高校生たちが漢文や古文の暗記で苦労するのを防ぐために、最新の記憶定着アルゴリズム「FSRS v6」を搭載した完全無料のAI暗記アプリ「PathMemoria(パスメモリア)」を開発しました。
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