助動詞の識別を完全攻略!表と音で覚えるコツと練習法

こんにちは。ミチプラス、運営者の「たく先生」です。
古文の勉強をしていると、必ずぶつかる大きな壁がありますよね。そう、「助動詞の識別」です。定期テストや入試問題でも配点が高く、避けては通れないこの単元。「教科書の一覧表を眺めているだけで、眠くなってしまう…」なんて経験はありませんか? 実は、助動詞の識別には丸暗記ではなく、明確な論理的ルールと、覚えやすくするためのコツが存在します。
多くの受験生が「紛らわしい語の見分け方がわからない」「意味がたくさんあって覚えきれない」と悩んでいますが、文法的なロジックと少しの工夫を知れば、まるでパズルを解くように答えが導き出せるようになるんです。この記事では、私が教室で実際に生徒たちに教えている、音韻法則やユニークな語呂合わせを使った実践的な識別テクニックを余すところなくお伝えします。現在、古文に苦手意識を持っている人こそ、この方法で「なるほど!そういうことだったのか」という感覚を掴んでください。
助動詞の識別表と接続の覚え方
まずは、助動詞を識別するための基礎となる「接続」と「表」の見方から押さえていきましょう。古文が苦手な生徒の多くは、ここを曖昧にしたまま「なんとなくの雰囲気」で解こうとしてしまいますが、それでは少し複雑な文章になると太刀打ちできません。ここでは、私が授業で強調している「音」に着目したシンプルなルールを中心に解説していきますね。
「文法用語が難しくて頭に入らない」という人も安心してください。直前の音が「ア段」か「エ段」か、といった耳で判断できる基準を使うことで、驚くほど整理がスムーズになります。
助動詞の一覧表を活用した覚え方

教科書の裏表紙にあるような、あの細かい「助動詞一覧表」。あれを上から下まで全部丸暗記しようとして、途中で挫折した経験はありませんか? 正直なところ、最初から全てを完璧に覚える必要はありません。大切なのは、識別に必要なパーツを優先的に頭に入れることです。
識別において最も重要なのは、「接続(直前にどんな言葉が来るか)」と「活用(その語がどう変化するか)」の2点です。特に「接続」は、これから紹介する識別のテクニックを使う上で最強の武器になります。
識別のための3つの神器
- 接続(直前の形):その助動詞の上には何形が来るか?(未然形接続、連用形接続など)これが分かれば、候補を大きく絞り込めます。
- 活用(語尾の変化):その助動詞自体がどう変化しているか? 文の途中で「〜ぬ」となっていれば終止形、「〜ぬる」なら連体形、といった判断です。
- 文脈(係り結びと主語):誰がした動作か? 文はどう終わっているか? 最終的な意味決定において欠かせない要素です。
これらをバラバラに覚えるのではなく、セットで理解していくのが近道です。「表を覚える」というよりは、「この助動詞は、上にこの音が来たら、こういう意味になる」というパターンをインストールするイメージでいきましょう。ここからは具体的な識別テクニックに入っていきます。
ただ、助動詞の一覧を体系的に学びたいと思ったら次の記事が参考になります。

る・れの識別は接続と音で判断

「る・れ」の識別は、古文の中で最も頻出かつ重要なポイントです。入試でも必ずと言っていいほど狙われます。ここには、受身や尊敬を表す助動詞「る」と、完了・存続を表す助動詞「り」が混在しており、さらに動詞の活用語尾(未然形や已然形)とも形が似ているため、非常に紛らわしいのです。
しかし、これを見分ける魔法のルールがあります。それは「直前の音」を見ることです。
| 直前の音 | 識別される語 | 文法的な正体 | 主な意味 |
|---|---|---|---|
| ア段音(a) | ア段 + る・れ | 助動詞「る」 | 受身・尊敬・自発・可能 |
| エ段音(e) | エ段 + る・れ | 助動詞「り」 | 完了・存続 |
文法用語で言うと、「る」は未然形接続、「り」は已然形(とサ変未然形)接続なのですが、そんな難しいことは一旦置いておいて大丈夫。「ア段なら受身系、エ段なら完了系」とリズムで覚えてしまいましょう。直前の母音が「あ(a)」なら受身たちのグループ、「え(e)」なら完了の「り」です。
意味の決定プロセス
ア段接続の「る」だと分かった後、さらに4つの意味(受身・尊敬・自発・可能)からどれを選ぶかは、文脈のキーワードで絞り込みます。
- 受身:文中に「〜に」(動作主)がある場合。例:「親に叱らる」(親に叱られる)
- 尊敬:主語が偉い人(貴人)の場合。また、下に「給ふ」などの尊敬語を伴わない単独用法の時も多いです。
- 自発:直前に「思う」「泣く」「忍ぶ」などの心情語・知覚語がある場合。「自然と〜される」と訳します。
- 可能:下に「ず」「じ」「まじ」「で」などの打消語がある場合。「〜できない」という文脈で使われます。
覚え方のコツ
受身・尊敬・自発・可能の頭文字をとって「そうじか(掃除か)」と覚えると忘れませんよ! テスト中に「えっと、る・れの意味は何だっけ…」となったら、「掃除か!」と思い出してください。
この「る・り」の助動詞については以下の記事にまとめています。


ぬ・ねの意味と識別のポイント

次に間違いやすいのが「ぬ・ね」です。これには、完了の助動詞「ぬ」と、打消の助動詞「ず」の活用形が含まれます。「〜ぬ」で終わっているからといって、現代語の感覚で「〜ない(否定)」と訳すと、全く逆の意味になってしまい痛い目を見ますよ。
ここでも、「下(直後)の言葉」と「上(直前)の言葉」の両方から挟み撃ちで確認するのが鉄則です。
1. 直後の言葉(活用形)で判断する
まずは後ろを見ます。「ぬ」や「ね」が文の中でどのような役割をしているかを確認しましょう。
- 完了「ぬ」:
- 「ぬ」:終止形です。文末(「。」)、または「とも」「とて」などの引用の上に来ます。
- 「ね」:命令形です。文末で命令口調の場合です。
- 打消「ず」:
- 「ぬ」:連体形です。下に体言(名詞)や、「に・は・を」などの助詞が来ます。
- 「ね」:已然形です。下に「ば(〜ので)」「ども(〜けれど)」などの接続助詞が来ます。
2. 直前の言葉(接続)で判断する
後ろを見ても判断がつかない、あるいは確信が持てない時は、前を見ます。
- 連用形 + ぬ・ね → 完了の助動詞「ぬ」
- 未然形 + ぬ・ね → 打消の助動詞「ず」
特に、「ね」が文末に来ていない場合(「〜ねば」など)は要注意です。「行かねば」(未然形接続=打消)なのか、「行きねば」(連用形接続=完了)なのか。接続を確認する習慣をつけるだけで、ケアレスミスは激減します。
この「ず・ぬ」については以下の記事にまとめています。


なりの識別は接続と音で見分ける

「なり」には、断定(〜である)と伝聞・推定(〜ようだ、〜らしい)の2つの助動詞があります。これらは接続が違うのですが、私は生徒に「感覚」の違いで教えることが多いです。人間の五感とリンクさせると忘れにくいからです。
音と視覚で使い分ける
- 伝聞・推定の「なり」:聴覚(耳)に関係します。語源は「音あり(ne-ari)」。「笛吹きなり」(笛を吹いているようだ)のように、姿は見えないけれど音が聞こえる、あるいは噂を聞いたという文脈で使われます。(終止形接続・ラ変は連体形接続)
- 断定の「なり」:存在や断定を表します。「都なり」(都である)のように、目の前にある事実を述べる時に使います。(連体形・体言接続)
また、視覚(目)に基づく推定は「めり」を使います。「見あり(mi-ari)」が語源ですね。「〜のようだ(と目で見て思う)」場合は「めり」です。音なら「なり」、見た目なら「めり」。この対比を知っておくと、識別問題だけでなく現代語訳をする際にも、その場の情景がイメージしやすくなり非常に役立ちます。
「形容動詞」の罠に注意!
「静かなり」「あはれなり」のように、形容動詞の一部である場合もあります。見分け方としては、「いと(とても)」をつけて意味が通じれば形容動詞です(例:「いと静かなり」○)。
また、「〜ず、〜と、〜にくう」と活用させてみて、「ずっと肉うなり!(〜ずに、〜と、〜にくう、〜なり)」と変化するか確認するのも有効なテクニックです。
「なり」の識別についてはこちらで詳しくまとめています。

き・けりの違いと識別のコツ

過去を表す助動詞「き」と「けり」。現代語訳してしまうと、どちらも「〜た」となってしまい区別がつかないことが多いですよね。しかし、この二つには情報の「出所」や「深さ」において決定的な違いがあります。ここを理解していると、作者がその出来事をどう捉えているかが見えてきたり、物語や日記文学の読解深度が格段に深まったりします。
「き」は実体験の記憶、「けり」は伝聞の物語
まずは基本となる「過去」の意味における使い分けです。
- き(直接過去・経験過去):
話者自身が直接体験した過去の事実を表します。「(私は確かに)〜した」「〜た」というニュアンスです。『土佐日記』などの日記文学で、作者自身の体験をリアルに語る際によく使われます。英語で言えば、自分の日記帳を見返しているような感覚ですね。 - けり(間接過去・伝聞過去):
話者が人から聞いた話、あるいは物語の語り手として客観的に語る過去を表します。「〜たそうだ」「〜たということだ」。『竹取物語』などの昔話が「今は昔、竹取の翁といふものありけり」で始まるのは、作者が見てきたわけではなく、「そういう人がいたと伝わっている」という伝聞のスタンスだからです。
最重要!「けり」の詠嘆は「ハッとする気づき」
そして、受験生が最もつまずきやすく、かつ重要なのが「けり」の詠嘆用法です。教科書には「〜だなあ」「〜ことよ」と訳すと書いてありますが、単に情緒的に感動しているだけではありません。
ここで絶対に押さえてほしいのが、詠嘆の「けり」の本質は「初めて気づいた(発見)」というニュアンスにあるということです。
詠嘆の「けり」=「!」(気づきの感動)
ただ漫然と「きれいだなあ」と思っているのではなく、「今まで気づかなかったけれど、よく見たら実は〜だったのだなあ!」という、ハッとするような新しい発見や驚きが含まれています。
例:和歌などで「秋は来ぬ」ではなく「秋は来にけり」と歌う場合、「いつの間にか秋が来ていたんだなあ(今初めてその気配に気づいた!)」という心の動きを表しています。
この「ハッとした瞬間」を捉えることが、特に和歌の解釈では大切になります。
詠嘆の「けり」を見抜く3つのサイン
では、どういう時に「過去」ではなく「詠嘆(気づき)」になるのでしょうか。以下の3つの条件のときは、迷わず詠嘆を選んでください。
- 和歌の中で使われている時
これが一番大事なルールです。和歌は「心が動いた瞬間」を切り取るものなので、文末の「けり」はほぼ100%詠嘆です。「〜だったのだなあ(気づき)」と訳しましょう。 - 会話文や心の中のつぶやき(心内文)
カギカッコ「 」の中や、「〜と思ふ」に続く部分で使われる場合も、その人の感情が溢れ出ているので詠嘆になります。 - 「〜なりけり」の形の時
断定の助動詞「なり」+詠嘆「けり」のコンボは最強です。「正体は〜であったのだなあ!」という強い気づきを表す定型表現として頻出です。
覚え方
「詠歌(エイカ)=詠嘆・過去」とリズムで覚えておきましょう。「和歌(歌)」ときたら、まずは過去ではなく「詠嘆」を疑う。これが鉄則です。
「き・けり」はこちらの記事にまとめています。少し苦手だなと思う方はぜひ読んでみてください。

す・さす・しむの識別と敬語

「す・さす・しむ」は使役(〜させる)と尊敬(〜なさる)の2つの意味を持ちます。まずは接続で「す」と「さす」を使い分けましょう。
- す:四段・ナ変・ラ変動詞の未然形(ア段音)に接続。
- さす:それ以外の動詞(上一、上二、下一、下二、カ変、サ変)の未然形(イ・エ・オ段音)に接続。
そして、意味が「使役」になるか「尊敬」になるかの判断基準は、文中に「〜に(使役の対象)」があるかどうかです。
- 「人に〜さす」→ 使役(人に〜させる)。動作をさせる相手(対象)が明示されている場合です。
- 「〜に」がない、または下に尊敬語(たまふ、おはす等)が続く → 尊敬(〜あそばす、〜なさる)。
特に「〜せたまふ」「〜させたまふ」という形は、助動詞の「す・さす」と尊敬補助動詞「たまふ」がくっついた形です。これは最高敬語(二重敬語)として、天皇や皇族など極めて身分の高い人に対して使われる表現ですので、必ずチェックしておきましょう。
「す・さす・しむ」についてはこちらの記事にまとめています。

助動詞の識別を極める演習とコツ
基本的な識別ルールがわかったところで、ここからはさらに一歩進んで、受験生を最も悩ませる「推量系」の助動詞や、記憶に残るユニークな暗記法、そして実践的な問題の解き方について解説します。「なんとなく」で解くのを卒業して、確信を持って答えを選べるようになりましょう。
推量の意味はスイカで覚える

「べし」「む」などの推量助動詞は、意味がたくさんありすぎて混乱しますよね。「推量」「意志」「可能」…どれを選べばいいの?と頭を抱える生徒が多いです。そこで私が推奨しているのが、「スイカ」の語呂合わせです。これさえあれば、意味の取り違えが劇的に減ります。
「べし」の6つの意味:スイカ止めて
「べし」は強い推量を表す助動詞です。
- ス:推量(Suiryou)〜だろう
- イ:意志(Ishi)〜しよう
- カ:可能(Kanou)〜できる
- ト:当然(Touzen)〜はずだ
- メ:命令(Meirei)〜せよ
- テ:適当(Tekitou)〜のがよい
覚え方は「べしっ、スイカ止めて!」。転がってきているスイカを止めているシーンをイメージすると覚えやすいですね。
「む」の4〜6つの意味:スイカ変えて
「む」は「べし」より少し弱い、ぼんやりとした推量を表します。
- ス:推量
- イ:意志
- カ:勧誘(〜しませんか)
- カ:仮定(〜としたら)
- エ:婉曲(〜ような)
- テ:適当
こちらは「むっ、スイカ変えて!」とスイカから虫が「むずっ」と出てきていることをイメージするとよいですよ。そうすれば、「む・むず」が合わせて覚えることができます。
人称による意味のフィルター
さらに、どの意味を選ぶかは主語の人称でフィルターをかけます。
- 一人称(私)なら → 意志(私が〜しよう)
- 二人称(あなた)なら → 勧誘・命令・適当(あなたが〜したらどうだ、〜しなさい)
- 三人称(彼・それ)なら → 推量(彼が〜するだろう)
また、「む」が文中(連体形)にある場合は、「婉曲(〜ような)」や「仮定(〜としたら)」になることが多いです。この「人称マトリクス」と「文構造」を使えば、文脈判断の精度がグッと上がりますよ。
この辺りの識別を詳しく知りたいなら以下の記事にまとめています。


りの接続はリカちゃんで暗記

完了の助動詞には「つ・ぬ」の他に、「り・たり」というグループがあります。中でも「り」は、接続(直前に来る言葉の形)が非常に特殊的で、多くの受験生が頭を抱えるポイントです。教科書通りに「サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形に接続する」と覚えようとすると、長すぎて呪文のようになってしまいますよね。
そこで登場するのが、予備校や学校でも大人気のこのキャラクターです。
サ未四已(サミシイ)リカちゃん
- サ未:サ変動詞の未然形
- 四已:四段動詞の已然形(※命令形という説もあります)
- リカちゃん:「り」の接続は「完(かん)」了・存続
この「寂しいリカちゃん」というフレーズとセットで覚えておけば、テスト中にど忘れしてもすぐに思い出せます。「り」を見たら、即座に「上はサ変の未然か、四段の已然だな」と反応できるようにしておきましょう。
「完了」か「存続」か? 意味を見分ける決定的な鍵
さて、ここからが本題です。「り」と「たり」には、共通して「完了(〜た)」と「存続(〜ている・〜てある)」という2つの意味があります。では、文章中で出てきた時、どちらの意味で訳せばよいのでしょうか?
「文脈で判断する」と言われがちですが、実はもっと明確なロジックがあります。それは、「直前の動詞の性質」に注目することです。
「り・たり」の意味決定ロジック
一番大切なのは、直前の動詞が「動作」を表すか、「状態」を表すかを見極めることです。
- 直前の動詞が「動作」の場合 → 完了
「乗る」「食ふ」「行く」など、継続的な動きを表す動詞につく場合は、「動作が終了した」ことを表すため「〜た」「〜てしまった」と訳します。 - 直前の動詞が「状態」の場合 → 存続
「似る」「咲く」「曇る」など、変化の結果としての状態を表す動詞につく場合は、「その状態が続いている」ことを表すため「〜ている」「〜てある」と訳します。
例えば、「花咲けり」であれば、「咲く」という変化が完了して、その結果「花が咲いている」状態が続いているので「存続」と取ることが多いです。
もちろん例外や文脈による揺れはありますが、迷ったときは「動き(動作)なら完了、様子(状態)なら存続」という基準を持っているだけで、正解を選べる確率は格段に上がりますよ。「寂しいリカちゃん」というフレーズとセットで覚えておけば、テスト中にど忘れしてもすぐに思い出せます。先ほど紹介した「エ段音+る・れ」の法則と合わせて使えば、「り」の識別は完璧です。「り」は完了の中でも「存続(〜している)」の意味で使われることが多いのもポイントです。

助動詞の識別問題に取り組む手順

「文法問題になると、どこから手をつけていいか分からない…」と悩んでいませんか? 実際にテストや入試で識別問題が出たとき、私が生徒たちに徹底させている「絶対にミスをしない思考フロー(手順)」があります。
多くの受験生が、いきなり「意味(訳)」から入ってしまい、「なんとなく意味が通じるからこれかな?」と感覚で選んで失敗します。これは文法学習において最も危険な罠です。文法はパズルと同じで、ピースの形(接続と活用)が合わなければ、絶対に正解にはまりません。焦らず以下の順番で視点を動かしていけば、正解率は劇的に安定します。
- STEP 1:上(直前の語)を見る【接続の判定】
まずは視線を「上」に向けます。直前の語が何形になっているか、あるいは何段の音かを確認してください。- ア段音(未然形)に続いているのか、エ段音(已然形)に続いているのか?
- 連用形に接続しているのか、終止形に接続しているのか?
- STEP 2:下(直後の語)を見る【活用の判定】
次に視線を「下」に移します。その助動詞の後ろに何が来ているかで、その助動詞自体が何形に活用しているかを特定します。- 文が終わっている(「。」) → 終止形か命令形の可能性が高い。
- 体言(名詞)や「こと・もの」がある → 連体形の可能性が高い。
- 「ば」「ども」などの接続助詞がある → 已然形や未然形の可能性が高い。
- STEP 3:周り(文脈)を見る【文法的トリガーの確認】
上下を確認したら、少し視野を広げて文全体のルールを確認します。ここが見落としがちなポイントです。- 係り結び:「ぞ・なむ・や・か」があれば連体形、「こそ」があれば已然形で文が終わります。普通の終止形だと思っていると痛い目を見ます。
- キーワードの有無:「〜に」(受身・使役の判定キー)や、「給ふ」(尊敬の判定キー)などが隠れていないか探します。
- 主語の確認:主語が誰か(私・あなた・彼)によって、意味が変わる助動詞(推量系など)があります。
- STEP 4:意味を当てはめる【最終確認】
ここまで外堀を埋めてから、初めて「意味(現代語訳)」を考えます。STEP 1〜3で絞り込んだ文法的根拠に基づき、「スイカ」などのリストから最も適切な意味を選びます。そして最後に、現代語訳して文脈が自然に通るかを確認し、違和感がなければ正解です。
「訳」から入るのは禁止!
古文の助動詞は、現代語の感覚とズレているものが多々あります(例:「ぬ」=「ない」と思ってしまう等)。いきなり現代語訳でアプローチすると、ひっかけ問題に面白いように引っかかってしまいます。「形(接続・活用)」から入り、最後に「意味」で確かめる。この順序を絶対に守ってください。
紛らわしい語の識別法を整理

最後に、入試問題や実力テストで偏差値を大きく分ける「最難関の識別ポイント」を整理しておきましょう。上級者でも油断すると引っかかるのが、「に」と「なむ」の識別です。これらは、文法的な知識だけでなく、論理的な消去法(フローチャート)を使わないと正解にたどり着けません。ここをマスターすれば、ライバルに一歩も二歩も差をつけることができますよ。
1. 「に」の識別:4つのステップで完全攻略
「に」は古文の中で最も識別が難しい語の一つです。なぜなら、助詞や助動詞だけでなく、動詞や形容動詞の一部である可能性もあるからです。闇雲に「格助詞かな?」と考えるのではなく、以下の優先順位(ステップ)で判断していくのが、正解への最短ルートです。
「に」識別の鉄則フロー
- まずは「単語の一部」ではないか疑う(自立語)
- 直前が「連用形」なら、完了の「ぬ」を疑う
- 「〜である」と訳せるなら、断定の「なり」を疑う
- それ以外なら、格助詞か接続助詞
Step 1:単語の一部(自立語)の可能性
まず最初に、「に」が独立した助詞・助動詞ではなく、単語のお尻にくっついている一部ではないかを確認します。
- ナ変活用動詞の連用形:「死に」「往(い)に」「去(い)に」。
例:「狩りに往にけり(行ってしまった)。」これはナ変動詞「往ぬ」の一部です。 - 形容動詞の活用語尾:「静かに」「あはれに」。
例:「ねむごろに(丁寧に)」。直後に「いと(とても)」を入れて意味が通じればこれです。 - 副詞の一部:「つひに」「すでに」「げに」。
これらは活用しません。「つひに」で一つの単語です。
Step 2:完了の助動詞「ぬ」の連用形
Step 1でない場合、次に疑うのは完了です。直前の語が連用形であれば、ほぼ間違いなくこれです。
- 形の特徴:「連用形 + に + き/けり/たり/けむ」
- 訳し方:「〜てしまった」「〜た」
- 頻出パターン:「にき」「にけり」を見たら、まずは完了の「ぬ」と即答レベルで反応しましょう。
Step 3:断定の助動詞「なり」の連用形
直前の語が体言(名詞)や連体形の場合、最大の山場である「断定」か「格助詞」かの判別になります。ここでは「断定」のサインを見逃さないことが重要です。
- 形の特徴:「にあり」「におはす」(間に「は・も・ぞ」等の係助詞が入ることも多い)
- 訳し方:「〜である」
- 応用パターン:「〜にて(〜であって)」「〜にや(〜であろうか)」「〜にか(〜であろうか)」
※これらは全て断定「なり」の連用形を含んでいます。
Step 4:格助詞・接続助詞
上記のどれでもない場合、最後は助詞です。
- 格助詞:体言・連体形につき、場所・時・原因などを表します。「〜に」「〜で」と訳します。
例:「都に住む(場所)」、「船にて渡る(手段=船で)」。 - 接続助詞:連体形につき、文をつなぎます。
例:「春なるに(春であるのに/春であるので)」。
詳しい解説記事
「に」の識別はパターンが多く、さらに「にて」「には」などの応用形もあります。より詳しく学びたい方は、以下の完全ガイドを併せて読んでみてください。苦手を完全に潰せますよ。
参考記事:古文「に」の識別の完全ガイド|動詞・形容動詞・助動詞の見分け方
2. 「なむ」の識別:接続で決まる4パターン
「なむ」の識別も、感覚で訳し分けるのではなく、直前の接続を見ることで機械的に判別可能です。パズルのように当てはめていきましょう。
| 直前の形(接続) | 正体 | 意味・訳し方 | 見分けポイント |
|---|---|---|---|
| 未然形 | ① 終助詞 | 願望 「〜してほしい」 | 他者への願望を表します。 |
| 連用形 | ② 確述の用法 (ぬ+む) | 強意+推量 「きっと〜だろう」「〜てしまうだろう」 | 完了「ぬ」の未然形+推量「む」。 「てむ」「なむ」「つべし」「ぬべし」は確述カルテット。 |
| (文脈判断) | ③ 係助詞 | 強調 (訳出しないことが多い) | 文末ではなく文中にあり、結びが連体形になる(係り結び)。 |
| 「死・往・去」の未然形 | ④ ナ変動詞の一部 +助動詞「む」 | 意志・推量 「死のう」「行くだろう」 | 「死な・む」「往な・む」。 「な」が動詞の一部。ここを見落とすと②と間違えるので注意! |
「なむ」識別のフローチャート
- まずは直前の語を見る。
- 「死」「往」「去」なら → ④ナ変の一部(死なむ)
- 未然形なら → ①願望(〜してほしい)
- 連用形なら → ②確述(きっと〜だろう)
- それ以外、または文中で結びが連体形なら → ③係助詞
このように、「直前が何形か」をチェックし、フローチャートに従って分類すれば、迷うことはありません。感覚に頼らず、必ず接続を確認する癖をつけてくださいね。

助動詞の識別に関するよくある質問(Q&A)

ここまで、助動詞の識別テクニックについて詳しく解説してきました。それでも、実際に勉強を進めていると「本当にこれで合ってるのかな?」「こういう場合はどうすればいいの?」といった疑問が出てくるものです。
そこで、私の教室の生徒たちからよく相談される質問をピックアップして、Q&A形式でまとめました。つまずきそうなポイントを先回りして確認しておきましょう!
Q. 助動詞の活用表は、やっぱり全部丸暗記しないとダメですか?
A. 全部を完璧に丸暗記する必要はありません。まずは「接続」を最優先しましょう。
真面目な人ほど、表を上から下まで呪文のように覚えようとして挫折してしまいます。この記事の「助動詞の識別表と接続の覚え方」の章でもお話ししましたが、識別において最も強力な武器は「接続(直前の語の形)」です。
例えば、「る・れ」なら「ア段かエ段か」、「り」なら「サミシイリカちゃん」といったように、識別に直結するルールを覚えるだけで、問題の8割は解けるようになります。活用表の暗記は、問題を解きながら「あ、ここは下二段型だな」と確認していく形でも十分間に合いますよ。
Q. 「ぬ」と「ね」の識別がどうしても苦手です。コツはありますか?
A. 「上(直前)」と「下(直後)」の両方を見る「挟み撃ち」で確認しましょう。
「ぬ・ね」で間違える最大の原因は、一方だけを見て判断してしまうことです。この記事の「ぬ・ねの意味と識別のポイント」でも解説しましたが、以下の2ステップを必ず踏んでください。
- 上を見る:未然形接続なら「打消」、連用形接続なら「完了」。
- 下を見る:文が終わっていれば「完了(終止形)」などの活用判断。
特に、「行かぬ」(未然形+ぬ=打消)と「行きぬ」(連用形+ぬ=完了)の違いは、音の響き(ア段かイ段か)で判断するのが一番早くて確実ですよ。
Q. 訳してみて意味が通じれば、それで正解にしてもいいですか?
A. それは一番危険な落とし穴です! 基本的にNGだと考えてください。
古文の単語や助動詞は、現代語と同じ形でも意味が全く違うものがたくさんあります(例:「ぬ」=「ない」と思ってしまう等)。
この記事の「助動詞の識別問題に取り組む手順」でも強調しましたが、まずは「形(接続と活用)」で文法的に絞り込み、最後に「意味」で確認するというのが鉄則です。感覚での翻訳に頼らず、論理的にパズルを解く感覚を身につけましょう。
Q. 和歌の中の「けり」は、必ず「詠嘆」になるのですか?
A. はい、和歌の末尾にある「けり」は、ほぼ100%「詠嘆」と考えて大丈夫です。
「き・けりの違いと識別のコツ」の章で触れた通り、和歌は「心が動いた瞬間の感動」を切り取ったものです。単なる過去の報告ではなく、「〜だったのだなあ!」という「ハッとした気づき」が込められています。
和歌の問題が出たら、まずは「詠嘆」を疑う。これを反射的にできるようになると、得点力がグッと上がります。
Q. 助動詞の識別ができるようになったら、次は何を勉強すればいいですか?
A. 「敬語」の習得と、実際の長文読解(過去問など)に進みましょう。
助動詞の識別はあくまで「道具」です。この道具を使いこなすためには、実際の文章を読む経験が必要です。特に「敬語」は、主語を特定する上で助動詞の識別と密接に関わってきます。
まずは短い文章で構いませんので、今回学んだ「直前の音を見る」「スイカで意味を考える」といったテクニックを使いながら、一文一文を品詞分解して読む練習を始めてみてください。
助動詞の識別をマスターする結論
助動詞の識別は、古文読解の基礎であり、同時に論理的思考力を試されるゲームのようなものです。今回ご紹介した「音での識別(ア段・エ段)」や「スイカの語呂合わせ」、「サミシイリカちゃん」といったツールを使えば、今まであやふやだったものがクリアに見えてくるはずです。
大切なのは、これらのルールを覚えた後に、実際の文章や問題演習を通して何度も「使う」ことです。私の教室でも演習ドリルを使って、何度も反復練習をしています。何度も繰り返すうちに、いちいち頭で考えなくても、直感的に「これは受身!」「これは完了!」と識別できるようになります。
最初は大変かもしれませんが、ここを乗り越えれば古文の世界が一気に広がりますし、入試の得点源にもなります。ぜひ、今日からこの記事のテクニックを実践してみてくださいね。応援しています!
この記事を読んで、古文の理解がまた一つ深まりましたね。
でも、古文は「単語」「文法」「読解」「常識」など、全ての知識が有機的につながって初めて高得点が取れる科目です。
「次はどこを勉強すればいいの?」
「苦手なあの分野、どうやって対策しよう?」
そんな迷子にならないよう、ミチプラス内の古文記事を「勉強する順番」に整理した「完全攻略マップ」を作成しました。
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