【古文】助動詞す・さす・しむの意味と識別!使役尊敬の見分け方

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校古典文法で助動詞の学習が進む中で、定期テストや大学入学共通テスト、国公立・私立大学入試の識別問題で最も差がつく最頻出テーマが使役・尊敬の助動詞「す・さす・しむ」です。「活用表の『せ・せ・す・する・すれ・せよ』は覚えたけれど、使役(〜させる)と尊敬(〜なさる)をどうやって見分ければいいかわからない」「せ給ふ・させ給ふという最高敬語が出てくると、使役なのか尊敬なのかいつも迷ってしまう」「す・さす・しむの接続の違いがややこしい」と悩んだことはありませんか?
私自身、高校現場で国語・古典を長年指導する中で、助動詞「す・さす・しむ」で点数を落としてしまう生徒には明確な共通点があることに気づきました。それは「前後の文脈や敬語の組み合わせを見ずに、勘で訳そうとしている」ということです。実は、助動詞「す・さす・しむ」には、「直下に給ふがあるか」「文中に使役の対象(〜に)が存在するか」という2つのステップを確認するだけで、誰でも秒速で100%見抜ける黄金の識別フローが存在します。
そこで今回は、現役高校教員の視点から、助動詞「す・さす・しむ」の活用表と未然形接続のルールから、使役と尊敬(最高敬語)の秒速見分け方、サ変動詞「す」との識別、そして定期テスト・大学入試で頻出する実戦予想問題まで、わかりやすく徹底解説します!

たく先生!『す・さす・しむ』って『〜させる』という使役だけでなく『〜なさる』という尊敬の意味もあるんですよね?テストで傍線が引かれたとき、どっちの意味か迷ってしまいます…!

みちかさん、そこはまさに全国の高校生がつまずく最重要ポイントです!実は『直下に給ふがあるかどうか』と『動作をする人(〜に)がいるかどうか』を見るだけで一撃で判定できますよ。接続のコツから順番にマスターしていきましょう!
助動詞す・さす・しむの基本活用表と未然形の接続
助動詞「す」「さす」「しむ」は、いずれも動詞などの「未然形」に接続する助動詞です。まずはそれぞれの意味と活用表、そして直前の動詞の活用の種類によってどのように使い分けるのかという基礎から整理していきましょう。
助動詞す・さす・しむが持つ使役と尊敬の2大意味

助動詞「す」「さす」「しむ」には、共通して「使役(しえき)」と「尊敬(そんけい)」という2つの重要な意味があります。現代語の感覚では「〜させる」という使役の意味ばかりに意識が向きがちですが、平安時代の古典文学においては、身分の高い人物の行動を高める「尊敬」の助動詞としても極めて重要な役割を果たしています。
使役とは、ある人物が他者に対して「〜するように仕向ける、命令する」という意味を表し、現代語訳では「〜させる」「〜に…させる」と訳します。たとえば「従者に手紙を持たす(従者に手紙を持たせる)」のように、動作を行う別の対象が存在するのが特徴です。
一方、尊敬とは、動作の主体(主語)である高貴な人物に敬意を表す用法で、現代語訳では「〜なさる」「お〜になる」と訳します。特に平安貴族社会を描いた『源氏物語』や『竹取物語』などの王朝文学では、天皇や中宮などの最高位の人物に対して敬意を重ねる「最高敬語(二重尊敬)」として頻繁に用いられます。まずはこの2大意味をしっかりと頭に刻みましょう。
| 意味 | 現代語訳 | ニュアンスと用例のポイント |
|---|---|---|
| 使役 | 〜させる 〜に…させる |
人に命令して動作を行わせる(例:使ひに文を持たす) |
| 尊敬 | 〜なさる お〜になる |
主語の高貴な人物を高める。主に「せ給ふ」「させ給ふ」の形で使用 |
四段ナ変ラ変未然形に接続するすのルール
助動詞「す」は、動詞の活用グループのうち「四段活用」「ナ行変格活用」「ラ行変格活用」の未然形に接続します。これは助動詞「る」の接続ルール(四・ナ・ラ未然形)と全く同じグループですので、セットで覚えておくと記憶の定着が非常にスムーズです。
四段・ナ変・ラ変の動詞は、未然形に活用したときの語尾が必ず「ア段音(-a)」になります。たとえば四段動詞「書く」の未然形は「書か(kaka)」、ナ変動詞「死ぬ」の未然形は「死な(shina)」、ラ変動詞「あり」の未然形は「あら(ara)」となります。したがって、直前の動詞の語尾が「ア段の音」になっていれば、後に続くのは「さす」ではなく必ず助動詞「す」になります。
高校の定期テストでは、「[ ]内に適切な使役の助動詞を補え」という問題がよく出題されます。直前の動詞の活用の種類を判断し、四段・ナ変・ラ変の未然形(ア段音)であれば迷わず「す」を選択できるように練習しておきましょう。
| 動詞の活用の種類 | 基本形 ➔ 未然形 | 助動詞「す」の接続例 |
|---|---|---|
| 四段活用 | 書く ➔ 書か | 書か・す(書かせる / お書きになる) |
| ナ行変格活用 | 死ぬ ➔ 死な | 死な・す(死なせる) |
| ラ行変格活用 | あり ➔ あら | あら・す(あらせる / いらっしゃる) |
上一上二下一カ変サ変未然形に付くさすの法則
助動詞「さす」は、「す」が接続する四段・ナ変・ラ変以外のすべての動詞の未然形に接続します。具体的には、「上一段活用」「上二段活用」「下一段活用」「下二段活用」「カ行変格活用」「サ行変格活用」の未然形です。これも助動詞「らる」の接続ルールと完全に一致しています。
これらの動詞グループは、未然形に活用したときの語尾が「ア段音以外(イ段・エ段・オ段)」になります。たとえば上一段動詞「見る」の未然形は「見(mi・イ段)」、上二段動詞「起く」の未然形は「起き(oki・イ段)」、下二段動詞「受く」の未然形は「受け(uke・エ段)」、カ変動詞「来(く)」の未然形は「来(こ・ko・オ段)」、サ変動詞「す」の未然形は「せ(se・エ段)」となります。
特に重要なのが、カ変動詞「来(こ)」とサ変動詞「為(せ)」への接続です。「来+さす ➔ 来(こ)さす」「為(す)+さす ➔ せさす」という形は入試でも極めて頻出ですので、発音のリズムとともに確実に覚えておきましょう。
| 動詞の活用の種類 | 基本形 ➔ 未然形 | 助動詞「さす」の接続例 |
|---|---|---|
| 上一段活用 | 見る ➔ 見 | 見・さす(見せる / ご覧になる) |
| 上二段活用 | 落つ ➔ 落ち | 落ち・さす(落とさせる) |
| 下二段活用 | 受く ➔ 受け | 受け・さす(受けさせる / お受けになる) |
| カ行変格活用 | 来(く) ➔ 来(こ) | 来(こ)・さす(来させる / おいでになる) |
| サ行変格活用 | す ➔ せ | せ・さす(なさらせる / なさる) |
すべての用言の未然形に接続できるしむの特徴
助動詞「しむ」は、「す」「さす」とは異なり、動詞の種類を問わず「すべての用言(動詞・形容詞・形容動詞)の未然形」に接続することができます。四段動詞にも、上二段動詞にも、形容詞の未然形にも自由に付くことができるのが最大の特徴です。
「しむ」は、もともと漢文の使役訓読(「令」「使」「教」「遣」などの漢字を『〜しむ』と読む訓読法)から生まれた助動詞です。そのため、平安時代の和文・仮名文学(『源氏物語』『枕草子』など)では「す・さす」が圧倒的に多く使われるのに対し、「しむ」は漢文訓読調の文章、和漢混淆文、軍記物語(『平家物語』など)、あるいは改まった儀式文や宣命などで好んで用いられました。
文法上の意味は「す・さす」と同じく「使役」と「尊敬」ですが、和文での尊敬用例(しめ給ふ)は少なく、大半が「使役」として用いられます。文体による使われ方の違いを理解しておくと、古文読解の背景知識として非常に役立ちます。
助動詞「す・さす」は平安時代の雅な和文(物語・日記・随筆)で大活躍した助動詞です。一方の「しむ」は漢文の使役構文から輸入された助動詞であるため、硬派な文体や公的文書で重宝されました。漢文の授業で習う使役句形『使人〜(人をして〜しむ)』を思い出すと、接続と意味がすんなり理解できますよ!
下二段型のすと四段型で変化するしむの活用表

助動詞「す」「さす」「しむ」の活用型を整理しましょう。「す」と「さす」はともに動詞の「下二段活用」と同じ型(エ・エ・ウ・ウル・ウレ・エヨ)で活用します。一方の「しむ」も、助動詞としての語尾変化は下二段型(しめ・しめ・しむ・しむる・しむれ・しめよ)をとります。
活用表を覚える際のリズムは以下の通りです:
- す ➔ 「せ・せ・す・する・すれ・せよ」(サ行下二段型)
- さす ➔ 「させ・させ・さす・さする・さすれ・させよ」(サ行下二段型)
- しむ ➔ 「しめ・しめ・しむ・しむる・しむれ・しめよ」(マ行下二段型)
特に注意すべきは連用形の形です。「す」の連用形は「せ」、「さす」の連用形は「させ」、「しむ」の連用形は「しめ」となります。後述する尊敬の補助動詞「給ふ」が下に接続するときは、連用形接続であるため「せ給ふ」「させ給ふ」「しめ給ふ」という形をとります。この活用変化を完璧に言えるようにしておきましょう。
| 助動詞 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 活用型 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| す | せ | せ | す | する | すれ | せよ | 下二段型 |
| さす | させ | させ | さす | さする | さすれ | させよ | 下二段型 |
| しむ | しめ | しめ | しむ | しむる | しむれ | しめよ | 下二段型 |
サ変動詞の未然形せと助動詞すの決定的な識別法
入試や定期テストの識別問題で生徒が最も混乱するのが、「サ変動詞『す』の未然形・連用形である『せ』」と「助動詞『す』の未然形・連用形である『せ』」の見分け方です。同じ「せ」という1文字であっても、品詞が全く異なります。
この2つの識別は、「直前に動詞の未然形があるかどうか(単独で自立しているか)」を見ることで一瞬で判別できます。サ変動詞の「す(せ)」は自立語ですので、文中で「〜をする」「〜を行う」という意味の述語動詞として単独で機能します(例:『学問せむ』『物詣でせむ』)。
これに対し、助動詞の「す(せ)」は付属語ですので、必ず直前に別の動詞の未然形(四段・ナ変・ラ変のア段音)がくっついています(例:『書か+せ+給ふ』『言は+せ+けり』)。直前の言葉が動詞の未然形であれば助動詞、名詞の下にくっついて「〜する」の意味になっていればサ変動詞と判定しましょう。
| 識別の種類 | 直前の語と構造 | 例文と見分け方のコツ |
|---|---|---|
| 助動詞「す」の「せ」 | 四・ナ・ラ動詞の未然形(ア段音) | 『文を書かせ給ふ』➔ 直前の「書か」が動詞未然形なので助動詞 |
| サ変動詞「す」の「せ」 | 名詞または単独配置 | 『いみじく御装束せさせ給ふ』➔ 「装束(名詞)+せ(動詞)」+させ(助動詞) |
使役と尊敬の秒速見分け方と定期テスト予想問題
ここからは、高校古典文法における最大の難所である「使役」と「尊敬」の識別手順を詳しく解説します。2つのシンプルな質問に答えるだけの決定版フローを使えば、どんな長文問題でも迷うことなく正解を導き出せます。
直下に給ふなどの尊敬語がない場合の使役判定

使役と尊敬を識別するための【STEP 1】は、「助動詞『す・さす・しむ』の直下に『給ふ』『おはします』などの尊敬語があるかどうか」を確認することです。
もし、直下に尊敬語(給ふ・おはします等)が伴っていない場合、その助動詞は原則として100%「使役(〜させる)」になります。なぜなら、助動詞「す・さす・しむ」が単独で尊敬の意味を表すことは極めて稀であり、古文において尊敬の意味を表すときは、ほぼ必ず下に尊敬の補助動詞「給ふ」を伴って「せ給ふ」「させ給ふ」「しめ給ふ」という合体した形で現れるからです。
たとえば『人に手紙を持たす』『子を走らす』のように、直下が「給ふ」ではなく「けり」「き」「て」などの通常の助動詞や助詞である場合は、文脈を考えるまでもなく即座に「使役」と判定して間違いありません。まずはこのSTEP 1で多くの選択肢を瞬時に絞り込みましょう。
直下に「給ふ」がない場合 ➔ 100%「使役(〜させる)」で確定!
(例:『使ひを走らす』➔ 走らせる / 『薬を飲ます』➔ 飲ませる)
せ給ふさせ給ふの最高敬語と使役尊敬の見分け方
直下に「給ふ」がくっついて「せ給ふ」「させ給ふ」「しめ給ふ」となっている場合は、【STEP 2】に進みます。この形は以下の2つのパターンのいずれかになります:
- 最高敬語(二重尊敬) ➔ 「す・さす(尊敬)」+「給ふ(尊敬)」=「お〜になる、〜なさる」
- 使役 + 尊敬 ➔ 「す・さす(使役)」+「給ふ(尊敬)」=「〜にお…させになる」
最高敬語とは、天皇(帝・院)や中宮、皇太子など、国家の最高位にある極めて高貴な人物に対して、尊敬の言葉を2重に重ねて最大級の敬意を表す平安時代の特殊な敬語表現です。この場合、「せ・させ」自体には使役の意味は一切なく、単に敬意を強める働きをしています。
一方、高貴な人物が他者(臣下や従者など)に何かを命じて実行させている場面では、「せ・させ(使役)」と「給ふ(主語への尊敬)」が合体した「使役+尊敬」となります。この2つを見分ける決定的な目印が、次の見出しで解説する「助詞『に』」の存在です。
文中に動作をさせる対象の助詞にがあるかの確認
「せ給ふ・させ給ふ」が【最高敬語】なのか【使役+尊敬】なのかを見分ける最大の決め手は、「文中に、動作を行わされる相手(使役の対象)を示す格助詞『に』があるかどうか」です。
もし文中に「〜に(人に、大臣に、従者に等)」という動作の受け手が存在する場合、その文は「使役+尊敬」です。主語の高貴な人物が「〜に命じて、…をおさせになる」という使役の関係が明確に成立するからです(例:『帝、右大臣に琴を弾かせ給ふ』=帝が右大臣に琴をお弾かせになる)。
逆に、文中に「〜に」という動作の受け手がおらず、主語自身が直接その動作を行っている場合、その文は「最高敬語(尊敬)」になります(例:『帝、御車に乗らせ給ふ』=帝が御車にお乗りになる)。この「『に』の有無チェック」を使えば、どんな難問でも確実に正解できます。
| 構文パターン | 「に」の有無 | 文法的な意味 | 現代語訳の公式 |
|---|---|---|---|
| せ給ふ / させ給ふ | 「〜に」あり | 使役 + 尊敬 | [主語]が[〜に]…させなさる |
| せ給ふ / させ給ふ | 「〜に」なし | 最高敬語(尊敬) | [主語]が…お〜になる(なさる) |
助動詞す・さす・しむの定期テスト予想問題と解説

ここまでの知識を使って、実際の定期テストや大学入試で頻出する実戦問題に挑戦してみましょう!問題文を読んだ後、「解答と解説を見る」を開いて思考プロセスを確認してください。
次の文の( )内の動詞「読む」に適切な助動詞「す」または「さす」を接続させ、文脈に合う活用形に直して記せ。
文:『親、幼き子に古典の物語を(読む・[ ])て、寝かせつ。』
👉 解答と詳しい解説を見る
【正解】:読ませ
【思考プロセスと解説】:
1. 動詞「読む」はマ行四段活用(ま・み・む・む・め・め)です。
2. 四段活用の未然形は「読ま(ア段音)」となります。
3. 四段動詞の未然形に接続するのは助動詞「す」です。
4. 直後に接続助詞「て(連用形接続)」が続いているため、助動詞「す」を連用形「せ」に活用させます。
したがって、「読ま + せ ➔ 読ませ」が正解となります。
次の文中の傍線部①「せ」と②「させ」の文法的な意味(使役・尊敬)をそれぞれ答えよ。
文:『帝、帥の宮に御返事書か①せ給ふ。やがてみづからも御車に乗ら②させ給ひぬ。』
👉 解答と詳しい解説を見る
【正解】:① 使役 ② 尊敬(最高敬語)
【思考プロセスと解説】:
・傍線部①「せ」:直下に「給ふ」がありますが、文中に「帥の宮に」という動作の受け手(〜に)が存在します。帝が帥の宮に返事を書かせている使役の場面であるため、意味は「使役」(使役+尊敬)となります。
・傍線部②「させ」:直下に「給ひ」があり、文中に「〜に」という動作の受け手がいません。「みづから(帝ご自身が)御車にお乗りになる」という文脈であるため、帝に対する二重敬語としての「尊敬(最高敬語)」となります。
助動詞す・さす・しむの活用と識別を攻略する総括

今回は、古典文法の超重要助動詞である助動詞「す・さす・しむ」の意味、活用表、未然形接続のルール、そして使役と尊敬(最高敬語)の秒速識別法について徹底解説しました。
助動詞「す・さす・しむ」を完璧に攻略するための重要ポイントを最後におさらいしておきましょう:
- 意味の基本:他人に命じる「使役(〜させる)」と高貴な人を高める「尊敬(〜なさる)」の2大意味!
- 接続の法則:四段・ナ変・ラ変の未然形(ア段音)には「す」、それ以外の未然形には「さす」、すべての未然形には「しむ」!
- 活用の型:「す・さす・しむ」はすべて下二段型で変化する!(せ・せ・す / させ・させ・さす / しめ・しめ・しむ)
- 識別の黄金2ステップ:
- 直下に「給ふ」がない ➔ 100%「使役」
- 直下に「給ふ」がある(せ給ふ・させ給ふ) ➔ 文中に「〜に(動作の相手)」があれば「使役+尊敬」、なければ「最高敬語(尊敬)」!
このルールさえ頭に入っていれば、定期テストの空欄補充や活用問題はもちろん、大学入試の紛らわしい識別問題でも迷うことなく満点を取ることができます。何度も音読して、識別フローを自分のものにしてくださいね!
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