【古文】用枝の篳篥の現代語訳と品詞分解!テスト対策とあらすじ解説

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校の古文の授業で学ぶ『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』の有名説話『用枝の篳篥(もちえだのひちりき)』。定期考査や大学入試の範囲に指定されたものの、「登場人物の敬語の方向がややこしくて主語がわからない」「なぜ明尊僧正は急に泣き出したの?」「助動詞の品詞分解が難しくて解けない」と悩んでいる高校生はとても多いです。
この物語の魅力は、篳篥(ひちりき)が大嫌いだった偏屈な高僧・明尊僧正が、雅楽の名手である橘用枝(たちばなのもちえだ)の神がかった演奏によって激しく感動し、涙を流して己の非を認めるという劇的なカタルシスにあります。当時の雅楽文化や登場人物の心理変化を正しく押さえることで、読解問題は一気に満点レベルへと引き上がります。
そこで今回は、現役高校教員の視点から、『用枝の篳篥』の原文全文・1行ごとの現代語訳、助動詞や敬語の完全品詞分解、そして定期テストで必ず狙われる記述・選択予想問題(思考プロセス解説付き)まで徹底的に分かりやすく解説します!

たく先生!『用枝の篳篥』って、僧正が篳篥を嫌っていたのに最後は大泣きして褒めちぎるんですよね?どうしてそんなに気持ちが変わったのか、テスト対策のポイントと一緒に教えてください!

みちかさん、素晴らしい着眼点です!用枝の機転を利かせた行動や、仏教の教え(迦陵頻伽の声)と結びついた僧正の心理変化は、定期テストの記述問題で最も差がつく超頻出テーマです。品詞分解とセットで完璧にマスターしていきましょう!
用枝の篳篥のあらすじ現代語訳と登場人物の心情変化
まずは、物語の全体像と背景知識、そしてテストで最も問われやすい登場人物たちの心理変化のプロセスから整理していきましょう。
用枝の篳篥の出典である古今著聞集と時代背景

『用枝の篳篥』は、鎌倉時代中期(1254年成立)に橘成季(たちばなのなりすえ)によって編纂された世俗説話集『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』の巻第六(管絃歌舞の部)に収められている一話です。正式な題名は「志賀僧正用枝の篳篥を聴き初めて感涙の事」といいます。
平安時代から鎌倉時代にかけて、貴族や高僧たちにとって音楽(雅楽・管絃)は単なる娯楽ではなく、「人格や教養そのものを映し出す神聖な芸道」でした。本作は、至高の芸術がいかに頑なな人間の心を動かすかを描いた珠玉の名作です。
登場人物の人間関係と篳篥を嫌う明尊僧正の性格
本作に登場する主要人物は以下の通りです。それぞれの立場と関係性を下の表で確認しておきましょう。
| 登場人物 | 身分・立場 | 人物像と作中での役割 |
|---|---|---|
| 志賀僧正 明尊 (しがのそうじょう みょうそん) |
園城寺(三井寺)の長吏 最高位の高僧 |
もともと篳篥の甲高い音を生理的に嫌っていたが、用枝の絶妙な演奏を聴いて大号泣し、深く反省・絶賛する。 |
| 橘 用枝 (たちばなの もちえだ) |
当代屈指の雅楽家 篳篥の名手 |
乗船を拒否されるも「打楽器をする」と機転を利かせて乗り込み、深夜の絶妙なタイミングで篳篥を披露する。 |
| 伶人たち (楽人・演奏者たち) |
宴で演奏する音楽家たち | 僧正の機嫌を損ねることを恐れて用枝の乗船を拒み、用枝が篳篥を吹き始めた時は「座が白ける」と青ざめる。 |
湖上の三船の宴遊びと用枝が乗船した機転の真相
ある月明かりの美しい夜、琵琶湖上に「管弦(音楽)」「和歌(短歌)」「頌物(漢詩文)」の3艘の船を浮かべる「三船の宴(みふねのえん)」が催されました。
楽人たちが管弦の船に乗ろうとした際、「明尊僧正は篳篥がお嫌いだから、用枝は乗ってはならない。場がしらけてしまう(ことにがりなんず)」と乗船を拒否されます。しかし用枝は、「それなら打楽器(鉦鼓や太鼓)を担当しましょう(さらば打物をもこそ仕らめ)」と言って、強引に船に乗り込みました。
用枝は決してふてくされることなく、「いつか自分の篳篥を聴かせて僧正の偏見を覆してやる」という強い芸術的自信と覚悟を持っていたのです。
手を洗うふりをして篳篥を湖水に浸した用枝の狙い

夜が次第に更けて(深更に及ぶほどに)、酒宴のざわめきが静まり、月が湖面を照らす幽玄な静寂が訪れます。
ここで用枝はひそかに懐から篳篥を取り出し、湖水に浸して湿らせ始めました。篳篥の吹き口(リード・舌)は乾燥していると甲高く耳障りな音になりやすいため、「水でしっかりと潤して最高の柔らかい音色を出すための周到な準備」だったのです。
周囲の人から「篳篥を吹くのか?」と怪しまれると、用枝は「さにはあらず。手洗ふなり(そうではありません。手を洗っているのです)」と平然と答えて何食わぬ顔で座っていました。この抜け目のない機転と冷静さもテスト頻出ポイントです!
演奏後の明尊僧正の涙と迦陵頻伽の賛美のポイント
静寂の中、用枝がついに音取(ねとり・前奏)を吹き始めると、他の楽人たちは「ほら見たことか!余計な者を乗せて座が台無しになってしまう」と顔色を失って絶望します。
しかし、湖上に響き渡った用枝の音色は、言葉に尽くせないほど素晴らしく奥深い美しさ(めでたく妙にしてしみたり)でした。そのあまりの美しさに、居合わせた人々は皆涙をこぼします。
そして誰よりも激しく泣き崩れたのが、長年篳篥を嫌悪していた明尊僧正でした。僧正は次のように語って用枝を大絶賛します。
「仏教の正しい経典(正教)に、『篳篥は迦陵頻伽(かりょうびんが=極楽浄土に住む美しい声で鳴く鳥)の声を模したものだ』と説かれている。今までその言葉を信じずに篳篥を毛嫌いしていた己の浅はかさが本当に悔やまれる。今夜の褒美(纒頭・てんとう)は他の楽人には与えない。すべて用枝一人のものとする!」
用枝の篳篥のストーリーと登場人物の要点整理
ここまでのあらすじと登場人物の心理変化を、要点チェックリストにまとめました。後半の「原文・現代語訳・品詞分解」へ進む前に確認しておきましょう。
1. 用枝の機転と準備:「打楽器をする」と偽って乗船し、夜更けに湖水で篳篥を湿らせて最高の音色を準備した!
2. 楽人たちの動揺:「座がしらける」と恐れたが、神妙な演奏に全員が涙を流して聞き惚れた!
3. 僧正の劇的な改心:経典の「迦陵頻伽の声」を実感し、長年の偏見を心から恥じて用枝を独占表彰した!
用枝の篳篥の品詞分解と定期テスト対策の実戦予想問題
ここからは、定期テストで高得点を取るための必須知識である「原文・1行現代語訳・品詞分解・敬語の方向」、そして入試レベルの予想問題を徹底解説します。
用枝の篳篥の原文全文と1行ずつの正確な現代語訳

『用枝の篳篥』の原文全文と、1行ずつの正確な現代語訳です。テスト直前の通読に活用してください。
【原文①】:志賀僧正明尊、もとより篳篥を憎む人なりけり。
【訳①】:志賀の僧正明尊は、以前から篳篥(の音)を嫌う人であった。
【原文②】:ある時、月明き夜、湖上に三船を浮かべて、管弦・和歌・頌物の人を乗せて宴遊しけるに、伶人等その舟に乗らんとする時いはく、
【訳②】:ある時、月の明るい夜に、(琵琶)湖上に三艘の船を浮かべて、管弦・和歌・漢詩文の(各分野の)人々を乗せて宴遊したときに、楽人たちがその船に乗ろうとする時に言うことには、
【原文③】:「この僧正は篳篥憎み給ふ人なり。しかあれば用枝は乗るべからず。ことにがりなんず」とて、乗せざりければ、用枝、「さらば打物をもこそ仕らめ」とて、しひて乗りけり。
【訳③】:「この僧正は篳篥をお嫌いになる人だ。そうであるから用枝は乗ってはならない。興ざめしてしまうだろう」と言って、乗せなかったので、用枝は、「それなら打楽器でもいたしましょう」と言って、強引に乗った。
【原文④】:やうやう深更に及ぶほどに、用枝ひそかに篳篥を抜きいだして、湖水に浸して潤しけり。人々見て、「篳篥か」と問ひければ、「さにはあらず。手洗ふなり」と答へて、何となき体にて居たり。
【訳④】:だんだんと夜が更けるころに、用枝はひそかに篳篥を抜き出して、湖水に浸して湿らせた。人々が見て、「篳篥(を吹くの)か」と尋ねたところ、「そうではない。手を洗っているのだ」と答えて、何気ない様子で座っていた。
【原文⑤】:しばらくありて、つひに音取いだしたりければ、かたへの楽人ども、「さればこそいひつれ。よしなきものを乗せて、興さめなんず」と、色を失ひて嘆きあへるほどに、その曲めでたく妙にしてしみたり。聞く人皆涙落ちぬ。
【訳⑤】:しばらくして、(用枝が)ついに音取(前奏)を吹き出したところ、そばの楽人どもは、「だからこそ(乗せるなと)言ったのだ。つまらない者を乗せて、(せっかくの)興がさめてしまうだろう」と、顔色を失って互いに嘆き合っているうちに、その楽曲がすばらしく奥妙で心に深く染み入った。聞く人は皆涙がこぼれ落ちた。
【原文⑥】:年ごろこれをいとはるる僧正、人よりことに泣きていはれけるは、「正教に、篳篥は迦陵頻の声を学ぶといへることあり。この言を信ぜざりける、口惜しきことなり。今こそ思ひ知りぬれ。今夜の纒頭は他の人に及ぶべからず。用枝一人にあるべし」とぞいはれける。このことを後々までいひいだして、泣かれけるとぞ。
【訳⑥】:長年これを嫌っていらっしゃった僧正は、人よりも格別に泣いておっしゃったことには、「仏教の正しい経典に、『篳篥は迦陵頻伽の声を模したものである』と言っていることがある。この言葉を信じなかったのは、悔やまれることである。今こそ思い知った。今夜の褒美は他の人には渡してはならない。用枝一人に与えるべきだ」とおっしゃった。このことを後々まで話題に出しては、(僧正は)お泣きになったということだ。
助動詞と敬語の方向を整理する重要文法の品詞分解

定期テストで最も出題される重要文法(助動詞・敬語・係り結び)の品詞分解表です。以下の解説表で細部まで確認しましょう。
| 注目フレーズ | 品詞分解・文法要素 | 文法的意味・敬意の方向・テスト着眼点 |
|---|---|---|
| なりけり | 断定「なり」連用形 +過去「けり」終止形 |
「〜であった」。助動詞「けり」は直接体験していない伝聞過去。 |
| 乗らんとする | 四段動詞「乗る」未然形 +意志「む」連体形+格助「と」 |
助動詞「む」は主語(楽人たち)の意志「〜しようとする」。撥音便「乗らん」。 |
| 憎み給ふ | 本動詞「憎む」連用形 +尊敬補助動詞「給ふ」 |
「お嫌いになる」。楽人 ➔ 明尊僧正への敬意。 |
| 乗るべからず | 動詞「乗る」終止形 +不可能・禁止「べし」連用形 +打消「ず」 |
「乗ってはならない(禁止・不適当)」。 |
| ことにがりなんず | 動詞「事にがる」連用形 +強意「ぬ」未然形「な」 +推量「むず」終止形 |
「きっと座がしらけてしまうだろう」。「ぬ+むず」の確述用法。 |
| 打物をもこそ仕らめ | 係助詞「こそ」 +謙譲語「仕る」未然形 +適当・意志「む」已然形「め」 |
「打楽器でもいたしましょう」。用枝 ➔ 僧正への謙譲語。係り結び(こそ〜め)。 |
| さればこそいひつれ | 係助詞「こそ」 +動詞「言ふ」連用形 +完了「つ」已然形「つれ」 |
「だからこそ言ったのだ」。係り結び(こそ〜已然形)。 |
| 思ひ知りぬれ | 動詞「思ひ知る」連用形 +完了「ぬ」已然形「ぬれ」 |
「こそ」を受けて已然形「ぬれ」で結ぶ。「すっかり思い知った」。 |
| いとはるる | 動詞「いとふ」未然形 +尊敬「る」連体形 |
「お嫌いになる」。語り手(作者) ➔ 明尊僧正への尊敬。 |
| いはれける | 動詞「言ふ」未然形 +尊敬「る」連用形 +過去「けり」連体形 |
「おっしゃった」。語り手 ➔ 明尊僧正への尊敬。 |
| 泣かれけるとぞ | 動詞「泣く」未然形 +尊敬「る」連用形 +過去「けり」連体形 |
「お泣きになったそうだ」。係助詞「ぞ」の結び(連体形「ける」)。 |
定期テストに出る指示語や理由説明の記述対策
高校の定期考査で必ず出題される「記述問題の定番3パターン」です。模範解答のキーワードをそのまま暗記しておきましょう。
1. 指示語「さにはあらず」の内容:
👉 問:「さ」は何を指しているか?
👉 答:用枝が篳篥を吹くために準備をしていること(篳篥を吹こうとしていること)。
2. 理由説明「色を失ひて嘆きあへる」理由:
👉 問:楽人たちが顔色を失って嘆き合ったのはなぜか?
👉 答:僧正が大嫌いな篳篥を用枝が吹き始めたため、僧正の機嫌を損ねて宴の興がすっかり冷めてしまうと恐れたから。
3. 心情説明「口惜しきことなり」の理由:
👉 問:僧正が「口惜し(悔やまれる)」と感じたのはなぜか?
👉 答:経典に「篳篥は迦陵頻伽の声を模したもの」とある正しい教えを今まで信じず、長年にわたって篳篥を毛嫌いしてきた己の不明を悔やんだから。
入試レベルの読解力を試す用枝の篳篥の実戦問題演習
定期テストおよび大学入試レベルの実戦問題カード(全4問)に挑戦してみましょう。タップすると現役教員による思考プロセスと詳しい解説が開きます。
イ:願望の終助詞「なむ」+サ変動詞「す」の終止形
ウ:強意の助動詞「ぬ」の連用形+推量の助動詞「む」の撥音便+格助詞「ず」
エ:打消の助動詞「ず」の連体形+断定の助動詞「なり」の撥音便
👉 正解と詳しい解説を見る(タップで開閉)
「なんず」は、完了・強意の助動詞「ぬ」の未然形「な」に、推量の助動詞「むず(んず)」が接続した連語です。「きっと〜してしまうだろう」という強い確述推量を表します。
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四段動詞「いとふ」の未然形「いとは」に接続する「る」は、主語が高貴な身分(園城寺の長吏である明尊僧正)であるため「尊敬(お〜になる)」の意味になります。地文であるため敬意の主体は筆者となります。
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篳篥は葦(あし)で作られた舌(リード)を十分に湿らせないと良い音が出ません。篳篥嫌いの僧正を納得させる最高峰の音色を奏でるための、用枝の計算された準備です。
👉 正解と詳しい解説を見る(タップで開閉)
『古今著聞集』巻第六(管絃歌舞)の基本理念である「芸道の神聖さと感動の力」を象徴する説話です。
古文の用枝の篳篥のあらすじと重要文法総まとめ

※本解説で取り上げた『古今著聞集』の原本影印・翻刻データは、国立国会図書館デジタルコレクションおよび国文学研究資料館の所蔵資料に基づき、教科書・共通テストの学習用に検証・作成しています。
1. 出典:鎌倉中期の世俗説話集『古今著聞集』(橘成季 編纂)
2. 登場人物:篳篥嫌いの明尊僧正 vs 名手・橘用枝
3. ストーリーの核心:打楽器と偽って乗船 ➔ 深夜に湖水で篳篥を潤す ➔ 神妙な演奏で全員感涙 ➔ 僧正が迦陵頻伽の教えを悟り大絶賛!
4. テスト頻出文法:「ことにがりなんず(確述推量)」「打物をもこそ仕らめ(係り結び・謙譲語)」「いとはるる(尊敬)」
『用枝の篳篥』の背景や文法構造をしっかり理解しておけば、定期考査や入試の読解問題で確実に高得点を狙えます。他の説話文学(『宇治拾遺物語』や『沙石集』など)や重要助動詞の解説記事もあわせて復習しておきましょう!
定期テストで高得点を取る秘訣は、解説を読むだけでなく「自力で思い出すテスト(想起練習)」を行うことです。この記事で解説した原文逐語訳・「なんず」などの助動詞識別・敬語の方向・心情理由記述を完全網羅した公式デッキ「【古今著聞集・用枝の篳篥】定期テスト頻出対策マスター32選」を、自作AI暗記アプリ「PathMemoria」にて完全無料で公開しています。
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