古文
PR

古文の時刻と方位の覚え方!十二支と鐘の数の数え方を表で解説

平安時代の夜明けの空に輝く満月と美しい都の風景
たく先生
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「古文の文章を読んでいると『子の刻』や『暮六つ』といった時刻表現が出てくるけれど、現代の何時なのかパッと分からない」「『丑三つ時』や『昼八つ』の鐘の数え方が複雑で覚えられない」「十二支を使った方位の表し方や、平安貴族の『方違へ』の意味が試験で問われて困ってしまう」。高校の古典の授業や大学入試対策を進める中で、このような時刻や方位の古典常識に頭を抱える受験生は非常に多いです。

古文の世界では、私たちが普段使っている24時間制の時計ではなく、十二支(子・丑・寅・卯……)や寺社の鐘の数(九つ〜四つ)を使って時刻を表現していました。この時間感覚を正しく理解していないと、登場人物が夜這いに訪れた時間帯や、別れを惜しむ夜明けの情景描写を正しく読み解くことができません。

この記事では、現役高校国語教師として20年以上教壇に立つ私が、十二支と現代時刻・鐘の数・方位の完全対応表を分かりやすく整理しました。時計の文字盤をイメージして一瞬で換算する裏ワザから、「暁」「曙」「黄昏」といった朝夕の重要古文単語、平安貴族の方位信仰、入試頻出の実戦問題まで徹底的に解説します。

古文の時刻と方位の仕組みと数え方

十二支を使った時刻と現代時間の対応表

古代日本の宮廷で静かに時を刻む木製の水時計(漏刻)

古文の時刻の基本は、「1日24時間を十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)に当てはめて12等分する」という仕組みです。1つの十二支が担当する時間は「1刻(いっこく)=約2時間」となります。

基準となるのは、真夜中の「子の刻(ねのこく=午後11時〜午前1時・中心は午前0時)」と、真昼の「午の刻(うまのこく=午前11時〜午後1時・中心は昼の12時)」です。

私たちが日常で使っている「正午(しょうご)」という言葉は、まさに「午の刻のちょうど真ん中(昼12時)」を意味しています。そして、午の刻よりも前だから「午前」、午の刻よりも後ろだから「午後」と呼ぶのです。このように、現代の日本語にも古文の時刻の知恵がそのまま息づいています。

鐘の数で時刻を呼ぶ九つから四つの謎

古文や時代劇では、十二支だけでなく「夜九つ」「昼八つ」「暮六つ」というように、「鐘の数(打数)」で時刻を呼ぶ数え方が頻出します。

ここで誰もが抱く疑問が、「なぜ一番最初が『九つ』で、そこから『八、七、六、五、四』と減っていくのか?」という点です。

この数え方は、中国の古代思想である「陰陽道(易経)」に基づいています。陰陽道では奇数を縁起の良い「陽の数」とし、奇数の中で最も大きい極限の数字「九」を最も尊い数と考えました。そのため、真夜中の「子」と真昼の「午」という最重要の基点に「九つ」を割り当てたのです。

そこから時間が2時間進むごとに、九から1ずつ減らして「八つ」「七つ」「六つ」「五つ」「四つ」と数えていきます。「三・二・一」がないのは、神仏の法要や合図で打つ神聖な鐘の数と区別するためです。昼の「未の刻(午後2時頃)」に打たれる鐘が「八つ」であったことから、この時間帯に食べる間食を「おやつ(お八つ)」と呼ぶようになりました。

丑三つ時とは何時か?刻を4等分する知恵

怪談や古典文学で有名な「丑三つ時(うしみつどき)」ですが、具体的に何時何分頃を指しているのか正確にご存知でしょうか。

みちか
みちか

たく先生!『草木も眠る丑三つ時』ってよく聞きますけど、丑の刻(午前1時〜3時)の中のどこを指しているんですか?

たく先生
たく先生

良い着眼点だね!昔の人は、約2時間ある1つの刻をさらに細かく4等分(約30分ずつ)して、『一つ・二つ・三つ・四つ』と呼んだんだ。だから『丑三つ時』は、丑の刻の3番目である『午前2時〜午前2時30分頃』を指すんだよ!

丑の刻(午前1時〜3時)を4等分すると、丑一つ(1:00〜1:30)、丑二つ(1:30〜2:00)、丑三つ(2:00〜2:30)、丑四つ(2:30〜3:00)となります。深夜の最も暗く静まり返ったピークこそが「丑三つ時」であり、怨霊やもののけが現れる不気味な時間帯として文学作品に描かれたのです。

定時法と不定時法の違いと季節の変化

古文読解において見落としがちなのが、「定時法(ていじほう)」と「不定時法(ふていじほう)」の違いです。

定時法と不定時法の決定的な違い

・定時法(平安貴族・宮廷): 宮中の水時計(漏刻)を用い、季節に関係なく1日を均等に24時間(1刻=2時間)で分割する方式。
・不定時法(江戸時代・庶民生活): 「日の出(明け六つ)」と「日没(暮れ六つ)」を基準とし、昼と夜をそれぞれ6等分する方式。
・季節による伸縮: 不定時法では、夏は昼の1刻が長く(約2時間40分)夜が短くなり、冬は逆に夜の1刻が長くなる。

高校の古文で登場する平安文学(『源氏物語』『枕草子』『土佐日記』など)の時代は、基本的に「均等な定時法」が宮廷の公式時間として運用されていました。ただし、貴族たちの日常生活感覚としては太陽の出没(夜明け・日暮れ)が大きな行動基準になっていた点も併せて理解しておきましょう。

十二支と鐘の数と現代時刻の完全対照表

古文に登場する十二支時刻、鐘の数、現代時刻、対応する方位を一覧表にまとめました。試験前の確認や読解時の辞書代わりにご活用ください。

十二支 鐘の数(呼称) 現代時刻(中心時刻) 対応する方位 文学・常識・関連事項
子(ね) 夜九つ 23:00〜1:00(0:00) 北 真夜中。「正子(しょうし)」。北極星の方角。
丑(うし) 夜八つ 1:00〜3:00(2:00) 北北東 丑三つ時(2:00〜2:30)。草木も眠る怪異の時間。
寅(とら) 暁七つ 3:00〜5:00(4:00) 東北東 「暁(あかつき)」。男が女の元から帰る後朝の時間。
卯(う) 明六つ 5:00〜7:00(6:00) 東 日の出・「東雲・曙」。東風(こち)の吹く春の方角。
辰(たつ) 朝五つ 7:00〜9:00(8:00) 東南東 朝の活動開始。朝食の時間帯。
巳(み) 昼四つ 9:00〜11:00(10:00) 南南東 午前中の活動の盛り。日が高く昇る頃。
午(うま) 昼九つ 11:00〜13:00(12:00) 南 「正午」。太陽が南中する真昼。午前・午後の境。
未(ひつじ) 昼八つ 13:00〜15:00(14:00) 西南西 「おやつ(お八つ)」の語源となった間食の時間。
申(さる) 夕七つ 15:00〜17:00(16:00) 西南西 夕方の訪れ。日差しが西に傾き始める頃。
酉(とり) 暮六つ 17:00〜19:00(18:00) 西 日の入り・「夕暮れ・黄昏」。鳥が巣へ帰る時間。
戌(いぬ) 宵五つ 19:00〜21:00(20:00) 西北西 「宵(よい)」。夜の訪れ。貴族の夜這い出発時間。
亥(い) 夜四つ 21:00〜23:00(22:00) 北北西 就寝時間。「亥の子餅(いのこもち)」の風習。

この表を頭に入れておくだけで、古文の文章中に登場するあらゆる時刻表現を即座に現代時間に置き換えることができます。

時計の文字盤をイメージする最強の暗記法

十二支の順番を丸暗記しようとすると試験本番で混乱してしまいます。最も確実でおすすめなのが、「現代のアナログ時計の文字盤をイメージする暗記法」です。

アナログ時計を使った十二支時刻の時短換算テク

・4大基点を押さえる: 12時(真上=北)=「子」、3時(右=東)=「卯」、6時(真下=南)=「午」、9時(左=西)=「酉」。
・数字を2倍にする法則: 時計の数字を2倍にすると現代時刻になります。例えば「卯(3時)」は3×2=午前6時、「酉(9時)」は9×2=18時(午後6時)。
・鐘の数の覚え方: 子と午の「九つ」から時計回りに「八・七・六・五・四」とカウントダウンするだけ。

この「東西南北の4基点」と「時計の針×2倍ルール」さえ覚えておけば、試験会場で用紙の余白に時計の円をサッと描くだけで、わずか5秒で正確な時刻を割り出すことが可能です。

古文の時刻と古典常識をマスターする技

暁や曙など朝を表す古文単語の時間帯

山際がほんのりと紫色に白み始める春の曙の風景

大学入試や定期テストで頻出なのが、「夜明けの時間の移り変わりを表す言葉の順序」を問う問題です。現代語では同じ「明け方」に思える言葉も、平安貴族にとっては明確に区別されていました。

時間の早い順に並べると、以下のグラデーションになります。

1. 暁(あかつき): 夜がまだ明けない暗い時間(午前3〜5時頃・寅の刻)。平安貴族の通い婚において、男が女の屋敷から帰宅する「後朝(きぬぎぬ)の別れ」の切ない時間帯です。
2. 東雲(しののめ): 東の空の雲がわずかに白み始める頃。
3. 曙(あけぼの): ほのぼのと夜が明ける頃(午前5〜6時頃・卯の刻)。清少納言が『枕草子』の冒頭で「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは……」と絶賛した時間帯です。
4. 朝ぼらけ(あさぼらけ): 朝の光が差し込み、物の形がおぼろげにはっきりと見分けられる早朝。

黄昏と彼は誰時の語源と夕暮れの美学

夕暮れから黄昏へと移ろう平安貴族の屋敷と庭園

朝と同様に、夕暮れ時の表現にも平安文学の繊細な情緒が凝縮されています。

太陽が沈んで周囲が薄暗くなり、人の顔が見分けにくくなる時間帯を「黄昏(たそがれ)」と呼びます。この語源は、「そこにいるあの人は誰だろうか?」と尋ねる「誰そ彼(たそかれ)」という古語から来ています。

対になる言葉として「彼は誰時(かはたれどき=彼は誰)」がありますが、こちらは本来、明け方の薄暗い時間帯を指していました。夕暮れは魔物や妖怪に出会いやすい「逢魔が時(おうまがとき)」とも呼ばれ、平安の人々にとって美しさと不気味さが同居する特別な時間帯だったのです。

十二支で表す方位と鬼門や方違への風習

十二支は時刻だけでなく、「方位(方角)」を表す基準としても使われていました。真北を「子」、真東を「卯」、真南を「午」、真西を「酉」とし、360度を12等分(30度ずつ)します。

方位の名称 十二支の組み合わせ 現代の方角 古典常識・陰陽道での意味
艮(うしとら) 丑と寅の間 北東 鬼門(きもん)。邪気や鬼が出入りする最悪の不吉な方角。比叡山延暦寺が京都の北東に建てられた理由。
巽(たつみ) 辰と巳の間 南東 風門(ふうもん)。春の心地よい風が入る縁起の良い方角。
坤(ひつじさる) 未と申の間 南西 裏鬼門(うらきもん)。鬼門の正反対に位置し、鬼門に次いで警戒すべき方角。
乾(いぬい) 戌と亥の間 北西 天門(てんもん)。尊い天の方角。

平安貴族は陰陽道の方位神を強く信仰しており、目的地の方角に凶神がいることを「方塞がり(かたふさがり)」と言って恐れました。これを回避するため、前夜のうちに別の安全な方角へ宿泊し、翌朝そこから目的地へ向かう風習を「方違へ(かたたがえ)」と呼びます。『源氏物語』などの古典物語で貴族が他人の邸宅に泊まり歩く場面は、この方違へが動機となっていることが非常に多いのです。

定期テストや入試で問われる実戦演習問題

自習室で古文の十二支と時刻の図を見ながら熱心に学ぶ高校生

学んだ知識を定着させるため、定期テストや共通テストで実際に出題される典型的な2問に挑戦してみましょう。解き終えたらアコーディオンを開いて解説を確認してください。

📝 実戦演習問題(古文の時刻と古典常識)

【問1(時刻の換算)】: 古文の文章中に「暮六つの鐘を聞きて、急ぎ門を出づ」とある。傍線部「暮六つ」はおよそ現代の何時頃を指すか。適切な時間帯を答えよ。
【問2(古典常識と読解)】: 平安貴族の風習に関する説明として、目的地が凶神の方角に当たっているために前夜に別の方向へ泊まる行為を何と呼ぶか。漢字四文字で記せ。

💡 解答と詳しい思考プロセスの解説を見る(クリックで開閉)

【問1の正解】: 午後6時頃(17:00〜19:00頃 / 夕方・日没頃)
【思考プロセス】: 「暮六つ」は日の入り(夕暮れ)を告げる鐘であり、十二支では「酉の刻」に対応します。アナログ時計の9時の位置(酉)×2=18時(午後6時)と計算すれば瞬時に導けます。

【問2の正解】: 方違へ(かたたがえ / 方違え)
【思考プロセス】: 不吉な方角(方塞がり)を避けるために、前夜に方角を変えて宿泊する風習は「方違へ」です。平安物語文学における恋愛や人間関係のきっかけとなる最頻出の常識語です。

古文単語だけでなく、時刻・方位・宮廷風習などの古典常識をイラスト付きで体系的にインプットしたい受験生には、以下の名著単語集が最もおすすめです。

古文の時刻と方位を攻略する総括まとめ

みちか
みちか

たく先生、時計の針を2倍にする計算ルールと対照表のおかげで、古文の時刻がすっきり理解できました!テストでも迷わず解けそうです!

たく先生
たく先生

よく頑張ったね、みちかちゃん!古文の時刻と方位は、『仕組みさえ理解すれば誰でも確実に満点が取れる得点源』なんだ。古典文学の世界をより鮮やかにイメージしながら読解を楽しんでね!

古文の時刻と方位マスターの総括ポイント

・十二支と時間: 1刻は約2時間。子(0時・北)と午(12時・南)を基点に時計回りで換算する。
・鐘の数: 陰陽道の最大数「九」から八・七・六・五・四と減る。昼八つは「おやつ」の語源。
・朝夕の単語: 暁(暗い夜明け前)➔ 曙(山際が明るい)➔ 朝ぼらけ。黄昏は「誰そ彼」が語源。
・方位と風習: 艮(北東=鬼門)、坤(南西=裏鬼門)。凶方回避のための「方違へ」を押さえる。

十二支や古文単語、古典文法の暗記は、科学的な分散学習(間隔反復)を取り入れることで、短期間で忘れにくく定着させることができます。スキマ時間を活用してスマホで効率よく暗記を進めましょう。

科学的アプローチで古文常識の暗記不安をゼロに!

古典の身分や貴族社会の風習については、上達部(かんだちめ)の意味と読み方や、垣間見(かいまみ)の恋愛風習解説もあわせてご覧ください。また、文法の基礎を固めたい方は古文の活用形の見分け方や助動詞一覧完全まとめで詳しく解説しています。高等学校の古典学習指導要領については、文部科学省の高等学校学習指導要領解説(国語編)をご参照ください。

ABOUT ME
たく先生
たく先生
現役高校教師 / 国語科
指導歴20年以上。西日本の私立高校で、古典と「最短ルートで合格する勉強法」を教えています。 教師の枠を超え、FP2級・簿記3級も取得。「賢く学び、賢く生きる」ための知識を、本音で発信します。
記事URLをコピーしました