【古文】『用枝の篳篥』定期考査対策!あらすじ・現代語訳・品詞分解を完全解説

高校の古文の授業で学ぶ『用枝の篳篥(もちえだのひちりき)』。定期考査の範囲に指定されたものの、「古典文法が難しくて現代語訳ができない」「誰が誰に対して敬語を使っているのか分からない」と悩んでいる高校生も多いのではないでしょうか。
この記事では、『用枝の篳篥』でテストに出題されやすい重要語句や助動詞・敬語の品詞分解から、登場人物の心情変化までを徹底的に解説します。この記事を読めば、定期テストで高得点を狙うためのポイントがすべて把握できますよ!

「先生!『用枝の篳篥』がテスト範囲なんですが、登場人物の気持ちの変化が複雑で、どうやって勉強すればいいのか分かりません…。」

用枝の機転や、明尊僧正の心変わりの部分は頻出問題だね!点数を落としやすい文法問題のポイントもまとめて解説するから、一緒に頑張ろう!
用枝の篳篥の全体像とあらすじについて
まずは、細かい文法や現代語訳に入る前に、作品のバックグラウンドや物語の全体像を掴んでおきましょう。古文の読解では、ストーリー展開と登場人物の相関関係を頭に入れておくことが、内容一致問題や心情説明問題を解くための強力な武器になります。
『用枝の篳篥』の本文(原文全文)

以下が『用枝の篳篥』の原文です。テスト前には必ず音読をして、リズムと内容を体に染み込ませましょう。
志賀僧正(明尊)、もとより篳篥を憎む人なりけり。ある時、明月の夜、湖上に三船を浮べて、管絃・和歌・頌物の人を乗せて宴をしけるに、伶人等その舟に乗らんとする時いはく、「この僧正は篳篥憎み給ふ人なり。しかあれば、用枝は乗るべからず。ことにがりなんず」とて乗せざりければ、用枝、「さらば、打物をもこそつかまつらめ」とて、しひて乗りてけり。
やうやう深更に及ぶほどに、用枝、ひそかに篳篥を抜き出だして、湖水に浸してうるほしけり。人々見て、「篳篥か」と問ひければ、「さにはあらず。手洗ふなり」と答へて、何となき体にてゐたり。しばらくありて、つひに音取(ねとり)出だしたりければ、かたへの楽人ども、「さればこそ言ひつれ。よしなき者を乗せて興さめなんず」と、色を失なひて歎きあへるほどに、その曲めでたく妙(たへ)にしてしみたり。聞く人、みな涙おちぬ。
年ごろこれをいとはるる僧正、人よりことに泣きて言はれけるは、「正教に、『篳篥は迦陵頻(かりようびん)の声を学ぶ』と言へることあり。このことを信ぜざりける、口惜しきことなり。今こそ思ひ知りぬれ。今夜の纏頭(てんとう)は他人に及ぶべからず。用枝一人にあるべし」とぞ言はれける。この事を後々まて言ひ出だして泣かれけるとぞ。
著作権フリー!完全オリジナル現代語訳

他社教材等のコピーではなく、直訳と意訳のバランスを考慮した、ミチプラス版の「完全オリジナル現代語訳」を作成しました!自習やテスト前の最終確認に安心してご活用ください。
志賀僧正(明尊)は、もともと篳篥の音が大嫌いな人物であった。ある時、美しい月明かりの夜に、琵琶湖の湖上に三隻の船を浮かべ、音楽や和歌、漢詩の朗詠を得意とする人々を乗せて優雅な宴会を開いていた時のことである。楽人たちがその船に乗り込もうとした時、彼らはこう言い合った。「この僧正様は篳篥をお嫌いになっているお方だ。だからこそ、(篳篥の名手である)用枝を乗せてはならない。きっと(僧正の)機嫌を損ねてしまうだろう」と。こうして用枝を船に乗せようとしなかったのだが、用枝は「それならば、私は打楽器の担当をいたしましょう」と言いくるめて、無理やり船に乗り込んでしまった。
やがて夜も更けてきた頃、用枝はこっそりと自分の篳篥を取り出し、湖の水に浸してリードを湿らせた。周囲の人々がそれを見て、「篳篥か?」と尋ねると、用枝は「いや、そうではない。手を洗っているのだ」とごまかして、何食わぬ顔で座っていた。しばらくして、ついに用枝が篳篥の音合わせ(音取)を吹き始めたので、傍らにいた楽人たちは「だから言ったではないか。あんな余計な者を乗せたせいで、宴の雰囲気が台無しになってしまうぞ」と、顔面蒼白になって互いに嘆き合っていた。ところが、用枝の奏でるその音楽は、信じられないほど見事で美しく、周囲の心に深く染み渡るものであった。その音色を聴いた人々は、みな涙をこぼした。
長年、篳篥を忌み嫌っていらっしゃった僧正も、他の誰よりも激しく涙を流してこうおっしゃった。「仏教の正しい教えに、『篳篥の音色は、極楽浄土の鳥である迦陵頻伽の美しい声を模したものである』という言葉がある。私はこれまでこの言葉をずっと信じていなかったが、それこそが何とも残念なことであった。今こそ、その言葉が真実であることをはっきりと思い知らされた。今夜の(演奏者への)褒美は、他の誰に与えるべきでもない。用枝ただ一人に与えられるべきである」と。僧正は、その後もずっとこの出来事を語り草にしては、感動して泣いていらっしゃったということだ。
作品の出典である古今著聞集について

『用枝の篳篥』の出典は、鎌倉時代に成立した説話集である『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』です。編者は橘成季(たちばなのなりすえ)で、平安時代から鎌倉時代初期にかけての様々なエピソード(説話)がテーマ別に分類されて収められています。
この作品は「管絃(かんげん)」、つまり音楽に関するテーマの巻に収録されています。古文の定期テストでは、「出典名」「成立時代」「ジャンル(説話)」は冒頭の知識問題として非常によく出題されます。確実に得点できるように、これらの基礎知識はセットで暗記しておきましょう。
説話の魅力は、教訓だけでなく、当時の人々の生き生きとした感情やユーモアが描かれている点にあります。今回の『用枝の篳篥』も、周囲の偏見を実力でひっくり返すという、非常にドラマチックで痛快なストーリー展開が特徴です。

出典の問題は絶対落としたくないですね!「鎌倉時代の説話集、古今著聞集」と唱えて覚えます!
用枝の篳篥の登場人物とあらすじ

この物語の主な登場人物は、志賀の明尊僧正(みょうそんそうじょう)と、篳篥(ひちりき)の名手である和邇部用枝(わにべのもちえだ)の二人です。明尊僧正は非常に位の高いお坊さんですが、「篳篥の音が大嫌い」という変わった特徴を持っていました。
ある夜、琵琶湖で管絃の遊び(船の上での音楽会)が開かれます。楽人として用枝もその場にいましたが、僧正の機嫌を損ねることを恐れた周囲の人々は、用枝を船に乗せまいとします。しかし、用枝は「それなら打楽器を担当する」と嘘をついて強引に乗船します。
宴が盛り上がった頃、用枝はこっそりと篳篥の準備を始め、突如として素晴らしい音色を奏で始めます。最初は怒るかと思われた明尊僧正でしたが、そのあまりに美しい演奏に感動し、誰よりも涙を流して用枝を絶賛するというのが物語のあらすじです。
「偏見(嫌いという先入観)が、真の芸術によって覆される」というテーマ性が、この作品の最も重要なポイントになります。
明尊僧正が篳篥を嫌う理由について

テストでよく問われるのが、「なぜ明尊僧正は篳篥を嫌っていたのか」という点です。本文では直接的な理由は深く語られていませんが、「篳篥の音はやかましい(あるいは趣味に合わない)」という先入観を持っていたことが伺えます。
篳篥は雅楽で主旋律を担当する楽器で、チャルメラのように非常に大きく、独特の鋭い音色を持っています。そのため、静かで優雅な音楽を好む人からは敬遠されることもあったようです。明尊僧正も、そのような「固定観念」に囚われていた一人でした。
この「僧正は篳篥が嫌い」という前提があるからこそ、周囲の楽人たちは「用枝が船に乗ると、僧正の機嫌を損ねて宴が台無しになる(興を醒ます)」と心配しました。この周囲の忖度(そんたく)の気持ちを現代語訳できるかどうかは、読解問題での大きな分かれ目となります。

周りの人たちが用枝を船に乗せたくなかった理由は記述問題の定番だ。僧正の好みを気にして、場の空気が悪くなるのを恐れたんだね。
用枝が船に乗り込んだ機転について

乗船を拒まれた用枝ですが、ただでは引き下がりません。彼は「篳篥は吹かない。打ち物(打楽器)を担当するから乗せてくれ」と嘘をついて、まんまと船に乗り込みます。この行動には、彼自身の「自分の篳篥の腕前なら、必ず僧正を感動させられる」という強い自信が表れています。
また、乗船後にも彼の機転が見られます。篳篥は演奏前に蘆(あし)で作られたリード部分(舌)を湿らせる必要があります。用枝が湖の水でリードを湿らせているのを不審に思った人が尋ねると、彼は「手を洗っているだけだ」と上手くごまかします。
この場面での会話のやり取りは、文法問題や現代語訳問題として頻出です。用枝の行動が、「僧正を驚かせ、自分の実力を認めさせるための周到な準備」であったことを理解しておきましょう。
テストで問われやすい心情変化について

『用枝の篳篥』のハイライトは、演奏を聴いた後の明尊僧正の心情の大きな変化です。最初は篳篥を忌み嫌っていた僧正ですが、用枝の演奏を聴いて感動のあまり涙を流します。
僧正は作中で「篳篥は迦陵頻伽(かりょうびんが)の声を学ぶという教えを、これまで信じていなかったが、今ようやく思い知った」と語ります。迦陵頻伽とは、極楽浄土に住むとされる、非常に美しい声を持つ伝説上の鳥のことです。
テストでは、「僧正の心情はどのように変化したか」という記述問題がよく出題されます。「篳篥に対して抱いていた偏見が消え、用枝の卓越した技術によって篳篥の本当の美しさに気づき、深い感動と称賛の念を抱くようになった」という論理展開で解答を作成できるように準備しておきましょう。

「迦陵頻伽」って難しい言葉ですね!意味を知らないと解けない問題になりそうだから、しっかり覚えておきます!
用枝の篳篥の現代語訳と品詞分解でのポイント
ここからは、定期テストで得点源となる「現代語訳」と「古典文法(品詞分解)」の具体的な対策に入っていきましょう。特に、助動詞の識別と敬語の使われ方は、出題者が最も点数の差をつけやすいポイントです。
冒頭から乗船までの現代語訳と重要単語

物語の冒頭部分では、僧正が篳篥を嫌っていることや、周囲が気を遣う様子が描かれます。ここで重要な古文単語は「興ざむ(興をそぐ、しらける)」や「すさまじ(興ざめだ、殺風景だ)」などです。
「乗るべからず(乗るべきではない)」という表現には、周囲の強い禁止や拒絶の意志が含まれています。用枝が「打ち物仕らむ(打楽器をいたしましょう)」と騙すシーンでは、「仕る(つかまつる)」という謙譲語が使われており、自分をへりくだって乗船の許可を求めるニュアンスを正確に現代語訳する必要があります。
また、「手を洗ふなり」とごまかすシーンの「なり」の識別(断定の助動詞)も定番の文法問題です。文脈に沿って、単語一つひとつの意味を正確に拾いながら訳す練習をしておきましょう。
演奏開始から結末までの現代語訳と文法

宴がたけなわになり、用枝が篳篥を吹き始めるシーンは非常に劇的です。周囲の「あな、すさまじ(ああ、興ざめだ)」という落胆の言葉から、一転して素晴らしい音色が響き渡るギャップが描かれます。
僧正が感動する場面での「いみじくあはれに聞こえければ(たいそう趣深く聞こえたので)」という一文は、心情の変化を表す超重要ポイントです。「いみじ」は文脈によって良い意味(素晴らしい)にも悪い意味(ひどい)にもなりますが、ここでは良い意味で使われています。
結末の「今宵の纏頭(てんとう)は、用枝一人取るべし」という僧正のセリフも頻出です。「纏頭」とは演奏者へのご褒美(祝儀)のことで、「べし」は当然や義務(〜するべきだ)の意味になります。僧正の最大限の賛辞を表現する重要なセリフとして押さえておいてください。

「あはれ」は「しみじみとした趣がある」という超重要古語だね。単に「あわれだ」と訳さないように注意しよう!
重要な助動詞の意味と活用形について

古文の定期考査において、助動詞の識別は避けて通れません。『用枝の篳篥』の中で特に注意すべき助動詞をいくつかピックアップします。
① 「る・らる」の識別
自発・可能・受身・尊敬の意味を持ちますが、文脈からどれに該当するかを判断する問題がよく出ます。特に、自然と感情が湧き上がる「自発」の意味には要注意です。
② 「き・けり」の過去の助動詞
説話は過去の出来事を語るため、「〜けり」が多用されます。連用形接続であることをしっかりと思い出しましょう。
③ 推量・意志の「む」
用枝が嘘をつく場面での「仕らむ」の「む」は、「〜しよう」という意志を表します。適当や勧誘などの他の意味と区別できるようにしておきましょう。
これらの助動詞に傍線が引かれ、「意味と活用形を答えよ」という形式で出題されることが非常に多いです。不安な場合は、教科書の本文のコピーを取り、すべての助動詞に色ペンでマーカーを引き、意味を書き込む学習法が効果的です。
敬語の使われ方と敬意の方向について

古文において、敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)と「誰から誰への敬意か(敬意の方向)」を問う問題は、配点が高い傾向にあります。この作品には高僧である「明尊僧正」が登場するため、彼に対する敬語が随所に見られます。
例えば、「僧正ののたまはく(僧正がおっしゃるには)」の「のたまふ」は「言ふ」の尊敬語で、作者(編者)から僧正に対する敬意を表しています。また、周囲の人が僧正に対して行動を起こす際の謙譲語(申し上げる、など)もチェックが必要です。
【敬意の方向を見極める基本ルール】
- 地の文:作者(語り手)から、その動作の主(尊敬語)、または動作の受け手(謙譲語)への敬意。
- 会話文:そのセリフを話している人物から、動作の主や受け手への敬意。
これを理解した上で本文を読み直すと、物語の中での身分関係や、人々がいかに僧正に気を遣っていたかがより深く理解できるようになります。
定期考査で出題される予想問題と解説

ここで、実際の定期考査を想定した予想問題に挑戦してみましょう。テスト直前の腕試しとして活用してください。
【問題1】「興ざむる事なり」と周囲が用枝の乗船を止めた理由を、僧正の好みを踏まえて現代語で説明せよ。
解答と解説を見る
【解答】僧正は篳篥の音が大嫌いであるため、篳篥の名手である用枝が船に乗り込んで演奏してしまうと、僧正の機嫌を損ねてせっかくの宴の雰囲気が台無しになってしまうと考えたから。
【解説】「興ざむ」の意味を「雰囲気が台無しになる、しらける」と正確に訳出することと、「僧正の篳篥嫌い」という背景をセットにして論理的に記述することがポイントです。
【問題2】僧正が「篳篥は迦陵頻伽の声を学ぶ」という教えを「今こそ思い知らるれ」と語ったのはなぜか。心情の変化を踏まえて説明せよ。
解答と解説を見る
【解答】これまで篳篥を嫌い、その美しい音色の例えを信じていなかったが、用枝の素晴らしい演奏を実際に聴いたことで、初めてその言葉の真実性を心から実感し、深く感動したから。
【解説】過去の「偏見(信じていなかった)」と、現在の「実感と感動(今こそ思い知った)」という対比構造を解答に盛り込むと、部分点を取りこぼさない完璧な答案になります。

記述問題はただ訳すだけじゃダメなんですね。過去と現在の対比を書くのがコツなんだ!
用枝の篳篥で高得点を取るための勉強法まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は『用枝の篳篥』の定期考査に向けた対策ポイントを解説してきました。古文の学習は、ただ暗記するだけでなく、物語の情景や人物の気持ちを想像しながら読み進めることが大切です。
最後に、テスト直前に必ず確認すべき勉強のステップをまとめます。
- まずは本文の音読を繰り返し、あらすじとストーリー展開を完全に頭に入れる。
- 授業プリントやノートを見直し、先生が強調していた重要古語と現代語訳を暗記する。
- 助動詞の意味・活用形、敬語の「敬意の方向」を品詞分解の形で確認する。
- 用枝の機転と僧正の心情変化について、自分の言葉で説明できるようにしておく。
この手順で対策を進めれば、必ずテストで納得のいく点数が取れるはずです。用枝が周囲の偏見を実力で跳ね返したように、皆さんも事前のしっかりとした準備で、定期テストのプレッシャーを跳ね返してくださいね。応援しています!







