漢文の返り点とは?レ点・一二点・上中下点の読み順とルール図解

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。
高校や中学校の国語で漢文を習い始めると、最初に誰もがつまずくのが返り点(レ点・一二点・上中下点・一レ点など)の読み順ルールです。上から下へ素直に読めばいいのかと思いきや、突然上にジャンプしたり、数字とレ点が合体した記号が出てきたりして、頭が混乱してしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。
でも安心してください。返り点にはなぜ下から上へ戻るのかという明確な言語学的理由があり、読み順の優先順位(ジャンプの強さ)さえ知ってしまえば、どんなに長い漢文でもパズルのように100パーセント正確に読めるようになります。
この記事では、現役高校教員の視点から、漢文の返り点の基礎知識、4大返り点(レ点・一二点・上中下点・甲乙点)の読み順ルールを実際の漢文と同じ縦書き図解カードで分かりやすく解説します。一レ点などの合体記号の解き方、定期テストで満点を取るための書き下し文作成手順と実戦予想問題まで完全網羅しました。

たく先生、漢文の返り点って横書きのテキストで見ると位置関係がごちゃごちゃして分かりにくいです…。「一二点」や「一レ点」はどんなときに使うのか、教科書と同じ縦書きカードで見せてほしいです!

もちろんです、みちかさん!この記事ではすべてのルールと例文に「縦書き訓読カード」を用意しました。実際の教科書やテストと同じ縦書きで見ることで、ジャンプの感覚が一目で直感的に掴めますよ!
漢文の返り点基本ルールと読み順の優先順位
まずは、なぜ漢文に返り点が必要なのかという根本的な仕組みと、主要な返り点(レ点・一二点・上中下点・甲乙点)の厳格な優先順位ルールをすべて縦書きカードとともにマスターしていきましょう。
なぜ漢文に返り点が必要?日本語順に読む仕組み

返り点を理解する最初の鍵は、「中国語と日本語の語順の違い」を知ることにあります。古代中国語(漢文)は、現代の英語と同じ【主語(S) + 述語動詞(V) + 目的語(O) / 補語(C)】の語順で書かれています。
これに対し、私たちが使っている日本語は【主語(S) + 目的語(O) + 述語動詞(V)】の語順です。動詞や助動詞が文の最後に置かれます。つまり、漢文の漢字の並びをそのまま上から順に読むと、動詞と目的語の順序が逆転してしまい、日本語として意味が通じなくなってしまうのです。
| 我 | ||
| 読 | ム | |
| レ | ||
| 書 | ヲ | |
|
。
|
【主語(我)+ 述語動詞(読)+ 目的語(書)】の基本SVO構造です。日本語はSOV語順のため、目的語「書」を先に読んでから動詞「読」へ【レ点】で戻ります。動詞「読」の活用語尾「む(ム)」を送り仮名として付け、文末の句点「。」は漢文の最下文字「書」に配置します。
| 言語タイプ | 語順構造 | 具体例(本を読む) |
|---|---|---|
| 英語(SVO型) | 主語 + 動詞 + 目的語 | I (S) + read (V) + a book (O). |
| 漢文(SVO型) | 主語 + 動詞 + 目的語 | 吾 (S) + 読 (V) + 書 (O). |
| 日本語(SOV型) | 主語 + 目的語 + 動詞 | 私は (S) + 本を (O) + 読む (V). |
直下の文字から戻る「レ点」の読み順と使い方
返り点の中で最も頻繁に使われる基本中の基本が「レ点(れてん)」です。
レ点の絶対ルールは、「直下の1文字を読んだ後、すぐ上の文字へ戻る」ことです。戻る先の文字(上の文字)の左下に付けられます。戻る相手が「ちょうど真下の1文字」であるときだけ使用するのが鉄則です。
| 読 | ム | |
| レ | ||
| 書 | ヲ | |
|
。
|
直下の1文字からすぐ上の文字へ戻る場合は必ず【レ点】を用います。上の動詞「読」を一旦通り過ぎ、下の目的語「書」を読んでから戻ります。動詞「読」には活用語尾「ム」を送り、文末の句点「。」は最下文字「書」に添えます。
2文字以上を跨いで戻る「一二点」の読み順
直下の1文字ではなく、「2文字以上離れた文字群を跨いで大きく戻る」ときに使用するのが「一二点(いちにてん)」(または一二三四点)です。
一二点の絶対ルールは、「必ず番号順(一 ➔ 二 ➔ 三 ➔ 四)に下から上へ戻る」ことです。二点がついた文字は一度飛ばして通り過ぎ、「一点」がついた文字を読んでから「二点」がついた文字へと戻ります。
| 読 | ム | |
| 二 | ||
| 漢 | ||
| 文 | ヲ | |
|
一
。
|
「漢文」という2文字の目的語を跨いで戻るため、レ点ではなく【一二点】を用います。「一」がついた文字「文」を読んでから「二」がついた文字「読」へと大きく戻ります。動詞「読」には送り仮名「ム」を送り、文末の句点「。」は最下文字「文」に配置します。
一二点を挟んで戻る「上中下点」の読み順
すでに内部で「一二点」が使われている長文や複雑な構文で、「その一二点を含む文字群全体を外側からさらに挟み込んで大きく戻る」ときに使用するのが「上中下点(じょうちゅうげてん)」です。
上中下点の鉄則は、「内側の一二点の処理をすべて終えてからでないと、上中下点へ進めない」という階層ルールです。プログラミングのカッコ `( [ ] )` と同じで、内側のカッコ(一二点)を先に解いてから外側のカッコ(上中下点)を解きます。
| 見 | ル | |
| 下 | ||
| 読 | ム | |
| 二 | ||
| 漢 | ||
| 文 | ヲ | |
| 一 | ||
| 者 | ヲ | |
|
上
。
|
内側の「漢文(一)」➔「読(二・ム)」の一二点を先に処理し、その一二点を挟んで外側の上点「者」➔ 下点「見(ル)」へと戻る階層構造です。上中下点は必ず一二点を挟んで戻る場合に使用します。
上中下点を挟む「甲乙点」の使い方と実戦例

さらに長大な文章や、多重構文(一二点と上中下点の両方を挟む文)では、上中下点のさらに外側を挟む「甲乙点(こうおつてん)」が登場します。
| 莫 | シ | |
| 乙 | ||
| 不 | ル | |
| 下 | ||
| 延 | バ | |
| レ |
シテ
|
|
| 頸 | ヲ | |
| 欲 | セ | |
| 中 | ||
| 為 | ニ | |
| 二 | ||
| 太 | ||
| 子 | ノ | |
| 一 | ||
| 死 | ス | |
| 上 |
ルヲ
|
|
| 者 | ||
|
甲
。
|
【レ点(頸➔延)】 ➔ 【一二点(太子➔為)】 ➔ 【上中下点(死➔欲➔不)】をすべて順に処理し、一二点と上中下点のすべてを挟んで最外側から戻るために【甲乙点(者[甲] ➔ 莫[乙])】を用います。すべての返り点が完璧に連動する最高峰の用例です。
【第1層(最優先)】 レ点:直下の1文字から戻る(最優先で即座に処理)
【第2層】 一・二・三・四点:2文字以上離れた場所から順番に戻る
【第3層】 上・中・下点:一二点を挟んで外側から戻る(一二点がない場所では使えない)
【第4層】 甲・乙・丙・丁点:一二点と上中下点を挟んでさらに外側から戻る(上中下点がない場所では使えない)
最もつまずきやすい「一レ点」の読み順と見分け方
高校生が漢文のテストで最も失点しやすい最大の落とし穴が、レ点と数字が合体した「一レ点(いちれてん)」や「上レ点」などの複合記号です。
一レ点は、ある漢字が「下からレ点で飛び乗られる終着点」であり、同時に「さらに上の二点へ飛び立つ出発点(一点)」という二重の役割を担ったときに生じる合体記号です。組版では、「一」の真下に「レ」が縦並びに配置されます。
| 知 | ル | |
| 二 | ||
| 我 | ||
| 之 | ||
| 不 | ル | |
|
一レ
|
ヲ
|
|
| 遇 | ハ | |
| 二 | ||
| 明 | ||
| 君 | ニ | |
|
一
。
|
「明君(一)」➔「遇(二)」と一二点で読んだ後、直上の否定詞「不」へレ点で戻り、さらに上の「知(二点)」へ飛ぶために「不」の左下に【一レ点】が付きます。
一方、直下の文字から戻るのが連続する場合は、以下のように「欲にレ点、読にレ点」とレ点を連続させて配置します。
| 欲 | ス | |
| レ | ||
| 読 | マ | |
| レ |
ント
|
|
| 書 | ヲ | |
|
。
|
「書」➔「読」へ1文字戻り(レ点)、さらに「読」➔「欲」へも直上の1文字戻り(レ点)となるため、一二点ではなく【欲にレ点、読にレ点】とレ点を連続させます。
また、連体修飾語(指示語「其の」など)を含む目的語を跨いで戻る場合は、以下のように「其」に送り仮名「ノ」を付けて順読し、「人」に一点、「制」に二点を付けます。
| 先 | ン | |
|
ズレバ
|
||
| 則 | チ | |
| 制 | ス | |
| 二 | ||
| 其 | ノ | |
| 人 | ヲ | |
|
一
。
|
「其(その)」は指示語(連体修飾語)として上から順に読み、修飾される目的語「人(人を)」に【一点】が付きます。そして「其の人」という目的語の塊を跨いで動詞「制(制す)」へ【二点】で戻ります。
漢文の返り点テスト対策と縦書き実戦演習攻略
ここからは、返り点から正確な書き下し文を作成する手順、送り仮名や置き字との組み合わせ、そして定期テストで頻出する実戦予想問題を詳しく解説します。
返り点から書き下し文を作る4つの鉄則手順

返り点に従って正しく読めるようになったら、定期テストや入試で必ず出題される「書き下し文作成」の4大鉄則をマスターしましょう。
| 学 | ビ | |
|
テ
|
||
| 而 | ||
| 時 | ニ | |
| 習 | フ | |
| レ | ||
| 之 | ヲ | |
|
。
|
代名詞「之」は漢字を残さず「これ」とひらがなで書き下すのが絶対ルールです。置き字「而」は書き下し文には出さず、送り仮名「て」として繋ぎます。動詞「習」に送り仮名「フ」を配置し、句点「。」は最下文字「之」に配置します。
鉄則①:読む順番に番号を振る:
返り点に従って、本文のすべての漢字に①②③…と読む順番を鉛筆でメモします。
鉄則②:助詞・助動詞・文末助字は必ず「ひらがな」で書く(最重要):
「之(の)」「也(なり/や)」「乎・邪(や/か)」「矣(ひらがな送り)」「不(ず)」「可(べし)」「所(ところ)」などの文法機能語は、漢字を残さず必ずひらがなで書き下します(詳細は漢文でひらがなに直す漢字一覧を参照)。
鉄則③:送り仮名はすべて「ひらがな」に直す:
本文の右下にカタカナで書かれた送り仮名は、書き下し文ではすべてひらがなで繋げます。
鉄則④:置き字(而・於・于・乎など)は書かない:
日本語として音読しない漢文の置き字は、書き下し文には一切出現させません。
返り点と送り仮名・置き字の組み合わせルール
返り点と送り仮名、そして置き字が組み合わさったとき、位置関係や送り方に特別なルールが存在します。
| 良 | ||
| 薬 | ハ | |
| 苦 | シ | |
| 二 | ||
| 於 | ||
| 口 | ニ | |
|
一
。
|
置き字「於」は読まない文字ですが、文字数としては1文字カウントされます。そのため「苦」と「口」の間は2文字離れており、レ点ではなく【一二点】を使用します。「苦」に送り仮名「シ」を送り、句点「。」は最下文字「口」に配置します。
定期テスト頻出!返り点の読み順マスター問題3選
ここまでの知識を定着させるために、高校の定期テストや入試で頻出する実戦問題に挑戦してみましょう!まずは自力で読む順番を考え、下のボタンをタップして正解と解説を確認してください。
| 不 |
| 入 |
| 虎 |
| 穴 |
| 不 |
| 得 |
| 虎 |
| 子 |
| 知 |
| 我 |
| 之 |
| 不 |
| 遇 |
| 明 |
| 君 |
| 見 |
| 読 |
| 漢 |
| 文 |
| 者 |
科学的記憶法アクティブリコールで覚える返り点
返り点の読み順やルールを頭に定着させる最も確実な方法は、参考書を眺めるだけの勉強ではなく、「何も書かれていない白文を見て自力で返り点を書き込むアクティブリコール(能動的想起)」です。
エビングハウスの忘却曲線が示す通り、人間の脳は一度理解したルールでも復習しなければ数日で約7割を忘れてしまいます。詳しい白文からのアプローチ法は、漢文の白文の読み方完全攻略でも徹底解説しています。
まとめ:漢文の返り点を完全攻略して古典を得点源に

今回は、漢文の基本にして最重要の基礎知識である「漢文の返り点」について、読み順ルールから合体記号の解き方、テスト頻出問題まで徹底解説しました。

たく先生、ありがとうございます!教科書と全く同じ縦書きカードで、返り点や送り仮名、そして句読点の位置関係がものすごく分かりやすかったです!アコーディオン問題もあってテスト直前の腕試しに最高でした!

喜んでもらえて嬉しいです、みちかさん!返り点は漢文読解の土台です。ここを完璧にしておけば、この後に学ぶ重要句形や長文読解も驚くほどスムーズに進められますよ!一緒に頑張りましょう!
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・漢文の疑問形を完全攻略!疑問詞一覧・文末の助字と見分け方
返り点や重要句形のルールは、一度理解しても復習しなければすぐに忘れてしまいます。「覚えたはずなのにテスト本番で迷ってしまう」のはあなたの記憶力のせいではなく、復習のタイミングが合っていないだけです。
私は全国の高校生が漢文の暗記で消耗しないよう、最新の記憶定着アルゴリズム「FSRS v6」を搭載した完全無料のAI暗記アプリ「PathMemoria(パスメモリア)」を開発しました。返り点の読み順クイズや再読文字、否定・使役・受身・反語などの全重要句形をスマホでサクサク復習でき、忘れそうな絶妙なタイミングで自動出題してくれます。登録不要ですぐに使えるので、ぜひ通学時間などに活用してみてください!






