古文の敬語見分け方を完全攻略!誰から誰への敬意かを教員が解説

こんにちは。高校で国語を教えている教員の「たく先生」です。
古典の授業やテスト、大学入試の過去問を解いていて、「誰から誰への敬意かを答えよ」「この敬語の種類を識別せよ」という問題に頭を悩ませていませんか?
「尊敬語なのか謙譲語なのか見分けがつかない」「登場人物が多すぎて誰が高貴な人なのか混乱する」と感じる生徒は非常に多いです。しかし、実は「敬語は古文読解において最大の敵ではなく、最強の味方である」という真実をご存知でしょうか。
主語が省略されまくる古文の世界において、敬語は「誰が誰に対してどんな動作をしたのか」を教えてくれる唯一の道しるべです。敬語の方向(ベクトル)さえ掴めば、パズルのピースがカチッとはまるように省略された主語が一発で特定できるようになります。今回は、現役高校教師直伝の敬語見分け方完全攻略法をわかりやすく解説します。

たく先生!テストで「誰から誰への敬意か」を聞かれる問題が本当に苦手で…。尊敬と謙譲がごちゃごちゃになって、矢印がどっちに向くのか分からなくなっちゃいます。

みちかさん、大丈夫ですよ!敬語の方向は「誰が話しているか(発信者)」と「誰を立てているか(受信者)」の2ステップだけで100%機械的に決まります。一度ルールを身につければ、長文読解で主語を見失うことがなくなりますよ!
古文敬語の3大種類と誰から誰への敬意を見抜く公式
まずは敬語の3大基本(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の役割と、「誰から誰へ敬意が向かうのか」の普遍的な公式をマスターしましょう。
尊敬・謙譲・丁寧!敬語の3大種類と基本の働き

古文の敬語には、以下の3つの種類があります。誰を高めるか(敬意の対象)が根本から異なります。
| 種類 | 敬意の対象(誰を高めるか) | 現代語訳の公式 | 代表的な敬語動詞 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | 動作の主(主語)を高める | 「お〜になる」「なさる」 | 給ふ、おはす、おはします、仰す、御覧ず |
| 謙譲語 | 動作の相手(客体・目的語)を高める | 「お〜申し上げる」 | 奉る、申す、聞こゆ、仕ふ、参る |
| 丁寧語 | 聞き手・読者を高める | 「です・ます・ございます」 | 侍り、候ふ |
「主語を高めるのが尊敬語」「相手(〜に)を高めるのが謙譲語」「聞き手・読者を高めるのが丁寧語」。この3大定義がすべての基本です。
教科書・入試頻出!元の動詞から引く重要敬語マスター早見表
敬語の識別をマスターする最大のコツは、「元の普通の動詞(言ふ・与ふ・見る等)が、尊敬・謙譲・丁寧でどのように化けるか」をペアでインプットすることです。教科書や大学入試の9割以上をカバーする最重要敬語動詞の一覧表をご覧ください。
| 元の動詞 | 尊敬語(主語を高める) | 謙譲語(相手を高める) | 丁寧語(聞き手を高める) |
|---|---|---|---|
| 言ふ | のたまふ・仰す (おっしゃる) |
申す・聞こゆ 【帝へ】奏す / 【中宮へ】啓す |
― |
| 与ふ | 給ふ・たまはす (お与えになる・下さる) |
奉る・参らす (差し上げる・献上する) |
― |
| 受く・もらふ | ― | 賜はる・承る (いただく・お受けする) |
― |
| 見る | 御覧ず (御覧になる) |
見奉る・拝す (拝見する・見申し上げる) |
― |
| 聞く | 聞こし召す (お聞きになる) |
承る・聞き奉る (お聞きする・拝聴する) |
― |
| 思ふ | 思す・思し召す (お思いになる) |
― | ― |
| あり・をり | おはす・おはします います・いますがり |
― | 侍り・候ふ (あります・控えます) |
| 行く・来 | おはす・おはします (いらっしゃる・お出まし) |
参る・詣づ(参上する) まかる・まかづ(退出する) |
参る・まかる (出かけます・参ります) |
| 食ふ・飲む | 聞こし召す・召す・参る (召し上がる) |
参る (お召し上がり申し上げる) |
― |
| 着る・乗る | 召す・奉る (お召しになる・お乗りになる) |
― | ― |
| す | 遊ばす (なさる・演奏なさる) |
仕うまつる (いたす・お仕え申し上げる) |
― |
| 知る・治める | しろしめす (ご存知である・お治めになる) |
― | ― |
上の対比表を頭に入れておくだけで、「この単語は尊敬か謙譲か」で迷うことは一切なくなります。
地の文と会話文で変わる敬意の出どころの法則
テストで頻出する「誰から」という敬意の出どころ(発信者)は、文章の形式によって100%機械的に決まります。
| 文章の形式 | 敬意の出どころ(誰から) | 試験での記述ルール |
|---|---|---|
| 地の文 (カギ括弧の外) |
「作者(筆者)」から | 物語や随筆の地の文は、文章を書いている「作者」が敬意を発しています。 |
| 会話文 (「 」の中) |
「話者(話している人物)」から | カギ括弧の中で喋っている人物(発言者)が敬意を発しています。 |
| 手紙文 | 「手紙の差出人」から | 手紙を書いた本人が敬意の出どころになります。 |
カギ括弧の外なら「作者から」、カギ括弧の中なら「話者から」。これで「誰から」は一瞬で埋まります。
誰へ向かう敬意か!主語と客体を見抜く判別テク
次に「誰へ」向かう敬意か(受信者)を特定する手順です。ここが試験で最も差がつくポイントです。
- ステップ1(敬語の種類を判定):その敬語動詞が「尊敬語」か「謙譲語」か「丁寧語」かを特定する。
- ステップ2(高める対象を特定):
・尊敬語なら ➔ その動作をしている「主語」へ(主語が高貴な人物)
・謙譲語なら ➔ その動作を受けている「客体(〜に)」へ(相手が高貴な人物)
・丁寧語なら ➔ 会話なら「聞き手」、地の文なら「読者」へ
例えば「帝に手紙を奉る」という文なら、「奉る」は謙譲語なので、動作の相手である「帝」へ敬意が向かいます。主語ではなく「誰に」向かう動作なのかを意識しましょう。
本動詞と補助動詞の違いと給ふ・奉るの識別法

敬語動詞には、単独で意味を持つ「本動詞」と、他の動詞の直下に付いてニュアンスを添える「補助動詞」があります。
| 代表敬語 | 本動詞としての意味(直前に動詞がない) | 補助動詞としての意味(直前に動詞の連用形) |
|---|---|---|
| 給ふ (尊敬) |
「お与えになる」「下さる」 例:禄を給ふ。(褒美をお与えになる。) |
「〜なさる」「お〜になる」 例:書き給ふ。(お書きになる。) |
| 奉る (謙譲) |
「差し上げる」「献上する」 例:薬を奉る。(薬を差し上げる。) |
「〜申し上げる」 例:申し上げ奉る。(申し上げなさる。) |
| 侍り・候ふ (丁寧/謙譲) |
【本動詞:丁寧】「あります・おります・控える」 例:ここに侍り。(ここにおります。) |
【補助動詞:丁寧】「〜です・〜ます」 例:聞き侍り。(聞きましてございます。) |
「直前に動詞があるかどうか」を見るだけで、本動詞と補助動詞は100%見分けられます。
帝や皇族に捧げる最高敬語と絶対敬語のポイント
古文の中で最も身分の高い「帝(天皇)」「中宮(皇后)」「東宮(皇太子)」に対して使われる特別な敬語として、「最高敬語(二重敬語)」と「絶対敬語(奏す・啓す)」の2大重要知識を必ず押さえましょう。
1. 最高敬語(二重敬語):主語を帝・皇族と即断する公式
尊敬の助動詞「す・さす・しむ」の連用形に、尊敬の補助動詞「給ふ」を重ねた「せ給ふ」「させ給ふ」「しめ給ふ」の形を「最高敬語(二重敬語)」と呼びます。
通常の貴族には「〜給ふ」と単体で使いますが、最上位の権力者である帝や中宮には敬意を二重に重ねます(例:帝、仰せさせ給ふ=帝がおっしゃる)。長文読解でこの形を見たら、主語は100%帝や皇族クラスの最上位貴族であると瞬時に特定できます。
2. 絶対敬語(奏す・啓す):相手(客体)が絶対に限定される謙譲語
入試や定期テストで最も差がつくのが「絶対敬語(ぜったいけいご)」です。絶対敬語とは、「敬意の向かう相手(客体)が絶対に決まっている敬語動詞(謙譲語)」のことを指します。
古文で使われる代表的な絶対敬語は、サ変動詞の「奏す(そうす)」と「啓す(けいす)」の2つです。
| 絶対敬語 | 活用型・品詞 | 敬意の対象(誰に申し上げるか) | 現代語訳と覚え方のコツ |
|---|---|---|---|
| 奏す (そうす) |
サ変・謙譲語 | 帝(天皇)・上皇・法皇・院 | 「(帝に)申し上げる」 💡 天子に奏上(そうじょう)すると覚える! |
| 啓す (けいす) |
サ変・謙譲語 | 中宮(皇后)・東宮(春宮・皇太子) | 「(中宮・東宮に)申し上げる」 💡 中宮や東宮に啓上(けいじょう)すると覚える! |
一般の貴族に対して申し上げる場合は「申す」「聞こゆ」を使いますが、相手が帝なら「奏す」、中宮や皇太子なら「啓す」と完全に使い分けられます。
古文の文章では、しばしば「〜に」という相手(客体)が省略されます。しかし、文末に「奏す」があれば、文中に帝と書かれていなくても「相手は100%帝」と特定できます。同様に「啓す」があれば「相手は100%中宮または東宮」です。この2語を覚えているだけで、難解な宮中ストーリーの人間関係が一瞬で整理できます!
助動詞の識別と活用表一覧はこちらで完全攻略
敬語と並んで古文読解の2大巨頭となる「助動詞の識別」や「助動詞活用表一覧」の詳しい解説は、以下の専門記事で網羅しています。
「る・らる」「なり」「なむ」「ぬ・ね」など最頻出の識別公式は、当サイトの古文の助動詞識別を完全攻略!テスト頻出の見分け方解説で一挙にマスターできます。また、全28個の助動詞の全体図は古典の助動詞活用表一覧と覚え方解説をご覧ください。
テストで満点を取る古文敬語の実戦問題と主語特定術
ここからは、定期テストや入試問題で実際に出題される典型問題を使って、敬語の方向判定と主語特定を完璧にする実戦トレーニングを行います。
定期テスト・入試頻出!敬語の見分け方実戦問題4選

以下の傍線部の敬語について、「敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)」と「誰から誰への敬意か」を答えてください。考えたらアコーディオンを開いて解説を確認しましょう。
問:傍線部「入らせ給ふ」の敬語の種類と、誰から誰への敬意かを答えよ。
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【思考プロセス】:地の文なので敬意の出どころは「作者」です。使われている敬語は「させ給ふ」という二重敬語(最高敬語)なので尊敬語。主語である「帝」を高めています。
問:傍線部「奉る」の敬語の種類と、誰から誰への敬意かを答えよ。
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【思考プロセス】:地の文なので出どころは「作者」です。「奉る」は「差し上げる」という謙譲語の本動詞。手紙を受け取る相手(客体)である「大臣」を高めています。
問:傍線部「侍ら」の敬語の種類と、誰から誰への敬意かを答えよ。
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【思考プロセス】:カギ括弧の会話文なので、敬意の出どころは発言者である「光源氏」です。動詞「帰り」の下にある「侍り」は丁寧の補助動詞(〜ます)。会話の相手(聞き手)である「紫の上」を高めています。
問:傍線部「奉り給ふ」に含まれる2つの敬語の敬意の対象をそれぞれ答えよ。
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【思考プロセス】:入試超頻出の「謙譲+尊敬」の合体形です。地の文なのでどちらも作者から。「奉る」は手紙を受け取る客体「女」への謙譲語、「給ふ」は手紙を書いている主語「男」への尊敬語です。1つの文で身分の高い男女両方を立てています。
二重敬語(最高敬語)で主語を即断する裏ワザ
共通テストや二次試験の長文読解において、「この動作の主語は誰か」という問に一瞬で答える裏ワザが最高敬語のチェックです。
文末に「〜せ給ふ」「〜させ給ふ」「〜おはしまし給ふ」などの最高敬語(二重敬語)があれば、選択肢の中にいる一般貴族や侍従、女房はすべて脱落します。主語は100%「帝(天皇)」「中宮(皇后)」「院(上皇・法皇)」です。これだけで主語特定問題は5秒で解けます。
敬語を手がかりに省略された主語を見抜く手順
古文の文章で主語が省略されている場合、以下の3ステップで機械的に主語を特定しましょう。
- 1. 述語の敬語レベルをチェック:最高敬語(帝クラス)か、普通の尊敬語(貴族クラス)か、敬語なし(身分の低い者)かを確認。
- 2. 謙譲語の有無をチェック:謙譲語があれば、動作の受け手(〜に)が高貴な人物、動作をしている主語はその相手より身分が下。
- 3. 接続助詞(て・して vs を・に・ば)と連動:「て・して」なら前の文と主語が同じ、「を・に・ば」なら主語が変わる。
この3つのフィルターを通せば、どんなに登場人物が入り乱れる長文であっても、誰が誰に何を言ったのかが手に取るように見えてきます。
古典の定期テストと大学受験で差をつける勉強法

敬語の識別ルールを習得したら、学校の定期テスト対策や大学受験の本格的な長文演習へと進みましょう。
教科書本文のすべての敬語に色分けマーカーを引いて満点を取るノート術は、当サイトの古典の定期テスト勉強法!満点を取るノート術解説で解説しています。また、難関大入試で逆転合格するための参考書ルートは、大学受験の古文勉強法!参考書ルート完全ガイドをぜひご覧ください。
尊敬語・謙譲語の単語や活用形、そして絶対敬語(奏す・啓す)の対応関係は、何度も短時間で復習して脳に刷り込むことが何より大切です。しかし、分厚い単語帳を最初から最後まで眺め直すのは非効率で挫折しやすいですよね。
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古文の敬語見分け方に関するよくある質問Q&A
古文敬語を勉強している高校生・受験生からよくいただく疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1: 尊敬語と謙譲語の単語はすべて暗記する必要がありますか?
「言ふ」➔ 仰す(尊敬)/ 申す・聞こゆ(謙譲)、「与ふ」➔ 給ふ(尊敬)/ 奉る・参らす(謙譲)のように、元の動詞に対する尊敬・謙譲のペアで覚えるのが最も効率的です。
Q2: 会話文の中の丁寧語「侍り」「候ふ」は誰への敬意ですか?
「〜です・〜ます」と話しかけている相手そのものを高めているため、会話文中の丁寧語は必ず「話者から聞き手へ」となります。
Q3: 「給ふ」に謙譲語の意味があるって本当ですか?
会話文や手紙文で一人称(私)の動作に付き、「〜ております」とへりくだる用法です。四段活用の「給ふ」は尊敬語ですので、活用形で見分けましょう。
Q4: 自敬表現(自分で自分に敬語を使う)は古文にありますか?
宣旨(天皇の命令文書)などで、天皇自身が自分の動作に尊敬語を使うケースがあります。天皇以外の一般貴族が使うことは絶対にありません。
信頼できる公的教育リソースと学習リンク集
日本語における敬語体系の歴史的発展や待遇表現の言語学的知見については、国立国語研究所などの学術機関でも深く研究されています。主客の人間関係を文法的に整理する手法は、現代の文章読解にも通じる普遍的な国語力です。
当サイトが高校生や受験生のために厳選した信頼の公的学習サイト一覧は、以下のリンク集でまとめていますのでぜひご参照ください。
👉 【保存版】プロが厳選した信頼の公的学習サイト12選はこちら
古文の敬語見分け方まとめと長文読解マスターの道
古文の敬語は、誰から誰への矢印(ベクトル)さえ引けるようになれば、長文読解の正答率を飛躍的に引き上げてくれる最強の武器です。
最後に、本記事の最重要公式をおさらいしましょう。
- 尊敬語:動作の主(主語)を高める(お〜になる)
- 謙譲語:動作の相手(客体)を高める(お〜申し上げる)
- 丁寧語:聞き手・読者を高める(です・ます)
- 敬意の出どころ:地の文なら「作者から」、会話文なら「話者から」
- 最高敬語(せ給ふ・させ給ふ):主語は100%帝・皇族クラス
敬語が分かれば、登場人物たちの身分関係や心の距離感が鮮やかに見えてきて、古典の世界が何倍も面白くなります。教科書や問題集の文章で、ぜひ敬語の矢印を書き込むトレーニングを始めてみてください。あなたの国語の成績が飛躍することを心から応援しています!たく先生でした!






