高校生の塾代：平均の罠と大学進学のリアルな総額

たく先生

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

こんにちは。ミチプラス、運営者の「たく先生」です。

「高校生塾代平均」で検索されたということは、お子さんの塾の費用について悩まれている、あるいはこれからどれくらいかかるのか相場を知りたい、という状況なのかなと思います。文部科学省のデータを見ると「あれ？意外と安いのかな？」と感じるかもしれませんが、実際に大学受験を経験したご家庭からは「高3の時は年間100万円近くかかった」なんて話も聞きますよね。

高校生の塾代の平均って、一体いくらが本当の相場なんでしょうか。特に公立高校と私立高校での違いや、大学受験を控えた高3の費用、個別指導と集団塾の料金比較など、知りたいことは多いと思います。ネットで見る平均額と、実際に通塾している家庭の中央値には大きな差があるのが実情です。

この記事では、現役教師でありFP2級を持つ私の視点から、そのデータのカラクリを解説します。さらに、塾代だけでなく大学4年間でかかる本当の総費用（入学金、授業料、一人暮らし費用など）についても触れ、塾代が払えない場合の対策や、そもそも塾なしで大学受験は可能なのか、という疑問にもお答えしていきます。教育費の全体像を掴んで、家計にとって最適な選択をするお手伝いができればと思います。

記事のポイント

塾代平均データのカラクリと実際の相場
学年別（特に高3）や指導形態別の費用比較
大学4年間でかかる「本当の」教育費総額
塾の必要性と費用対効果を最大化する考え方

高校生の塾代平均のカラクリとは？
高校生の塾代平均と大学進学の総費用

高校生の塾代平均のカラクリとは？

「高校生の塾代、平均は年間〇〇円」といったデータを見かけますが、その数字を鵜呑みにしていませんか？実は、その「平均」には大きな落とし穴があります。平均額だけを見て「こんなものか」と安心してしまうのは危険かもしれません。ここでは、データの裏側と、学年別・指導形態別のリアルな費用感を掘り下げていきますね。

塾代の平均は公立と私立で違う？

まず、最もよく引用されるのが文部科学省の「子供の学習費調査」です。これは信頼できる公的な統計データですね。このデータを見ると、高校生（全日制）の「補助学習費（塾や家庭教師など）」の平均額が分かります。

令和3年度の調査結果を例に見てみると、年間の平均額は以下のようになっています。

	公立高校	私立高校
補助学習費（年間）	129,955円	160,250円

（出典：文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果」）

「え？そんなもの？」と思いませんでしたか。私立の方が年間3万円ほど高い傾向にはありますが、それでも公立なら月換算で約10,800円、私立でも約13,300円です。これなら何とかなりそう、と感じるかもしれません。

ですが、これは「塾に行っていない生徒（0円）」もすべて含めた平均値だという点が最大のポイントです。この調査では、塾や家庭教師に全くお金をかけていない生徒も「支出0円」として平均値の算出に含まれています。だからこそ、平均額が私たちの実感よりもかなり低く出ているんですね。

注意点: このデータはあくまで「高校生全体」の平均です。塾に行っていない多くの生徒（支出0円）が含まれるため、実際に塾に通っているご家庭の実感とは大きくかけ離れている可能性が非常に高いです。

データに騙されるな！通塾者の実態

先ほどの平均額が安く見える最大の理由は、塾を利用していない生徒の「0円」が分母に含まれているからです。

では、実際に塾に通っている高校生はどれくらい払っているのでしょうか。これは民間の調査機関によってもデータが異なりますが、教育関係者としての肌感覚や、多くの保護者の方から伺う話では、大学受験を控えた高校生の場合、年間で50万円～100万円ほどかかっているご家庭も全く珍しくありません。

平均値と中央値の違い

ここで知っておきたいのが「平均値」と「中央値」の違いです。

平均値: 全員の支出額を合計し、人数で割った値。極端に高い人（例：医学部専門予備校で年間500万）や、極端に低い人（0円）がいると、その数値に大きく引っ張られます。
中央値: 全員の支出額を少ない順（または多い順）に並べたときに、ちょうど真ん中に来る人の値。こちらの方が「一般的な実感」に近いことが多いです。

残念ながら、公的な統計でズバリ「通塾者だけの中央値」を見つけるのは難しいです。しかし、「平均データ」と「リアルな口コミ」に大きな差があるのは、平均値が「0円」の人たちによって大きく引き下げられているからだ、と理解しておくだけでも、家計の計画は立てやすくなるはずです。

大学受験の塾代は高3で跳ね上がる

高校生の塾代は、学年が上がるにつれて高くなるのが一般的です。特に、大学受験を本格的に意識する高校3年生（受験生）になると、費用は一気に跳ね上がります。

高1・高2の塾代

高1・高2の間は、主に学校の授業の補習や、苦手科目の克服（特に英語・数学）が目的であることが多いです。そのため、週1～2回の通塾や、特定の科目だけを受講するケースが中心かなと思います。この時期は、月謝も2万円～4万円程度に収まっているご家庭が多いかもしれません。

高3で費用が増える理由

ところが、高3になると状況は一変します。学校の補習というレベルではなく、「大学受験に合格するため」の対策が本格化します。

共通テスト対策講座: 6教科8科目など、必要な科目全ての対策が始まります。
志望校別対策講座: 国公立大学の二次試験対策や、私立大学の学部別対策など、より専門的な講座が増えます。
小論文や面接の対策: 推薦入試（総合型選抜・学校推薦型選抜）を利用する場合は、別途対策費用がかかることも。
単純な受講科目数の増加: 苦手科目だけでなく、得点を伸ばすための得意科目も含め、多くの講座を取る必要が出てきます。

このように、単純に受講するコマ数（講座数）が激増します。それに伴い、当然ですが費用も高額になります。高1・高2の感覚でいると、高3の春や夏前の見積もりを見て「こんなにかかるの！？」と驚くことになるかもしれません。

夏期講習や冬期講習の費用相場

塾代を考える上で、絶対に見落としてはいけないのが、月々の授業料とは別にかかる「季節講習」の費用です。

夏期講習、冬期講習、そして受験直前の直前講習…。これらは高3になると「受験の天王山」などと言われ、「取って当たり前」という雰囲気になりがちです。もちろん、弱点を克服し、学力を伸ばすために非常に重要な期間ですが、費用は決して安くありません。

講習費用の目安（高3・受験生の場合）

夏期講習: 10万円～30万円（場合によってはそれ以上）
冬期講習/直前講習: 10万円～20万円

※あくまで一般的な目安であり、受講する講座数や塾の形態（個別・集団）によって大きく変動します。

例えば、月謝が5万円だとしても、夏期講習で20万円かかれば、その月（または数ヶ月）の家計負担は非常に大きくなります。FPの視点から言わせていただくと、これらの費用は月々の家計から捻出するのではなく、「教育費」としてボーナスなどから別枠で確保しておく、といった年間トータルでの資金計画が重要ですね。

入会金や教材費も忘れずに

月謝や講習費以外にも、塾にはさまざまな「諸費用」がかかります。これらも年間で合計すると、決して無視できない金額になります。

塾にかかる「見えにくい費用」一覧

入会金（入塾金）: 1万円～3万円程度が相場です。「兄弟割引」や「紹介キャンペーン」、「早期入塾キャンペーン」などで無料または割引になることも多いので、入塾前には必ずチェックしましょう。
教材費: 年間で数万円程度。受講科目数に応じて変動します。指定のテキスト以外に、志望校別の過去問演習用テキストなどを追加で購入するケースもあります。
模試代: 塾内で実施される模試の費用です。塾によっては、河合塾の「全統模試」や駿台の「全国模試」など、大手予備校の外部模試の受験も必須となっている場合があります。
諸経費（施設維持費など）: 月々数千円程度、あるいは半期ごとや年ごと（数万円）に請求される場合があります。冷暖房費、通信費、プリント代などの名目が多いですね。

これらの「見えにくい費用」も、年間で合計すると数万円～10万円単位になることもあります。入塾前に、トータルでどれくらいかかるのか、見積もりをしっかり確認することが大切です。「授業料は安いと思ったけど、諸経費が高かった」ということがないようにしたいですね。

個別指導と集団指導の料金比較

塾の指導形態によっても、料金は大きく変わります。大きく分けると「集団指導」と「個別指導」ですね。どちらがお子さんに合っているか、そして家計的に無理がないかを天秤にかける必要があります。

集団指導（予備校など）

学校の授業のように、一人の講師が多人数（10人～100人以上）を相手に講義するスタイルです。

メリット: 授業料は比較的安価に抑えられる傾向があります。周りの生徒と競い合う環境が、やる気につながることもあります。
デメリット: 授業は一定のペースで進むため、一度つまずくと置いていかれる可能性があります。質問がしにくい生徒もいるかもしれません。
料金目安: 月額2万円～5万円程度（受講科目数による）

個別指導

講師1人に対して生徒が1人（1対1）、または2～3人（1対2など）のスタイルです。

メリット: 生徒の理解度や目標に合わせて、カリキュラムを柔軟に組んでもらえます。質問がしやすく、苦手分野をピンポイントで潰しやすいです。
デメリット: 講師1人あたりの生徒数が少ないため、授業料は高額になりがちです。講師との相性が成績に影響することもあります。
料金目安: 月額4万円～8万円程度（受講回数や1対1かどうかによる）

一般的に、集団指導＜個別指導（1対多）＜個別指導（1対1）の順に料金は高くなります。

お子さんの性格（競争が好きか、マイペースか）や学習状況（基礎からやりたいか、応用問題中心か）を見極めて、最適な形態を選ぶことが重要です。

高校生の塾代平均と大学進学の総費用

さて、ここまで塾代の平均や相場が見えてきたところで、もう少し視野を広げてみましょう。現役教師としても、FPとしても強くお伝えしたいのは、「塾代は教育費のゴールではない」ということです。むしろ、大学進学後の費用こそが本番です。

塾代は、あくまで「大学に入るまで」の費用の一部。本当に備えるべきは、大学4年間（あるいは医学部・薬学部なら6年間）の「教育費総額」です。塾代に全力を注ぎすぎて、入学金や授業料が払えない…となっては本末転倒です。FPの視点も交えながら、教育費の全体像を解説します。

大学4年間の費用はいくら必要か

大学進学には、想像以上のお金がかかります。FP（ファイナンシャル・プランナー）として、まず知っておいてほしい「大学4年間の総費用」の目安をお伝えします。

国立 vs 私立（文系・理系）の学費

まずは、入学金と授業料（学費）の目安です。これは進路によって大きく異なります。

大学4年間の学費目安（入学金＋授業料）

国立大学: 約250万円（入学金約28万円＋授業料年間約54万円×4年）
私立大学（文系）: 約400万円（入学金約25万円＋授業料年間約90万円台×4年）
私立大学（理系）: 約550万円（入学金約26万円＋授業料年間約130万円台×4年）
私立大学（医歯薬系）: 2,000万円～（大学・学部により大きく異なる）

※文部科学省のデータなどを基にした一般的な目安です。大学や学部によって大きく異なります。

これ、学費だけでこの金額です。国立と私立理系では、4年間で300万円もの差が出ることになります。

一人暮らし（自宅外通学）の費用

さらに、もしお子さんが自宅外から通う（＝一人暮らしをする）場合、これに加えて仕送りが必要になります。この負担が非常に大きいんです。

日本学生支援機構（JASSO）の調査（令和2年度）によると、自宅外学生への仕送り額の平均は年間約114万円（月額約9.5万円）です。仮に、家賃や生活費で月10万円仕送りすると仮定すると、年間120万円。4年間で480万円です。

（例）私立文系で一人暮らしの場合
学費約400万円＋仕送り約480万円＝ 合計約880万円

（例）私立理系で一人暮らしの場合
学費約550万円＋仕送り約480万円＝ 合計約1,030万円

これが、大学4年間でかかる「リアルな総額」の目安です。高校の塾代で年間100万円かけて疲弊している場合ではない、というのがお分かりいただけるかなと思います。教育費全体のロードマップを描くことが何より重要です。

塾なしで大学受験は可能なのか？

この質問は、保護者の方からも生徒本人からもよく受けます。現役教師の視点から「塾なしで大学受験は可能か？」と聞かれれば、答えは「条件付きで可能」です。

実際に、私の勤務校でも塾に通わずに難関大学に合格していく生徒は毎年います。彼らに共通しているのは、以下の3つの能力が非常に高いことです。

圧倒的な自己管理能力: 「いつまでに何をやるべきか」を逆算し、自分で計画を立て、それを淡々と実行し、模試の結果などを見て修正できる力。これが一番難しいかもしれません。「計画倒れ」になってしまう生徒が本当に多いです。
学校の徹底活用: 学校の授業を120%吸収し、不明点は休み時間や放課後にすぐ先生に質問できる力。先生を「無料で使えるリソース」として最大限活用できる生徒は強いですね。
情報収集・分析力: 大学入試の方式（一般選抜、総合型選抜など）の複雑なルールを理解し、赤本（過去問）を自分で分析して対策を立てられる力。ここは親のサポートが重要になる部分でもあります。

もしお子さんがこのタイプなら、塾なしという選択もアリです。最近は月額数千円で利用できる安価な映像授業サービスも非常に充実しています。これらを活用して、必要な単元だけをピンポイントで学習するのも賢い方法ですね。

（参考: スタディサプリなどオンライン学習の活用記事はこちら）

塾を検討した方が良いケース

自分で学習計画を立てるのが苦手。
学校の授業についていけていない部分がある。
周りにライバルがいないとやる気が出ない。
受験情報や進路相談を親身にしてほしい。

逆に、上記に当てはまる場合は、塾の力を借りる方が効率的かもしれません。

塾代が払えない場合の支援制度

「大学費用もかかるのに、高額な塾代までは払えない…」というご家庭も多いと思います。そうした場合、利用できる制度がないか探してみましょう。諦める前に、まずは情報収集です。

1. 奨学金制度

奨学金は基本的に大学進学「後」の費用を賄うものですが、進学の目処を立てる上で知っておくことが重要です。日本学生支援機構（JASSO）の奨学金が最も一般的です。

給付型奨学金: 原則、返済不要の奨学金。世帯収入や学力などの条件があります。
貸与型奨学金: 返済が必要な奨学金。「無利子（第一種）」と「有利子（第二種）」があり、それぞれ条件が異なります。

これらは高校3年生の時に「予約採用」を申し込むのが一般的です。大学独自のものや、民間の育英会が実施しているものもあります。

2. 教育ローン

こちらは、塾代や受験費用、入学金など、大学入学「前」の費用にも使えることが多いのが特徴です。大きく分けて2種類あります。

国の教育ローン: 日本政策金融公庫が扱うローン。比較的金利が低めですが、世帯年収の上限などがあります。
民間の教育ローン: 銀行や信用金庫などが扱うローン。金利や条件は金融機関によって様々です。

3. 自治体独自の支援

お住まいの自治体によっては、受験生向けの塾代助成（クーポン配布など）や、低所得世帯向けの貸付制度を独自に行っている場合があります。「（お住まいの地域名）塾代助成」などで一度検索してみることをおすすめします。

ローンの利用は慎重に！
いずれの制度も、利用には所得制限などの条件がある場合がほとんどです。また、ローンや貸与型奨学金は「借金」であることを忘れてはいけません。安易に借りるのではなく、まずは家計の見直しが最優先です。
利用する場合は、返済計画をしっかり立てることが不可欠です。詳細は各機関の公式サイトで必ず確認し、不明点は専門家にご相談ください。

費用対効果で塾の必要性を考える

塾代は、月謝袋を見てため息をつく「消費」ではなく、お子さんの未来や可能性を広げる「投資」と考えることができます。だからこそ、シビアな視点が必要です。

それは、かけた費用（塾代）に対して、どれだけのリターン（成果）が得られるかという「費用対効果」の視点です。

リターンとは、もちろん第一志望校合格が最大ですが、それだけではありません。

学習習慣が身につく: 決まった時間に決まった場所で「やらざるを得ない環境」に身を置くことで、学習習慣が定着するリターンがあります。
効率的な勉強法を学べる: 自己流の非効率な勉強（例：ひたすら教科書を写す、など）から、点数に直結する効率的な勉強法を学べるリターンです。（参考: 効率的な勉強法の記事はこちら）
受験情報やメンタルサポートを得られる: 親や学校教師とは違う「受験のプロ」からの客観的な進路指導や、受験期のメンタルサポートも大きなリターンと言えます。

「浪費」になっていないかチェック！

逆に、以下のような状態なら、それは「投資」ではなく「浪費」になっているかもしれません。