古典の道
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古典の助動詞「る・らる」を徹底解説!活用や意味、使い分けの仕方を完全攻略

古典 助動詞 る らる
たく先生
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古典文法の中でも、助動詞「る・らる」は意味や接続の識別が難しく、多くの学習者がつまずきやすいポイントです。古典の文章を正確に理解するためには、「る・らる」が持つ複数の意味や、どのような語に接続するのかというルールを理解し、文脈に応じて正しく解釈することが重要になります。

「る・らる」には主に受身・自発・尊敬・可能の四つの意味があり、文脈からどの意味で使われているかを見分ける必要があります。特に、接続する動詞の活用の種類によって「る」と「らる」のどちらを用いるかが決まるため、この接続ルールをしっかり押さえることが識別の第一歩です。

この記事では、助動詞「る・らる」の基本的な活用、接続ルール、そして四つの意味の識別方法について詳しく解説します。さらに、練習問題を通して実践的な理解を深め、古典読解力の向上を目指します。

記事のポイント
  • 助動詞「る・らる」の活用(下二段型)と接続ルール
  • 「る・らる」の四つの意味(受身・自発・尊敬・可能)とその識別方法
  • 接続する動詞の種類による「る」と「らる」の使い分け
  • 「る・らる」の識別問題を解くためのポイントと練習問題
  • 完了の助動詞「り」との見分け方

古典の助動詞「る・らる」の基本を押さえよう

  • 助動詞「る・らる」の活用表を確認
  • 古典 助動詞「る・らる」の接続とは?
  • 「る・らる」の意味と覚え方
  • 「る・らる」の識別方法と見分け方のポイント

助動詞「る・らる」の活用表を確認

古典文法を学ぶうえで、助動詞「る」と「らる」の活用を正しく理解することは非常に重要です。活用を覚えることで、読解力が向上し、試験問題にも対応しやすくなります。特に、動詞の活用形と助動詞の接続を正確に見極めることが求められます。

助動詞「る」「らる」の活用表

「る」と「らる」は、どちらも下二段型の活用をします。下記の表を確認し、未然形から命令形までの変化をしっかり覚えましょう。

基本語未然形連用形終止形連体形已然形命令形
るるるれれよ
らるるるるれれよ

「る」と「らる」の共通点

  1. どちらも下二段活用をする。
  2. どちらも受身・自発・尊敬・可能の四つの意味を持つ可能性がある。
  3. どちらも活用語の未然形に接続する。
  4. 未然形と連用形が同じ「れ」「られ」になる点に注意が必要。

「る」と「らる」の活用のポイント

  • 「る」は一音節で短く、比較的シンプルな形をしている。
  • 「らる」は「る」に「」を加えただけ
  • 未然形が連用形と同じ「れ」「られ」になる点に注意。

この活用表を暗記することも重要ですが、活用の仕組みを理解することで、より実践的に活用できるようになります。例えば、終止形「る」「らる」は文の最後にくることが多く、命令形「れよ」「られよ」は尊敬語として使われることが多いという点も意識するとよいでしょう。

助動詞の活用を覚える際は、単に暗記するだけでなく、実際に文章の中でどう使われるのかを確認することが大切です。特に、動詞の活用形と助動詞の接続関係を意識すると、適切な形を選びやすくなります。

古典 助動詞「る・らる」の接続とは?

助動詞「る」と「らる」のどちらを使うかは、直前に来る動詞の活用の種類によって決まります。このルールを理解することが、正しい形を選ぶために不可欠です。

助動詞「る」の接続 助動詞「る」は、四段活用・ナ行変格活用・ラ行変格活用動詞の未然形に接続します。 これらの活用の未然形はア段音で終わるという共通点があります(例:書か、死な、あら)。

  • 例:
    • 書く(四段) → 書か +
    • 死ぬ(ナ変) → 死な +
    • あり(ラ変) → あら +

助動詞「らる」の接続 助動詞「らる」は、上一段活用・上二段活用・下一段活用・下二段活用・カ行変格活用・サ行変格活用動詞の未然形に接続します。 これらの活用の未然形はイ段音、エ段音、オ段音で終わることが多いです(例:見、受け、来(こ)、せ)。 ※上一段活用の未然形はイ段音(例:着(き))、下一段活用の未然形はエ段音(例:蹴(け))。

  • 例:
    • 見る(上二段) → 見 + らる
    • 受く(下二段) → 受け + らる
    • 来(く)(カ変) → 来(こ) + らる
    • す(サ変) → せ + らる

「る」と「らる」の接続の見分け方 接続する動詞の未然形の直前の音に注目するのが簡単です。

  1. ア段音 (a) + る:四段・ナ変・ラ変の未然形(例: kaka-ru)
  2. イ段音 (i) / エ段音 (e) / オ段音 (o) + らる:上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変の未然形(例: mi-raru, uke-raru, ko-raru, se-raru)

語呂合わせとして「ア(a)段には『る』、イ(i)・エ(e)・オ(o)段には『らる』」(アるイエオらる)と覚えるのも有効です。

  • 例文で確認:
    • 人に笑は (四段「笑ふ」未然形「笑は」+ る)
    • 友に責めらる (下二段「責む」未然形「責め」+ らる)
    • この石は持ち上げらるまじ (下二段「持ち上ぐ」未然形「持ち上げ」+ らる)

動詞の活用の種類を正確に見分けることが、「る・らる」を正しく使いこなす鍵となります。

「る・らる」の意味と覚え方

助動詞「る・らる」は文脈に応じて、主に以下の四つの意味を表します。どの意味になるかは、文の主語や動詞の種類、文脈によって判断します。

「る・らる」の四つの意味

  1. 受身(~される)
    • 主語が他からの動作を受ける意を表します。「~に」(動作主)を伴うことが多いですが、省略されることもあります。
    • 例文:「大臣に笑は。」(大臣に笑われる)
    • 例文:「敵に攻めらる。」(敵に攻められる)
  2. 尊敬(~なさる、お~になる)
    • 主語(特に身分の高い人物)の動作に対して敬意を表します。
    • 例文:「帝、詩を読ま。」(帝が詩をお読みになる)
    • 例文:「大臣、かく仰せらる。」(大臣がこのようにおっしゃる)※「仰す」自体も尊敬語
  3. 自発(自然と~される、~せずにはいられない)
    • 主語の意志とは関係なく、動作や状態が自然に生じる意を表します。特に、心情(思う、泣く、案じるなど)や知覚(見る、聞く、覚ゆなど)に関する動詞に付くことが多いです。
    • 例文:「故郷のこと思ひ出らる。」(故郷のことが自然と思い出される)
    • 例文:「昔が偲ばるる。」(昔が自然と偲ばれる)
  4. 可能(~できる)
    • 主語にその動作をする能力や可能性がある意を表します。多くの場合、下に打消の語(ず、じ、まじ、で など)を伴いますが、常に伴うわけではありません。
    • 例文:「この川は深くて渡らず。」(この川は深くて渡ることができない)
    • 例文:「かぐや姫、とどめらるべきにあらず。」(かぐや姫を、引き止めることができるはずではない)

意味の覚え方 四つの意味を覚えるための語呂合わせとして、「じかそう(自可尊受)はる・らる」(自発・可能・尊敬・受身)など、覚えやすいものを使うと良いでしょう。(※順番は識別手順とは異なります)

「る・らる」の識別方法と見分け方のポイント

助動詞「る・らる」がどの意味で使われているのかを正しく識別することは、古典文法を学ぶうえで非常に重要です。特に、受身・尊敬・自発・可能のどの意味になるのかを判断できるかどうかが、文章の解釈に大きく影響します。よく質問がでるところなのでしっかり理解していきましょう。

ここでは、「る・らる」の意味を識別するためのポイントを、判断しやすい順番で整理して解説していきます。


① まずは可能の意味を考える

「る・らる」が可能の意味を持つかどうかを、最初に確認するのがポイントです。可能の意味は、特に打消を表す語とセットで使われることが多いため、後ろに「ず・なし・まじ・で・じ」などの打消表現があるかどうかをチェックすると判断しやすくなります。

例文:「この橋は渡ら【る】まじ」
(この橋は渡ることが できない → 可能)

また、動詞の種類によっては可能の意味になりにくいものもあるため、文全体の流れを意識して判断することが重要です。鎌倉時代以降の文章では、後ろに打消の語がなくても可能で使われることもありました。


② 次に自発の可能性を考える

「る・らる」の直前にある語が心情や知覚を表す語(思ふ・泣く・覚ゆ など)であれば、自発の意味を持つ可能性が高くなります。これは「自然に~される」というニュアンスがあるためです。

例文:「幼き日々を思ひ出さ【る】」
(幼き日々が 自然と思い出される → 自発)

また、「る・らる」の直前の語が、「見(見る)」「聞(聞く)」などの知覚を表す語の場合も、自発の可能性が高くなります。

例文:「風の音が聞こえ【る】」
(風の音が 自然と聞こえる → 自発)


③ 次に尊敬の意味を考える

「る・らる」の直前が尊敬語の場合、その助動詞は尊敬の意味を持つことが多いです。特に、貴人(天皇・貴族・高貴な人物)が主語である場合は、尊敬の可能性が高くなります。

例文:「師がのたまは【るる】ことを守る」
(師がおっしゃることを守る → 尊敬)
※「のたまふ」は「おっしゃる」を意味する尊敬語

このように、主語が貴人であり、尊敬語がセットになっている場合は、尊敬の意味として識別できます。


④ 受身の可能性を考える

「る・らる」の意味を考える際に、主語が動作を受けているようであれば、受身の意味を持つことが多いです。特に、受身の対象となる「~に」がある場合は、受身の可能性が高くなります。

例文:「友に悪しきことを言は【る】」
(友に 悪口を言われる → 受身)

ただし、受身の対象(~に)は古典文では省略されることが多いため、文脈から補って考える必要があります。

例文:「家の門を閉ざさ【る】」
(家の門を閉ざされる → 受身)
※「家の門を(妻に)閉ざされる」が本来だが、古文では明らかにわかる内容はよく省略される

このように、「~に」がなくても、動作の受け手が明らかであれば受身の意味として識別します。


⑤ 主語を確認する

最後に、主語が誰であるかを意識して読むことも重要です。主語が貴人(天皇・貴族など)の場合、尊敬の意味を持つことが多くなります。一方、主語が一般人であり、誰かの動作を受けている場合は受身の意味になることが多いです。

① 主語が貴人(天皇・貴族など)の場合 → 尊敬の意味

例文:「帝の仰せらるること、臣下の胸に響く。」
(帝が おっしゃること は、臣下の胸に響く → 尊敬

例文:「公のおはせらるるところ、花の香り満つ。」
(貴族の方が いらっしゃる 場所には、花の香りが満ちている → 尊敬


② 主語が一般人であり、他者の動作を受けている場合 → 受身の意味

例文:「家の者に呼ばるれど、応へず。」
(家の者に 呼ばれる が、返事をしなかった → 受身

例文:「旅の僧、村人に問はるるも、何も言はず。」
(旅の僧は村人に 尋ねられる が、何も答えなかった → 受身

さらに、「れ給ふ」のように、助動詞「る・らる」の後ろに尊敬語(給ふ・おはす など)がつく場合、「る・らる」自体は尊敬の意味にならずに受身や自発の意味になる点に注意が必要です。

例文:「御歌詠まれ給ふ。」
(御歌を お詠みになる
「れ」は単なる受身または自発で、「給ふ」が尊敬の意味を持つ

このように、後続の尊敬語があるかどうかも識別のポイントになります。


まとめ

「る・らる」の識別をする際には、意味を考える順番を意識すると判断しやすくなります。

  1. 可能の意味をまず考え、否定語(ず・なし・まじ など)があるかをチェックする
  2. 心情・知覚動詞が直前にある場合、自発の可能性を考える
  3. 直前が尊敬語の場合、尊敬の意味を持つかどうかを確認する
  4. 受身の対象(~に)があるか、または省略されていないかを確認する
  5. 主語が貴人かどうかを確認し、尊敬か受身かを判断する
  6. 後ろに尊敬語(給ふ など)がある場合、「る・らる」は尊敬にならないことを押さえる

この順番で考えることで、「る・らる」の識別がスムーズになり、読解力の向上にもつながります。慣れるまでは例文とともに確認しながら練習を重ねることが大切です。

古典の助動詞「る・らる」をマスターするための問題集

  • 【問題】「る・らる」の意味(受身・尊敬・自発・可能)を答えなさい
  • 【問題】「る」または「らる」の適切な形を入れなさい
  • 完了の助動詞「り」との識別
  • チャレンジ問題

【問題】「る・らる」の意味(受身・尊敬・自発・可能)を答えなさい

問題】「る・らる」の意味を答えなさい

問題①(基本レベル) 次の文中の【る・らる】の意味を答えなさい。

  1. 大臣この歌を読ま【る】。
  2. 大臣の御言葉に驚か【る】。
  3. この門は夜になれば閉ざさ【る】。
  4. 心に思は【るる】ことあり。
  5. 侍に討た【る】。

解答と解説①

  1. 尊敬:「大臣」という高貴な人物が主語なので、「お読みになる」という尊敬の意味。
  2. 自発:「驚く」は心情を表す動詞。大臣の言葉によって「自然と驚かされる」という自発の意味。(文脈によっては受身「驚かされる」とも取れるが、心情語なので自発が第一候補)
  3. 受身:門は自分で閉まるのではなく、誰かによって「閉じられる」と考えられるため受身。(※文脈によっては「自然と閉まる」と解釈できれば自発の可能性も僅かにあるが、通常は受身。)
  4. 自発:「思ふ」は心情を表す動詞。「心の中に自然と思われること」という自発の意味。
  5. 受身:「侍に」という動作主が明示されているため、「侍によって討たれる」という受身の意味。

問題②(応用レベル) 次の文中の【る・らる】の意味を答えなさい。

  1. いとあはれに覚え【らる】。
  2. 殿のおほせ【らるる】ことを守る。
  3. この川は深くて渡ら【れ】ず。
  4. かくのたまは【るる】ことありけり。
  5. 我、夢に泣か【る】。

解答と解説②

  1. 自発:「覚ゆ」は知覚・心情を表す動詞。「非常にしみじみと(自然と)感じられる」という自発の意味。
  2. 尊敬:「殿(身分の高い人)」が主語であり、「仰す(おほす)」も貴人の言動を表す言葉。「殿がおっしゃること」という尊敬の意味。
  3. 可能:直後に打消の助動詞「ず」があるため、「渡ることができない」という可能の意味。
  4. 尊敬:「のたまふ(おっしゃる)」は尊敬語であり、話者が高貴な人物であることを示唆しているため、「このようにおっしゃることがあった」という尊敬の意味。
  5. 自発:「泣く」は心情の表出に関わる動詞。夢の中で「(意志とは関係なく)自然と泣いてしまう」という自発の意味。(※受身「泣かされる」と取ることも文脈次第ではありうるが、自発が自然。)

問題③(実践レベル) 次の文中の【る・らる】の意味を答えなさい。

  1. 我が身にかかる災ひを思は【る】。
  2. かく申さ【る】べきことならず。
  3. つひに逃げ【られ】ず。
  4. 夜ごとに物の怪に悩ま【る】。
  5. 皆の者に言は【る】な。

解答と解説③

  1. 自発:「思ふ」は心情を表す動詞。自分の身にふりかかる災難について「(あれこれと)自然と考えさせられる」という自発の意味。
  2. 受身 or 尊敬:「申す」は謙譲語だが、ここでは「このように申し上げられる」という形で、間接的に高貴な人物の言動を指している可能性があるため尊敬、または「このように(私などが)申し上げられるようなことではない」という受身(≒可能)のニュアンスも考えられる。文脈による判断が必要だが、高校レベルでは、高貴な人物が関わる場面と想定して尊敬と答えるのが一般的か。(※厳密には判断が難しい例)
  3. 可能:直後に打消の助動詞「ず」があるため、「とうとう逃げることができない」という可能の意味。
  4. 受身:「物の怪に」という動作主(原因)が示されており、「物の怪によって悩まされる」という受身の意味。
  5. 受身:「皆の者に」という動作主が示されている。禁止の「な」がついているが、「皆に言われるな」という受身の意味。

【意味識別のまとめ】

  • 可能:打消の語(ず、じ、まじ等)が続くか?
  • 自発:心情・知覚動詞(思ふ、見る、聞く等)に接続しているか?
  • 尊敬:主語は身分の高い人か?
  • 受身:「~に」(動作主)があるか?または文脈から補えるか?
  • 上記に当てはまらない場合は、文脈全体で判断する。

繰り返し問題を解き、識別のパターンに慣れることが重要です。

【問題】「る」または「らる」の適切な形を入れなさい

「る」と「らる」は、接続する動詞の未然形の音によって使い分けます。

  • ア段音 + る (四段・ナ変・ラ変)
  • イ段音・エ段音・オ段音 + らる (上一・上二・下一・下二・カ変・サ変)

【問題】 次の( )内に「る」または「らる」を適切な活用形にして入れなさい。

  1. 波の音に驚か(   )。
  2. 風の音が自然に聞こえ(   )。
  3. 夜になれば門が閉ざさ(   )。
  4. この道は狭くて通ら(   )べからず。
  5. 帝の御言葉にぞ、人々おどろか(   )。

【解答と解説】

  1. :「驚く」は四段活用。未然形「驚か(odoroka)」はア段音なので「る」が接続。文末なので終止形「る」。
    • 正解:
  2. らる:「聞こゆ」は下二段活用。未然形「聞こえ(kikoe)」はエ段音なので「らる」が接続。文末なので終止形「らる」。
    • 正解:らる
  3. :「閉ざす」は四段活用。未然形「閉ざさ(tozasa)」はア段音なので「る」が接続。文末なので終止形「る」。
    • 正解:
  4. :「通る」は四段活用。未然形「通ら(toora)」はア段音なので「る」が接続。後に助動詞「べし」が続くため、接続する「る」の形は終止形「る」。(「べし」は終止形接続、ただしラ変型には連体形接続)
    • 正解:
  5. るる:「おどろく」は四段活用。未然形「おどろか(odoroka)」はア段音なので「る」が接続。文中に係助詞「ぞ」があるので、文末(結び)は連体形になる。したがって「る」の連体形「るる」。
    • 正解:るる

完了の助動詞「り」との識別

助動詞「る・らる」と、完了の助動詞「り」は形が似ているため、古典文法に慣れていない学習者にとっては識別が難しいポイントの一つです。

しかし、識別のための手がかりを正しく押さえることで、迷わず意味を判断することが可能になります。ここでは、それぞれの助動詞の特徴と見分け方について詳しく解説します。

まず助動詞「り」には、「完了・存続」という意味があります。これは動作や状態がすでに完了している、またはある状態がそのまま続いていることを表します。

一方、「る・らる」は受身・尊敬・自発・可能の4つの意味を持ち、動作や状態の方向性に違いがあります。

識別のためには、助動詞が接続している語の種類と形を確認することが重要です。助動詞「り」は、サ変動詞の未然形四段動詞の已然形にしか接続しません。この両者の音に共通するのはエ段音です

たとえば、サ行変格活用動詞「おはす」の已然形「おわせ」に「り」が接続して「おわせり」となった場合、「完了・存続」の意味になります。

例:「花の色うつれり」

この「り」は「り(終止形)」の形で、「花の色があせてしまった(完了)」という意味を表しています。

接続している「うつれ」が四段動詞の已然形であるため、ここで使われている助動詞は「り」と判断できます。

一方、助動詞「る・らる」は未然形接続の助動詞であり、前の動詞が未然形であることが識別の手がかりになります。四段活用、ナ行変格活用、ラ行変格活用に共通の音はア段音です。

たとえば、「笑はる」「泣かる」などのように、未然形に「る・らる」が接続している形は、受身や自発などの意味になります。

つまり接続がア段音かエ段音かで活用が紛らわしいる「る」と「れ」が判断可能になります。

接続基本語未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ア段音るるるれれよ
エ段音

もう一つの識別ポイントは、文中での意味やニュアンスです。「り」は完了を示すため、文の中で“~してしまった”“~てある”というような結果を強調する表現になることが多いです。反対に、「る・らる」は「~される」「~なさる」など、動作の受け手や尊敬の対象が明確な文脈で使われます。

例えば次のような例で比べてみます。

  • 「大臣、書読る。」 → 四段動詞「読む」の未然形「読ま」に「る」が接続 → 尊敬
  • 「大臣ぞ、書読る。」 → 四段動詞「読む」の已然形「読め」に「る(=りの連体形)」が接続 → 完了

このように、「完了の助動詞『り』と『る・らる』」を見分けるには、以下の点をチェックしましょう。

  • 接続する語の音(ア段音なら「る」、エ段音なら「り」)
  • 意味の違い(受身・自発などか、完了・存続か)
  • 活用形の違い
  • 文脈や訳し方の自然さ

特に試験では、「る」と「れ」の区別や、助動詞の接続の確認が問われることが多いため、普段から例文を通して見慣れておくことが重要です。接続と意味のセットで覚えるようにすれば、混同することなく使い分けができるようになります。

チャレンジ問題

ここまでの内容を理解できたか、簡単な練習問題で確認してみましょう。

以下の問題を考えてみてください。問題の一番最後には正解数も表示されるのでテストと同じように取り組んでみてください。

なお、選択肢は一度しか選べませんからきちんと選択するようにしてください。

古文助動詞「る・らる」理解度チェック

この問題は再チャレンジボタンを押したら何度でもできるので、満点が取れるまで頑張ってください!

助動詞「る・らる」の問題の重要ポイントを押さえよう

たく先生
たく先生

記事のポイントを以下にまとめました。参考になったらうれしいです。

  • 助動詞「る」「らる」はともに下二段活用をする。
  • 「る」は四段・ナ変・ラ変動詞の未然形(ア段音)に接続する。
  • 「らる」は上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変動詞の未然形(イ・エ・オ段音)に接続する。
  • 意味は主に「受身・尊敬・自発・可能」の四つ。
  • 可能は打消の語(ず、じ、まじ等)を伴うことが多い。
  • 自発は心情・知覚動詞(思ふ、見る、聞く等)に接続することが多い。
  • 尊敬は主語が身分の高い人物の場合に用いられることが多い。
  • 受身は「~に」(動作主)があるか、文脈で補える場合に判断しやすい。
  • 「る・らる + 給ふ」などの場合、「る・らる」自体は尊敬ではなく、受身・自発・可能のことが多い。
  • 意味の識別は、可能→自発→尊敬→受身の順で考えると効率的。
  • 完了の助動詞「り」とは、接続する音(ア段 vs エ段)と意味で区別する。
  • 古典の読解において、「る・らる」の正確な識別は文意を正しく捉えるために不可欠。練習問題で理解を深めることが大切。
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