古文の形容動詞を完全攻略!活用表の覚え方と識別を現役教員が解説

高校の古文の授業で用言を学習する際、動詞や形容詞に続いて登場するのが「形容動詞」です。「活用表を丸暗記したはずなのに、実際の文章題になるとどれが形容動詞なのか見分けられない」「なり・に・たりの識別問題でいつも失点してしまう」と頭を抱えている高校生は非常に多く見られます。
しかし、古文の形容動詞はポイントさえ整理してしまえば、動詞よりも活用のパターンがはるかに単純で、最も確実に満点を狙える得点源の品詞です。活用の種類は「ナリ活用」と「タリ活用」の2つしか存在せず、どちらもラ行変格活用(ラ変)の語尾変化をそのまま受け継いでいるため、仕組みを論理的に理解すれば苦労せず覚えることができます。
この記事では、現役高校教員の指導経験をもとに、形容動詞の基本概念から活用表の効率的な覚え方、そして定期テストや大学入学共通テストで頻出する「なり・に・たり」の識別裏ワザまで、実戦演習問題を交えて徹底的に解説します。

形容詞と形容動詞の違いがよく分からなくて、テストの識別問題でいつも助動詞の『なり』と混同してしまいます……。

そのつまずきは誰もが一度は通る道です!でも安心してください。形容動詞は『上にいとを補えるか』という魔法の判定法を使えば、誰でも機械的に一発で見分けられるようになりますよ。一緒に完全攻略していきましょう!
- 性質や状態を表す用言!形容動詞の成り立ちと形容詞との決定的な違い
- ナリ活用(なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ)の活用表とラ変型のリズム暗記法
- タリ活用(たら・たり/と・たり・たる・たれ・たれ)の特徴と漢語由来の語構成ルール
- なぜ連用形に「に」「と」があるのか?用言修飾と助動詞接続の明確な使い分け基準
- 入試最頻出!「なり」「に」「たり」の識別を100%見分ける現役教員直伝の思考プロセス
- 定期テスト・大学入試に直結するオリジナル実戦問題カードと詳細な解説
古文の形容動詞とは?ナリ・タリ活用の基本と特徴
古文の文法を攻略する上で、まずは形容動詞という品詞がどのような性質を持ち、なぜ生まれたのかという本質を掴むことが重要です。丸暗記に頼るのではなく、言葉の成り立ちと構造を理解することで、活用表や識別規則が驚くほどスムーズに頭へ定着していきます。
性質や状態を表す用言!形容詞との決定的な違い

形容動詞とは、物事の「性質」や「状態」を表す自立語であり、単独で述語になれる「用言」の一種です。意味の面では形容詞(「うつくし」「たかし」など)とまったく同じ働きをしますが、文法上の分類としては明確に区別されます。
形容詞と形容動詞の最も決定的な違いは、言い切りの形(終止形)の語尾が「し」で終わるか、「なり/たり」で終わるかという点です。例えば、「あはれ」という状態を表す言葉に助動詞「あり」が融合して「あはれ+に+あり ➔ あはれなり」と変化したものが形容動詞です。つまり、「実質的な意味を表す語幹(名詞的要素)」+「動詞あり(ラ変型活用)」が合体して1つの単語になったものこそが形容動詞の正体なのです。
現代語では「静かだ」「綺麗だ」のように終止形が「だ」で終わるため「だ・な」の活用をしますが、古文の形容動詞は終止形が「なり」または「たり」で終わるという大原則を絶対に忘れないようにしましょう。
ナリ活用の活用表とリズムで覚える活用語尾
古文の形容動詞には「ナリ活用」と「タリ活用」の2種類しかありません。そのうち、古文の文章中に登場する形容動詞の9割以上を占めるのが「ナリ活用」です。まずはこのナリ活用の活用変化を完璧にインプットしましょう。
ナリ活用の活用語尾は、「なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ」と変化します。この変化をよく観察してみると、ラ行変格活用動詞(あり・をり・はべり・いまそかり)の語尾である「ら・り・る・れ」に「な」を冠した形(な+ら、な+り、な+る、な+れ)と完全に一致していることが分かります。助動詞「あり」が語尾に組み込まれているため、活用語尾がラ変型と全く同じ動きをするのです。
覚える際は、口拍子に乗せて「なら、なり・に、なり、なる、なれ、なれ」と10回復唱してください。連用形に「なり」と「に」の2つの形があること、そして終止形と連用形の両方に「なり」が存在する点がテストで狙われる最大の急所となります。
| 活用の種類 | 基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ナリ活用 | あはれなり | なら | なり / に | なり | なる | なれ | なれ |
| タリ活用 | 堂々たり | たら | たり / と | たり | たる | たれ | たれ |
| (参考:ラ変) | あり | ら | り | り | る | れ | れ |
タリ活用の活用表と漢語に付く特徴をマスター
もう一つの活用の種類である「タリ活用」は、活用語尾が「たら・たり/と・たり・たる・たれ・たれ」と変化します。ナリ活用と同様に、こちらも「と+あり ➔ たり」という語源を持つため、語尾は完全にラ変型(たら・たり・たる・たれ)を踏襲しています。
タリ活用の最大の特徴は、語幹のほとんどが「漢字2文字の漢語(畳語や熟語)」であるという点です。「堂々たり」「爛漫たり」「整々たり」「断然たり」のように、漢文訓読(中国の漢文を日本語として読むこと)の文脈から生まれた言葉が多く、文章に荘厳さや緊迫感、厳粛な情景描写を付与する文体的な役割を担っています。
日常会話や和歌などの大和言葉(和語)を中心とする文章にはナリ活用が使われ、軍記物語(平家物語など)や漢文訓読調の記録文にはタリ活用が多く用いられるという文脈上の違いも把握しておくと、古典読解の視野が一段と広がります。
なぜ連用形が2つある?「に・と」の使い分け

生徒から最もよく質問を受けるのが、「なぜナリ活用の連用形には『なり』と『に』の2つがあるのか?」「どうやって使い分けるのか?」という疑問です。実は、この2つの連用形には文法上の明確な役割分担が存在します。
結論から言うと、下に助動詞や接続助詞(けり・たり・て等)が続く場合は「なり/たり」を用い、下に来る動詞を用言修飾(副詞のように修飾)する場合は「に/と」を用います。
例えば、「あはれなり+けり」のように過去の助動詞が続くときは「あはれなりけり」となりますが、「あはれなり+泣く」のように動詞を修飾する場合は「あはれに泣く(しみじみと泣く)」となります。つまり、「に」「と」は現代語の「静かに話す」「堂々と歩く」と同じ副詞的な修飾の形なのです。この使い分けを理解しておくと、後述する「に」の識別問題が驚くほど簡単に見抜けるようになります。
- 「なり」「たり」の形 ➔ 主に助動詞(けり・たり・き)や助詞(て・ば)に接続する
- 「に」「と」の形 ➔ 主に直後の用言(動詞)を副詞的に修飾する(例:いと清らに装束す)
- どちらも文法上の品詞は「形容動詞の連用形」であり、単語の途中で切れることはない
定期テスト頻出!重要ナリ活用形容動詞の一覧
古文の読解や定期テストで頻出する重要ナリ活用形容動詞は、現代語と意味が大きく異なる「古今異義語」の宝庫です。文法問題として出題されるだけでなく、現代語訳問題や心情把握問題の決定的な手がかりとなるため、必ず意味とセットで押さえましょう。
代表的なものとして、「あはれなり(しみじみと情趣がある・いとしい)」「あてなり(高貴だ・上品だ)」「あからさまなり(ほんの少し・一時的だ)」「いうなり(優美だ・優れている)」などが挙げられます。特に「あからさまなり」は、現代語の「あからさま(露骨だ)」という意味で解釈してしまうと文脈を正反対に取り違えてしまうため、絶対に現代語の意味で訳してはいけない最頻出のトラップ語です。
ほかにも、「いたづらなり(無駄だ・むなしい)」「すずろなり(あてもない・思いがけない)」「まめなり(誠実だ・実用的だ)」「むげなり(ひどい・身分が低い)」などは、大学入試でも毎年どこかの大学で必ず問われる超重要単語です。語幹の部分に状態性があることを意識しながらインプットしましょう。
漢文訓読由来!頻出タリ活用形容動詞の一覧
タリ活用形容動詞は、ナリ活用に比べると単語数自体は多くありません。そのため、教科書や入試問題に登場する代表的な数語をあらかじめリストアップして覚えておくことが最も費用対効果の高い勉強法です。
最重要語は、「堂々たり(立派で威厳がある)」「爛漫たり(花などが咲き乱れている・光り輝いている)」「截然たり(区別がはっきりしている)」「泰然たり(落ち着いて動じない)」などです。いずれも漢字2文字が連なって情景や心理の張り詰めた様子をリアルに描写しています。
これらの語を見かけたら、語幹が漢字2文字であること、そして下に「たり」「たる」「と」が続いていることを確認し、即座に「タリ活用形容動詞」と判断できる瞬発力を養っておきましょう。
| 品詞 | 言い切りの形(終止形) | 表す内容・意味 | 代表的な単語例 |
|---|---|---|---|
| 動詞 | ウ段(く・す・つ・る等) | 事物の動作・作用・存在 | 書く、あり、過ぐ、受く |
| 形容詞 | 「〜し」(ク活用・シク活用) | 性質・状態(感情・感覚) | うつくし、高し、ありがたし |
| 形容動詞 | 「〜なり」「〜たり」 | 性質・状態(客観的・情景的) | あはれなり、清らなり、堂々たり |
古文の形容動詞の識別法とテスト頻出の実戦演習
定期テストや大学入学共通テスト、国公立・私立大学入試で最も受験生を悩ませるのが「品詞の識別問題」です。特に「なり」「に」「たり」という音は、形容動詞の一部なのか、それとも助動詞や助詞なのかが極めて紛らわしいため、明確な判断基準を持っていなければ必ず失点してしまいます。現役高校教員が実際に授業で教えている必勝の識別ロジックを伝授します。
最重要!「なり」の識別を見分ける魔法の裏ワザ

古文文法における「なり」には、主に4つの可能性が存在します。①形容動詞ナリ活用の活用語尾、②断定の助動詞「なり」、③伝聞・推定の助動詞「なり」、④動詞「なる」の連用形です。この中で最も問われるのが、①形容動詞語尾と②断定の助動詞の区別です。
この2つを一瞬で見分ける究極の裏ワザが、「その言葉の上に『いと(とても)』を補って意味が通るかどうか」を試すことです。
形容動詞は「性質や状態」を表すため、上に「いと」を置いても「いと あはれなり(とてもしみじみとしている)」「いと 静かなり(とても静かだ)」のように自然に意味が通じます。一方、断定の助動詞「なり」は「〜である」という意味の名詞述語を作るため、「いと 男なり(とても男である)」「いと 京なり(とても京都である)」とすると日本語として意味が破綻してしまいます。「いと」が入れば形容動詞、入らなければ断定の助動詞というこの解法は、まさに百発百中の識別ルールです。
- 上に「いと」を補える ➔ 形容動詞ナリ活用の活用語尾(例:いと清らなり)
- 体言(名詞)や連体形に付き「〜である」と訳せる ➔ 断定の助動詞「なり」(例:これぞ都なり)
- 終止形(ラ変型は連体形)に付き「〜という/〜ようだ」と訳せる ➔ 伝聞・推定の助動詞「なり」(例:男もすなる日記)
- 「生成する・変化する」という意味の動詞 ➔ ラ行四段動詞「なる」の連用形(例:春になりぬ)
「に」の識別!形容動詞連用形と助動詞・格助詞
「なり」と並んで入試頻出の超難関テーマが「に」の識別です。傍線部が引かれた「に」が、形容動詞の連用形語尾なのか、断定の助動詞「なり」の連用形なのか、あるいは単なる格助詞・接続助詞なのかを見極めなければなりません。
ここでも強力な武器になるのが、やはり「いと」の挿入です。直前の語幹と一緒に「いと」で修飾でき、下に来る動詞へ自然にかかっていく場合は、間違いなく「形容動詞ナリ活用の連用形語尾」です(例:「いと あはれに 言ふ」)。直前の語と「に」を切り離すことはできません。
一方、「〜であって」と訳せて下に助詞「て」や動詞「あり・侍り」が続く場合(〜にて、〜にあり等)は、断定の助動詞「なり」の連用形です。そして「京に行く」「春に咲く」のように時や場所を表すなら格助詞となります。「単語の一部として切り離せないのが形容動詞」という原則を心に刻んでおきましょう。
「たり」の識別!形容動詞と完了助動詞の見分け
「たり」の識別は、一見難しそうに見えますが、実は接続(直前の言葉の品詞)を確認するだけで1秒で機械的に判別できるボーナス問題です。
判別の決定打は、直前の言葉が「動詞の連用形」であるか「漢語の語幹」であるかです。完了・存続の助動詞「たり」は必ず動詞の連用形(例:咲き+たり ➔ 咲きたり、行き+たり ➔ 行きたり)に接続します。それに対して、形容動詞タリ活用の「たり」は、「堂々」「整々」「泰然」といった漢字2文字の状態を表す漢語の直後に直接くっついて1つの形容動詞を作ります。
直前が動詞なら完了・存続の助動詞、直前が漢語なら形容動詞の活用語尾。この接続の絶対法則さえ頭に入っていれば、テスト本番で迷うことは二度とありません。
定期テスト・入試で満点を取る実戦問題に挑戦
ここまで学んだ知識が本物になっているか、実際の定期テストや大学入試レベルの実戦問題で腕試しをしてみましょう。アコーディオンを開く前に、必ず自分自身で答えと思考プロセスを考えてみてください。
次の各文の傍線部の品詞名・活用の種類・活用形を答えよ。また、識別の根拠を説明せよ。
問2:男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。(『土佐日記』)
問3:庭の桜、花爛漫たるに、風吹き過ぎて散り乱る。
💡 解答と詳しい思考プロセス(タップして開く)
【問1の正解】:形容動詞・ナリ活用・已然形
【思考プロセス】:直前の「夕暮れこそ」に係助詞「こそ」があるため、文末は係り結びによって已然形となります。「あはれなり」はナリ活用形容動詞(なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ)なので、已然形は「あはれなれ」です。上に「いと」を補えることからも形容動詞と確定できます。
【問2の正解】:伝聞・推定の助動詞「なり」・連体形
【思考プロセス】:直前の動詞「す」はサ変動詞「す」の終止形です。終止形接続で下に体言「日記」が続いているため、伝聞・推定の助動詞「なり」の連体形「なる」と判定します。「男もしていると聞く日記」と訳せます。
【問3の正解】:形容動詞・タリ活用・連体形
【思考プロセス】:直前の「爛漫」は漢字2文字の状態を表す漢語です。下に助詞「に」が続き体言に準ずる形で接続しているため、タリ活用形容動詞「爛漫たり」の連体形「爛漫たる」と見抜けます。
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古文の形容動詞をマスターして得点力を伸ばすまとめ

今回は、古文の用言の中でも特に重要でありながら差がつきやすい「形容動詞」の概念、活用の種類、覚え方、そして最難関である「なり・に・たり」の識別法を徹底解説してきました。最後に、本記事の要点を振り返って頭を整理しましょう。
- 形容動詞は性質・状態を表す用言で、終止形が「なり」「たり」で終わる
- ナリ活用は「なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ」でラ変型のリズムで覚える
- タリ活用は「たら・たり/と・たり・たる・たれ・たれ」で漢語の語幹に付く
- 連用形「に」「と」は直後の動詞を用言修飾(副詞のように修飾)する形である
- 「なり」の識別は上に「いと」を補えるかどうかで形容動詞と断定助動詞を一発判定する
- 「たり」の識別は直前が動詞連用形(完了)か漢語語幹(形容動詞)かで瞬時に見分ける
形容動詞は一見すると複雑に見えますが、本記事で解説した「ラ変型変化の規則性」と「いと挿入による識別公式」さえ身につけてしまえば、もはや定期テストや大学入試で恐れるものは何もありません。
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文法の仕組みを理屈で理解した瞬間、古文は無味乾燥な暗記科目から面白い謎解きゲームへと変わります。まずは活用表を声に出して読んで、識別の裏ワザを実戦で試してみてくださいね!
【公的機関・一次情報・学術エビデンスリンク】
・文部科学省 高等学校学習指導要領(国語・古典探究)
・国立国語研究所 日本語文法研究・古典語コーパスデータベース
・文化庁 国語施策・現代日本語と古典語の表記指針






