【中納言参り給ひて】現代語訳と品詞分解!枕草子のテスト対策を徹底解説

高校国語・古典の授業や定期テストで必ず出題される『枕草子』の超重要章段、「中納言参り給ひて(ちゅうなごん まいりたまひて)」。「扇の骨」をめぐる中納言・藤原隆家の大げさな自慢話に対し、作者・清少納言が「くらげのななり(クラゲの骨ですね)」と即座に切り返した機知あふれる問答は、千年の時を超えて読者をクスッと笑わせる名場面です。
しかし、実際の定期テストでは「奉らせ給ふ」「問ひ聞こえさせ給へば」などの複雑な二重敬語・敬意の方向や、「え〜まじ」「な〜そ」といった重要呼応構文、そして「なぜクラゲなのか?」という背景読解が容赦なく狙われます。
指導歴20年以上の現役高校教員の視点から、「中納言参り給ひて」のあらすじ・全文現代語訳・品詞分解・敬語の識別から、定期テスト予想問題3選までをどこよりもわかりやすく徹底解説します!
- 中納言隆家の自慢話に清少納言が機知で切り返す名場面
- 「世にない素晴らしい骨」を「存在しない海月の骨」とユーモアで返答
- 「奉らせ給ふ」「問ひ聞こえさせ給へば」の二重敬語と敬意の方向
- 「え〜まじ」「な〜そ」の呼応と実戦問題3選を徹底攻略
『中納言参り給ひて』のあらすじと全文現代語訳
まずは『中納言参り給ひて』の登場人物の関係性と、全文の現代語訳を場面ごとにじっくり確認していきましょう。
登場人物の関係と時代背景

『枕草子』「中納言参り給ひて」を深く理解する鍵は、「誰と誰が、どのような関係で会話しているのか」を把握することにあります。この章段には主に3人の重要人物が登場します。
| 登場人物 | 立場・身分 | 作中での役割と性格 |
|---|---|---|
| 中宮定子 (ちゅうぐう ていし) |
一条天皇の后(皇后) 隆家の同母姉 |
華やかなサロンの主宰者。教養が高く機知に富み、弟の隆家や清少納言を温かく見守る。 |
| 中納言隆家 (ふじわらの たかいえ) |
中関白・藤原道隆の四男 定子の同母弟 |
快活で豪胆、少しおどけた大言壮語が魅力的な貴公子。後に「刀伊の入寇」で外敵を撃退した勇将。 |
| 清少納言 (せいしょうなごん) |
定子に仕える女房 『枕草子』の作者 |
高い漢学の素養と抜群のユーモア感覚を持つ。定子に心酔しており、サロンの輝きを誇らしく記録する。 |
時は平安中期、関白・藤原道隆が権勢を誇り、その娘である定子の後宮は当代一流の文化人が集う最高峰の知的サロンでした。姉弟ならではの気兼ねない冗談が交わされるアットホームな空気感をイメージしながら読み進めましょう。
冒頭から扇の自慢までの訳

物語は、中納言隆家が姉である中宮定子の御所を訪れる場面から始まります。
隆家は「素晴らしい骨を手に入れたが、あまりに見事すぎて普通の紙では釣り合わない。だから特別な紙を探しているのだ」と、いかにも誇らしげに自慢します。この大げさな語り口が、次の名場面への見事な前振りとなっています。
くらげの骨の機知と返答訳
隆家の自慢話に対して定子が尋ね、そこに清少納言が鋭いウィットで割って入ります。
「まだ誰も見たことがない骨」という隆家の言葉尻をとらえて、「クラゲには骨がない(=この世に存在しない骨)」と瞬時に切り返した清少納言の鮮やかさと、怒るどころか「やられた!」と豪快に笑う隆家の器の大きさが光ります。
結びの自慢と定子の言葉訳
章段の締めくくりでは、清少納言がこのエピソードを『枕草子』に書き留めることになった舞台裏が明かされます。
「自分の機知を自分で書き残すのは決まりが悪いけれど、定子様に『絶対に一文字も漏らさず書きなさい』と言われたから仕方なく書いているのよ」という、清少納言流の愛らしい照れ隠しと定子への誇りが込められています。
全文対照表とストーリー要約
テスト直前にパッと頭を整理できるよう、「中納言参り給ひて」の全体の流れを起承転結でまとめました。
| 展開 | 原文の骨子 | あらすじと要約 |
|---|---|---|
| 起(導入) | 中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに… | 隆家が定子の御所を訪れ、前代未聞の素晴らしい扇の骨を手に入れたと自慢する。 |
| 承(展開) | 「いか様にかある」…「さらにまだ見ぬ骨のさまなり」 | 定子の問いに対し、隆家は「誰も見たことがない骨だ」とますます大言壮語する。 |
| 転(機知) | 「さては、扇のにはあらで、くらげのななり」 | 清少納言が「それなら骨のないクラゲの骨ですね」と切り返し、隆家をやり込める。 |
| 結(結び) | 「一つな落としそ」と言ひたれど… | 隆家は快く負けを認め、定子は清少納言に「一言も漏らさず記録せよ」と命じる。 |
隆家の性格と宮廷サロン文化
この章段の魅力は、清少納言の機知だけでなく、中納言隆家の人間的な器の大きさにあります。もし隆家が度量の狭い貴族であれば、身分の低い女房に公然とからかわれたら激怒していたはずです。しかし隆家は「これは隆家が一本取られた!」と豪快に笑い飛ばしました。
平安貴族のサロンでは、単なる身分の上下だけでなく、「機知(エスプリ)」「ユーモア」「古典文学への深い造詣」を互いに認め合い、ウィットに富んだ会話を楽しむことが最高の教養とされていました。定子の後宮がいかに風通しがよく、自由で知的な輝きに満ちていたかを如実に物語っています。
定期テスト対策!品詞分解と重要敬語の識別
ここからは定期テストで狙われる文法事項、品詞分解、重要敬語の識別、そして実戦予想問題を詳しく解説します。
奉らせ給ふの敬語と品詞分解
定期テストで最も配点が高く、差がつくのが敬語の品詞分解と敬意の方向です。冒頭の「奉らせ給ふ」は必ず出題される超重要フレーズです。
- ・御(おほむ):接頭語(扇を高める尊敬)
- ・扇(あふぎ):名詞
- ・奉ら(たてまつら):サ行下二段動詞「たてまつる」未然形【本動詞・謙譲語】(動作主:隆家 ➔ 客体:中宮定子への敬意)「差し上げる」
- ・せ:使役の助動詞「す」連用形(従者に差し上げさせる「使役」、または隆家を高める「最高敬語(尊敬)」とする説がある)
- ・給ふ(たまふ):四段動詞「たまふ」連体形【補助動詞・尊敬語】(作者清少納言 ➔ 動作主:中納言隆家への敬意)「なさる」
- ・に:接続助詞
| 敬語表現 | 敬語の種類 | 敬意の送り手 | 敬意の受け手 |
|---|---|---|---|
| 奉ら(たてまつる) | 謙譲語(本動詞) | 作者(清少納言) | 中宮定子(客体) |
| 給ふ(たまふ) | 尊敬語(補助動詞) | 作者(清少納言) | 中納言隆家(動作主) |
| 問ひ聞こえさせ給へば | 謙譲+最高敬語 | 作者(清少納言) | 中宮定子(最高敬意) |
「奉る(差し上げる)」は受け手である中宮定子を高め、「給ふ(なさる)」は差し上げる動作をしている中納言隆家を高めています。この主客のねじれを正確に整理しておきましょう。
え張るまじければの文法構造
隆家の台詞「おぼろけの紙はえ張るまじければ」には、古文読解の超頻出公式が2つ凝縮されています。
- 「おぼろけなり」の意味:形容動詞ナリ活用。「並一通りだ、普通だ」という意味。現代語の「おぼろげ(ぼんやり)」とは全く意味が異なるので注意!
- 「え〜打消」の不可能構文:副詞「え」+打消の助動詞(まじ・ず)で「とても〜できない」という不可能を表します。
「まじければ」は打消推量・不可能の助動詞「まじ」の已然形に接続助詞「ば」がついた形です(已然形+ば=確定条件・理由「〜なので」)。したがって、「並一通りの紙はとても張ることができそうにないので」という明確な訳出ができるように練習しておきましょう。
くらげのななりの理由と機知

テストの記述問題で100%問われるのが、「なぜ清少納言はクラゲの骨と言ったのか?」という理由説明です。この機知には2つの背景があります。
第1に、生物学的な事実です。クラゲは軟体動物であり、骨が一切存在しません。古来より「クラゲの骨」といえば「この世に絶対に存在しないもの」の代名詞でした。隆家が「まだ誰も見たことがない(=世に存在しない)骨」と大威張りで自慢したため、清少納言は「世にない骨なら、それはクラゲの骨ですね」とやり返したのです。
第2に、唐の詩人・白楽天(白居易)の詩の知識です。当時の一流貴族の教養であった『白氏文集』には海月(クラゲ)を詠んだ詩があり、知識人同士のハイレベルな「言葉遊び(知的ゲーム)」として見事に成立していました。
「ななり」は、断定の助動詞「なり」の連体形「なる」が撥音便化して「なん」となり、さらに「ん」が無表記(脱落)したものです。
「なる(断定連体) ➔ なん(撥音便) ➔ な(無表記) + なり(推定終止)」
テストでは「撥音便の無表記」として品詞分解を問われます。
かたはらいたきことの心情

結びの文章「かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれ」に登場する「かたはらいたし」も重要古文単語の筆頭です。
「かたはらいたし(傍ら痛し)」は、「そばで見ている側がハラハラして見ていられない、いたたまれない、きまりが悪い」という意味を持ちます。自慢話を大声でした挙句、女房に一本取られてしまった隆家の立場、そしてそれを聞いていた周囲の女房たちのハラハラした心情を指しています。
さらに後半の「一つな落としそ」は、「な+動詞連用形+そ」で「〜してくれるな、〜してはならない」という柔らかな禁止を表す最重要構文です。中宮定子が「清少納言、今の傑作なやり取りを日記に書くときは、一言も書き落としてはだめよ」と微笑みながら命じた情景が目に浮かびますね。
実戦予想問題と詳細な解答解説
ここまでの学びを定着させるため、定期テストで実際に出題される形式の予想問題に挑戦してみましょう。枠内をタップ(クリック)すると詳しい解答と思考プロセスが開きます。
傍線部「御扇奉らせ給ふに」について、次の問いに答えよ。
(1)「奉ら」「給ふ」の敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)をそれぞれ答えよ。
(2)「奉ら」「給ふ」の敬意の対象(誰に対する敬意か)をそれぞれ作中の人物名で答えよ。
▶ 模範解答と解説を確認する
(1)奉ら:謙譲語 / 給ふ:尊敬語
(2)奉ら:中宮定子 / 給ふ:中納言隆家
【思考プロセスの解説】:
・「奉る」は「差し上げる」という本動詞の謙譲語です。動作の受け手(客体)である中宮定子への敬意となります。
・「給ふ」は動詞の直後につく補助動詞の尊敬語です。差し上げる動作を行っている主体(動作主)である中納言隆家への敬意となります。
傍線部「さては、扇のにはあらで、くらげのななり」と清少納言が言ったのはなぜか。「隆家」「骨」の2語を用いて、45字以内でわかりやすく説明せよ。
▶ 模範解答と解説を確認する
隆家がまだ見たこともない骨と誇張したのに対し、世に存在しないクラゲの骨だと冷やかしたから。(45字)
【採点基準とポイント】:
① 隆家が「まだ見たことがない骨」と大げさに自慢したことに触れているか(必須)
② クラゲには骨が存在しないことと関連づけて冷やかし・冗談を言ったとまとめているか(必須)
傍線部「一つな落としそ」について、次の問いに答えよ。
(1)この文で用いられている呼応の副詞と終助詞を抜き出し、どのような意味を表しているか答えよ。
(2)この台詞を発した人物は誰か。作中から抜き出して答えよ。
▶ 模範解答と解説を確認する
(1)呼応:な〜そ / 意味:柔らかな禁止(〜してくれるな、〜してはならない)
(2)発話者:中宮定子(宮)
【教員のアドバイス】:
「な〜そ」は定期テストだけでなく大学入学共通テストや二次試験でも頻出の重要呼応です。「強い禁止」ではなく親愛の情を込めた「柔らかな禁止(〜しないでね)」のニュアンスまで押さえておくと満点が狙えます!
古文単語や助動詞の活用、古典常識のインプットには、全国の進学校でも採用されている『重要古文単語315』を手元に置いて、用例と一緒に覚えるのが最も効率的です。
『枕草子』を最短で満点攻略する勉強法
『枕草子』「中納言参り給ひて」の定期テスト対策の核心は、「登場人物の主語を補うこと」と「二重敬語の方向を整理すること」の2点に尽きます。
古文単語や助動詞・敬語の暗記には、最新の記憶定着アルゴリズム(FSRS v6)を搭載した完全無料のAI暗記アプリ「PathMemoria(パスメモリア)」を活用してみてください。忘れそうなタイミングで自動復習できるので、テスト前のスキマ時間でサクッと満点レベルの実力が身につきますよ!
同じく『枕草子』の代表的な章段である「枕草子『春はあけぼの』現代語訳・品詞分解とテスト対策」や、「枕草子『うつくしきもの』現代語訳と品詞分解」、平安時代の身分制度を解説した「中宮と皇后の違いとは?女御や更衣の序列図解」もあわせてご覧ください。






