【藤壺の入内】現代語訳と品詞分解!源氏物語のテスト対策を徹底解説

こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。高校の古典探究や定期テストで必ず出題される超重要作品、紫式部の『源氏物語』桐壺巻より「藤壺の入内」。最愛の母・桐壺更衣を亡くして悲嘆に暮れる幼き光源氏と桐壺帝のもとへ、亡き母に瓜二つの美しい姫君・先帝の四の宮(藤壺)が入内する運命的な名場面です。しかし、いざ定期テスト対策を始めると、「これ」と「かれ」が誰を指すのか、「おぼゆ」の多義的な意味、呼応の副詞「え〜ず」「な〜そ」の正確な現代語訳、さらには入り組んだ敬語の種類や敬意の方向など、覚えるべきポイントが多くて戸惑っていませんか。
この記事では、指導歴20年以上の現役私立高校国語教員の視点から、源氏物語「藤壺の入内」のあらすじ、原文と完全オリジナル現代語訳、詳細な品詞分解、テスト頻出の重要古文単語、敬語の主語判定、そして定期テストで高得点を奪取するための記述式予想問題まで、わかりやすく徹底解説します。

たく先生!『源氏物語』の「藤壺の入内」は、桐壺更衣が亡くなった後の大切なお話なんですよね?でも、「これ」とか「かれ」の指示語が誰を指しているのかこんがらがっちゃって、敬語の方向も難しくてテストが不安です…!

大丈夫だよ、みちかさん!「藤壺の入内」は、亡き母(かれ=桐壺更衣)と新しく入内した姫君(これ=藤壺)の「身分差(御際)」と「帝の寵愛」の対比さえ整理できれば、定期テストの読解問題も記述問題も驚くほどスラスラ解けるようになるんだ。現役高校教員の教壇知見をぎゅっと詰め込んで解説するから、一緒に満点を目指してマスターしよう!
源氏物語「藤壺の入内」あらすじ現代語訳と登場人物の相関図
まずは『源氏物語』第一帖「桐壺」における「藤壺の入内」の場面の全体像とあらすじ、そして複雑に絡み合う登場人物たちの心理関係を整理していきましょう。平安貴族社会の後宮政治と、母を失った光源氏の運命的な初恋の萌芽を原文と対照しながら深く読み解いていきます。
藤壺の入内の全体像と登場人物の愛憎関係

『源氏物語』は、平安時代中期に紫式部によって執筆された全五十四帖からなる長編王朝物語の最高峰です。その冒頭を飾る「桐壺」巻では、主人公である光源氏の誕生から幼少期の数奇な運命が鮮やかに描かれます。最愛の女性であった桐壺更衣を宮中の激しい嫉妬といじめによって病死で失った桐壺帝は、深い失意と悲嘆の日々を過ごしていました。そんな折、亡き桐壺更衣に生き写しであると評判の麗しい皇女・先帝の四の宮が宮中に入内してきます。これこそが、のちに光源氏の人生を決定づける永遠の想い人となる藤壺の宮(藤壺女御)です。
この場面を正しく読み解く上で絶対に欠かせないのが、主要な登場人物四人の関係性です。第一に、亡き更衣を忘れられず藤壺に面影を重ねる桐壺帝。第二に、先帝の皇女という最高峰の血統を持ち、完璧な気品と美貌で帝の寵愛を一身に受ける藤壺の宮。第三に、物心ついた頃にはすでに母を亡くし、母の温もりを知らぬまま「母によく似ている」と聞かされて藤壺を強く慕う幼き光源氏(源氏の君)。そして第四に、帝の第一皇子(東宮)の母でありながら、桐壺更衣に続いて藤壺に寵愛を奪われたことで激しい敵意と嫉妬を燃やす弘徽殿女御(こきでんのにょうご)です。この四者の心理的葛藤が、後の壮大な愛憎劇のすべての原点となっています。
平安時代の後宮において、天皇の妃たちの身分には明確な序列がありました。最上位が「中宮・皇后」、次いで皇族出身や大臣の娘が任じられる「女御(にょうご)」、そして大納言以下の貴族の娘が務める「更衣(こうい)」です。桐壺更衣は身分が更衣であったために周囲から見下され嫉妬の標的となりましたが、藤壺は「先帝の四の宮(前天皇の皇女)」という宮中でも指折りの超名門出身でした。この身分の圧倒的な違いが、本文の読解における決定的な鍵になります。
「藤壺と聞こゆ」原文と完全オリジナル現代語訳
高校の教科書に掲載されている「藤壺の入内」の本文(冒頭部)の原文と、現役高校教員による逐語訳対照の完全オリジナル現代語訳を掲載します。定期テストの現代語訳問題では、単なる意訳ではなく文法構造に基づいた正確な逐語訳が求められますので、一文一文を丁寧に対比しながら確認していきましょう。
| 原文(高校古典探究 教科書本文) | 完全オリジナル現代語訳(たく先生逐語訳) |
|---|---|
| 藤壺と聞こゆ。げに、御容貌、ありさま、あやしきまでぞおぼえ給へる。 | (世間ではそのお方を)藤壺と申し上げている。なるほど実に、ご容貌も、ご様子も、不思議なほど(亡き桐壺更衣に)似ていらっしゃる。 |
| これは、人の御際まさりて、思ひなしめでたく、人もえおとしめ聞こえ給はねば、受けばりて飽かぬことなし。 | このお方(藤壺)は、身分・家柄が(更衣より)優れていて、心遣いも立派で、周囲の人々も軽蔑し申し上げることがおできにならないので、堂々と公然と振る舞われて不足なことがない。 |
| かれは、人の許し聞こえざりしに、御心ざしあやにくなりしぞかし。 | あのお方(亡き桐壺更衣)は、周囲の人々が(帝のご寵愛を一身に受けることを)お許し申し上げなかったのに、(帝の)ご愛情があいにくにも一途で深すぎたのであったよ。 |
| 思しまぎるとはなけれど、おのづから御心移ろひて、こよなう思し慰むやうなるも、あはれなるわざなりけり。 | (帝は亡き更衣への想いを)お忘れになるわけではないけれど、自然とご心が(藤壺へ)移って、この上なくお心が慰められるようであるのも、しみじみと感慨深いことであったよ。 |
| 源氏の君は御あたり去り給はぬを、ましてしげく渡らせ給ふ御方は、え恥ぢあへ給はず。 | 源氏の君は(父帝の)お側を離れなさらないが、(帝が)まして頻繁にお通いになるお方(藤壺の御殿)では、(藤壺も幼い君に対して)最後まで恥ずかしがりきることがおできにならない。 |
| いづれの御方も、我、人に劣らむと思ひたるやはある、とりどりにいとめでたけれど、うち大人び給へるに、いと若ううつくしげにて、切に隠れ給へど、おのづから漏り見奉る。 | どのお妃の方も、自分が他人に劣ろうと思っているだろうか、いや思っておらず、それぞれにたいそう素晴らしいのだが、(他のお妃たちが)すっかり年配になられているのに対して、(藤壺は)たいそう若々しく可愛らしげで、ひたすら物陰にお隠れになるけれど、(源氏の君は)自然と隙間から拝見し申し上げる。 |
| 母御息所も影だにおぼえ給はぬを、「いとよう似給へり。」と典侍の聞こえけるを、若き御心地にいとあはれと思ひ聞こえ給ひて、常に参らまほしく、なづさひ見奉らばやとおぼえ給ふ。 | 母である御息所(桐壺更衣)の面影さえ思い出されなさらないのに、「(藤壺の宮は亡き母上に)たいそうよく似ていらっしゃる。」と典侍(命婦)が申し上げたのを、(源氏の君は)幼いお心にもたいそう慕わしく思い申し上げなさって、いつも(藤壺の御殿へ)参上したく、親しみお仕え申し上げたいものだと自然と思われる。 |
| 上も、限りなき御思ひどちにて、「な疎み給ひそ。あやしくよそへ聞こえつべき心地なむする。なめしと思さで、らうたくし給へ。面つき、まみなどはいとよう似たりしゆゑ、通ひて見え給ふも似げなからずなむ。」など聞こえつけ給へれば、 | 帝も、(藤壺と源氏の君の二人はともに)この上ない最愛の者同士であるので、「(藤壺を)疎遠になさるな。不思議と(亡き母上に)なぞらえ申し上げられそうな気持ちがする。無礼だなどとお思いにならないで、(源氏を)可愛がってやってください。顔つきや目元などが(更衣に)たいそうよく似ていたので、(二人が)通い合って見えなさるのもふさわしく思われてね。」などと言い聞かせ申し上げなさったので、 |
| 幼心地にも、はかなき花紅葉につけても心ざしを見え奉る。こよなう心寄せ聞こえ給へれば、弘徽殿の女御、また、この宮とも御仲そばそばしきゆゑ、うち添へて、もとよりの憎さも立ち出でて、ものしと思したり。 | (源氏の君は)幼いお心にも、ちょっとした花や紅葉につけてもご好意を(藤壺に)お示し申し上げる。(藤壺も源氏を)この上なく特別に愛おしく思い申し上げなさっているので、弘徽殿の女御は、また、この宮(藤壺)ともご仲がよそよそしく不和であるため、それに加えて、以前からの(桐壺更衣と源氏への)憎しみもぶり返してきて、不愉快にお思いになっている。 |
| 世にたぐひなしと見奉り給ひ、名高うおはする宮の御容貌にも、なほ匂はしさはたとへむ方なく、うつくしげなるを、世の人、光る君と聞こゆ。藤壺、並び給ひて、御おぼえもとりどりなれば、かかやく日の宮と聞こゆ。 | 世の中に比べるものがないと拝見しなさって、評判の高くていらっしゃる宮(藤壺)のご容貌に対しても、やはり(源氏の君の)輝くような美しさは例えようもなく、可愛らしげであるのを、世間の人々は「光る君」と申し上げている。藤壺も、(光る君と)肩を並べなさって、(帝からの)ご寵愛もそれぞれ素晴らしく重いので、「かかやく日の宮(輝く日の宮)」と申し上げている。 |
亡き桐壺更衣と藤壺の身分差と帝の寵愛の対比

定期テストで最も出題頻度が高く、受験生が失点しやすい最重要ポイントが、「これ(藤壺)」と「かれ(桐壺更衣)」の指示語の対比関係です。本文では「これは、人の御際まさりて…」「かれは、人の許し聞こえざりしに…」と、対句的な見事な構文で二人の境遇が鮮やかに比較されています。国語科教員としてテストを作成する際も、この対比の構造理解は確実に設問化する定番中の定番です。
まず「これ」が指す藤壺の宮は、先帝の皇女であり、後宮の誰よりも「御際(身分・家柄)」が優れていました。さらにご本人の気品や人柄も非の打ち所がなく立派であるため、あの嫉妬深い弘徽殿女御たちでさえ「えおとしめ聞こえ給はず(見下し貶めることができない)」という圧倒的な立場を誇っていました。そのため、帝から深く愛されても何ら後ろ指を指されることなく、「受けばりて(堂々と公然と振る舞って)」後宮に君臨することができたのです。
それに対して「かれ」が指す亡き桐壺更衣は、父親が大納言で既に他界しており、後ろ盾となる権力者が宮中に存在しない「身分の低い更衣」に過ぎませんでした。周囲の上位妃たちは更衣が帝の寵愛を独占することを決して許さず、激しい嫌がらせを繰り返しました。にもかかわらず、帝の更衣に対するご愛情は「あやにくなりし(あいにくにも深すぎた)」ため、結果として更衣を心身ともに追いつめ、命を奪う悲劇へと繋がってしまったのです。この二人の境遇の明暗を頭に叩き込んでおくことが、読解の第一歩となります。
光源氏が抱く亡き母の面影と藤壺への思慕
母・桐壺更衣が病没した時、光源氏はわずか三歳でした。そのため本文にある通り、幼い源氏の君は「母御息所も影だにおぼえ給はぬ(母の面影さえ思い出されない)」という深い孤独と欠落感を抱えて宮廷で成長していきます。平安時代の貴族社会では、幼少期の皇子は母の実家で育てられるのが通例でしたが、母方の後ろ盾がない源氏は父帝の手元で育てられていたため、宮中で常に母の面影を追い求めていたのです。
そんな折、宮中の女官である典侍(命婦)が源氏に対して「(藤壺の宮は亡き母上に)いとよう似給へり」と告げます。この一言が、幼い源氏の心に決定的な火を灯しました。源氏は藤壺に対して「若き御心地にいとあはれと思ひ聞こえ給ひて(幼いお心にもたいそう慕わしく思い申し上げなさって)」、なんとかして藤壺の御殿へ参上し、「なづさひ見奉らばや(親しくお仕えし、お側でお見つめ申し上げたい)」と切望するようになります。ここで用いられている「なづさふ」は、水に浮かんで馴れ親しむ原義から転じ、「親しくなつく、親密に付き添う」という意味を表す超重要古文単語です。
この母への思慕の念(マザーコンプレックス)は、単なる子どもの甘えにとどまりません。母を知らない源氏にとって、母の生き写しである藤壺への憧れはやがて思春期の激しい恋情へと昇華し、のちに『源氏物語』全体の背骨となる「密通と罪の意識」へと発展していくのです。この場面は、物語全体の悲劇的な宿命が静かに芽吹いた、文学史的にも極めて重要な転換点と言えます。
光る君とかかやく日の宮の並び称される美貌と嫉妬

本文のクライマックスを飾るのが、光源氏と藤壺の宮の並外れた美貌を称賛する描写です。世間の人々は、この世に二つとない絶世の美しさを持ち、内面から光り輝くような源氏の君のことを「光る君」と呼び称えました。そして、その光る君と肩を並べ、帝からの格別な寵愛を一身に受ける藤壺の宮のことを、太陽のように輝く尊いお方という意味を込めて「かかやく日の宮(輝く日の宮)」と称えたのです。月や太陽に例えられるこの二人の呼称は、まさに天上の光の化身として平安王朝を照らす存在であることを象徴しています。
しかし、この二人の完璧な調和と輝きは、周囲の特定の人物にとっては耐え難い屈辱と怒りの種となりました。それこそが、第一皇子の母である弘徽殿女御です。弘徽殿女御は、もともと藤壺の実家である先帝の血統とも政治的に親しい間柄ではなく、関係は「そばそばしき(よそよそしく険悪である)」状態でした。そこへ、かつて散々憎み抜いた桐壺更衣に瓜二つの藤壺が宮中を牛耳るようになり、更衣の忘れ形見である光源氏とも仲睦まじく結びついているのを見て、以前からの激しい憎悪がぶり返したのです。
本文末尾の「ものしと思したり」という表現は、単に「嫌だなあと思っている」という軽い感情ではありません。「ものし」は古文で不愉快だ、忌々しい、不気味だという強い拒絶のニュアンスを含みます。弘徽殿女御のこの底知れぬ嫉妬と怨嗟が、後の源氏の須磨・明石への流諁へと繋がっていく伏線となっている点も見逃せません。
源氏物語「藤壺の入内」品詞分解と定期テスト予想問題・敬語完全攻略
ここからは、高校の定期テストで実際に得点を大きく左右する文法・品詞分解、呼応の副詞、敬語の識別、そして現役国語教員が作成した本格的な記述式予想問題の解法プロセスを余すところなく解説します。
「藤壺と聞こゆ」全段落の品詞分解一覧と重要助動詞
テスト直前の確認に最適な、本文全段落の完全品詞分解一覧表です。助動詞の基本形・活用形・文法的意味、および助詞の働きを網羅しました。スマホでも横スクロールで快適に閲覧できますので、ノートや教科書と照らし合わせて活用してください。
| 単語(文節) | 品詞 | 基本形 | 活用形 | 文法的意味・解説 |
|---|---|---|---|---|
| 藤壺 | 名詞 | 藤壺 | – | 先帝の四の宮の住まう御殿の名、転じて人名 |
| と | 格助詞 | と | – | 引用 |
| 聞こゆ | 動詞(ヤ下二) | 聞こゆ | 終止形 | 世間が〜と申し上げる(謙譲語) |
| げに | 副詞 | げに | – | なるほど実に、本当に |
| 御容貌 | 名詞 | 御容貌 | – | お顔立ち、ご器量(「御」は接頭語で尊敬) |
| ありさま | 名詞 | ありさま | – | ご様子、立ち居振る舞い |
| あやしき | 形容詞(シク) | あやし | 連体形 | 不思議だ、尋常でない |
| まで | 副助詞 | まで | – | 程度・極限 |
| ぞ | 係助詞 | ぞ | – | 強意(結びは「給へる」の連体形) |
| おぼえ | 動詞(ヤ下二) | おぼゆ | 連用形 | 似る(自然と思い出される・似ている) |
| 給へ | 補助動詞(ハ四) | 給ふ | 命令形/已然形 | 〜なさる(尊敬語、藤壺への敬意) |
| る | 助動詞 | り | 連体形 | 存続・完了(係り結びで連体形) |
| これ | 代名詞 | これ | – | 指示代名詞(藤壺の宮を指す) |
| は | 係助詞 | は | – | 提示・区別 |
| 人 | 名詞 | 人 | – | 他の人々、世間の人 |
| の | 格助詞 | の | – | 連体修飾格 |
| 御際 | 名詞 | 御際 | – | 身分、家柄、血統 |
| まさり | 動詞(ラ四) | まさる | 連用形 | 優れる、勝る |
| て | 接続助詞 | て | – | 単純接続 |
| 思ひなし | 名詞 | 思ひなし | – | 心遣い、お心配り |
| めでたく | 形容詞(ク) | めでたし | 連用形 | 立派だ、素晴らしい |
| 人 | 名詞 | 人 | – | 周囲の人々、他の后妃たち |
| も | 係助詞 | も | – | 添加 |
| え | 副詞 | え | – | 下に打消を伴い「〜できない(不可能)」 |
| おとしめ | 動詞(マ下一) | おとしむ | 連用形 | 見下す、軽蔑する |
| 聞こえ | 補助動詞(ヤ下二) | 聞こゆ | 連用形 | 〜申し上げる(謙譲語、藤壺への敬意) |
| 給は | 補助動詞(ハ四) | 給ふ | 未然形 | 〜なさる(尊敬語、弘徽殿女御らへの敬意) |
| ね | 助動詞 | ず | 已然形 | 打消(「ば」に接続して原因理由) |
| ば | 接続助詞 | ば | – | 順接確定条件(〜ので、〜から) |
| 受けばり | 動詞(ラ四) | 受けばる | 連用形 | 堂々と振る舞う、公然と認められる |
| て | 接続助詞 | て | – | 単純接続 |
| 飽か | 動詞(カ四) | 飽く | 未然形 | 満足する、満ち足りる |
| ぬ | 助動詞 | ず | 連体形 | 打消(「飽かぬことなし」で二重否定=十分満足) |
| こと | 名詞 | こと | – | 事柄 |
| なし | 形容詞(ク) | なし | 終止形 | ない |
| かれ | 代名詞 | かれ | – | 指示代名詞(亡き桐壺更衣を指す) |
| あやにくなり | 形容動詞(ナリ) | あやにくなり | 連用形 | あいにくだ、都合が悪い、一途だ |
| し | 助動詞 | き | 連体形 | 過去(直接体験の過去) |
| ぞかし | 終助詞(連語) | ぞかし | – | 念押し(〜だったのだよ) |
| なづさひ | 動詞(ハ四) | なづさふ | 連用形 | 親しくなつく、慣れ親しむ |
| 見 | 動詞(マ上一) | 見る | 連用形 | 見る、世話する |
| 奉ら | 補助動詞(ラ四) | 奉る | 未然形 | 〜申し上げる(謙譲語、藤壺への敬意) |
| ばや | 終助詞 | ばや | – | 自己の願望(〜したいものだ) |
| な | 副詞 | な | – | 下に「そ」を伴い「〜するな(禁止)」 |
| 疎み | 動詞(マ四) | 疎む | 連用形 | よそよそしくする、疎遠にする |
| 給ひ | 補助動詞(ハ四) | 給ふ | 連用形 | 〜なさる(尊敬語、源氏への敬意) |
| そ | 終助詞 | そ | – | 禁止(「な…そ」で〜なさるな) |
定期テスト頻出!重要古文単語の意味と識別の極意
「藤壺の入内」で定期テストに頻出する最重要古文単語を厳選しました。古文単語は辞書的な意味を丸暗記するだけでなく、「文脈の中でどの意味として使われているか」を正確に識別できるかどうかが問われます。教科書・教授資料に準拠した完璧な識別基準を押さえておきましょう。
・おぼゆ(ヤ行下二段動詞):多義語の代表格。本文中には①「あやしきまでぞおぼえ給へる(不思議なほど似ていらっしゃる)」、②「影だにおぼえ給はぬ(面影さえ思い出されない)」、③「〜とおぼえ給ふ(〜と自然と思われる)」の三つの意味で登場します。文脈に応じた意味の識別問題は必出です。
・あやにくなり(ナリ活用形容動詞):「あいにくだ、都合が悪い、一途だ」。本文「御心ざしあやにくなりしぞかし」では、桐壺更衣に対する帝の愛が「あいにくにも度を越して深すぎた」という、悲劇を生んだ都合の悪さを意味します。
・よそふ(ハ行下二段動詞):「(AをBに)なぞらえる、比べる、関係づける」。現代語の「装う」ではなく、帝が光源氏に対して「藤壺を亡き母になぞらえて親しみ母と思え」と促す文脈で使われています。
・らうたし(ク活用形容詞):「可愛らしい、いとおしい」。帝が藤壺に対して「源氏をなめし(無礼だ)と思わないで、らうたくし給へ(可愛がってやってくれ)」と頼む場面で登場します。
・そばそばし(シク活用形容詞):「よそよそしい、角立っている、不調和だ」。弘徽殿女御と藤壺の宮の冷え切った険悪な関係性を表します。
・ものし(シク活用形容詞):「不気味だ、不愉快だ、嫌だ」。「ものしと思したり」で、弘徽殿女御が二人の親密さに激しい不快感を抱いている心理を描写しています。
古典単語を効率よく定着させるためには、単語集の例文を音読して場面イメージと結びつける勉強法が最も効果的です。高校の授業や大学入試でも圧倒的な採択率を誇る以下の単語帳を手元に置いておくと、古典の得点力が劇的に安定します。
呼応の副詞(え〜ず・な〜そ)の構文と記述対策
「藤壺の入内」の本文には、古文文法における超重要構文である「呼応の副詞(陳述の副詞)」が複数箇所に登場します。定期テストの記述問題では、「傍線部を現代語訳せよ」という形でほぼ100%出題されますので、構文の型を完璧に暗記しておきましょう。
第一の構文は、不可能を表す「え…打消(ず・じ・で)」です。副詞「え」は、下に打消の語を伴って「どうしても〜できない」という強い不可能の意味を表します。本文中には二箇所登場します:
- ①「人もえおとしめ聞こえ給はねば」:弘徽殿女御などの后妃たちも、(藤壺を)軽蔑し貶めることがおできにならないので。
- ②「え恥ぢあへ給はず」:最後まで恥ずかしがりきることがおできにならない(「あへず」は動詞の連用形に接続して「最後まで〜しきれない」の意味)。
第二の構文は、柔らかい禁止を表す「な…そ(給ひそ)」です。副詞「な」が文頭に置かれ、動詞の連用形(カ変・サ変は未然形)の後に終助詞「そ」が呼応して「〜してくれるな、〜しないでください」という相手への禁止・哀願を表します。本文では尊敬の補助動詞「給ふ」を挟んで「な疎み給ひそ」という形で登場します。現代語訳は「(藤壺を)疎遠になさるな、よそよそしくお扱いになるな」となります。テストで「な…そ」の構文名を答えさせる問題も頻出ですので、必ず漢字とひらがなの組み合わせで書けるように準備しておいてください。
敬語の種類と敬意の方向の完全見分け方

定期テストで最も配点が高く、差がつくのが「敬語問題」です。『源氏物語』は王朝文学の中でも敬語が極めて緻密に使い分けられているため、「誰から誰への敬意か(敬意の方向)」を問う設問が必ず出題されます。以下の整理表を使って、誰に対する敬意なのかを一発で見分ける公式を身につけましょう。
| 傍線部(本文の敬語表現) | 敬語の種類 | 基本形 | 誰から誰への敬意か(敬意の方向) |
|---|---|---|---|
| 藤壺と聞こゆ | 謙譲語(本動詞) | 聞こゆ | 地の文の筆者(紫式部) ➔ 藤壺の宮 |
| あやしきまでぞおぼえ給へる | 尊敬語(補助動詞) | 給ふ | 地の文の筆者(紫式部) ➔ 藤壺の宮 |
| 人もえおとしめ聞こえ給はねば | 謙譲語(補助動詞) | 聞こゆ | 弘徽殿女御などの后妃 ➔ 藤壺の宮 |
| 人もえおとしめ聞こえ給はねば | 尊敬語(補助動詞) | 給ふ | 地の文の筆者(紫式部) ➔ 弘徽殿女御などの后妃 |
| しげく渡らせ給ふ | 最高敬語(二重尊敬) | 渡る+す+給ふ | 地の文の筆者(紫式部) ➔ 桐壺帝 |
| おのづから漏り見奉る | 謙譲語(補助動詞) | 奉る | 源氏の君 ➔ 藤壺の宮 |
| なづさひ見奉らばや | 謙譲語(補助動詞) | 奉る | 源氏の君 ➔ 藤壺の宮 |
| あやしくよそへ聞こえつべき | 謙譲語(補助動詞) | 聞こゆ | 話者(桐壺帝) ➔ 桐壺更衣 |
| らうたくし給へ | 尊敬語(補助動詞) | 給ふ | 話者(桐壺帝) ➔ 藤壺の宮 |
| ものしと思したり | 尊敬語(本動詞) | 思す | 地の文の筆者(紫式部) ➔ 弘徽殿女御 |
特に「人もえおとしめ聞こえ給はねば」は、一つの動詞句の中に謙譲語「聞こえ」と尊敬語「給は」が連続して組み合わさっているテスト最頻出の難所です。「見下す」という動作をする主体(主語)は弘徽殿女御らであり、見下される客体(対象)は藤壺です。したがって、謙譲語「聞こえ」は動作の及ぶ先である藤壺を高め、尊敬語「給は」は動作主である后妃たちを高めています。この構造を論理的に説明できるようにしておけば、定期テストの敬語問題は完璧です。
【定期テスト予想問題】記述式設問と模範解答・思考プロセス
現役高校教員が作成した、定期テスト本番にそのまま出る記述式予想問題演習です。まずは自力でノートに解答を書き、その後に「模範解答と解説」を開いて思考プロセスを確認してください。
【問1】(指示語・対比問題)
本文中の「これは、人の御際まさりて…」「かれは、人の許し聞こえざりしに…」における「これ」と「かれ」がそれぞれ指す人物名を本文中の言葉を用いて答え、なぜ「これ」は「受けばりて飽かぬことなし」と表現されているのか、身分と周囲の人々の反応に触れて40字以内で説明せよ。
【問2】(文脈解釈・換言問題)
傍線部「御心ざしあやにくなりしぞかし」とはどういうことか。桐壺更衣に対する桐壺帝の態度と、それが引き起こした結果に触れてわかりやすく説明せよ。
【問3】(心理・動機把握問題)
源氏の君が藤壺の宮に対して「常に参らまほしく、なづさひ見奉らばや」と思うようになった直接のきっかけを、本文中から25字以内で抜き出して答えよ。
【問4】(心情読解・記述問題)
本文末尾で弘徽殿の女御が「ものしと思したり」とあるが、弘徽殿女御はなぜそのように感じたのか。「藤壺との関係」および「以前からの感情」の2点に触れて50字以内で説明せよ。
👉 【模範解答と詳しい解説・思考プロセスを開く】
【問1 模範解答】
・「これ」:藤壺(の宮)
・「かれ」:(亡き)桐壺の更衣
・理由説明:先帝の皇女として身分が高く心遣いも立派で、周囲の后妃たちも軽蔑できないから。(39字)
【解説】「御際まさりて」「人もえおとしめ聞こえ給はねば」の二大要素を正確に現代語訳してまとめます。身分の高さが周囲の嫉妬を封じ込めている点が核心です。
【問2 模範解答】
桐壺更衣の身分が低かったにもかかわらず、帝の寵愛があいにくにも一途で深すぎたため、周囲の激しい嫉妬を招いて更衣を死に至らしめてしまったということ。
【解説】「あやにくなり」の重要語義である「あいにくだ・都合が悪い」を的確に解釈し、帝の深すぎる愛がかえって更衣を不幸にしてしまった皮肉な運命を記述します。
【問3 模範解答】
「いとよう似給へり。」と典侍の聞こえける(23字)
【解説】母の面影を知らない幼い源氏が藤壺に執着する直接のトリガーとなったのは、女官である典侍(命婦)の「母上にそっくりだ」という証言です。
【問4 模範解答】
藤壺とはもとより仲がよそよそしい上に、亡き桐壺更衣や光源氏への根深い憎しみも重なって不快に感じたから。(50字)
【解説】本文の「この宮とも御仲そばそばしきゆゑ」と「もとよりの憎さも立ち出でて」の2つの原因を逃さず組み合わせて記述することが満点の条件です。
源氏物語「藤壺の入内」よくある質問(FAQアコーディオン)
Q1. 藤壺と桐壺更衣は親戚なんですか?なぜ顔が似ていたのですか?
Q2. 「光る君」と「かかやく日の宮」の呼び名の違いは何ですか?
Q3. 定期テストではどのような問題が最も差がつきますか?
源氏物語「藤壺の入内」テスト対策の総まとめと高得点の極意
紫式部の不朽の名作『源氏物語』の中でも、「藤壺の入内」は母を失った光源氏の心の傷と、その後の波乱に満ちた生涯を決定づける極めて重要なプロローグです。高校の定期テストや共通テスト・大学入試の古典において高得点を勝ち取るための極意は、以下の3点に集約されます。
- 「これ(藤壺)」と「かれ(更衣)」の身分と処遇の対比を完璧に整理すること
- 呼応の副詞「え〜ず(不可能)」「な〜そ(禁止)」の構文を正確に訳出できること
- 多義語「おぼゆ」の三つの文脈(似る・思い出す・思われる)を確実に識別すること
なお、『源氏物語』全体の文脈をより深く理解するためには、本作の前半部分である光源氏の誕生と桐壺更衣の悲劇を描いた【源氏物語】光源氏誕生のあらすじ現代語訳とテスト対策や、のちに源氏が藤壺の面影を追い求めて若紫を見出す名場面源氏物語「小柴垣のもと」あらすじ現代語訳と定期テスト対策、そして平安貴族の恋愛作法を学べる【古文】垣間見の意味と平安時代の恋愛事情もあわせて確認しておくと、定期テスト対策は万全です。
王朝文化の歴史的背景や国宝絵巻の一次史料に触れたい方は、文化庁「文化遺産オンライン」の『国宝 源氏物語絵巻(五島美術館)』詳細や、文部科学省の『高等学校学習指導要領(平成30年告示)』などの公式情報もぜひ参考にしてみてください。
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