食料安全保障と農業の小論文で合格する書き方!模範解答【農学系】

「農学部や経済学部の小論文で『食料安全保障』『食料自給率』『スマート農業』が出題されたら、どう書けばいいの?」「『米をもっと食べよう』『食品ロスを減らそう』という身近な生活改善しか思い浮かばず、説得力のある答案にならない……」――そんな悩みを抱えていませんか?
ウクライナ情勢や異常気象に伴う国際的な穀物サプライチェーンの混乱、日本のカロリーベース食料自給率の低迷(38%前後)、そして農業従事者の急激な高齢化と耕作放棄地の拡大――いま、日本の「食と農」は戦後最大の構造的危機に直面しています。農学部・生命科学部はもちろん、経済学部、地域創生学部、環境・総合政策学部の推薦入試や一般選抜において、毎年のように出題される最頻出テーマです。
多くの受験生は「地産地消を進めるべきだ」「スマート農業を導入すればすべて解決する」といった、表面的な道徳論や技術至上主義に終始してしまいがちです。しかし、大学の採点官が見ているのは、「2024年の食料・農業・農村基本法25年ぶり大改正の趣旨を理解しているか」「先端技術の恩恵と同時に、中山間地や小規模農家が直面する限界を多角的に分析できているか」という、社会構造を見通す深い論理的思考力です。
そこで本記事では、高校現場で20年にわたり小論文指導を行ってきたたく先生が書き下ろした本格長文課題文(約1,500字)をもとに、合格ラインを確実に突破する「鉄板4段落構成」と800字模範解答(実文字数772字[96.5%])を徹底解説します!
- 食料安全保障の最前線:2024年基本法改正・食料自給率・スマート農業の論点を網羅
- 本格的な長文課題文(約1,500字):国際情勢から現場の高齢化・技術の限界までを深く考察
- たく先生直伝「鉄板4段落構成」:譲歩構文を駆使し、800字指定で772字(96.5%)の圧倒的説得力を実現
- 現役教員による採点解説:農学部・経済学部で合否を分ける5大評価ポイントを詳細解説
| 出題系統・学部 | 頻出テーマ | 大学が求める論述の核心 |
|---|---|---|
| 農学部・生命科学科 | スマート農業、品種改良、土壌保全、みどりの食料システム | 先端技術の現場実装と、環境負荷低減・生物多様性保全の両立 |
| 経済学部・農業経済学科 | 食料安全保障、価格転嫁(適正価格)、農地集約、流通構造 | 市場原理と公共的価値の調和、生産コストを国民全体で支える制度 |
| 地域創生・総合政策学部 | 担い手高齢化、耕作放棄地、中山間地域支援、地産地消 | 農村コミュニティの再生、多面的機能の維持、多様な主体の協働 |
それでは、農学・経済・地域創生系小論文を突破するための本格演習に入りましょう!
食料安全保障と日本の農業をめぐる小論文の出題意図と課題文
農学・経済系で頻出する背景
なぜ今、大学入試で「食料安全保障」と「日本の農業」がこれほど重視されているのでしょうか?最大の理由は、食料問題が単なる一産業の課題を超えて、国家の安全保障と人々の生存に直結する地球規模の緊急課題となったからです。
異常気象による世界的干ばつや地域紛争は、穀物輸出の停滞と価格高騰を招き、「お金を出せば海外からいくらでも食料を買える時代」の終焉を告げました。さらに国内では、平均年齢68歳を超える基幹的農業従事者の大量離農と、耕作放棄地の激増という待ったなしの危機が進行しています。
2024年5月には、日本の農政の基本方針を定めた「食料・農業・農村基本法」が25年ぶりに大改正され、理念の最上位に「食料安全保障の抜本的強化」が位置づけられました。出題者が試しているのは、受験生が「食料の安定供給」「スマート農業の可能性と限界」「農村社会の多面的機能」をいかに俯瞰的・構造的に捉えられているかという、課題解決のための総合的な視座です。
食料安全保障を問う長文課題文
実際の大学入試を想定した、たく先生オリジナルの本格長文課題文(約1,500字)です。まずは落ち着いて通読し、筆者が提示する「国際情勢」「国内の構造的危機」「スマート農業の可能性と課題」「2024年基本法改正の意義」を正確に読み取りましょう。
① 近年、世界的な人口増加や異常気象の頻発、さらには地域紛争に伴う地政学的リスクの高まりにより、国際的な食料需給はかつてない不安定期に突入している。主要な穀物生産国における干ばつや輸出規制は瞬時に世界市場の穀物価格を高騰させ、食料の多くを海外に頼る国々に甚大な脅威を与えている。日本のカロリーベース食料自給率は約三十八パーセントと主要先進国の中で極めて低い水準に低迷しており、主食である米こそ自給できているものの、小麦や大豆、油脂類、さらには家畜の飼料や化学肥料の原料に至るまで、その大半を海外からの輸入に依存している。食料は人々の生命と健康を維持する上で一日たりとも欠かすことのできない生命線であり、この脆い供給構造は国家的な安全保障上の危機と言わざるを得ない。
② この危機をさらに深刻化させているのが、国内の農業現場における急激な担い手の高齢化と減少である。基幹的農業従事者の平均年齢は六十八歳を超え、団塊の世代のリタイアに伴い離農が急速に進んでいる。後継者の確保は困難を極め、全国で耕作放棄地が拡大の一途をたどっている。農地は単に食料を生産する場所にとどまらず、国土の保全や水源のかん養、豊かな生態系の維持といった多面的な機能を果たしている。担い手の喪失と農地の荒廃は、地域のコミュニティを崩壊させるだけでなく、日本が将来にわたって自律的な食料供給基盤を失うことを意味している。
③ こうした構造的課題を打開する切り札として注目を集めているのが、情報通信技術(ICT)やロボット技術、人工知能(AI)を活用した「スマート農業」である。自動運転トラクターによる無人耕起、ドローンを用いた精密な農薬散布や施肥、センサーとAIを駆使した環境制御ハウスや病虫害の早期検知など、先端技術の社会実装が急速に進展している。これらの技術は、過酷な重労働を軽減し、熟練農家の高度な経験と勘をデータ化して新規就農者への技術継承を容易にするなど、農業の生産性を飛躍的に高める可能性を秘めている。
④ しかしながら、スマート農業の普及には見過ごすことのできない限界と課題が存在する。最大の障壁は、先端機器やシステムの導入に伴う膨大な初期投資と維持コストである。日本農業の大半を占める小規模農家や中山間地域の営農者にとって、高額な設備投資は極めて重い負担であり、投資に見合うだけの収益を上げることは容易ではない。技術の導入効果を盲信するあまり、技術を導入できる一部の大規模経営体と、取り残される小規模・中山間農家との間で新たな格差が生じれば、地域全体の農地保全や共同体機能が急速に失われかねない。
⑤ こうした情勢を受け、二〇二四年には日本の農政の憲法と呼ばれる「食料・農業・農村基本法」が四半世紀ぶりに抜本改正された。従来の農業生産の効率化に加え、理念の根幹に「食料安全保障の抜本強化」が明記されたことは歴史的な転換である。平時からの食料安定供給に加え、異常事態における食料確保策、さらには環境負荷低減と調和した持続可能な農業への転換、そして何より生産コストの上昇を適切に農産物価格に反映させる「適正な価格形成」が重要施策として位置づけられたのである。
⑥ 食料安全保障の確立は、農業者や農林水産省だけの孤立した努力で達成できるものではない。安価な輸入品を当然視し、国内農業の衰退を放置してきた私たち消費者自身の食生活や意識のあり方も問われている。先端技術の積極的な活用によって生産性を高めつつ、地域に根ざした農地の集約や共同体の維持を図り、さらに国民全体が食を支えるコストを分かち合う社会的合意を形成すること。この重層的な取り組みこそが、不確実な時代において日本の食と命を守る確固たる道である。
課題文の論理構造と段落要点整理

課題文を読んだら、すぐに解答を書き始めるのではなく、各段落の要点と論理のつながりを整理することが不可欠です。本問の論理構造を整理した「読解のセーブポイント」を確認しましょう。
- 第①段落:世界的な異常気象や紛争による穀物サプライチェーンの不安定化と、日本の自給率低迷(38%)・海外依存の脆弱性。
- 第②段落:農業従事者の高齢化(平均68歳超)と離農、耕作放棄地の拡大。国土保全など農業の多面的機能の喪失危機。
- 第③段落:打開策としての「スマート農業(ICT・AI・ロボット)」の期待。省力化・技術継承による生産性向上。
- 第④段落:スマート農業の限界。膨大な初期投資負担、小規模農家や中山間地の取り残し、地域格差拡大のリスク。
- 第⑤段落:2024年「食料・農業・農村基本法」大改正。食料安全保障の抜本強化と、生産コストを反映した「適正な価格形成」。
- 第⑥段落:食料安全保障は国民全体の課題。技術活用・農地集約・共同体維持と、食のコストを支える社会的合意形成が必須。
設問の要求と合格論述の方向性
出題者が設定した設問文を厳密に因数分解し、何を答えなければならないかを正確に掴みましょう。
次の課題文を読み、日本の食料安全保障を確立し、持続可能な農業基盤を構築するために何が必要か、あなたの考えを800字以内で述べよ。
この設問で高得点を獲得するために必須となる論述要素は以下の3点です:
- 課題文の正確な要約(第1段落):国際情勢の不安定化、担い手高齢化、スマート農業の推進と合意形成の必要性に客観的に言及する。
- 譲歩構文を用いた多角的分析(第2段落):スマート農業の生産性向上効果を肯定(譲歩)した上で、高額コストや小規模農家・中山間地の格差という限界を指摘する。
- 構造改革と国民的合意への提言(第3〜4段落):農地中間管理機構等による農地集約、適正な価格転嫁、国民全体で食の価値を支える制度構築を論述する。
思考プロットと4段落構成の型
小論文で制限時間内に破綻のない論理を展開するためには、原稿用紙に向かう前の「5分間の思考プロット作成」が成否を分けます。たく先生直伝の鉄板4段落メモをご覧ください。
| 第1段落 (序論・約180字) |
【課題文要約 + 立場宣言】 国際不安・自給率低迷・担い手高齢化の危機を要約。先端技術の導入と農地集約・適正価格形成を進め、国民全体で支える構造転換が必要と宣言。 |
| 第2段落 (本論1・約230字) |
【譲歩構文:意義と限界】 確かにスマート農業は人手不足解消・省力化・技術継承に極めて有効。しかし、高額コストゆえに小規模・中山間農家が取り残され、農地荒廃を単独で解決できない。 |
| 第3段落 (本論2・約210字) |
【理由と具体策:多面的機能と価格形成】 農業は国土保全等の公共的価値を持つ。農地中間管理機構等による農地集約と共同利用基盤を整備。さらに生産コスト上昇を反映する適正な価格転嫁と国民の意識改革が不可欠。 |
| 第4段落 (結論・約140字) |
【総括と文末正対】 スマート農業の推進と農地集約・公平な費用負担制度を整え、生産者と消費者が一体となって持続可能な農業基盤を確立すべきだと着地(設問に完全正対)。 |
食料安全保障小論文の800字模範解答と採点基準
800字模範解答と段落ごとの役割

それでは、上記の思考プロットをもとに執筆した800字模範解答です。空白・改行を除いた実文字数は772字(96.5%)であり、800字指定で最も高く評価される「93〜97%」の黄金比に完璧に収まっています。
課題文は、国際情勢の不安定化や食料自給率の低迷、担い手の急激な高齢化に直面する日本の食料安全保障の危機を指摘し、スマート農業の推進と社会全体の合意形成が不可欠だと論じる。現代の日本において食料安全保障を確立し持続可能な農業基盤を構築するためには、先端技術の導入にとどまらず、農地集約や適正な価格形成を進め、国民全体で食を支える構造的転換を成し遂げるべきだと考える。
確かに、ロボットやAIを活用したスマート農業の導入には、労働力不足の解消や技術継承を飛躍的に促進する大きな意義がある。自動運転トラクターやドローンによる精密農業は過酷な重労働を軽減し、未経験者の新規就農を後押しする有効な手段となるからだ。しかし、高額な導入費用を個々の農家に依存するだけでは、資金力のある一部の大規模農家しか恩恵を享受できず、中山間地域の農地荒廃を食い止めることはできない。技術革新は不可欠な手段だが、それ単体で農業の再生を完結させることは困難である。
なぜなら、農業の本質とは単なる効率的生産にとどまらず、国土や水源の保全、地域の生態系維持という多面的な公共的価値を担っているからだ。したがって、技術導入と並行して、自治体や農地中間管理機構が主導した農地集約を進め、小規模農家も先端技術を共同利用できる地域基盤を整える必要がある。さらに、資材高騰や環境負荷低減に伴うコストを生産者だけに押し付けるのではなく、適正な価格転嫁を通じて国民全体が負担を分かち合う意識改革が求められる。
以上の点から、日本が食料安全保障を確固たるものにするためには、スマート農業による生産性革命を進めつつ、地域ぐるみの農地集約と小規模農家支援を充実させ、さらに食のコストを公平に分かち合う価格形成の仕組みを整えることで、生産者と消費者が一体となって持続可能な農業基盤を確立すべきだと考える。
たく先生直伝の採点基準と評価点

現役の高校教員として多くの答案を採点してきた視点から、農学部・経済学部の大学入試で合否を分ける「5大採点基準」を公開します。タップして詳細を確認してください。
① 設問正対度(文末の一致と論点の網羅):配点 25点
② 課題文要約の客観性と正確性:配点 20点
③ 譲歩構文による多角的な視野:配点 20点
④ 政策・社会構造への踏み込み(2024年基本法改正):配点 20点
⑤ 表現力・表記・字数管理(750〜780字):配点 15点
本論1で差がつく譲歩構文の技法
小論文でB判定からA判定へと跳ね上がる最大の秘訣が、第2段落で使用する「譲歩構文(確かに〜。しかし〜)」です。
多くの受験生は「スマート農業を導入すべきだ」と主張したいあまり、技術のメリットだけを一方的に書き連ねてしまいます。しかし採点官である大学教授は、「技術には必ず限界や副作用がある」ことを熟知しています。
だからこそ、「確かに、ロボットやAIによるスマート農業には〜という大きな意義がある(譲歩)」と相手の立場や技術の利点を一度力強く受け止めた上で、「しかし、高額な導入費用や小規模農家の負担を無視すれば〜(反論・限界の指摘)」と論理を展開するのです。この「譲歩」を挟むだけで、答案の知的成熟度が劇的に高まり、採点官を唸らせることができます。
本論2を深める具体例と高校の探究
第3段落では、「なぜなら〜だからだ。例えば〜」の型で、自説を支える具体的な根拠を展開します。ここで他者と圧倒的な差をつける武器になるのが、高校生活における「総合的な探究の時間」や地域課題の探究体験です。
例えば、地元の農家へのインタビュー、直売所やスーパーの食品表示調べ、中山間地域の棚田保全ボランティア、あるいは学校の探究学習で調べた「みどりの食料システム戦略」や「有機農業の取り組み」などの知見を織り交ぜます。「農業の多面的な公共機能(水源涵養・景観保全)」や「農地中間管理機構による集約」といったキーワードを具体例と結びつけることで、単なる机上の空論ではない、血の通った説得力が生まれます。
農学系小論文対策の必携参考書

小論文で絶対に落とせない基本ルールから、農学部・経済学部の採点官を納得させる論理展開の型までを最短ルートで身につけたい方には、以下の参考書が圧倒的におすすめです。たく先生も受験指導で長年愛用しています。
大学別対策と次の一歩の学習法
農学部・経済学部・地域科学部の小論文入試を突破するためには、最新の時事問題を押さえるとともに、志望大学の過去問の出題傾向を早期に把握することが不可欠です。まずは志望校の募集要項やパンフレットを取り寄せ、アドミッション・ポリシー(求める学生像)を徹底的に確認しましょう。
全国の農学部・経済学部・地域創生学部の入試情報やパンフレットは「スタディサプリ進路」で一括請求できます。アドミッション・ポリシーを理解することが、合格小論文への第一歩です。
👉 スタディサプリ進路で大学案内・パンフレットを無料請求する食料自給率の推移や2024年基本法改正のポイントなど、小論文で武器になる重要キーワードは、脳科学に基づく分散学習アプリ「PathMemoria」で効率的に定着させましょう。
志望学部に合わせて他の頻出テーマの課題文・模範解答もチェックしておきましょう!
- 小論文の書き方完全ガイド!大学入試で受かる4段落構成(親記事)
- 第1弾:気候変動・脱炭素社会の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第2弾:AIとDX社会の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第3弾:多様性と包摂の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第4弾:少子高齢化と人口減少の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第5弾:防災と地域コミュニティの小論文で合格する書き方!模範解答
- 第6弾:ヤングケアラーと孤立の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第7弾:海洋プラスチックと循環経済の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第8弾:グローバル化とナショナリズムの小論文で合格する書き方!模範解答
- 第9弾:教育格差と子どもの貧困の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第10弾:司法制度改革と裁判員制度の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第11弾:自己肯定感とSNS承認欲求の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第12弾:ワークライフバランスと労働の小論文で合格する書き方!模範解答
- 第13弾:生命倫理の小論文で合格する書き方!模範解答【医学薬学系】
- 第14弾:食料安全保障と農業の小論文で合格する書き方!模範解答【農学系】(本記事)






