受験の不安を解消!眠れない夜や集中できない時の処方箋

こんにちは。「たく先生」です。
入試の日が近づくにつれて、夜なかなか寝付けなくなったり、机に向かっても内容が頭に入ってこなかったりしていませんか。あるいは、些細なことで保護者の方とぶつかってしまい、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるかもしれません。検索画面に「受験 不安」と打ち込んだその手は、きっと少し震えていたのではないかと思います。
でも、安心してください。今あなたが感じているその恐怖や焦り、そして「落ちたらどうしよう」という不安は、あなたがこれまで真剣に努力を重ねてきた何よりの証拠です。どうでもいいことに対して、人はこれほど深く悩みません。実は、成績上位の受験生ほど、こうした目に見えないプレッシャーと戦っているものなのです。
この記事では、20年以上の指導経験を持つ私が、脳科学や心理学の視点から、その不安の正体を解き明かし、今すぐできる具体的な対処法をお伝えします。精神論だけではない、科学的なアプローチを知ることで、漠然とした不安は「対処可能な課題」へと変わります。
読み終える頃には、そのドキドキが「合格へのエネルギー」に変わっているはずですよ。
【この記事でわかること】
- なぜ「頭が真っ白」になるのか、脳の仕組みから理解できます
- 眠れない夜やパニックになった時の、即効性のある対処法がわかります
- メンタルを安定させるための「食事」と「親との付き合い方」が学べます
- 試験当日に実力を100%発揮するための具体的な準備が整います
受験の不安を解消するメンタルケア
「不安」という感情は、決して悪いものではありません。それは、未知の事態に備えようとする脳の正常な防衛反応です。まずは、なぜ心がざわつくのか、そのメカニズムを知ることから始めましょう。敵の正体がわかれば、戦い方は自然と見えてくるものです。
眠れない夜に試したいリラックス法
試験前になると「早く寝なきゃ」と焦れば焦るほど目が冴えてしまう、そんな経験はありませんか? 受験生にとって睡眠は、日中の学習内容を記憶として定着させるための重要な時間であり、脳の疲労を回復させる唯一の手段です。しかし、不安で交感神経が高ぶっていると、脳が覚醒状態になり、スムーズな入眠が妨げられてしまいます。
眠れない夜にぜひ試してほしいのが、米軍特殊部隊などでも過酷な状況下でのメンタルコントロールに採用されていると言われる「ボックス・ブリージング(箱呼吸法)」です。

【今夜からできる4-4-4-4呼吸法】
4秒ずつ動作を区切ることで、リズムを一定にし、強制的に自律神経を整えるテクニックです。
- まず、口からお腹の中の空気をすべて吐き切ります。
- 4秒かけて、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。お腹が膨らむのを意識してください。
- 4秒間、息を止めます(肺に空気が入った状態をキープ)。
- 4秒かけて、口から「フーッ」と細く長く息を吐き切ります。体中の力が抜けていくイメージを持ちましょう。
- 4秒間、息を止めたままにします(空の状態をキープ)。
- これを5分間、あるいは眠くなるまで繰り返します。
また、布団の中で手や足に「グーッ」と5秒間強く力を入れ、そのあと一気に「脱力」する筋弛緩法(きんしかんほう)も有効です。筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことで、強制的に副交感神経を優位にし、自然な眠気を誘うことができます。
それでも眠れない時は、「横になって目を閉じているだけでも、脳と体は8割程度休まっている」と割り切ってしまいましょう。「眠らなきゃ」というプレッシャー自体がストレスになるため、静かな音楽を聴きながら、ただ横になっているだけでも十分な休息効果があります。

勉強に集中できない時の脳の仕組み
机に向かっているのに、教科書の文字が記号のように見えて内容が入ってこない。あるいは、同じ行を何度も読んでしまう。これはあなたのやる気がないからでも、能力が足りないからでもありません。脳が「緊急事態」だと誤認しているサインなのです。

えっ、緊急事態ですか? 私、ただ部屋で勉強してるだけなのに……。別にライオンに襲われてるわけじゃないですよ?

脳にとっては、受験のプレッシャーもライオンも同じ「脅威」なんだよ。強いストレスを感じると、脳の奥にある「扁桃体(へんとうたい)」という部分が暴走して、論理的な思考を司る「前頭前野」の働きを止めてしまうんだ。「今はのんびり考えている場合じゃない!逃げろ!」って命令を出している状態だね。

この「扁桃体のハイジャック」が起きている状態で、無理に勉強を続けても効率は上がりません。記憶力も思考力も低下しているため、むしろ「できない自分」を再確認してしまい、自信を喪失する悪循環に陥ってしまいます。
こうなった時の最善策は、「場所と行動を変えること」です。

- 一度ペンを置き、勉強部屋から出る。
- 冷たい水を一杯飲む。
- 窓を開けて新鮮な空気を吸う。
- 軽いストレッチやスクワットをして血流を良くする。
これらの行動によって、脳に「今は安全だよ」「逃げる必要はないよ」と教えてあげることが先決です。扁桃体の興奮が収まれば、前頭前野は再び正常に機能し始めます。集中できない自分を責めるのではなく、「脳が頑張りすぎているんだな」と労ってあげてください。
プレッシャーで押しつぶされそうな時
模試の結果が悪かったり、過去問が解けなかったりして「もうダメだ」「自分には才能がない」と思うこともあるでしょう。しかし、心理学の研究では、テストへの不安が強い生徒ほど、失敗の原因を「能力(才能)」に帰属させる傾向があると言われています。
そんな時は、言葉の力を借りて認知(物事の捉え方)を変える「リフレーミング」が極めて有効です。

例えば、元プロ野球選手のイチローさんは、「壁というのは、できる人にしかやってこない」という言葉を残しています。今、あなたが目の前に高い壁を感じて苦しんでいるのなら、それはあなたが「その壁を乗り越える可能性と実力を持った人間だから」です。乗り越えられない人には、そもそも壁は見えません。
心に効くリフレーミングの実践
ネガティブな思考が浮かんだら、意識的に「だからこそ」で変換してみましょう。
- ×「こんなに難しい問題、解けない」
→ ○「本番前に弱点が見つかってラッキー!だからこそ、本番では間違えずに済む」 - ×「もう1ヶ月しかない」
→ ○「あと1ヶ月もある。だからこそ、本当に必要なことだけに集中できる」 - ×「周りのみんなが賢く見える」
→ ○「レベルの高い環境にいる。だからこそ、自分も引き上げてもらえる」
状況は客観的には何も変わっていなくても、捉え方ひとつで心の重さは驚くほど変わります。また、詩人のキーツが提唱した「ネガティブ・ケイパビリティ(不確実なものや未解決のものを受容する能力)」という考え方も大切です。「結果はどうなるか分からないけれど、今はただ目の前のことをやる」という、答えの出ない状態に耐える力こそが、受験という試練を乗り越える鍵となります。
直前期にやる気が出ない原因と対策
「試験が近いのに、なぜかやる気が出ない」「ついついスマホを見て時間を潰してしまう」。これは、怠けているわけではなく、心理学で「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ばれる現象かもしれません。
これは、無意識のうちに「勉強しなかった」というハンディキャップ(言い訳)を自分に課すことで、もし試験に落ちた時に「実力がなかったからではなく、勉強しなかったからだ」と自分を納得させ、自尊心を守ろうとする防衛本能です。「本気を出してダメだったら立ち直れない」という恐怖が、あなたを勉強から遠ざけているのです。
この厄介な状態を抜け出すには、脳の側坐核(そくざかく)を刺激して「作業興奮」を起こすのが有効です。

実は、脳が「やる気」を出すのは、「行動を始めたあと」なのです。やる気があるから行動するのではなく、行動するからやる気が出るのです。
【「開始の儀式」を作ろう】
心理的ハードルを極限まで下げた行動をきっかけにします。
- 「参考書を開くだけ」ならできる。
- 「英単語を1つだけ見る」ならできる。
- 「机の上の消しゴムのカスを捨てる」ならできる。
まずは「5分だけ」と決めて着手してみてください。一度動き出してしまえば、側坐核が刺激され、自然と「もう少し続けようかな」という気持ちが湧いてきます。0を1にするのが最もエネルギーを使います。まずは小さな1を作り出すことに集中しましょう。
※参考:脳科学辞典(意欲について)
ストレスにならない親への接し方
受験期は、どうしても保護者の方の「勉強したの?」「早く寝なさい」「志望校どうするの?」という言葉に過敏になり、イライラしてしまいがちですよね。家庭内の空気が悪いと、それがまた新たなストレスとなり、勉強に手がつかなくなることもあります。

そうなんです! 心配してくれてるのは頭では分かるんですけど、今はとにかく放っておいてほしくて……。顔を見るとついキツイ言い方をしちゃうんです。

その気持ち、痛いほど分かるよ。でも実は、親御さんも「どう接していいか分からない」「何とかしてあげたいけど何もできない」という無力感と不安でいっぱいなんだ。その不安が、つい小言として口から出てしまっているだけなんだよ。
だからこそ、受験生であるあなたの方から「戦略的に」先手を打つことをおすすめします。
効果的なのは、「アイメッセージ(I Message)」を使うことです。「(お母さんが)うるさいから黙って」と相手を主語にして責めるのではなく、「(私は)今集中したいから、ご飯までは静かにしてもらえると助かる」と、自分の状態と希望を伝えるのです。

また、「いつもご飯を作ってくれてありがとう」「送迎してくれて助かる」という感謝の言葉は、最強の武器になります。感謝されると、親御さんの脳内では「オキシトシン」という愛情ホルモンが分泌され、精神が安定します。結果として、あなたへの過度な干渉や小言が減る可能性が高いのです。
「勉強させてくれてありがとう」と一言伝えるだけで、家庭内の空気は劇的に改善します。これは、勉強環境を整えるための立派な受験戦略の一つですよ。
受験の不安に打ち勝つ実践的対策
メンタルを整えるには、心構えだけでなく、身体的なアプローチや物理的な準備も欠かせません。ここからは、より具体的で実践的なアクションプランを見ていきましょう。
薬や病院を頼るべきサインとは
不安で食事が喉を通らない、動悸やめまいが止まらない、夜一睡もできない状態が2週間以上続くようなら、それは単なる不安ではなく「受験うつ」のサインかもしれません。
もし、勉強しようとしても涙が出てきたり、「消えてしまいたい」と思うようなことがあれば、それはあなたの心が「休息」を求めている緊急シグナルです。
無理は禁物です:専門家を頼る勇気
心身の不調が著しい場合は、決して一人で抱え込まず、スクールカウンセラーや心療内科などの専門家を頼ってください。これは「逃げ」ではなく、万全の状態で試験に挑むための「戦略的なメンテナンス」です。
心療内科では、カウンセリングだけでなく、必要に応じて漢方薬などが処方されることもあります。また、試験当日の急な腹痛(過敏性腸症候群など)やパニック発作に備えて、医師に相談の上で「頓服薬(とんぷくやく)」を処方してもらうことも、選択肢の一つです。

「いざとなったら医学の力を借りられる」という安心感は、大きな支えになります。まずはスクールカウンセラーや、お近くの医療機関に相談してみてください。
※参考:厚生労働省「こころの耳」
メンタルを安定させる食事の選び方
「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という言葉をご存知でしょうか? 近年の研究で、脳と腸は自律神経を介して密接に連携していることが分かっています。
実は、精神を安定させ、幸福感をもたらす神経伝達物質「セロトニン」の約90%は腸内に存在します。腸内のセロトニンが直接脳に運ばれるわけではありませんが、腸内環境を整えることで、自律神経(迷走神経)を通じて脳へ良いシグナルを送り、メンタルの安定をサポートすることができるのです。
| おすすめ食材 | 含まれる成分と効果 | 摂取のタイミング |
|---|---|---|
| バナナ | セロトニンの原料となる「トリプトファン」と糖質が豊富。即効性のあるエネルギー源。 | 朝食・試験の休憩中 |
| 納豆・ヨーグルト・味噌 | 発酵食品が腸内環境を整え、間接的に脳のコンディションを整える。免疫力アップにも。 | 日常的に |
| 豚肉・玄米・うなぎ | 「ビタミンB1」が糖質を脳のエネルギーに変換するのを助ける。不足するとイライラや集中力低下の原因に。 | 夕食など |
逆に、昔ながらのゲン担ぎである「カツ丼」のような脂っこい食事は、試験前日や当日は避けるべきです。揚げ物は消化に時間がかかり(4時間以上かかることも)、消化のために大量の血液が胃腸に集まってしまうため、脳への血流が不足して眠くなったり、胃もたれを起こしたりするリスクがあります。

試験前は、消化の良い温かいうどん、雑炊、具だくさんのスープなどがベストです。胃腸への負担を減らすことは、脳のパフォーマンスを最大化することに繋がります。
※参考:ヤクルト中央研究所「脳腸相関」 / 厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
試験前日に心を整える準備リスト
試験前日に最もやるべきことは、新しい知識を頭に詰め込むことではありません。新しい問題集に手を出して解けない問題に直面し、自信を失うのは最悪のパターンです。前日は、使い慣れた参考書を見直す程度にとどめ、「当日の不安要素を物理的に消すこと」に全力を注ぎましょう。
「忘れ物をしたらどうしよう」「電車が遅れたらどうしよう」「寒かったらどうしよう」。こうした具体的な不安は、徹底的な準備で解消できます。
【前日Wチェックリスト:物理的不安を消去する】

- 受験票・筆記用具:鉛筆は削ってあるか?消しゴムは複数あるか?受験票はコピーをとっておくと安心。
- 現金:ICカードのトラブルやスマホの充電切れに備えて、タクシーに乗れるくらいの現金を多めに持つ。
- 時計:会場に時計がない、または見にくい位置にある場合に備えて、予備も含めて用意する(スマートウォッチは不可の場合が多いので注意)。
- 薬・衛生用品:頭痛薬、下痢止め、生理用品、替えのマスク、ばんそうこう。
- 防寒グッズ:会場の空調は予測不能。カイロ(貼るタイプと貼らないタイプ)、脱ぎ着しやすい上着、ひざ掛け。
- アナログな情報:スマホが壊れた時に備えて、会場までの地図、緊急連絡先、受験番号などを紙にメモして持つ。
これらがカバンに入っていれば、たとえ当日何が起きても「なんとかなる」と思えるはずです。また、会場までのルートをストリートビューで確認したり、当日の朝起きてから家を出るまでのシミュレーション(メンタルリハーサル)をしておくことも、当日のパニックを防ぐのに有効です。
試験当日にパニックになったら
いざ試験が始まって、問題用紙を開いた瞬間、頭が真っ白になってしまった。あるいは、周りの鉛筆の音がカリカリとうるさくて集中できない。予想外の難問が出て冷や汗が止まらない。
そんな時は、焦らずに一度ペンを置いて、試験会場の天井を見上げてください。

人間は、不安や緊張を感じると無意識に視線が下がり、視野が狭くなる傾向があります(トンネル効果)。物理的に上を向いて視界を広げることで、脳の緊張を緩和し、「自分は広い空間にいる」ということを再認識できます。
そして、心の中でこう唱えましょう。
「自分が難しいと感じる問題は、周りの受験生にとっても絶対に難しい」と。
試験は満点を取る必要はありません。合格最低点を取ればいいのです。誰も解けないような難問に時間を費やすよりも、「勇気を持って飛ばす」ことが合格への近道です。
また、簡単な「グラウンディング」のテクニックも有効です。

- 椅子の背もたれが背中に当たっている感触
- 足の裏がしっかりと床についている感覚
- 服の袖が腕に触れている感覚
このように「今、ここにある身体の感覚」に意識を向けることで、暴走しそうになった思考を現実に引き戻し、パニック状態から脱出することができます。
受験の不安は合格へのエネルギー
ここまで、受験の不安に対する様々なメカニズムと対処法をお伝えしてきました。
最後に、私から一つだけお伝えしたいことがあります。それは、「不安を感じているあなたは、誰よりも本気で未来と向き合っている」ということです。どうでもいいことに対して、人は不安を感じたりしません。合格したいという強い意志があり、そこに向けて努力を積み重ねてきたからこそ、失うことが怖くなり、不安が生まれるのです。
心理学には「ヤーキーズ・ドットソンの法則」という理論があります。これは、「適度な緊張や不安(覚醒レベル)がある状態の方が、リラックスしすぎている状態よりも高いパフォーマンスを発揮できる」という法則です。

つまり、あなたのそのドキドキや不安は、邪魔なものではなく、あなたの集中力を極限まで高め、危機管理能力を発揮させるための「最強の味方」なのです。「不安になってもいいんだ」「この緊張が力をくれるんだ」と受け入れた時、きっとあなたの心は少し軽くなり、目の前の問題に向かう準備が整うはずです。
試験会場の机に座り、名前を書き終えるその瞬間まで、わたしはあなたを応援しています。
大丈夫。あなたがやってきた努力は、決してあなたを裏切りません。

しっかり準備をして、胸を張って、いってらっしゃい!







