漢文「助長」の現代語訳とテスト対策!意味や書き下し文を解説

こんにちは。「たく先生」です。
みなさんは定期テストの勉強をしていて、「助長」という漢文の意味や書き下し文がわからなくて困っていませんか?「助長」は学校の授業でよく扱われる定番の故事成語ですが、現代語訳の細かなニュアンスや、テストで問われる文法事項が意外と難しいんですよね。また、この言葉の由来や、現代語としての正しい使い方が気になっている人もいるかもしれませんね。ニュースでは悪い意味で使われるのに、法律の文章では良い意味で使われているのを見たことがある人もいるでしょう。
この記事では、『孟子』に収録されている故事成語「助長」について、テストに出やすい重要ポイントや現代語訳、そして「余計なことをして害を与える」という本来の意味からビジネスでの使い方まで、わかりやすく解説していきます。古典が苦手な人でもしっかり点数が取れるようになりますよ。また、大人の方にとっては、「助長」の正しい使い方を再確認する良い機会になるはずです。
漢文「助長」の定期考査対策ポイント
まずは、定期テストで最も重視される漢文の読解から見ていきましょう。漢文のテスト勉強で大切なのは、なんとなくストーリーを覚えるだけでなく、一字一句の正確な意味と文法的な役割を理解することです。教科書に載っている『孟子』の原文をもとに、書き下し文、現代語訳、そして試験で狙われやすい語句の意味を整理します。ここをしっかり押さえれば、基本的な問題はバッチリ解けるようになりますよ。
助長の書き下し文と全文現代語訳
漢文の学習において、白文(原文)、書き下し文、現代語訳をセットで覚えることは基本中の基本です。特に「助長」のような故事成語は、文章自体は短いものの、重要な句法や語彙が凝縮されています。それでは、まずは教科書で扱う標準的なテキストの白文、書き下し文、そして現代語訳を確認しましょう。ノートに書き写すなどして、漢字の読みと意味をセットで覚えるのがコツです。
| 白文 | 書き下し文 |
|---|---|
| 宋人有閔其苗之不長而揠之者。 | 宋人(そうひと)に其(そ)の苗(なえ)の長(ちょう)ぜざるを閔(うれ)へて之(これ)を揠(ぬ)く者(もの)有(あ)り。 |
| 芒芒然帰、謂其人曰、 | 芒芒然(ぼうぼうぜん)として帰(かえ)り、其(そ)の人(ひと)に謂(い)ひて曰(い)はく、 |
| 「今日病矣。予助苗長矣。」 | 「今日(こんにち)病(つか)れたり。予(われ)苗(なえ)を助(たす)けて長(ちょう)ぜしむ。」と。 |
| 其子趨而往視之、苗則槁矣。 | 其(そ)の子(こ)趨(はし)りて往(ゆ)きて之(これ)を視(み)れば、苗(なえ)は則(すなは)ち槁(か)れたり。 |
| 天下之不助苗長者、寡矣。 | 天下(てんか)の苗(なえ)を助(たす)けて長(ちょう)ぜしめざる者(もの)、寡(すく)なし。 |
【現代語訳】
宋の国の人で、自分の畑の苗がなかなか生長しないのを深く心配して、(早く大きくなるように)これを引っ張って引き伸ばした者がいた。
(彼は)疲れ切ってぼんやりとした様子で家に帰り、その家の者(家族)に向かって言った。
「今日は疲れたなあ。私は苗(の成長)を助けて、大きくしてやったんだ。」と。
その人の息子が小走りで急いで行ってその苗を見てみると、苗はなんと(すべて)枯れてしまっていた。
世の中には、この男のように苗を助けて(無理やり)生長させようとしない者は、少ないものだ。(多くの人が、余計な手出しをして失敗している。)

「助長(無理な手助け)をしない人は少ない」 =「ほとんどの人が、我慢できずに無理な手助けをしてしまう(=みんな助長しちゃう)」 という意味だね。人間はそれくらい結果を焦りやすい生き物なんですよね。
現代語訳をする際のポイントは、単語の意味を忠実に訳すことです。例えば、「閔へて」を単に「心配して」と訳すだけでなく、「思い通りにならなくて深く悩んで」というニュアンスを含めると、より正確に理解できます。また、最後の「寡なし」の部分は、作者である孟子の嘆きや皮肉が込められている部分なので、単に「少ない」と訳すだけでなく、「世の中には余計なことをする人があまりにも多い」という文脈を読み取ることが大切です。
助長のあらすじと宋人の行動
この物語は、短くてシンプルですが、登場人物の行動や心情を正確に読み取ることが重要です。まずは漫画でざっと確認してみましょう。


この漫画を参考にストーリーを整理してみましょう。この話の主人公である「宋人(宋の国の人)」は、自分の畑の苗が思ったように育たないことに強い焦燥感を感じていました。農業というのは自然相手のものなので、本来はじっくりと待つ必要がありますが、彼はそれが我慢できなかったのです。
そこで彼がとった行動は、「苗を一本一本引っ張り上げる(揠く)」というものでした。これは、苗を完全に土から引き抜いてしまうのではなく、少し引っ張り上げて背を高く見せようとした、という意味です。ここが重要なポイントで、彼は苗を枯らそうとしたわけではなく、あくまで「成長を助けよう」という善意(彼なりの正義感)で行ったのです。
彼はその作業に全力を尽くしたため、ヘトヘトになって帰宅します。「芒芒然(ぼうぼうぜん)」という表現からは、彼が肉体的にも精神的にも消耗しきっている様子が伝わってきます。そして家族に対して「良いことをした」と自慢げに報告するのです。この時の彼は、「自分は苗のために素晴らしい努力をした」と信じて疑いません。しかし、話を聞いた息子が慌てて畑を見に行くと、根が浮いてしまった苗はすべて枯れていました。この「主観的な満足感」と「客観的な最悪の結果」のギャップ(皮肉)こそが、この物語の核心部分です 。

えっ、苗を引っ張ったら枯れちゃうなんて、当たり前じゃないですか?なんでそんなことしたんですか?

そうだよね。でも、この宋人は「心配(閔へて)」のあまり、冷静な判断ができなくなっていたんだ。「良かれと思ってやった努力が、最悪の結果を招く」というのが、この話の面白いところであり、怖いところでもあるんだよ。

助長の重要語句と読み方の試験対策
漢文のテストでは、重要語句の読みや意味が必ず出題されます。特に以下の単語は、現代語とは少し意味が異なるものもあるので要注意です。一問一答形式で暗記できるように、表にまとめておきましょう。

| 語句 | 読み(歴史的仮名遣い) | 意味・テストのポイント |
|---|---|---|
| 宋人 | そうひと | 宋の国の人。当時の中国の寓話では、伝統や常識にとらわれない、あるいは少し愚かな人の代名詞として登場することが多いです。ちなみに「株を守る(守株)」の話も同じ「宋人」なんだすよ。 |
| 閔へて | うれへて | 単なる心配ではなく、思い通りにならず深く思い悩むこと。焦燥感や憂慮を表します。 |
| 揠く | ぬく | 「引き抜く」と訳すと間違いになることがあります。「引っ張り上げる」「引き伸ばす」というニュアンスが正解です。「抜いて捨てる」のではなく「持ち上げる」イメージです。 |
| 芒芒然 | ぼうぼうぜん | 疲れ果ててぼんやりとしている様子。無心に作業をして疲労困憊しているさまを表します。やり遂げた後の放心状態とも言えます。 |
| 病れたり | つかれたり | 「病気になった」ではありません。「ひどく疲れた(疲労)」という意味です。ここでの「病」は疲労困憊を指します。テスト頻出です! |
| 趨りて | はしりて | 小走りで急いでいくこと。父親の言葉を聞いて、息子が「まさか」と慌てて畑に向かう様子が伝わります。 |
| 槁れたり | かれたり | 草木が枯れること。水分がなくなり、死んでしまった状態です。 |
| 寡なし | すくなし | 少ない。「寡黙(かもく)」などの熟語でも使われますね。ここでは「~しない人は少ない(=ほとんどの人がしてしまう)」という二重否定的な意味合いを持ちます。 |
【注意】「揠く(ぬく)」の解釈
テストで「揠く」の意味を問われた場合、「抜き去る」と答えると減点される可能性があります。「(成長を助けるために)少し引っ張り上げる」という動作であることを理解しておきましょう。
助長の置き字と返り点のルール
漢文法の問題として、「置き字」や「使役」の形も狙われやすいポイントです。漢文特有のルールを理解していないと、書き下し文の問題で思わぬミスをしてしまうことがあります。
1. 置き字「而」と「矣」
この文章には、書き下し文には出てこない(読まない)漢字、すなわち「置き字」がいくつか登場します。これらは書き下し文にする際にはひらがなに変えたり、あるいは完全に削除したりします。
- 而(しかして・て): 「閔其苗之不長而揠之者」や「趨而往」に出てきます。文をつなぐ接続詞の働きをしますが、書き下し文では送りがなとして「~て」と処理され、漢字自体は書きません。「順接」の働きをすることが多いですが、文脈によっては「逆接」になることもあります。ここでは順接で、動作の連続を表しています。
- 矣(い): 文末にある「病矣」「長矣」「槁矣」「寡矣」は、断定や完了のニュアンスを強める置き字です。これも書き下し文には書きません。口語訳する際には、「~だ」「~てしまった」「~なのだ」といった断定や完了の意味を補うと自然な日本語になります。
2. 使役の表現
「予助苗長矣(予苗を助けて長ぜしむ)」の部分は、使役の意味を含んでいます。「長ず(成長する)」の未然形に、使役の助動詞「しむ」を補って読みます。「苗を(自然に育つのを待つのではなく、無理やり)成長させる」という作為的なニュアンスを読み取ることが大切です。漢文において使役形は非常に重要な句法の一つなので、必ずマスターしておきましょう。

助長の予想問題と問われるポイント
最後に、定期テストで出題されそうな問いを確認しておきましょう。記述問題や選択問題でよく問われる内容です。
【問1】「其の人」とは誰のことか?
- 解答(クリックして開いてください)
-
答え:宋人の家族(家の者)
※「その人」というと本人(宋人)を指しそうですが、文脈上、帰宅して話しかけた相手なので「家族」となります。「謂其人曰(その人に謂ひて曰はく)」という文脈から、話し相手であることがわかります。
【問2】「予」とは誰のことか?
- 解答(クリックして開いてください)
-
答え:宋人(私)
※一人称の代名詞です。「予(われ)」と読みます。他にも「我」「吾」などが一人称として使われます。
【問3】「天下之不助苗長者、寡矣」に込められた作者の主張は?
- 解答(クリックして開いてください)
-
答え:世の中には、自然な成長を待てずに余計な手助けをして、かえって事態を悪化させてしまう人が多い。
※「寡なし(少ない)」=「そういうことをしない人は少ない」=「多くの人がやってしまっている」という二重否定的な強調表現であることを理解しましょう。作者である孟子は、当時の人々が安易な結果を求めて無理をしている現状を嘆いているのです。
故事成語「助長」の意味と背景知識
ここからは、テスト対策から少し視点を広げて、「助長」という言葉が持つ本来の意味や、現代社会での使われ方について解説します。小論文や面接、あるいは将来のビジネスシーンでも役立つ知識ですよ。「助長」という言葉は、実は非常に奥が深く、時代とともに使われ方が変化している面白い言葉なのです。
助長の由来となった孟子の教訓
この話は、中国の戦国時代の思想家・孟子(もうし)が、弟子の公孫丑(こうそんちゅう)に語ったものです。孟子は「浩然(こうぜん)の気」という、天地に満ちるような大きく強い精神力を養うことの大切さを説いていました。
「浩然の気」とは、何ものにも屈しない強く正しい心のことです。孟子は、この「浩然の気」は地道な正義の積み重ね(集義)によってのみ自然に養われるものであり、一朝一夕に身につくものではないと説きました。そして、無理に結果を急いで助長(無理な手助け)をしてはいけない、と教えるために、この宋人の失敗談を例え話として使ったのです。植物の成長も人の心の成長も、近道はないということですね。正しい行いをコツコツと続けることこそが、遠回りのようでいて一番の近道なのです。

助長の本来の意味と現代的な用法
ここまで読んだ皆さんならわかる通り、「助長」の本来の意味はネガティブなものです。しかし、辞書を引いてみると、意外な記述が見つかります。
- 本来の意味(故事成語): 不要な手助けをして、かえって害を与えること。(例:混乱を助長する)
これが基本ですが、現代の日本語、特に法律や行政の文章では、漢字の字面通り「助けて成長させる」というポジティブな意味で使われることが多々あります。
- 現代的・法的な意味: 力を添えて、成長や発展を促進させること。(例:自立を助長する)
例えば、教育や福祉に関する法律の中では、このポジティブな意味での使用が一般的です。

【法律での使用例】
例えば、教育基本法や学校教育法などの条文において、「心身の発達を助長する」といった表現が見られます。ここでは「余計なことをしてダメにする」という意味は微塵もなく、「健全な成長を促し、支援する」という完全に良い意味で使われています。これは「助(たすける)」と「長(のばす)」という漢字本来の意味に基づいた用法です。
このように、同じ言葉でも使われる場面(文脈)によって意味が180度変わることがあるのが、日本語の面白いところであり、難しいところでもあります。
助長と増長や促進との違い
「助長」と似た言葉に「増長(ぞうちょう)」や「促進(そくしん)」がありますが、これらは明確に使い分ける必要があります。似ているようでいて、ニュアンスが全く異なるので注意が必要です。

| 言葉 | 意味のイメージ | 使い方の例 |
|---|---|---|
| 助長 | 外から力を加えて、ある傾向(主に悪いこと)を強める。 | 「不安を助長する」「インフレを助長する」「混乱を助長する」 |
| 増長 | 本人がいい気になって、つけあがる。高慢になる。 | 「部下が増長する」「わがままが増長する」「権力を笠に着て増長する」 |
| 促進 | 物事がはかどるように進める。(良い意味で使う) | 「販売を促進する」「理解を促進する」「健康増進を促進する」 |
特に「助長」と「増長」の違いは重要です。「助長」は外部からの要因によって何かが強まることを指しますが、「増長」は本人の内面的な態度(傲慢さなど)が膨れ上がることを指します。「増長」には「いい気になる」というニュアンスが含まれているため、自分自身に対して使うことはありません。
助長の例文と誤用に注意する点
日常生活やニュースで「助長」を使う場合は、基本的に「悪い傾向を強めてしまう」という文脈で使うのが一般的です。誤解を避けるためにも、以下の使い分けを意識しましょう。
- 〇 根拠のない噂が、人々の不安を助長してしまった。
- 〇 差別を助長するような発言は慎むべきだ。
- 〇 インフレを助長する要因を取り除く必要がある。
一方で、ビジネスシーンなどで目上の人に対して良い意味で使おうとすると、誤解を招くリスクがあります。「助長」の故事成語としての意味(悪い意味)を知っている人からすると、不快に感じられる可能性があるからです。
- △ 貴社の発展を助長したいと考えております。(「余計なお世話」と取られる危険性あり!)
- ◎ 貴社の発展に貢献したいと考えております。
- ◎ 貴社の発展の一助となれば幸いです。
- ◎ プロジェクトの進行を促進します。
【豆知識】
「助長」を良い意味で使うのは間違いではありませんが、相手が故事成語の本来の意味(悪い意味)を強く意識している人の場合、「失礼だ」と感じる可能性があります。日常会話やビジネスでは、より安全な「促進」や「貢献」などの言葉に言い換えるのが無難です。言葉選び一つで相手に与える印象は大きく変わります。
ちなみに、文化庁が実施している「国語に関する世論調査」などでも、言葉の意味の取り違えや変化については度々取り上げられています。言葉は生き物であり、時代とともに変化していくものですが、TPOに合わせた適切な言葉選びができるようになりたいですね。(出典:文化庁『国語に関する世論調査』)
まとめ:助長のテスト直前要点整理
最後に、今回の内容をまとめておきます。テスト直前の見直しに使ってくださいね。このポイントさえ押さえておけば、自信を持ってテストに臨めるはずです。

- 意味:本来は「不要な手助けをして害を与えること」。現代では「傾向を強める(主に悪いこと)」に使われる。法律では「促進する」という良い意味でも使われる。
- 漢文のストーリー:宋人が苗の成長を心配し(閔)、引っ張り上げて(揠)、結果として枯らしてしまった(槁)。「良かれと思ってやったことが裏目に出る」という皮肉。
- 重要語句:「病(つか)れたり=疲労」、「宋人=愚かな人」、「揠く=引っ張り上げる」。
- 教訓:無理な作為は逆効果である。地道な努力を積み重ねて、自然な成長を待つべき(集義と浩然の気)。
「助長」は、単なる失敗談ではなく、私たちがついついやってしまいがちな「結果を焦る心」への戒めでもあります。部活や勉強で結果が出なくて焦ってしまうことは誰にでもありますが、そんな時こそ、この「助長」の話を思い出してください。焦って答えだけを丸暗記(助長)するのではなく、一歩一歩理解を深めていくこと(集義)が、結局は一番の近道かもしれませんね。テスト頑張ってください!









