合格への道
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【実践練習】要約の型の使い方を解説! 練習問題「孤独とつながりの社会的パラドックス」

たく先生
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みちか
みちか

この前、要約のやり方を習ったので、今日は練習問題をやってみたいです!

りょうた
りょうた

いいね! でもなかなか要約の練習問題って少ないだよなあ。たく先生、何か用意してください!

たく先生
たく先生

やる気があることは実に良いことです。それでは先日、私が書いた文章がありますので、それを用いて要約練習をしてみましょうか。

要約の型を身につけたい人は、以下のリンク先の記事を読んでみてください。

要約の型を身につけたい方はこちら
【再現率100%】型で学ぶ! 一番簡単な小論文要約法
【再現率100%】型で学ぶ! 一番簡単な小論文要約法

練習問題 次の文章を200字で要約しなさい。

孤独とつながりの社会的パラドックス (作 たく先生)

1⃣近年、「孤独」が社会問題として浮き彫りにされている。SNSの普及やリモートワークの浸透により、私たちはこれまで以上に他者と容易につながることが可能になったはずだ。しかし皮肉なことに、この「つながりの時代」において、孤独を感じる人々の数は増加している。この矛盾はどこから生じているのだろうか。

2⃣たとえば、SNSで多くの「友達」を持つ人々が、実際には深い孤独を抱えているという話をよく耳にする。これは、浅い人間関係が増えれば増えるほど、逆に深い関係を築く機会が減少するという現象に因るのかもしれない。ここで、一見無関係に思える「砂漠」の比喩が役に立つ。砂漠は無数の砂粒から成り立つが、その一粒一粒は他の粒と直接的な結びつきを持たない。これと同じように、私たちが無数の「つながり」を持ちながらも、個々のつながりが希薄であるとき、精神的には「砂漠」の中にいるような孤独感に苛まれるのだ。

3⃣また、社会的なつながりの性質が大きく変化している点も見逃せない。かつてのコミュニティは、地理的な近接性や共通の目的を基盤としていた。しかし現代では、つながりの多くが利便性や効率性を追求する中で形成されている。オンライン会議やチャットツールを通じたやり取りは、確かに実務的な効率を高めるが、その分、人間同士の感情的な結びつきが疎遠になりがちだ。これは、家族や地域社会の関係性にも影響を及ぼし、「隣人ですら知らない」という現象を加速させている。ここで、対比として「森」を考えてみよう。森の木々はそれぞれ独立しているように見えるが、地下では根が張り巡らされ、互いに養分を分け合っている。この「見えない結びつき」こそが、真のつながりを象徴するものだと言える。

4⃣孤独の問題をさらに掘り下げると、その背景には経済的要因や文化的変化が見えてくる。たとえば、非正規雇用の増加や一極集中型の都市化が、個人の孤立を深めている。地方に住む高齢者が子どもたちの離れた都市での生活を支えるために一人で暮らすケースや、過度な競争社会の中で他人を信頼する余裕を失う若者たちの姿は、こうした現象の一端を物語っている。この因果関係を考えると、孤独は単なる個人の心理的な問題ではなく、社会全体の構造的な問題であることが浮かび上がる。

5⃣では、私たちはどのようにしてこの「つながりのパラドックス」に向き合うべきだろうか。一つの示唆は、つながりの「量」ではなく「質」を重視することである。SNSでの「いいね」の数やフォロワーの数に一喜一憂するのではなく、一人一人との深い対話を大切にすることが求められる。また、地域社会やコミュニティの再構築も重要な要素だ。たとえば、地方での小さなイベントや、顔の見える人間関係を重視する取り組みは、孤独の問題を軽減する可能性を秘めている。

6⃣さらに、個人が孤独を受け入れることの価値にも目を向けるべきだ。孤独は必ずしも否定的なものではなく、自分自身を見つめ直す貴重な時間でもある。哲学者のパスカルは「人間の不幸のすべては、一人で静かに部屋にいられないことから生じる」と述べたが、この言葉は現代にも当てはまる。孤独を恐れるのではなく、それを活用して自己を深めることができれば、孤独そのものが新たなつながりを生む契機となり得るだろう。

7⃣結論として、私たちは「つながり」の本質を見直す必要がある。砂漠のように浅い関係の広がりではなく、森のように深い絆を育むこと。それは単に他者と関係を持つだけでなく、自分自身とも豊かにつながることである。この両面を追求することこそが、現代社会における孤独の問題を解決する鍵となるに違いない。

りょうた
りょうた

長い!! 急に難易度が上がり過ぎです! こんなに長い文章、どうやって要約するんですか?

みちか
みちか

しかも、本文もちょっと難しくて何を言っているか分かりづらいし。型に当てはめるにしてもどうやったら良いのか…。

たく先生
たく先生

急に長い文章を見たらびっくりしますよね。でも、やること自体は変わりませんよ。それではやりながら学んでいきましょう。

要約の型に当てはめたいのに、文章が長くて当てはめられないということがありますよね。このような長い文章に出会った場合、長い文章のまま考えずに、各段落ごとに要約を考えれば良いのです。段落ごとに何を言いたいのか、何について言っているのかを考えると要約になるのです。

要約する時に中もするポイントを以下に図式化しました。

筆者は何か言いたいこと(主張)を述べるために、対比、類比、因果などを用います。

対比とは2つのものを比べて違う点を探す作業。類比とは、2つのものを比べて似ている点を探す作業。因果は、物事の原と結を考える作業。こうした作業をするのは、全て主張したいことがあるからなのです。

そしてこの主張を人に話したり説明したりする時に、比喩や例示、図で示すことをしていきます。

以上のことから考えると、筆者の主張は、比喩や例示を除いてやり、残ったところから導き出すことができると言えます

それでは段落ごとに要約を作成していきます。要点には線を引いていきますね

共通理解として現代文や小論文で線を引くのは、大事なところではなく問題を解くために必要ところのみとします。よく傍線を引きすぎているところを見るのですが、何を問われているかを大切にし、問と関係ないところは引かないようにしましょう。

〇段落1⃣について

1⃣近年、「孤独」が社会問題として浮き彫りにされている。SNSの普及やリモートワークの浸透により、私たちはこれまで以上に他者と容易につながることが可能になったはずだ。しかし皮肉なことに、この「つながりの時代」において、孤独を感じる人々の数は増加している。この矛盾はどこから生じているのだろうか。

この1⃣の文章は、この文章の問題提起を行っており、「つながりの時代」に孤独が増加する矛盾を述べています。要約では、文章の核である「矛盾」の部分を抽出しました。

1⃣の要点

現代は「つながりの時代」であるにもかかわらず、孤独を感じる人が増えているという矛盾が存在する。

〇段落2⃣について

2⃣たとえば、SNSで多くの「友達」を持つ人々が、実際には深い孤独を抱えているという話をよく耳にする。これは、浅い人間関係が増えれば増えるほど、逆に深い関係を築く機会が減少するという現象に因るのかもしれない。ここで、一見無関係に思える「砂漠」の比喩が役に立つ。砂漠は無数の砂粒から成り立つが、その一粒一粒は他の粒と直接的な結びつきを持たない。これと同じように、私たちが無数の「つながり」を持ちながらも、個々のつながりが希薄であるとき、精神的には「砂漠」の中にいるような孤独感に苛まれるのだ。

2⃣の要点

SNSによる浅いつながりが深い関係を築く機会を減少させ、孤独感を助長している。

この2⃣の文章では、SNSを通じた浅い人間関係と孤独感を「砂漠」の比喩で説明しています。要約では、SNSの浅いつながりが孤独感を助長するという因果関係を取り出します。

〇段落3⃣について

3⃣また、社会的なつながりの性質が大きく変化している点も見逃せない。かつてのコミュニティは、地理的な近接性や共通の目的を基盤としていた。しかし現代では、つながりの多くが利便性や効率性を追求する中で形成されている。オンライン会議やチャットツールを通じたやり取りは、確かに実務的な効率を高めるが、その分、人間同士の感情的な結びつきが疎遠になりがちだ。これは、家族や地域社会の関係性にも影響を及ぼし、「隣人ですら知らない」という現象を加速させている。ここで、対比として「森」を考えてみよう。森の木々はそれぞれ独立しているように見えるが、地下では根が張り巡らされ、互いに養分を分け合っている。この「見えない結びつき」こそが、真のつながりを象徴するものだと言える。

3⃣の要点

つながりの性質が効率性や利便性を重視する方向に変化し、人間関係の感情的な結びつきが疎遠になっている。

ここでは、かつての地理的・感情的なつながりと、現代の利便性重視のつながりの対比を説明しています。要約では、つながりの性質が変化したという主張を中心に行います。

〇段落4⃣について

4⃣孤独の問題をさらに掘り下げると、その背景には経済的要因や文化的変化が見えてくる。たとえば、非正規雇用の増加や一極集中型の都市化が、個人の孤立を深めている。地方に住む高齢者が子どもたちの離れた都市での生活を支えるために一人で暮らすケースや、過度な競争社会の中で他人を信頼する余裕を失う若者たちの姿は、こうした現象の一端を物語っている。この因果関係を考えると、孤独は単なる個人の心理的な問題ではなく、社会全体の構造的な問題であることが浮かび上がる

4⃣の要点

孤独の背景には非正規雇用の増加や都市化などの社会的構造が影響している。

この段落では、経済的要因や都市化などが孤独を助長する社会的背景として説明されています。要約では、孤独が構造的な問題であることを抽出しました。

〇段落5⃣について

5⃣では、私たちはどのようにしてこの「つながりのパラドックス」に向き合うべきだろうか。一つの示唆は、つながりの「量」ではなく「質」を重視することである。SNSでの「いいね」の数やフォロワーの数に一喜一憂するのではなく、一人一人との深い対話を大切にすることが求められる。また、地域社会やコミュニティの再構築も重要な要素だ。たとえば、地方での小さなイベントや、顔の見える人間関係を重視する取り組みは、孤独の問題を軽減する可能性を秘めている。

5⃣の要点

孤独の解消には、つながりの「量」ではなく「質」を重視し、地域社会やコミュニティを再構築する必要がある。

「つながりのパラドックス」の解決策として、つながりの「質」を重視することや地域コミュニティの再構築が提案を要点として挙げています。

〇段落6⃣について

6⃣さらに、個人が孤独を受け入れることの価値にも目を向けるべきだ。孤独は必ずしも否定的なものではなく、自分自身を見つめ直す貴重な時間でもある。哲学者のパスカルは「人間の不幸のすべては、一人で静かに部屋にいられないことから生じる」と述べたが、この言葉は現代にも当てはまる。孤独を恐れるのではなく、それを活用して自己を深めることができれば、孤独そのものが新たなつながりを生む契機となり得るだろう。

6⃣の要点

孤独を否定的に捉えるのではなく、自分自身を見つめ直す時間として活用する価値がある。

この段落では、孤独のポジティブな側面と自己成長の可能性を示しています。要約では、「孤独を受け入れる価値」に焦点を当てました。

〇段落7⃣について

7⃣結論として、私たちは「つながり」の本質を見直す必要がある。砂漠のように浅い関係の広がりではなく、森のように深い絆を育むこと。それは単に他者と関係を持つだけでなく、自分自身とも豊かにつながることである。この両面を追求することこそが、現代社会における孤独の問題を解決する鍵となるに違いない。

7⃣の要点

浅い関係よりも深い絆を育み、他者だけでなく自分自身ともつながることが、孤独の問題を解決する鍵となる。

最後の段落では、砂漠と森の比喩を用いながら、孤独解決のために深いつながりを求める必要性を強調しています。要約では、この「深いつながり」の重要性を簡潔に述べました。

りょうた
りょうた

やっと終わったー!!

みちか
みちか

ふうっ、疲れたー。でも何かいつもより文章が理解できたような気がします。

たく先生
たく先生

要約力が付くと文章の理解力が高まると言われています。特に段落要約はとても文章の内容を理解しやすくさせます。これは例えると、ゲームのステージごとにセーブするのと同じです。きちんとセーブして全ステージクリアを目指しましょう!

要約の作成

それでは段落ごとの要約をリスト化します。実際の作成では慣れてきたら書き出さなくても線を引くだけで良いですからね。

  1. 現代は「つながりの時代」であるにもかかわらず、孤独を感じる人が増えているという矛盾が存在する。
  2. SNSによる浅いつながりが深い関係を築く機会を減少させ、孤独感を助長している。
  3. つながりの性質が効率性や利便性を重視する方向に変化し、人間関係の感情的な結びつきが疎遠になっている。
  4. 孤独の背景には非正規雇用の増加や都市化などの社会的構造が影響している。
  5. 孤独の解消には、つながりの「量」ではなく「質」を重視し、地域社会やコミュニティを再構築する必要がある。
  6. 孤独を否定的に捉えるのではなく、自分自身を見つめ直す時間として活用する価値がある。
  7. 浅い関係よりも深い絆を育み、他者だけでなく自分自身ともつながることが、孤独の問題を解決する鍵となる。

これを要約の型に当てはめます。

パターン1

【 テーマ・話題 】は【 原因・理由 】が原因で【 事例・結果 】の影響を及ぼしている。これを解決するためには、【 主張 】が必要である。

完成形

【「つながりの時代」と言われる現代社会で孤独を感じる人が増加しているの】は【SNS等の浅いつながりが深い関係を築く機会を奪い孤独感を助長させてしまうこと】が原因となっている。加えて【感情的な結びつきの希薄化や非正規雇用の増加や都市化などによる社会的孤立の進行】が影響を及ぼしている。これらを解決するためには、【つながりの「量」より「質」を重視し、地域コミュニティの再構築や孤独を受け入れる価値の認識を高めること】が必要である。

みちか
みちか

できたー! うれしい!!

りょうた
りょうた

段落ごとの要約を型に当てはめるだけでこんなに要約が簡単にできるんだ。 俺、これからもやっていきます!

たく先生
たく先生

要約の訓練は精読の訓練にもなります。これを繰り返して1か月もすれば現代文の力は、やる前と比べ物にならないぐらい伸びますよ。ぜひ続けてみてください!

要約の訓練をする際には、やはり理屈を身につけることが必要です。その際は神崎先生の理屈は大変優れているのでお勧めです。またスタディサプリでは神崎先生の小論文講義を受けることができます。今回も参考になったらうれしいです。

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たく先生
たく先生
高校の現役教員として活動中。学力向上、文章力向上、大学入試情報など発信中。このブログを通じて、日々の学びや知識を共有し、少しでも読者の皆さまのお役に立ちたいと考えています。
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