小論文の書き方完全ガイド:初心者でも大丈夫!型を使ってスラスラ書ける秘訣

「小論文って、どうやって書けばいいんだろう…」
「文章を書くのが苦手だから、小論文なんてとても書けそうにない…」
「小論文が書ければ進路の選択肢も広がるのに、具体的な書き方が分からなくて困っている…」
あなたは、今このようなことで悩んでいませんか。
小論文の書き方が分からずに、一歩踏み出せないでいるのは非常にもったいないことです。
しかし、ご安心ください。この記事では、小論文の基本的な書き方から、初心者の方が陥りがちな疑問点まで、分かりやすく解説していきます。
実は、ある「型」を使うだけで、誰でも簡単に小論文が書けるようになるコツがあるのです。

こんにちは。この記事では、小論文の書き方に悩む皆さんのために、基本的な『型』を使った作成方法を伝授します。この方法なら、初心者の方でもスムーズに小論文を書き進められますよ。

先生、よろしくお願いします!小論文の『型』って、なんだか難しそうですが、私にもできますか?

もちろん大丈夫です、みちかさん。これから説明する『型』はとてもシンプルなので、安心してくださいね。まずは基本となる『テーマ型』小論文から見ていきましょう。
「テーマ型」小論文の基本構成

「テーマ型」小論文とは、「高齢社会」「少子化問題」「年金制度」といった特定のテーマについて、自分の意見を論理的に述べる形式の小論文を指します。

テーマ型っていうのは聞いたことがあります。でも、いざ書こうとすると、何から手をつけていいか分からないんですよね…。

りょうたさんのように感じる方は多いかもしれませんね。でも、心配いりません。テーマ型小論文は、基本的に次の4つのステップで構成される『型』に当てはめて書くだけで、形になるのです。
誰でも実践できる!小論文作成の4ステップ

- 問題提起:小論文全体で何を問うのか、論点を明確に示します。
- 意見:その問いに対するあなたの考えを述べます。
- 根拠:あなたの意見の理由や、それを裏付ける具体例を説明します。
- 結論:これまでの意見や理由などを簡潔にまとめ、締めくくります。
この型の利点は、とにかく書きやすいことです。
複雑な論理構成を最初から考える必要がなく、このステップに沿って記述することで、自然と小論文の体裁が整います。
「まずは小論文を書いてみたい」「書けるようになりたい」という方には、特におすすめの方法です。
以下に、「夫婦別姓」をテーマにした小論文の例を挙げます。各ステップがどのように記述されているか、確認してみてください。
小論文例1:テーマ「夫婦別姓」
設問:「夫婦別姓」についてあなたの考えを書きなさい。
(問題提起)近年、夫婦別姓に関する議論が様々な場面で活発化しており、選挙などにおいても重要な争点となりつつある。日本は、この夫婦別姓の導入を推進すべきなのであろうか。
(意見)確かに、日本以外の多くの国々では夫婦別姓が一般的な制度として受け入れられている。婚姻によって姓を変更する必要がないため、キャリアの継続が容易になったり、再婚や事実婚といった多様な家族のあり方に対応しやすくなったりする側面があることは否定できない。しかし、私は、この制度が現在の日本社会にそのまま適合するとは考えていない。
(根拠)その理由は、日本では長らく夫婦同姓が慣習として根付いており、社会的に受け入れられにくい可能性があるからだ。日本社会は夫婦同姓を基盤として、家族の一体感や結束力を育んできた歴史がある。結婚に際して姓を変更し、その家の一員となるという考え方は、時代が変化した現代においても、多くの人々にとって自然なこととして受け止められている。仮に夫婦別姓の導入を強行した場合、社会的な違和感や混乱が生じる可能性が考えられる。加えて、戸籍制度の見直しといった実務的な課題も生じるだろう。
(結論)以上の理由から、私は現時点での夫婦別姓の導入は慎重に進めるべきであり、推進すべきではないと考える。
このように、型に当てはめることで、特定のテーマに対する自分の考えを論理的に示すことができます。特に、お題が明確に提示されるテーマ型の問題であれば、この構成で十分に対応可能です。
それでは、各パートを具体的にどのように書いていけば良いのか、詳しく見ていきましょう。
STEP1:「問題提起」で論点を明確にする方法

「問題提起」とは、その小論文で≪何を議論の中心に据えるのか≫を最初に示す部分です。小論文は、あなたが述べたい主張を効果的に伝えるための手段と捉えてください。
「Yes or No」で解答可能な問いかけをする
問題提起では、「〇〇は望ましいか」「〇〇は正しいと言えるか」「〇〇のままで良いのだろうか」といったように、「Yes」または「No」で回答できるような問いかけの形にするのが基本です。
例えば、「年金問題」というテーマが与えられた場合、次のような問題提起が考えられます。
(例)近年、「老後に2000万円の追加資金が必要になる」という試算が話題となったが、日本の現在の年金制度は、このままで国民の老後を支えるものとして十分と言えるだろうか。
ここでのポイントは、自分が意見を述べやすい問いを設定することです。
あくまで、自分の主張をスムーズに展開するための導入部分となります。
もし問題提起がしっくりこない、あるいは問いの形にしづらいと感じる場合は、もう一つキーワードを付け加えてみましょう。
上記の例では、「年金問題」というメインテーマに「老後2000万円問題」という具体的な話題を組み合わせることで、論点を絞り込んでいます。
これは、大きなテーマを具体的な小さな論点に分割するイメージです。

このように論点を焦点化することで、テーマ型小論文特有の広範なテーマについて漠然と論じることを避けられます。
また、論点が明確になることで、より深く鋭い議論を展開しやすくなるというメリットもあります。
問題提起の焦点化をする
「メインテーマ」+「具体的なキーワードや状況」= 焦点化された問題提起
どうしても「Yes or No」の問いかけの形にすることが難しい場合は、無理にこだわる必要はありません。
次のように、自分の意見にスムーズにつなげるための前置きとして、簡潔に論点を提示する形でも大丈夫です。
(例)私は、日本の現状の年金制度について、国民の老後を支えるものとしては改善の余地が大きいと考える。
この場合、問題提起の形式にはなっていませんが、次の「意見」のステップへと自然に移行するための布石となります。
STEP2:「意見」で説得力を高める譲歩構文の使い方

問題提起で示した問いに対して、次はあなたの明確な意見を述べます。
ここでは、「譲歩構文」というテクニックを使うことで、意見の説得力を高める方法を紹介します。
譲歩構文を使う
この構文は、一度反対意見や異なる視点に理解を示した上で、それでもなお自分の意見が重要であると主張する際に有効です。
先ほどの年金問題を例に、譲歩構文を使った意見の述べ方を見てみましょう。
肯定的な立場と否定的な立場で、どのように表現が変わるかに注目してください。
肯定的な立場(例:公的年金制度は依然として重要である)
確かに、民間の個人年金やiDeCo、NISAといった投資制度を活用することで、個人の老後資金をより充実させられるという考え方もあるだろう。しかし、全ての国民がそのような選択肢を十分に活用できる環境にあるわけではないため、セーフティネットとしての公的年金制度は、依然としてその重要性を失っていないと考える。
否定的な立場(例:公的年金制度だけでは不十分で、自助努力が必要である)
確かに、≪公的年金制度を利用することで、老後資金の一定額は確保できるという側面はある≫。しかし、その支給額だけでは必ずしも十分な生活水準を維持できるとは限らないため、≪民間の個人年金や投資などを積極的に活用し、個々人が老後資金を充実させる努力をすることが、より一層求められると考える≫。
譲歩構文の便利な点は、「確かに~しかし~」の「しかし」の後に自分の主張を持ってくるというルールを守れば、肯定・否定どちらの立場も比較的容易に表現できることです。
もちろん、前後の文脈や言葉のつながりには注意が必要ですが、この型を意識するだけで、多角的な視点を持った意見表明が可能になります。
STEP3:「根拠」で主張を裏付ける理由と具体例の示し方

ここでは、あなたが述べた意見に対して、その理由や具体的な例を挙げていきます。小論文の説得力を左右する最も重要な部≫と言っても過言ではありません。
根拠は理由と具体例で述べる。
「なぜなら、〇〇〇〇だからだ。」(理由) 「例えば、△△△△という事実(事例・データ)がある。」(具体例)
先ほどの年金問題に対する肯定的な意見(公的年金制度は依然として重要である)に対して、この法則を使って根拠を述べてみましょう。
(例)なぜなら、民間の年金や投資といった資産運用は、専門的な知識やある程度の経済的余裕を持つ人々にとっては有効な手段となり得るが、全ての国民がそのような状況にあるわけではないからだ。例えば、非正規雇用で働く人々や、病気や障害によって就労が困難な人々にとっては、投資に回せるほどの資金的余裕がない場合も少なくない。実際に、2024年から新しいNISA制度が始まり、投資への関心が高まっていると言われているが、金融庁の調査によれば、NISA口座の開設率は全人口の約2割程度に留まっている。また、厚生労働省が発表している国民生活基礎調査などを見ても、所得が低い層においては貯蓄が十分でない世帯が一定数存在することが示されている。こうした現状を踏まえると、社会全体で高齢者の生活を支える仕組みとしての公的年金制度は、依然として不可欠な役割を担っていると言える。
「なぜなら~からです(だからだ)」という形で理由を明確に説明し、その理由が単なる思い込みや一般論ではないことを示すために、具体的な事例、データ、社会的な状況などを「例えば~」という形で提示することが重要です。これにより、あなたの意見に客観性と説得力が加わります。

根拠の部分が一番難しそうですね…。具体例って、どんなことを書けばいいんでしょうか?

良い質問ですね。具体例は、ニュースで報道された事実、信頼できる統計データ、歴史的な出来事、あるいは身近な社会問題など、自分の意見を裏付けるものであれば何でも構いません。ただし、個人的な体験談だけでは客観性に欠ける場合があるので注意が必要です。できるだけ多くの人が納得できるような客観的な事実を盛り込むように心がけましょう。
小論文対策に役立つ時事ニュース解説集はこちら
STEP4:「結論」でまとめる際の文字数調整と注意点

最後の「結論」の部分では、これまでに述べてきた問題提起、意見、根拠を簡潔にまとめ、あなたの主張を改めて明確に示します。
この部分は、小論文全体の文字数調整の役割も担います。
テーマ型小論文では、600字や800字といった文字数制限が設けられている場合が多いです。
もし、ここまでの記述で文字数が不足しているようであれば、結論部分で少し補足説明を加えるなどして調整します。
各パートの推奨文字数割合(あくまで目安です)
パート | 割合(目安) | 800字の場合(目安) |
---|---|---|
問題提起 | 10%~15% | 80字~120字 |
意見 | 20%~30% | 160字~240字 |
根拠 | 50%程度 | 400字程度 |
結論 | 10%~15% | 80字~120字 |

結論って、そんなに長く書かなくてもいいんですね。

はい、りょうたさん。結論はあくまで全体のまとめですので、意見や根拠で述べたことを簡潔に繰り返す程度で十分な場合が多いです。ただし、小論文では指定文字数の9割以上を記述することが求められるのが一般的です。これは、出題者がその文字数で論じるに足る内容を期待しているからです。できる限り、最後の行までしっかりと書き切ることを目指しましょう。
結論の書き方としては、「以上の理由から、私は〇〇と考える。」「したがって、〇〇していくことが重要である。」のように、意見を再確認する形が基本です。

ここまでが、テーマ型小論文の基本的な書き方です。闇雲に書き始めるのではなく、まずはこの『型』を意識して練習することが上達への近道です。小論文は、読者を説得するための技術の一つと考えて、この型を高い精度で使いこなせるように訓練してみてください。この方法を実践すれば、あなたも必ず脱初心者できますので、ぜひ取り組んでみてくださいね。
「課題文型」小論文の攻略法:テーマ型との違いと要約のコツ


先生、テーマ型の書き方はよく分かりました!でも、学校の試験や入試では、文章を読ませてから意見を書かせる『課題文型』というのもありますよね?あれは、どうすればいいんでしょうか…。

良いところに気が付きましたね。課題文が付いている場合、テーマ型のアプローチを少し調整する必要があります。しかし、基本的な考え方は同じなので安心してください。課題文型の攻略法も、実ははっきりしているのですよ。
課題文が提示されるタイプの小論文では、テーマ型で最初に行った「問題提起」の部分を、「課題文の要約」に置き換えます。
- 課題文の要約:課題文で筆者が何を主張し、何に反対しているのか、その中心的な論点を的確に捉えてまとめます。
- 意見:その要約(筆者の主張)に対するあなたの考えを述べます。
- 根拠:あなたの意見の理由や、それを裏付ける具体例を説明します。
- 結論:これまでの意見や理由などを簡潔にまとめ、締めくくります。
このように、問題提起の代わりに課題文の要約を冒頭に置くだけで、基本的な文章の構成はテーマ型と変わりません。
要約した筆者の意見に対して、あなたが賛成するのか、反対するのか、あるいは別の視点を提示するのか、という形で論を進めていくことになります。
課題文の要約については、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 筆者の主張(最も言いたいこと)は何か。
- 筆者は何に対して肯定的で、何に対して否定的か。
- どのような根拠や事例を挙げて主張を裏付けているか。
- (もしあれば)筆者が提示している問題点や提案は何か。
これらの要素を的確に抜き出し、指定された文字数(もしあれば)の中で簡潔にまとめる練習が必要です。
効果的な要約練習方法については、以下の記事で詳しく解説しています

以下に、課題文型の小論文例を示します。テーマ型の例と同じく「夫婦別姓」がテーマですが、課題文を踏まえるという点が異なります。
小論文例2:テーマ「夫婦別姓」(課題文あり)
設問:「夫婦別姓」について課題文を踏まえてあなたの考えを書きなさい。
(要約)課題文において筆者は、日本の夫婦別姓制度に関して、伝統的な家族観を尊重すべきだという意見に一定の理解を示しつつも、グローバル化が急速に進む現代においては、夫婦同姓制度が日本人の海外での活動や国際的なキャリア形成を妨げる一因となっていると指摘し、制度の見直し、すなわち夫婦別姓の導入を検討すべきであると述べています。
(意見)確かに、筆者が指摘するように、日本以外の多くの先進国では夫婦別姓が一般的であり、国際的な場面での姓名の不一致による不便さが存在することは事実です。婚姻によって姓を変更する必要がなければ、キャリアの継続がよりスムーズになったり、国際結婚や再婚など、多様化する家族の形態にも柔軟に対応できたりするでしょう。しかし、私は、筆者の主張に全面的に賛同するわけではなく、この制度の日本への導入は、依然として慎重な議論が必要だと考えます。
(根拠)なぜなら、前述の通り、日本では長らく夫婦同姓が社会的な慣習として深く根付いており、急激な制度変更が社会的なコンセンサスを得られにくい可能性があるからです。日本社会は、夫婦が同じ姓を名乗ることを通じて、家族としての一体感や社会的な認知を形成してきた歴史的背景があります。無理に夫婦別姓を導入することで、戸籍制度の複雑化や、親子関係の証明における新たな課題が生じる可能性も否定できません。
(結論)以上の理由から、課題文で筆者が述べるグローバル化への対応という視点は理解できるものの、夫婦別姓の導入については、社会的な影響や国民感情を十分に考慮し、より丁寧な議論を重ねるべきであると考えます。
このように、冒頭部分を課題文の要約に置き換えるだけで、課題文型の小論文にも対応できます。
最も重要なのは、設問で何が問われているのかを正確に把握し、それに対して的確に答えることです。
「課題文を踏まえて」「筆者の意見を参考にしつつ」といった設問の指示には特に注意を払いましょう。

なるほど!要約さえできれば、あとの流れはテーマ型と似ているんですね。これなら僕にもできそうです!

その通りです。課題文の内容を正確に理解し、的確に要約するスキルは重要ですが、構成自体はシンプルに考えることができますよ。
さらにステップアップするために


先生、テーマ型と課題文型の基本的な書き分け方がよく分かりました。これで小論文への苦手意識が少し減った気がします!

それは良かったです。小論文の書き方は書籍などでも詳しく解説されています。より深く学びたい方は、ぜひ手に取ってみてください。
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おまけとして、大学入試で出題される小論文の問いには、大学ごとに特色があることを知っておくと良いでしょう。
例えば、 「〇〇(課題文中の特定の事柄)はなぜか。筆者の論旨に即して400字以内で説明しなさい。」 「〇〇(特定のテーマ)について、本文(課題文)の内容を踏まえ、あなたの考えを800字以内で述べなさい。」 といった設問形式があります。
これらの問いは、課題文の内容を正確に理解していることが前提となるため、現代文の読解力も同時に試されることになります。
こうした、読解と論述を組み合わせた問題への対策としては、現代文の論理的な文章読解のアプローチなどが参考になるでしょう。
小論文の力は、一朝一夕に身につくものではありませんが、正しい型を学び、繰り返し練習することで必ず上達します。
この記事で紹介した方法が、あなたの小論文作成の一助となれば幸いです。
総まとめ:小論文(テーマ・課題文)作成の核心
- 小論文は「型」の活用で初心者でも格段に書きやすくなる
- テーマ型小論文の基本構成は「問題提起・意見・根拠・結論」である
- 問題提起は論点を明確化し「Yes/No」形式で問いかけると良い
- 意見表明では譲歩構文「確かに~しかし~」が説得力を増す
- 根拠は「理由」とそれを裏付ける「具体的な事実やデータ」で示す
- 結論は全体のまとめであり、主張を再度明確にする
- 指定文字数の9割以上記述することが小論文の基本ルールである
- 課題文型小論文では冒頭に「課題文の正確な要約」を置く
- 要約では筆者の主要な主張と論拠を簡潔にまとめる
- 課題文への意見は、要約した筆者の主張に対して展開する
- テーマ型と課題文型では、序盤の構成要素が異なる点を理解する
- 小論文の各パートには推奨される文字数割合が存在する
- 設問で何が問われているかを正確に把握することが最も重要だ
- 論理的な文章構成は読者の理解を深め、評価を高める
- 反復練習と添削を通じて「型」を自分のものにすることが上達の鍵だ
