【徹底解説】テーマ型小論文の書き方と課題文型小論文の書き分けの方法

あなたは、小論文はどのように書くのだろうと思ったことはありませんか? それとも、元々文章を書くことが苦手だから小論文も書けないと思っていませんか? 小論文が書けたら色々と進路先が広がるにのに、やり方が分からずに立ち止まっていませんか?
今回はそうした疑問にお答えして、脱初心者に誰でも成れるコツをお伝えします。

結論から言うと初心者が小論文を書くときは型を使いましょう! 以下、型を用いた「テーマ型」の書き方について詳しく説明していきます。
テーマ型

テーマ型とは、特定のテーマ(高齢社会・少子化・年金)などについて論じるタイプの小論文です。

先生! テーマ型って聞いたことがあるんですど、言葉を聞いたことがあるだけで、全くどう書くかわかりません!

やりかた自体はとっても簡単ですよ。ようするに文章の構成を次のバターンに当てはめるだけです。
- 問題提起(小論文全体で何を問うか)
- 意見(その問いに対するあなたの意見)
- 根拠(あなたの意見の理由説明や具体例)
- 結論(これまでの意見や理由などをまとめて結論づける)
このやり方のメリットはとにかく書きやすいことです! あまり論理の構成を考えなくても、この型に当てはめるだけで小論文になりますので、とりあえず書けるようになりたい時にはおすすめです。
小論文例1
設問:「夫婦別姓」についてあなたの考えを書きなさい。
近年、夫婦別姓が様々な場で議論されており、選挙等でも争点になりつつある。夫婦別姓をこのまま日本は進めるべきなのであろうか。 ←問題提起
確かに日本以外の多くの諸外国では夫婦別姓は当たり前のように行われている。婚姻によって姓を変えることがないので、キャリアを継続しやすくなったり、再婚や事実婚など多様な家族の形に対応できたりするようになっている。しかし、私はこの制度は日本にそぐわないと考える。 ←意見
なぜなら、日本は長らく夫婦別姓が慣習となっており、社会的に受け入れられない可能性があるからだ。日本は夫婦同姓を元に、家族の一体感や結束力を高めている。結婚したら男性にしろ女性にしろ姓を変えてその家の一員となることは時代が変われど、違和感を覚える人が少ない。無理に夫婦別姓を強行することで社会的な違和感が続出するだろう。加えて戸籍制度の面でも見直しが必要となる。 ←根拠
以上の理由から夫婦別姓は進めるべきではないと考える。 ←結論
この型が当てはまる形式の問題であればこの形で十分と言えるでしょう。いわゆるお題が出されるテーマ型であれば、十分対応できます。以下具体的に各パートを説明していきます。
「問題提起」とは
問題提起とは、その小論文で何を問うかということを最初に書く部分です。小論文とは端的に言うと自分の言いたいことを言うために書くものと思ってください。
〇〇〇〇は望ましいか。〇〇〇〇は正しいか。〇〇〇〇で良いのか。など
例えば「年金問題」についてがお題になっていたら、以下のように問題提起を作ります。
近年、老後に2000万円の追加資金が必要だと問題になっているが、日本の年金問題はこのままで良いのであろうか。
ここでのポイントは問題提起をする際に、「Yes or No」で回答できる問題を提起することです。あくまで自分が述べたい意見を効率よく言うための導入になりますので、自分が答えやすいように問を設定します。
問題提起をしづらいなと思ったら、もう一つキーワードを付け加えるのがおすすめです。上の例の場合「年金問題+老後2000万円問題」から作成しています。イメージとしては大きな範囲の問題を小さく区切るという形です。

こうしてやれば、テーマ型特有の広い範囲について論じる必要がなくなります。また、焦点化することで深く鋭い論調にすることが可能です。
「メインテーマ」+「〇〇〇〇」
どうしても問題提起の形にすることができない時は、そこまでこだわらなくても大丈夫です。次のように代替した表現で書き始めてみましょう。
私は、日本の現状の年金問題は望ましくないと考える。
このように問題提起の形にはしていませんが、次のステップの「意見」に繋げるためにあえてさらっと論点を述べても良いです。
「意見」とは
次に問題提起に対して自分の意見を述べます。ここでは譲歩構文を使うことで説得力を増すということを説明します。
確かに、○○○○という意見もある。(だろう)
しかし、△△△△なのだ。(重要である)
例えば年金問題について、この譲歩構文を用いて書いてみます。肯定的な立場か、否定的な立場で書き方が変わりますので下の例を見てください。
確かに、民間の年金や投資を活用することで個人の老後資金を充実させることはできるだろう。しかし、全ての人がそのような選択肢を持てるわけではないため、公的年金制度は依然として重要である。
確かに、公的年金制度を用いることで一定額の老後資金は確保できるだろう。しかし、その年金額は十分ではないため民間の年金や投資を活用して個人の老後資金を充実させることが必要である。
譲歩構文は書く順番を変えるだけで肯定的立場をとるか、否定的立場をとるかがすぐに切り替えることができることが便利です。言葉のつながりを意識する必要はあるにせよ、自分の言いたい方を「しかし」などの逆接の後に持ってくることを意識すれば大丈夫です。
根拠
ここでは意見に対する理由や例を述べていきます。小論文を説得力を出す文章にするためにも、最もこの部分が大切になります。
なぜなら〇〇〇〇だからだ。
例えば△△△△がある。
例えば、さきほどの年金問題への肯定的意見に対して述べてみます。
なぜなら、民間の年金や投資などの資産運用は知識や経済的余裕がある人にとっては有効な手段となるが、大多数の国民はそうではないからだ。例えば、低所得者層や病気や障害を抱えて働くことが難しい人にとって、投資を行うための資金に余裕がないことが多い。2024年から新NISAが始まり投資への関心が高まっているが、4人に1人しか口座開設をしていない現状からも、こうした制度が利用されていないことがわかる。また、厚生労働省の調査によると、日本の非正規雇用者や低所得者層の中には投資どころか貯蓄さえ十分にできていない人がいることが分かっている。こうした現状を踏まえると、社会全体で老後を支える仕組みとしての公的年金制度は不可欠であるのだ。
理由説明では、自分がなぜこのような意見を述べるのかという理由を「なぜなら~から」を用いて説明していきます。そして、理由を説明するからには、それがあてはまる例がないと説得力がありません。この部分にその理由を裏付ける例を書いていくのです。
結論
結論では文字数の調整も兼ねて、まとめを述べていきます。テーマ型小論文では600字や800字が最も多いので、あまり文量が書けなかった場合、ここで微調整していきます。
- 問題提起…10%~15%程度
- 意見…20%~30%程度
- 根拠…50%程度
- 結論…10%~15%程度
結論をあまり長く書くこと自体はお勧めしませんが、小論文は指定文字数の9割以上は必ず書く必要があります。そもそもその文字数設定は大学や進路先が必ずその文字数が必要だと思って設定しています。できれば最後の行まで書くぐらいでちょうどよいのです。

以上、小論文の基本的な書き方を説明しました。ただ闇雲に書いて練習するでは上達しません。小論文は読者を説得のための技術と考え、決まった型を用いて、その型を高精度で扱えるようにするのが大切です。このやり方を行えば脱初心者にはすぐに成れますの、ぜひやってみてください。
課題文型との書き分け方

なるほど! よくわかりました! でもテーマ型のように単純な型なら良いんですけど、課題文がついていると困るんですよね・・・。

最初は面食らいますよね。でも、そのパターンの攻略法もはっきりしているのですよ。
課題文が付いているものになってくるとテーマ型のままでは使えません。そのため、課題文が出題されるパターンの時には問題提起のところを以下のように要約に変えていきます。
- 課題文の要約(課題文で筆者が何に反対して自分の意見を述べているかを取り出す)
- 意見(要約に対するあなたの意見)
- 根拠(あなたの意見の理由説明や具体例)
- 結論(これまでの意見や理由などをまとめて結論づける)
問題提起の部分をそのまま課題文の要約に当てますので、書き方自体は変わりません。課題文の要約について意見を述べるという形で論述していきます。
要約のやり方はこのページを参考にしてください。

小論文例2
設問:「夫婦別姓」について課題文を踏まえてあなたの考えを書きなさい。
課題文において、筆者は日本の夫婦別姓制度について、伝統的な家族観は尊重するべきだが、グローバル化が進む現代では日本人の海外進出を妨げるものであり止めるべきだと述べている。 ←要約
確かに筆者が述べるように日本以外の多くの諸外国では夫婦別姓は当たり前のように行われている。婚姻によって姓を変えることがないので、キャリアを継続しやすくなったり、再婚や事実婚など多様な家族の形に対応できたりするようになっている。しかし、私はこの制度は日本にそぐわないと考える。 ←意見
なぜなら、日本は長らく夫婦別姓が慣習となっており、社会的に受け入れられない可能性があるからだ。日本は夫婦同姓を元に、家族の一体感や結束力を高めている。結婚したら男性にしろ女性にしろ姓を変えてその家の一員となることは時代が変われど、違和感を覚える人が少ない。無理に夫婦別姓を強行することで社会的な違和感が続出するだろう。加えて戸籍制度の面でも見直しが必要となる。 ←根拠
以上の理由から夫婦別姓は進めるべきではないと考える。 ←結論
このように問題提起の部分を要約に変えるだけで課題文型小論文の構成になります。設問で何を問われているかに着目して、それに答えていくことが大切なので、「設問」を大切にしてください。

こうやって考えれば良いんですね! よくわかりました!

このテーマ型は樋口裕一氏の著作に良くまとまっていますよ。機会があれば読んでみてください。
おまけ
大学入試に出題される小論文の問いは大学ごとに個性があります。
例
〇〇はなぜか。筆者の論旨に即して400字以内で書きなさい。
〇〇について、本文に即してあなたの考えを800字以内で書きなさい。
課題文の理解を前提にした設問になっていることがあるので、きちんと理解していないとなかなか答えづらいということがあります。こうした現代文の延長線上ある問題に対しては出口さんの考え方がおすすめです!