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漢文の抑揚形を完全攻略!意味・読み方・書き下し文と例文テスト対策

漢文の抑揚形(況・尚・猶・且)を学ぶ書斎と天秤のイメージ
たく先生
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こんにちは。ミチプラス運営者のたく先生です。

高校の国語科科目『言語文化』や『古典探究』、そして大学入学共通テストや二次試験の漢文で、最もダイナミックで得点差がつく超重要構文が「抑揚形(よくようけい)」です。

「死馬すら且つこれを買ふ、況や生ける者をや(死んだ馬でさえ買ったのだから、生きている名馬ならなおさら買う)」という有名な故事のように、「Aでさえ…だ。ましてBならなおさら…だ!」と相手を説得するレトリックは、漢文の評論文や問答で頻出します。

今回は、現役高校教員の視点から、漢文の抑揚形の論理構造、代表漢字(況・尚・猶・且・矧)と送り仮名「すら・かつ・なほ・いはんや・をや」の完全ルール、縦書き訓読カードによる返り点図解、そして定期テストや大学入試で満点を取るための識別法まで徹底的にわかりやすく解説します!

みちか
みちか

たく先生!「況や〜をや」って響きがカッコいいですよね!でも「且」「猶」「尚」の読み分けや、文末の「乎」を「をや」と読むルールがテストでいつもあやふやになっちゃいます…

たく先生
たく先生

みちかさん、大丈夫ですよ!抑揚形は「前半で軽く抑えて(Aすら且つ〜)、後半で一気に持ち上げる(況やBをや!)」というシーソーのような構造を掴めば、書き下し文も返り点もスラスラ解けるようになりますよ!

記事のポイント
  • 抑揚形の論理構造「Aすら〜況やBをや」の基本公式
  • 前半の副詞(且・猶・尚)と後半の重要語(況・矧・乎)
  • 『十八史略』死馬を買ふの名文で学ぶ書き下し文と全訳
  • 縦書き訓読カードで完全理解する返り点とテスト予想問題

漢文の抑揚形の意味や読み方と書き下し文の基本

まずは、抑揚形(よくようけい)の根本的な意味、前半と後半で使われる重要漢字の一覧、そして書き下し文の決まり文句を体系的にマスターしていきましょう。

抑揚形とは?「Aすら〜況やBをや」の意味と構造

「Aでさえ…だ、ましてBはなおさらだ」という抑揚形の論理構造イメージ
図1: 「Aでさえ…だ、ましてBはなおさらだ」という抑揚形の論理構造イメージ

抑揚形(よくようけい)とは、「まずAという前提を軽く提示し(抑え)、それを受けて本題のBをさらに強く強調する(揚げる)」という論理的な修辞技法(レトリック)です。

現代語で言えば「Aでさえ…なのだから、ましてBならなおさら…だ!」という意味になり、英語の「much more」や「much less」に相当します。

【抑揚形の基本公式】

基本形:[A + 且/猶/尚 …]、[況 + B + 乎/哉/耶]
訓読:A すら且(か)つ …、況(いは)んや B をや。
(または A すら猶(な)ほ …、況や B をや。
現代語訳:A でさえ … なのだから、まして B はなおさら … だ。

※前半の「すら」は漢字のない送り仮名として補い、文末の助字(乎・哉・耶)は反語の助詞「をや」と訓読します。

抑揚形の前半で使われる漢字(且・猶・尚・すら)

抑揚形の前半(前提を抑える部分)では、主語Aに助詞「すら」を送り仮名として添え、その直後に「且(かつ)」「猶(なほ)」「尚(なほ)」などの副詞を置きます。

漢字 訓読・送り仮名 役割と特徴・例文
か(つ)抑揚形の前半で最も頻出の副詞。「死馬すら且つこれを買ふ」。
な(ほ)「なお〜である」の意味から前提を提示。「匹夫すら猶ほ志を奪ふべからず」。
な(ほ)「猶」と同様に前提を提示。「童子すら尚ほこれを知る」。
(なし)すら漢字がなく、主語Aに送り仮名「すら」を直接補って抑揚を表すパターン。

抑揚形の後半で使われる漢字(況・矧・をや)

抑揚形の後半(強く強調して揚げる部分)では、文頭に「況(いはんや)」「矧(いはんや)」を置き、文末に反語の助字「乎・哉・耶(をや)」を呼応させます。

漢字 訓読・送り仮名 役割と解説
いは(んや)抑揚形の後半を代表する最重要副詞。「言うまでもなく、まして〜」を表す。
いは(んや)「況」と同じ意味の難読漢字。難関大学入試で読み問題として狙われる。
乎・哉・耶を(や)文末に置かれ、「〜だろうか(いや、なおさら〜だ!)」という強い反語的詠嘆を表す。

死馬を買ふ!十八史略の代表例文書き下し文と全訳

「死馬すら且つこれを買ふ、況や生ける者をや」の故事(千里の馬)のイメージ
図2: 『十八史略』「死馬すら且つこれを買ふ、況や生ける者をや」の故事(千里の馬)イメージ

抑揚形を学ぶ上で絶対に外せないのが、『十八史略(戦国策)』に収められている「千里の馬(死馬を買ふ)」の名言です。

【十八史略・千里の馬の故事】

【白文】:死馬且買之、況生者乎。
【書き下し文】:死(し)馬(ば)すら且(か)つこれを買(か)ふ、況(いは)んや生(い)ける者(もの)をや。
【現代語訳】:死んだ馬(の骨)でさえ大金を出して買ったのだから、まして生きている名馬ならなおさら大金を出して買うだろう。

【背景ストーリー】:燕の昭王が賢人を招きたいと相談した際、臣下の郭隗(かくかい)が「名馬を求めて死んだ馬の骨を大金で買った男の噂が広まり、生きた名馬が次々と集まった」という故事を引き、「まず凡庸な私を優遇してください。そうすれば天下の優秀な賢人が『あの郭隗でさえ厚遇されるのだから』と競って集まってきます」と説得しました(=「先づ隗より始めよ」の由来)。

抑揚形の送り仮名「すら・かつ・なほ」の重要規則

抑揚形の書き下し文を書く際には、以下の3大送り仮名ルールを厳格に守る必要があります。

箇所 正しい送り仮名・表記 間違いやすい落とし穴
主語 A「A すら」(ひらがなで送る)「すら」を漢字化したり、助詞を抜かさないこと。
前半の副詞「且(か)つ」「猶(な)ほ」「尚(な)ほ」「且(かつに)」などと読まないこと。
後半の副詞「況(いは)んや」「矧(いは)んや」「いはや」ではなく撥音「ん」を入れること。
文末の助字「乎・哉・耶」=「をや」「か」や「や」単独ではなく「をや」と結ぶこと。

漢文の抑揚形テスト対策と頻出例文・識別完全攻略

ここからは、定期テストや共通テストで頻出する名文を縦書き訓読カードで完全攻略し、限定形・累加形・反語形との見分け方や実戦演習問題をマスターしていきましょう!

縦書き訓読カードで学ぶ死馬且買之の返り点と読み順

まずは抑揚形の代表名文「死馬且買之、況生者乎」の返り点と訓読順序です。

【縦書き訓読カード①】抑揚形「死馬且買之、況生者乎」
【訓読順序】:① 死 ➔ ② 馬(スラ) ➔ ③ 且(ツ) ➔ ④ 之(ヲ) ➔ ⑤ 買(フ・レ点・読点「、」) ➔ ⑥ 況(ンヤ) ➔ ⑦ 生(ケル) ➔ ⑧ 者(ヲ) ➔ ⑨ 乎(句点「。」)
【書き下し文】:死馬すら且つこれを買ふ、況や生ける者をや。
【現代語訳】:死んだ馬(の骨)でさえ(大金で)買ったのだ、まして生きている名馬ならなおさら(大金を惜しまず買うだろう)。
💡 句法・テストの着眼点:
『十八史略(戦国策)』燕の昭王と郭隗の問答に登場する抑揚形の最高傑作です。前半で「死馬すら且(か)つこれを買ふ」と前提を軽く抑え、後半で「況(いは)んや生(い)ける者をや」と強く強調(揚げる)します。文末助字「乎」は漢字自体を「や」と訓読するため送り仮名は付けません。

縦書き訓読カードで学ぶ童子尚知之の返り点と読み順

続いて、副詞「尚(なほ)」を用いた抑揚形の返り点と訓読順序です。

【縦書き訓読カード②】抑揚形「童子尚知之、況大人乎」
【訓読順序】:① 童 ➔ ② 子(スラ) ➔ ③ 尚(ホ) ➔ ④ 之(ヲ) ➔ ⑤ 知(ル・レ点・読点「、」) ➔ ⑥ 況(ンヤ) ➔ ⑦ 大 ➔ ⑧ 人(ヲ) ➔ ⑨ 乎(句点「。」)
【書き下し文】:童子すら尚ほこれを知る、況や大人をや。
【現代語訳】:子供でさえこれを知っているのだ、まして大人ならなおさら知っている(知らないはずがない)。
💡 句法・テストの着眼点:
副詞「尚(なほ)」を用いた抑揚形です。「童子すら尚ほ〜」で低いハードルを提示し、「況や大人をや」で本来言いたい結論を強力に印象づけます。文末の「乎」は送り仮名を付けません。

縦書き訓読カードで学ぶ匹夫猶不可奪の返り点読み順

副詞「猶(なほ)」と可能の否定「不可(べからず)」が合わさった発展的な抑揚形です。

【縦書き訓読カード③】抑揚形「匹夫猶不可奪志、況王者乎」
【訓読順序】:① 匹 ➔ ② 夫(スラ) ➔ ③ 猶(ホ) ➔ ④ 志(ヲ) ➔ ⑤ 奪(フ・レ点) ➔ ⑥ 可(カラ・レ点) ➔ ⑦ 不(レ点・読点「、」) ➔ ⑧ 況(ンヤ) ➔ ⑨ 王 ➔ ⑩ 者(ヲ) ➔ ⑪ 乎(句点「。」)
【書き下し文】:匹夫すら猶ほ志を奪ふべからず、況や王者をや。
【現代語訳】:身分の低い一庶民でさえ志を奪うことはできない、まして王者ならなおさら(その意志を奪うことなどできはしない)。
💡 句法・テストの着眼点:
書き下し文「志を奪ふべからず」の通り、「志(ヲ)」から「奪(フ・レ点)➔ 可(カラ・レ点)➔ 不(レ点)」と3連続レ点で下から順に返って訓読します。否定詞「不」は漢字自体を「ず」と読み、文末「乎」は「や」と読むため、それぞれ送り仮名は付けません。

単独抑揚形「況や〜をや」の省略構造と読み解き方

入試問題では、前半の「Aすら且つ〜」が文脈上自明であるために省略され、「況や〜をや(まして〜ならなおさらだ)」と単独で用いられるケースも頻出します。

【縦書き訓読カード④】単独抑揚形「況於鬼神乎(況や鬼神に於いてをや)」
【訓読順序】:① 況(ンヤ) ➔ ② 鬼 ➔ ③ 神(ニ・一点) ➔ ④ 於(イテヲ・二点) ➔ ⑤ 乎(句点「。」)
【書き下し文】:況や鬼神に於いてをや。
【現代語訳】:まして鬼神(目に見えない神仏や霊魂)においてはなおさらだ。
💡 句法・テストの着眼点:
「鬼神に」と読んで「神」に【一点】、「於いてをや」で「於」に【二点】・送り仮名「イテヲ」を付けます。文末の「乎」は漢字自体を「や」と読むため送り仮名は付けません。

抑揚形と限定・累加・反語の決定的な見分け方識別表

抑揚形・限定形・累加形・反語形の見分け方を整理する比較イメージ
図3: 抑揚形・限定形・累加形・反語形の違いと見分け方を整理する比較イメージ

共通テストや二次試験の文法識別問題で最も狙われやすい「抑揚形・限定形・累加形・反語形」の決定的な違いを一覧表で整理しました。

句形種別 代表構文と書き下し文 論理展開と見分け方のコツ
抑揚形A 且…、況 B 乎
(A すら且つ…、況や B をや)
「Aでさえ…だ、ましてBはなおさら」
※前半に「且・猶・尚」、後半に「況・矧」+「をや」。後者を劇的に強調。
限定形唯有 A 耳
(唯だ A 有るのみ)
「ただ A だけだ(〜にすぎない)」
※否定なし、文頭に「唯・直」、文末に「耳・已」。範囲を1つに絞る。
累加形不唯 A 亦 B
(唯だに A のみならず、亦た B)
「ただ A だけでなく B も」
※否定+限定「不唯・非独」、後半に「亦・又」。範囲を広げて添加。
反語形豈不 A 哉
(豈に A ならずや)
「どうして A でないだろうか(いや、Aだ)」
※疑問詞「豈・何」+文末「哉・乎・邪」。強い肯定の主張。

定期テスト・大学入試予想問題3選と模範解答解説

抑揚形の実戦問題や定期テスト対策に取り組む学習イメージ
図4: 定期テストや大学入試に向けて抑揚形の実戦問題に取り組む学習イメージ

定期テストや共通テストで頻出する抑揚形の実戦問題に挑戦しましょう!縦書き白文カードで問題を確認し、タップして模範解答と解説をチェックできます。

【実践演習】抑揚形の頻出入試問題3選(縦書きカードで挑戦!)

【第1問】抑揚形の白文・書き下し問題
問:次の白文を抑揚形として正しく訓読し、書き下し文と現代語訳を答えよ。
【第2問】抑揚形の返り点と送り仮名
問:次の白文に返り点・送り仮名を付して「死馬すら且つこれを買ふ、況や生ける者をや」と訓読せよ。
【第3問】抑揚形と累加形の構文識別論述
問:以下の[文A]と[文B]について、それぞれの句形名を答え、論理の展開(筆者が最も伝えたいことのニュアンス)の違いを簡潔に説明せよ。
[ 文 A(抑揚形) ]
[ 文 B(累加形) ]
【模範解答と解説を見る(タップで開閉)】
【第1問の解答】
書き下し文:人(ひと)すら且(か)つ能(あた)はず、況(いは)んや鬼(き)神(しん)をや。
現代語訳:人間でさえできないのだ、まして目に見えない神仏ならなおさら(できるはずがない)。
💡 解説:「人」に「スラ」、「且」に「ツ」を送り、不能を「能はず(あたはず)」と訓読します。否定詞「不」および文末「乎」は漢字そのものを読むため送り仮名は付けません。
【第2問の解答】
書き下し文:死(し)馬(ば)すら且(か)つこれを買(か)ふ、況(いは)んや生(い)ける者(もの)をや。
現代語訳:死んだ馬でさえ買ったのだ、まして生きている名馬ならなおさら(高く買うだろう)。
💡 解説:「買」にレ点を付し、「買ふ」の後に読点「、」を置きます。「生者」は「生(い)ける者(もの)」と上から順読するため「生」にレ点は付きません。文末の「乎」は漢字自体を「や」と読むため送り仮名は付けません。
【第3問の解答】
句形名:[文A]=抑揚形 / [文B]=累加形
説明:[文A(抑揚)]は「死馬を買った」という前提から「生きた名馬ならなおさら買う」と後者を劇的に強調する。一方、[文B(累加)]は「死馬を買うだけでなく生きた馬も買う」と両方を同列に付け加えるニュアンスになる。(105文字)
💡 解説:抑揚形(Aすら且つ〜況やBをや)は「Aを持ち出してBを劇的に強調する修辞技法」であり、累加形(不唯A亦B)は「AにBを付け足す並列・添加の構文」です。[文B]は否定詞「不」に三点のみを置き(送り仮名なし)、「死馬を(一点)➔ 買ふのみなら(二点)➔ 不(ず・三点)」、「生ける者を(一点)➔ 買ふ(二点)」と訓読します。

漢文の抑揚形を完全マスターしてテスト満点へ

今回は、漢文の最重要修辞構文である「抑揚形(よくようけい)」の意味、代表漢字(況・尚・猶・且・矧)、送り仮名「すら・かつ・なほ・いはんや・をや」のルール、縦書き訓読カードから入試対策まで徹底解説しました。

みちか
みちか

たく先生、ありがとうございます!「死馬すら且つこれを買ふ、況や生ける者をや」のストーリーと、前半「すら且つ」、後半「況や〜をや」の呼応が完全に頭に入りました!縦書きカードで返り点もバッチリです!

たく先生
たく先生

よく理解できましたね、みちかさん!抑揚形は、筆者が最も伝えたい主張(本音)を鮮烈に際立たせるための最高のレトリックです。公式と送り仮名をしっかり復習して、定期テストや共通テストで満点を勝ち取りましょう!

たく先生からのアドバイス

漢文句形や重要語句を最短でマスターする秘訣は、「忘却曲線に合わせて最適なタイミングで反復テストを行うこと」です。私は全国の高校生が漢文の暗記で苦しまないよう、最新の記憶定着アルゴリズム「FSRS v6」を搭載した完全無料のAI暗記アプリ「PathMemoria(パスメモリア)」を開発しました。

スマホから抑揚形(況・尚・猶・且)や限定形・累加形・受身・使役・反語などの全重要句形をクイズ感覚で暗記でき、忘れそうな頃に自動で復習問題を出題してくれます。通学中やテスト前のスキマ時間にぜひ活用してください!

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たく先生
たく先生
現役高校教師 / 国語科
指導歴20年以上。西日本の私立高校で、古典と「最短ルートで合格する勉強法」を教えています。 教師の枠を超え、FP2級・簿記3級も取得。「賢く学び、賢く生きる」ための知識を、本音で発信します。
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