虎の威を借る狐の意味と書き下し文・テスト対策を徹底解説

こんにちは。「たく先生」です。
漢文の授業で扱う「虎の威を借る狐」ですが、定期テストの範囲になっていて「書き下し文が難しい」「登場人物の関係性がよく分からない」と悩んでいませんか。このお話は、単なる動物の寓話ではなく、実は国同士の駆け引きを描いた非常に論理的な物語です。話の流れと重要な句法さえ押さえれば、テストで高得点を狙える得意分野に変わりますよ。ここでは、現代語訳からテストに出やすいポイントまで、国語教師の視点で分かりやすく解説していきます。
虎の威を借る狐の現代語訳と意味
まずは、この物語の全体像をつかみましょう。漢文を読むときは、漢字一つ一つを追う前に「誰が何のために話しているのか」という背景を知っておくことが理解への近道です。特にこの作品は、背景知識があるかないかで、読解の深さがまったく違ってきます。
簡単なあらすじと登場人物の役割
このお話は、中国の戦国時代に書かれた『戦国策(せんごくさく)』という書物に収められているエピソードです。タイトルだけを見ると、賢い狐が愚かな虎を騙すという、イソップ童話のような教訓話を想像するかもしれません。しかし、実際には国家の存亡をかけた外交の現場で語られた、非常に高度な政治的レトリック(説得術)なのです。
物語の舞台は、中国南部の強国「楚(そ)」です。当時の中国は、秦、楚、斉、燕、趙、魏、韓の七つの大国が覇権を争う「戦国七雄」の時代でした。楚の宣王(せんおう)は、自国の宰相(さいしょう・総理大臣のような地位)である昭奚恤(しょうけいじゅつ)が、北方の国々から非常に恐れられているという噂を聞きつけます。しかし、王様としては少し面白くありません。「なぜ、王である私ではなく、一介の部下である昭奚恤がそんなに恐れられているのだ?」という疑問、あるいは「あいつは俺の知らないところで勝手なことをしているのではないか?」という疑念を抱いたわけです。


なるほど! ただの動物のお話じゃなくて、王様と部下の腹の探り合いだったんですね。歴史ドラマみたいで面白そう!

その通りです、みちかさん。王様の「なぜだ?」という問いに対して、誰も答えられなかった中で、江乙(こういつ)という人物が進み出て語ったのが、この寓話なんです。彼は昭奚恤とはライバル関係にあったので、この話を通じて昭奚恤の実力を否定しようとしたんですね。
この物語を正しく読み解くためには、登場する動物たちが現実世界の誰を指しているのか、その対応関係(比喩の構造)を完璧に頭に入れておく必要があります。テストでは必ずと言っていいほど出題されるポイントですので、以下のリストで整理しておきましょう。
【登場人物と動物の対応関係(完全版)】

- 虎(とら):宣王(せんおう)
楚の国の王様。圧倒的な軍事力(=虎の牙や爪)を持っていますが、自分の力がどのように部下に利用されているか気づいていない、少し抜けた権力者として描かれています。 - 狐(きつね):昭奚恤(しょうけいじゅつ)
楚の宰相であり将軍。自分自身には王ほどの力はありませんが、王の信頼と軍事力を背景にして、他国を威圧しています。江乙からは「王の威光を悪用する小悪党」として描かれます。 - 百獣(ひゃくじゅう):北方の諸国
楚の国の北にある国々(秦・韓・魏・趙など)。昭奚恤を恐れていますが、彼らが本当に恐れているのは、昭奚恤の後ろにある宣王の百万の軍隊です。 - 語り手:江乙(こういつ)
魏の国から楚に使わされた遊説家。この寓話を語ることで、「昭奚恤が恐れられているのは彼の実力ではありません。虎(王様)の威光を借りているだけです」と王に気づかせようとしました。
江乙の巧みなところは、直接「昭奚恤は大したことありません」と言うのではなく、動物の話に例えることで、王様の自尊心を傷つけずに「恐れられているのは実はあなたなんですよ」と持ち上げつつ、ライバルを批判した点にあります。この「二重の意図」を理解して読むと、漢文の味わいがぐっと深まります。
漫画でストーリーを理解
まずはストーリーを把握するために漫画から入ってみましょう。



全文の書き下し文と現代語訳

それでは、実際の本文を詳しく見ていきましょう。教科書の漢文(白文)は、一見すると漢字の羅列で難解に見えますが、ストーリーの流れさえ分かっていれば、パズルのように解読できます。ここでは、一文ごとに書き下し文と現代語訳、そして訳出のポイントを徹底解説します。
| 白文 | 書き下し文 | 現代語訳・解説 |
|---|---|---|
| 虎求百獣而食之、得狐。 | 虎 百獣を求めて之を食らひ、狐を得たり。 | 【現代語訳】 虎は(いろいろな)獣を探し求めてこれを食べようとして、狐を捕まえた。 【解説】 「而」は順接の接続詞。「求めて、そして~」と動作がつながっていることを示します。「之」は直前の「百獣」を指します。 |
| 狐曰、「子無敢食我也。 | 狐曰はく、「子 敢へて我を食らふこと無かれ。 | 【現代語訳】 (すると)狐が言った、「あなたは決して私を食べてはいけない。 【解説】 「子(し)」は成人男性への敬称ですが、ここでは「あなた」という意味。食べられそうになった瞬間に、相手を敬う呼び方をして油断させる狐の知恵が見えます。「無敢~」は最重要句法です(後述)。 |
| 天帝使我長百獣。 | 天帝 我をして百獣に長たらしむ。 | 【現代語訳】 天の神が私を百獣の王(長官)としたのです。 【解説】 「天帝」という最高権威を持ち出すことで、物理的な力関係を逆転させようとしています。「長(ちょう)」はここでは動詞化して「長となる」「統率する」という意味。 |
| 今子食我、是逆天帝命也。 | 今 子 我を食らはば、是れ天帝の命に逆らふなり。 | 【現代語訳】 今もし、あなたが私を食べるならば、それは天の神の命令に背くことになるのです。 【解説】 「食我」の部分には「もし~ならば」という仮定のニュアンスが含まれています。「是(これ)」は「あなたが私を食べること」を指す指示語です。 |
| 子以我為不信、吾為子先行。 | 子 我を以て信ならずと為さば、吾 子の為に先行せん。 | 【現代語訳】 あなたが私の言うことを嘘(信用できない)だと思うなら、私があなたのために先頭に立って歩いてみせよう。 【解説】 「信ならず」は「真実ではない=嘘だ」という意味。「為子(子のアために)」と、あくまで相手のためにやってあげるんだというポーズをとっています。 |
| 子随我後観。 | 子 我が後に随ひて観よ。 | 【現代語訳】 あなたは私の後ろについてきて(周りの獣たちの反応を)よく見なさい。 【解説】 「随(したが)ひて」は「ついていく」こと。「観」は「観察する」の意で、ただ見るだけでなく状況をよく確認しろと迫っています。 |
| 百獣之見我而敢不走乎。」と。 | 百獣の我を見て、敢へて走げざらんや。」と。 | 【現代語訳】 獣たちが私(狐)を見て、どうして逃げ出さないことがあろうか、いや、必ず逃げ出すはずだ。」と。 【解説】 ここでの「我」は狐のこと。狐は自信満々に「私の姿を見ればみんな逃げる」と言い放ちます。「走(に)ぐ」は「逃げる」の意味。現代語の「走る」とは違うので注意。 |
| 虎以為然。故遂与之行。 | 虎 以て然りと為す。故に遂に之と行く。 | 【現代語訳】 虎は(狐の言葉を)もっともだと思った。そこでそのまま成り行きで狐と一緒に(連れ立って)行った。 【解説】 「然(しか)り」は「その通りだ」。虎があっさりと狐の嘘を信じてしまった決定的な場面です。「遂(つひ)に」は「そのまま」と訳すと文脈が通ります。 |
| 獣見之皆走。 | 獣 之を見て皆走ぐ。 | 【現代語訳】 獣たちはこれ(虎と狐)を見て皆逃げ出した。 【解説】 獣たちが見た「之(これ)」は視覚的には「狐とその背後にいる虎」ですが、逃げ出した直接の原因は「虎」です。 |
| 虎不知獣畏己而走也、 | 虎 獣の己を畏れて走ぐるを知らざるなり、 | 【現代語訳】 虎は、獣たちが自分(虎)を恐れて逃げたことに気づかなかった、 【解説】 「己(おのれ)」は虎自身のこと。虎の愚かさが強調されています。 |
| 以為畏狐也。 | 以て狐を畏ると為すなり。 | 【現代語訳】 (獣たちは)狐を恐れているのだと思い込んでしまったのである。 【解説】 最後の「なり」は断定の助動詞。虎が完全に勘違いした状態で物語は終わります。 |
重要な語句と反語などの句法解説

漢文のテストにおいて、最も配点が高いのが「句法(文法のルール)」の知識です。特にこの「虎の威を借る狐」には、入試でも頻出の重要な句法が3つも含まれています。これらを単に暗記するのではなく、なぜそういう意味になるのかという理屈を含めて理解しておくと、応用が利くようになります。
1. 強い禁止を表す「無敢~」

本文:「子無敢食我也」(子 敢へて我を食らふこと無かれ)
- 書き下し:あへて ~(こと) なかれ
- 意味:決して~してはいけない。(強い禁止)
- 詳しい解説:「敢(あへて)」という漢字には、「無理やりに」「進んで~する」という意味があります。これを「無(ごなし=ない)」で否定するわけですから、「無理やりにでも~しようとすることは無いようにしろ」となり、結果として「絶対にダメだ」という非常に強い禁止のニュアンスになります。単なる「~するな」よりも、相手の意志を強く封じ込める表現です。
2. 使役を表す「使~」
本文:「天帝使我長百獣」(天帝 我をして百獣に長たらしむ)
- 書き下し:~をして …しむ
- 意味:~に…させる。(使役)
- 詳しい解説:漢文の「使」は、英語の「make」や「let」にあたる使役動詞です。ポイントは、対象となる人物(ここでは「我」)の下に「をして」という送り仮名を送ることです。そして、文末の動詞(ここでは「長」)の送り仮名は未然形+「しむ」となります。書き下し問題で最もミスが多い箇所なので、「~をして…しむ」のリズムを何度も口に出して覚えましょう。
3. 反語を表す「敢不~乎」
本文:「敢不走乎」(敢へて走げざらんや)
- 書き下し:あへて ~(せ)ざらんや
- 意味:どうして~しないだろうか、いや、必ず~する。(反語)
- 詳しい解説:この「敢」は、先ほどの禁止の「敢」とは位置が違います。「不(否定語)」よりも上に「敢」がある場合は、反語表現を作るセットになります。「どうして逃げないことがあろうか(そんなことはあり得ない)」→「いや、絶対に逃げるに決まっている」という、強い肯定の気持ちを裏返して表現する技法です。現代語訳をするときは、必ず「いや、~する」という結びのニュアンスまで含めるのが正解のコツです。
【超重要】「敢」の位置による意味の違い(テストの鉄板!)
この単元で一番のひっかけポイントです。必ず区別しましょう。
| 形(漢字の並び) | 意味 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 無敢・不敢 (否定語+敢) | 強い禁止・否定 「決して~ない」「~するな」 | 否定が先に来ると、「敢えてすることすら許さない」=禁止 |
| 敢不・敢無 (敢+否定語) | 反語・疑問 「どうして~ないか(いや~だ)」 | 敢えてが先に来ると、「敢えて否定するだろうか」=反語 |
白文の読み方と教科書のポイント
定期テストでは、書き下し文の一部が空欄になっていたり、白文(漢字だけの文)に返り点をつける問題が出題されます。ここでは、教科書の本文を読む際に特につまずきやすいポイントを深掘りします。
まず、「以我為不信」(我を以て信ならずと為さば)という部分です。これは「以A為B(AをもってBとなす)」という定型句が使われています。直訳すると「Aを使ってBという状態にする」ですが、文脈によっては「AをBだと思う」「AをBだとみなす」という意味になります。ここでは、虎が狐の言葉を「信ならず(嘘だ)」と「為す(判断する)」という思考プロセスを表しています。「信ならず」を「信じない」と訳すとおかしくなるので、「嘘だと思う」と訳すのがスマートです。
次に、「観」という漢字のニュアンスです。日本語では「見る」も「観る」も同じように読みますが、漢文では明確に使い分けられます。「見」は自然に目に入ること、「視」は視線を向けてみること、そしてこの「観」は「観察する」「詳細に見て取る」という意味合いがあります。狐は虎に対して、ただボーっとついてくるのではなく、「ほら、よく見てみろ、獣たちが逃げていくだろう?」と、自分の正当性を証明するための証人として虎を扱っているのです。このあたりの言葉選びからも、狐のふてぶてしさや自信が伝わってきます。
最後に、「遂(つひに)」の解釈です。現代語の「ついに目標を達成した!」というような感動的な「ついに」とは違い、漢文の「遂」は「物事がそのまま進行する様子」を表します。「虎は狐の話を聞いて納得した。その結果、そのまま(疑うことなく)一緒に行った」という文脈です。この「成り行き任せ」な感じが、虎の単純さを浮き彫りにしています。
この故事成語の由来と戦国策
冒頭でも少し触れましたが、この物語の出典である『戦国策』について、もう少し深く知っておくと、記述問題などで「教養のある回答」が書けるようになります。
『戦国策』は、特定の著者が書いた物語小説ではなく、戦国時代の各国で活躍した遊説家(策士)たちの弁論や策略を集めたアンソロジー(選集)です。編集したのは前漢の劉向(りゅうきょう)という学者です。当時の遊説家たちは、自分の才覚一つで諸国を渡り歩き、王に取り入って国政を動かすことを生業としていました。失敗すれば処刑されることもある、まさに命がけのプレゼンテーションだったのです。
「虎の威を借る狐」の話も、江乙という策士が、自らの保身と出世のために、ライバルである昭奚恤を蹴落とそうとして考え出した、一種のネガティブ・キャンペーンでした。しかし、単に悪口を言うのではなく、ユーモアのある寓話に仕立て上げることで、宣王の興味を引き、納得させたのです。このことから、この故事成語は「他人の権力を利用する」という意味だけでなく、「巧みな話術で相手をコントロールする知恵」という側面も持っていると言えます。
虎の威を借る狐のテスト問題と対策
ここからは、いよいよテスト対策の本番です。教科書ガイドや授業のノートを見返すだけでは対応しきれない、応用問題や記述問題の対策まで網羅します。ここにある問題を解けるようになれば、定期テストの「虎の威を借る狐」分野は満点が狙えるはずです。
定期テストに出る頻出問題と解答
まずは、基礎点の取りこぼしを防ぐための重要問題です。これらは「知っているか知らないか」だけの問題なので、確実に暗記しておきましょう。自分で一度解いてみてから確認してみましょう。
【Q1】書き下し文作成の鉄板問題
「子無敢食我也」を書き下し文にしなさい。(送り仮名もすべて書くこと)
【A】子 敢へて我を食らふこと無かれ。
解説:「無」を「無かれ」と命令形(禁止)で読むこと、そして「敢」を「敢へて」と読むことがポイントです。特に「こと」を補って読むのを忘れないようにしましょう。
【Q2】指示語の内容説明問題
「是逆天帝命也」の「是(これ)」とは、具体的にどのような行為を指しているか。現代語で答えなさい。
【A】虎(あなた)が、天帝によって百獣の長に任じられた私(狐)を食べてしまうこと。
解説:単に「私を食べること」と書くよりも、「天帝が任命した私を」という要素を入れると加点対象になります。なぜなら、それが「天帝の命に逆らう」理由だからです。
【Q3】反語の現代語訳問題
「敢不走乎」を現代語訳しなさい。
【A】どうして逃げないことがあろうか、いや、必ず逃げる。
解説:「逃げないだろうか?」という疑問で終わらせてはいけません。反語の本質は「強い肯定」です。「いや、逃げる」あるいは「きっと逃げるはずだ」という結びの言葉まで書いて初めて正解になります。省略している解答も散見されますが、テストではわかっているということをアピールすることも大切です。
【Q4】内容合致問題
虎が獣たちが逃げるのを見て、最終的にどのように判断したか。
【A】獣たちは自分(虎)を恐れているのではなく、狐を恐れて逃げているのだと判断した。
解説:最後の「以為畏狐也」の部分です。虎の勘違いを正確に記述できているかが問われます。
指示語や比喩の内容理解が鍵
漢文の読解問題では、「之(これ)」などの指示語が何を指しているかを問う問題が非常に多く出題されます。特にこの文章では、「之」が何度も登場し、それぞれ指すものが違うため、混乱しやすいのです。
「之」の全パターン完全攻略

- 「求百獣而食之」の「之」
→ 百獣(いろいろな獣)。
虎が普段食べている獲物たちのことです。 - 「故遂与之行」の「之」
→ 狐。
「これ(狐)と一緒に歩いた」という意味です。 - 「獣見之皆走」の「之」
→ 虎(または虎と狐のコンビ)。
ここが最難関です。文法的には直前の名詞を指すことが多いので「虎と狐」でも間違いではありませんが、物語の本質として獣たちが何を見て恐怖したかと言えば、それは「虎」です。選択肢問題などで「獣が逃げた真の原因となる対象」を問われた場合は迷わず「虎」を選びましょう。 - 「百獣之見我」の「之」
→ 主格の助詞(~が)。
これは代名詞の「これ」ではなく、主語(百獣)と述語(見我)の間に入って、「百獣『が』私を見る」という主語を示す働きをしています。書き下し文でも「百獣の」と読みます。ひっかけ問題として出やすいので注意です。

【超重要】最後の「見之」の解釈
「獣 見之 皆走」の場面で、獣たちが見て逃げ出した本当の原因は「虎」です。しかし、獣たちの目には虎と狐が一緒に歩いている姿が映っています。テストでは「ここでの『之』は何を指すか」と聞かれたら、文法的には直前の「虎と狐」を指すことが多いですが、「獣たちが恐れて逃げた対象は何か」と問われたら「虎」と答えるのが正解です。
日常での使い方と例文を紹介
「虎の威を借る狐」という言葉は、古典の世界だけでなく、現代のビジネスシーンや日常生活でも頻繁に使われます。正しい意味と使い方を知っておくことは、国語の成績アップだけでなく、社会人になってからの教養としても非常に役立ちます。
現代語としての意味とニュアンス

- 意味:実力のない者が、権力者や強い者の力を頼りにして、威張ったり勝手な振る舞いをしたりすること。
- ニュアンス:基本的には強く批判的、ネガティブな意味で使われます。「ずる賢い」「小者(こもの)」「卑怯」といったマイナスの印象を与える言葉です。褒め言葉として使うことはまずありません。
- 対象:自分よりも目上の人に対して使うのは失礼にあたるので避けましょう。部下や後輩、あるいは第三者を批判する際に使われるのが一般的です。
シーン別・実践的な例文集
【ビジネスシーン】
- 「彼は部長の威光を笠に着て、いつも同僚に偉そうな態度をとっている。まさに虎の威を借る狐だね。」
- 「本社の意向だと言って無理な要求を通そうとするなんて、虎の威を借る狐のようなやり方は信用を失うよ。」
【学校・日常シーン】
- 「親の七光りで合格したくせに自慢ばかりして、虎の威を借る狐もいいところだ。」
- 「先生がいない時はおとなしいのに、先生が来た途端に強気になるなんて、虎の威を借る狐みたいだ。」
間違いやすい誤用パターン
よくある間違いとして、「腰巾着(こしぎんちゃく)」や「金魚のフン」と同じ意味で使ってしまうケースがあります。これらは「常に強者にくっついている」という意味ですが、「虎の威を借る狐」のポイントは「強者の力を利用して能動的に威張る・他者を支配しようとする」という点にあります。単についていくだけなら狐ではありません。また、「騎虎(きこ)の勢い(=勢いがついて止まれないこと)」と混同しないように注意しましょう。
類義語や英語表現との違い
似たような意味を持つことわざや慣用句はたくさんありますが、微妙なニュアンスの違いを理解しておくと、記述問題や小論文でより正確な表現ができるようになります。
日本語の類義語との比較
| 言葉 | 意味の核心 | 狐との違い |
|---|---|---|
| 笠に着る (かさにきる) | 地位や権力を背景に威張る | ほぼ同義語です。「親の七光りを笠に着る」のように使います。「着る」は身にまとうという意味。 |
| 他人の褌で相撲を取る (たにんのふんどしで~) | 他人の物を利用して利益を得る | こちらは「威張る」というよりは「ちゃっかり利用する」「横取りする」というニュアンスが強いです。 |
| 小判鮫 (こばんざめ) | 強者にくっついておこぼれをもらう | 主体性がなく、ただ寄生しているだけという点が狐とは異なります。 |
英語表現:An ass in a lion’s skin
英語にも似たような寓話由来の表現があります。「An ass in a lion’s skin(ライオンの皮を被ったロバ)」です。これはイソップ寓話が出典で、ライオンの皮を被って他の動物を怖がらせていたロバが、鳴き声を出した瞬間に正体がバレてしまうというお話です。
- 虎の威を借る狐:ずる賢さ、最後まで騙し通す狡猾さがポイント。
- ライオンの皮を被ったロバ:愚かさ、見掛け倒し、すぐにバレる浅はかさがポイント。
このように、英語表現の方は「偽物はいつかバレて恥をかく」という教訓が含まれており、狐のような「成功した悪だくみ」とは少しニュアンスが異なります。こうした文化的な違いまで知っていると、英語の授業でも役立つかもしれませんね。
虎の威を借る狐の教訓とまとめ
最後に、この故事成語から私たちが学べる教訓をまとめて、テスト対策の総仕上げとしましょう。
1. 権力者(虎)の視点からの教訓:リーダーは賢くあれ
虎(宣王)は、圧倒的な力を持っていながら、狐(部下)の口車に乗せられてしまいました。ここから学べるのは、「自分の権威が、自分の知らないところで部下や周囲の人間に悪用されていないか、常に注意深くあるべきだ」ということです。おべっかを使う人間や、自分の名前を勝手に使って他人に圧力をかける人間を見抜く目を持つこと。これがリーダーには不可欠です。現実の歴史でも、江乙は王にこのことを伝えたかったのです。
2. 実力者(狐)の視点からの教訓:自分の実力を過信するな
狐のように振る舞う人は一時的には得をするかもしれません。しかし、それはあくまで「虎」が後ろにいるから成り立つことです。虎がいなくなれば、狐はただの弱い動物に戻り、周囲から報復されるかもしれません。「借り物の力を自分の実力だと勘違いしてはいけない」という戒めとして受け取ることもできます。
3. 生存戦略としての「賢い狐」
一方で、弱者が生き残るための知恵としてこの話を捉える見方もあります。力のない者が、知恵と言葉巧みな交渉術を使って、強者(虎)すらもコントロールし、難局を切り抜ける。倫理的には問題があるかもしれませんが、「力だけが全てではない、知恵で力を凌駕することもできる」というリアリズムも、この物語が2000年以上読み継がれてきた理由の一つでしょう。

テストでは、書き下し文や現代語訳といった基礎知識がまず問われますが、余裕があればこうした背景や教訓まで深く理解しておくと、記述問題で他の生徒と差をつけることができます。しっかりと復習して、テスト本番では自信を持って解答してくださいね。応援しています!









