【古文】終助詞・間投助詞を完全攻略!覚え方と識別を一覧で解説

こんにちは。「たく先生」です。
古文の勉強、順調に進んでいますか?
動詞や助動詞の活用を必死に覚えたあと、多くの受験生がぶつかるのが「助詞」の壁です。「数が多すぎて覚えきれない!」「『な』とか『ね』とか、一文字だけで意味が変わるなんて無理!」と、頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。
特に、文の最後にくっついて意味を決定づける「終助詞」や、文のリズムを整えたり感動を表したりする「間投助詞」は、読解の要(かなめ)とも言える重要なパートです。ここを読み違えると、「〜したい」という願望なのか、「〜してはいけない」という禁止なのか、文の意味が真逆になってしまうことさえあります。

でも、安心してください。これらの助詞は、闇雲に丸暗記するのではなく、「接続のルール」とセットで整理することで、パズルのように論理的に識別できるようになります。今回は、私が考案した「きらきら助詞」の歌も紹介しながら、確実に得点源にするためのノウハウを伝授します。
古文の終助詞と間投助詞を基礎から解説
まずは、終助詞と間投助詞がどのような役割を持っているのか、全体像を把握することから始めましょう。細かい識別に入る前に、「どんな意味のグループがあるのか」を整理しておくだけで、記憶の定着率がグッと上がります。
意味と働きを一覧で整理する
終助詞は、その名の通り「文の終わり(終)」に付いて、話し手の気持ちや態度(モダリティ)を表す言葉です。一方、間投助詞は文末だけでなく、文の切れ目(文中)にも置かれ、語調を整えたり、詠嘆(感動)の意を添えたりします。
主要な助詞を、役割ごとに整理した表がこちらです。
| 意味のグループ | 主な助詞 | 訳し方のイメージ | 備考 |
|---|---|---|---|
| 禁止 | な (な)…そ | 〜するな(強い禁止) 〜しないでくれ(あつらえ) | 「な」は命令調 「そ」は懇願調 |
| 願望 | ばや なむ てしか(な) / にしか(な) もが(な) | (私が)〜したい (他人に)〜してほしい 〜したいものだ 〜があればなあ | 誰が望んでいるか(主語)で使い分ける |
| 詠嘆・感動 | か / かな な | 〜だなあ 〜ことよ | しみじみとした感動を表す |
| 念押し | かし | 〜よ 〜ね | 相手に強く確認する |
| 間投助詞 | や / よ を | 〜だなあ / 〜よ 〜のになあ / 〜だよ | 文のリズムを整える 「を」は余情を残す |

これらは文の「ゴール地点」にある標識のようなものです。「禁止」の標識があるのに進んでしまったら事故になりますよね? まずは「どの助詞がどのグループか」をざっくり把握しましょう。
接続のルールを覚える重要性

古文読解において、私が口を酸っぱくして言っているのが「接続を制する者は古文を制す」ということです。これは助動詞に限らず、助詞においても全く同じです。
なぜ接続を覚える必要があるのか?
それは、「見た目が同じ言葉(同形語)」を見分けるための決定的な証拠になるからです。
例えば、「なむ」という言葉を見てみましょう。
この言葉は、直前に来る言葉の形(活用形)によって、全く異なる意味になります。
- 未然形 + なむ = 「〜してほしい」(他者への願望)
- 連用形 + なむ = 「きっと〜だろう」(強意の助動詞「ぬ」未然形+助動詞「む」…確述の用法)
もし接続を覚えていなければ、文脈だけで「願望かな? 推量かな?」と当てずっぽうで判断することになります。これでは入試の引っかけ問題に太刀打ちできません。
逆に言えば、接続さえ覚えていれば、機械的に正解を導き出せるのが古文の面白いところなんです。
きらきら助詞の歌で暗記する
「接続が大事なのはわかったけど、そんなにたくさん覚えられないよ…」
そんな声が聞こえてきそうですね。そこで、私が授業でも教えている「きらきら助詞」の歌を紹介します。
誰もが知っている「きらきら星」のメロディに乗せて、主要な終助詞の接続を一気に覚えてしまいましょう。
♪ きらきら助詞の歌(きらきら星の替え歌)
【1番:未然形・連用形ゾーン】
♪ ばーや・なーむ (未然形接続)
♪ てしか・にしか・もがな・もが・そ (連用形接続)
【2番:終止形・その他ゾーン】
♪ なー (終止形は禁止の「な」!)
♪ はー・かー・なー・かし (文末・連体形など)
♪ をー・やー・よー
この歌のポイントは、「曲の最初のフレーズ(ばや・なむ)は未然形」と位置で覚えられることです。
試験中に「あれ、『てしか』は何形接続だっけ?」と思ったら、頭の中で歌ってみてください。「きらきらひかる〜」の続きの「おそらのほしよ〜」の部分、つまり2番目のフレーズに出てくるので、「あ、未然形の次の連用形だ!」と思い出せるはずです。
YouTubeで動画も公開しているので、ぜひ一度聞いてみてください。耳に残りますよ!
禁止の終助詞なとその使い分け
「〜してはいけない」という禁止を表す表現には、大きく分けて2つのパターンがあります。現代語訳するときはどちらも「〜するな」「〜しないで」となりますが、古文ではニュアンスによって明確に使い分けられています。
1. 強い禁止:終助詞「な」
接続:終止形(ただしラ変型には連体形)
「書くな」「行くな」のように、相手の行動を強く制止する、命令的な響きを持ちます。現代語の「見るな!」という感覚に非常に近いです。
- 例:帰り来な。(帰って来るな。)【竹取物語】
2. 軟らかい禁止(あつらえ):副詞「な」…終助詞「そ」
接続:連用形(カ変・サ変には未然形)
「な〜そ」の形でセットで使われます。「な書きそ(書かないでくれ)」のように、「どうか〜しないでほしい」という懇願や、相手への配慮を含んだ穏やかな禁止を表します。これを「あつらえ」とも呼びます。
- 例:人に知らせ給ひそ。(人にお知らせにならないでください。)【宇治拾遺物語】
例外の接続に注意!
「(な)…そ」は基本は連用形接続ですが、カ変(来)・サ変(す)の動詞だけは未然形に付きます。
- 「来(く)」+そ → なこそ(来るな)
- 「す」+そ → なせそ(するな)
これは入試の文法問題で狙われやすいポイントです。
願望の終助詞ばやとなむの違い

願望の助詞を攻略する鍵は、「誰が」望んでいるのか(動作主)を正しく把握することです。「〜したい」と訳すのか、「〜してほしい」と訳すのかで、文の意味が大きく変わってしまいます。
| 助詞 | 接続 | 意味 | 主語(誰の願い?) |
|---|---|---|---|
| ばや | 未然形 | 〜したい | 自己(私)の願望 |
| なむ | 未然形 | 〜してほしい | 他者(他人)への願望 |
| てしか(な) | 連用形 | 〜したいものだ | 自己(私)の願望 |
| もが(な) | 体言など | 〜があればなあ | 存在・状態への願望 |

なるほど!
自分がしたい時は「ばや」や「てしか」、誰か他人にしてほしい時は「なむ」を使うんですね。

その通りです。
例えば、「行かばや」なら「(私が)行きたい」ですが、「行かなむ」なら「(あなたに)行ってほしい」となります。主語が省略されていても、助詞を見れば誰の動作かが分かるようになっているんです。
古文の終助詞と間投助詞の識別テクニック

基礎知識を押さえたところで、ここからは実践編です。入試や実力テストで必ずと言っていいほど出題される「識別問題」の攻略法を解説します。ここは点数に直結する部分なので、集中していきましょう!
なむの識別は4つのパターン
古文読解において、「なむ(なん)」の識別は避けて通れない最重要ポイントの一つです。文中に出てきたら、反射的に「識別問題だ!」と警戒スイッチを入れる癖をつけましょう。
「なむ」には大きく分けて以下の4つの可能性があります。一見複雑そうに見えますが、実は「直前の語の活用形(接続)」を確認するだけで、論理的に正解を導き出すことができます。
【重要】なむの識別チャート

- 未然形 + なむ → ① 願望の終助詞
- 連用形 + なむ → ② 確述(強意+推量)
- 死・往・去 + なむ → ③ ナ変活用 + 助動詞「む」
- 体言・助詞など + なむ → ④ 係助詞(強意)
それぞれのパターンについて、実際の古典作品の例文を使って詳しく見ていきましょう。
1. 願望の終助詞「なむ」
接続:未然形 + なむ
意味:〜してほしい(他者への願望)
話し手が自分以外のもの(他人や自然物など)に対して、「〜してほしい」と願う用法です。「あつらえ」とも呼ばれます。
例文:
「桜花散らば散らなむ」(古今集)
(桜の花よ、どうせ散るのならば、いっそ散ってほしい。)
解説:
直前の「散ら」は四段活用動詞「散る」の未然形です。「未然形+なむ」なので、桜に対する願望を表しています。
2. 確述(強意+推量)の助動詞「なむ」
接続:連用形 + なむ
意味:きっと〜だろう / きっと〜しよう
この「なむ」は一語の助詞ではなく、2つの助動詞が合体した姿です。
完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形「な」 + 推量・意志の助動詞「む」 = 「なむ」
「〜てしまうだろう」という強い確信や意志を表します。
例文①:意志(〜しよう)
「参りなむ」(和泉式部日記)
(きっと参上しよう。)
※「参り」はラ行変格活用「参る」の連用形。
例文②:推量(〜だろう)
「髪もいみじく長くなりなむ」(更級日記)
(髪もきっとたいそう長くなるだろう。)
※「なり」はラ行四段活用「なる」の連用形。
ポイントは「連用形」に付いていることです。「連用なむは確述(強意)」というリズムで覚えてしまいましょう。
3. ナ変活用の未然形 + 助動詞「む」
接続:ナ変動詞(死ぬ・往ぬ・去ぬ)の未然形 + む
意味:〜しよう / 〜だろう
これは引っ掛け問題としてよく出題されます。ナ行変格活用(ナ変)の動詞は「死ぬ」「往ぬ(去ぬ)」の2語しかありません。これらの未然形は「死な」「往な」となるため、後ろに助動詞「む」が付くと「死なむ」「往なむ」となります。
例文:
「ひとへに死なんとぞ狂ひける」(平家物語)
(ひたすら死のうと必死になって奮闘した。)
解説:
一見「未然形+なむ」に見えますが、ここでの「な」は助詞ではなく動詞「死ぬ」の一部です。「死ぬ・往ぬ(去ぬ)」の時だけは特別扱いが必要です。
4. 係助詞の「なむ」
接続:体言・連用形・助詞など(文中のいろいろな語に付く)
意味:強意
文末ではなく文中に現れ、文末を結びの形(連体形)に変える「係り結びの法則」を起こします。
例文:
「名をば、さかきの造となむいひける。」(竹取物語)
(名を、さかきの造と(特にとりたてて)いった。)
解説:
「なむ」が文中にあるため、文末が「ける(過去の助動詞『けり』の連体形)」に変化しています。この場合、「なむ」自体は訳さなくても通じることが多いですが、強調のニュアンスが含まれています。
このように、「なむ」の識別は「直前の語が何形か」、そして「ナ変動詞ではないか」を確認することで、確実に正解を見抜くことができます。

なの識別と意味を判定する方法
「な」一文字に傍線が引かれている識別問題も、古文では非常に頻出です。「たかが一文字」と侮っていると、痛い目を見ることになります。
「な」の識別は、文脈判断も大切ですが、それ以上に「位置」と「接続(直前の音)」、そして「セットになる言葉があるか」を見ることで、機械的に正解を絞り込むことができます。
特に悩ましいのが、文末に「な」がある場合です。「禁止(〜するな)」なのか、「詠嘆(〜だなあ)」なのか。これを確実に見分けるための最強のフローチャートを紹介します。
「な」の識別フローチャート

- 下に「そ」があるか?
→ あれば、呼応の副詞(禁止)「〜しないでくれ」 - 文末にあり、直前の音が「ウ段音」か?
→ かつ、「〜するな」と訳せるなら、禁止の終助詞 - それ以外(直前がウ段以外、または禁止と訳せない)か?
→ ならば、詠嘆の終助詞「〜だなあ」 - 上記以外(文中の活用語尾や助動詞の一部)
→ 直前の接続や単語の活用表を確認
それぞれのパターンを、実際の用例とともに詳しく見ていきましょう。
1. 呼応の副詞「な」
形:な 〜 そ(文頭・動詞の前)
意味:〜しないでくれ・〜するな
これは「な」単独ではなく、文末の終助詞「そ」とセットで使われます。「あつらえ」とも呼ばれ、少し丁寧な、あるいは切実な禁止を表します。識別問題では、傍線部の「な」の下の方に「そ」が隠れていないか、必ず探してください。
例文:
「師の説に違ふとて、なはばかりそ。」(玉勝間)
(先生の説と違うからといって、遠慮するな。)
「涙な添へそ 山ほととぎす」(新古今集)
((悲しんでいる私に)これ以上涙を添えるな(泣かせるな)、山ほととぎすよ。)
2. 禁止の終助詞「な」
接続:終止形 + な(文末)
意味:〜するな
現代語の「見るな」「行くな」と同じ、強い禁止命令です。ここで重要なのが「直前の音」です。
禁止の「な」は終止形に接続します。動詞の終止形は基本的に「ウ段音」で終わります(書く、蹴る、す、など)。例外的にラ変型活用語(あり、おり、はべり、いまそかり)には連体形に接続しますが、ラ変の連体形も「ある」「おる」のように「ウ段音」で終わります。
つまり、禁止の「な」の前は必ず「ウ段音」になるという法則があります。
禁止判定の2ステップ
① 直前が「ウ段音」であること。
② 口語訳して「〜するな」と訳が通じること。
例文:
「あやまちす(u)な」(平家物語)
(失敗するな。)
※「す」はサ変動詞の終止形(ウ段)。
「川中で弓引く(u)な」(平家物語)
(川の中で弓を引くな。)
※「引く」は四段動詞の終止形(ウ段)。
3. 詠嘆の終助詞「な」
接続:連体形・文末 + な
意味:〜だなあ
感動や詠嘆を表します。もし文末の「な」が、「直前がウ段音でない(イ段やエ段など)」場合、あるいは「ウ段音だけど『〜するな』と訳すと意味が通じない」場合は、詠嘆と判断します。
特によく出るのが、過去の助動詞「けり」の連体形「ける」が音変化した形や、形容詞の連体形に付く形です。
例文:
「花の色は移りにけり(i)な」(古今集)
(桜の花の色はすっかりあせてしまったことだなあ。)
※直前が「り(i段)」なので、禁止ではありません。即座に詠嘆と判断できます。
4. その他の「な」(助動詞の一部など)
上記の3つ以外にも、「な」の一部として機能している場合があります。ここでも接続がカギになります。
- 完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形
「いざ桜我も散りなむ」(古今集)
(さあ桜よ、私も散ってしまおう。)
※ここでは「散り(連用形)」に付いているため、完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」となります。「なむ」の識別と同じ理屈です。 - 願望の終助詞「もがな」の一部
「心あらん友もがな」(徒然草)
(情緒を解する友がいてほしいなあ。)
※「もがな」全体で一つの願望を表す語ですが、分解して「な」だけ傍線が引かれることもあります。
このように、「な」の識別は「下に『そ』があるか」「直前がウ段音+禁止訳できるか」という2点をチェックして、当てはまらなければ「詠嘆」と判断する消去法が最も確実です。
やとかは係助詞との違いに注意
「や」と「か」は、係助詞(疑問・反語)としても使われますし、間投助詞・終助詞(詠嘆)としても使われます。
この2つを見分ける鍵は、「係り結びの法則」が成立しているかどうかです。
- 係助詞(疑問・反語)の場合
文末が連体形になります。
例:花や咲く。(花は咲くか。※咲くは四段活用の連体形) - 間投助詞(詠嘆・呼びかけ)の場合
文末の形に影響を与えません。また、文中で切れることも多いです。
例:古池や、蛙飛び込む水の音。(古池よ! ※俳句の切れ字)
補足:結びの省略
係助詞であっても、文末の連体形が省略されることがあります(例:〜にや。)。この場合は文脈から「疑問・反語」と判断する必要があります。
ばやの識別は「接続」と「区切り」で見抜く
「ばや」といえば「〜したい」という願望の意味で覚えている人が多いと思います。もちろんそれが基本なのですが、入試ではあえてその「思い込み」を突く問題が出題されます。
ポイントは、「ばや」が一語の終助詞なのか、それとも「ば」と「や」という二語に分かれるのかを見極めることです。これも「接続」と「文脈」で論理的に判断できます。
「ばや」の識別 3つのパターン

- 願望の終助詞「ばや」
- 接続:未然形 + ばや
- 意味:(私が)〜したい(自己の願望)
- 構造:一語の助詞。
- 接続助詞「ば」+ 係助詞「や」(未然形接続)
- 接続:未然形 + ば + や
- 意味:もし〜ならば、〜か(仮定条件 + 疑問・反語)
- 構造:「ば」と「や」の間で切れる。
- 接続助詞「ば」+ 係助詞「や」(已然形接続)
- 接続:已然形 + ば + や
- 意味:〜ので、〜か(確定条件 + 疑問・反語)
- 構造:「ば」と「や」の間で切れる。
それぞれの違いを、実際の例文で確認してみましょう。
1. 願望の終助詞(〜したい)
これが最も一般的なパターンです。「私が〜したい」という文脈で使われます。
例文:
「こころみに浮き世すすがばや。」(野ざらし紀行)
(こころみに俗世間の汚れをすすぎたいものだ。)
解説:
「すすが」は動詞の未然形です。「〜したい」と訳して意味が通じるため、願望の終助詞と判断します。
2. 「ば」+「や」で切れるパターン
こちらは「ばや」という一語ではなく、接続助詞の「ば」に、疑問の係助詞「や」がくっついた形です。訳すときは「ば」のところで一旦区切って考えます。
① 未然形 + ば + や(もし〜なら、〜か)
直前が未然形の場合、「ば」は「仮定(もし〜なら)」を表します。これを「〜したい」と訳してしまうと誤読になります。
例文:
「竜ならばや雲にも乗らん。」(方丈記)
(竜であるならば、(その時は)雲にも乗るだろうか。)
解説:
「なら」は断定の助動詞「なり」の未然形です。「竜になりたい」ではなく、「もし自分が竜だったら」という仮定の話をしています。
② 已然形 + ば + や(〜ので、〜か)
直前が已然形の場合、「ば」は「確定条件(〜ので、〜から)」を表します。
例文:
「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ」(古今集)
(思いながら寝たので、(夢にあの人が)見えたのだろうか。)
解説:
「寝れ」は動詞「ぬ」の已然形です。「寝たからこそ」という原因・理由を表しています。これを「寝たい」と訳すと、文脈が崩壊してしまいます。
このように、「ばや」が出てきたら、まずは「〜したい」と訳してみる。それで意味が通じなければ、「ば」と「や」で切って、直前の活用形(未然形か已然形か)を確認する。この手順で完璧に見抜けます。
間投助詞の働きと詠嘆の役割

最後に、間投助詞(かんとうじょし)について解説します。「間投」という言葉の通り、文の「間(あいだ)」に投げ込まれたり、文末に添えられたりする助詞です。
これらは、文の論理的な意味(打消や推量など)を大きく変えるわけではありません。しかし、文に「リズム」を整えたり、深い「情緒(詠嘆)」や「呼びかけ」の意を添えたりする、いわば料理のスパイスのような役割を果たしています。
間投助詞の特徴
- 主な語:や・よ・を
- 位置:文末だけでなく、文の切れ目(文中)にも置かれる。
- 識別:取り除いても文の基本的な意味(骨組み)は通じる。
1. 呼びかけとリズムの「や・よ」
「や」と「よ」は、主に相手への「呼びかけ」や、ハッと心を動かされた時の「詠嘆」を表します。
- 呼びかけ
例:「少納言よ」(少納言よ、こっちへ来なさい)
相手の名前に添えて注意を引く働きです。 - 詠嘆・調整
例:「古池や 蛙飛び込む 水の音」(松尾芭蕉)
俳句の「切れ字」としての「や」は、まさにこの間投助詞の用法です。「古池だなあ!」という感動の中心を表しつつ、上の句と下の句のリズムを整えています。
2. 最重要!余情を残す「を」と「ものを」
受験や読解で最も重要なのが、文末に置かれる「を」や「ものを」です。
これらは、言い切らずに言葉を濁すような、独特の「余情(余韻)」を生み出します。特に以下の2つのパターンは、文脈を読み取る上で非常に重要です。
① 反実仮想 + を(〜ましを)
形:〜ましを
意味:〜だろうになあ(残念だ)
「もし〜だったら、…だっただろうになあ(実際は違うから残念だ)」という、現実とは違うことを願う切ない気持ちを強調します。
例文:
「衣(きぬ)着せましを」(古事記)
(もし人間なら、着物を着せてやるだろうになあ。)
※「まし」は反実仮想の助動詞。「まし」+「を」のセットで頻出です。
② 逆接的詠嘆(〜ものを)
形:連体形 + ものを
意味:〜なのになあ
「〜であるのに(そうはならなかった)」「〜だったらいいのに」という、事実に対する不満や悔やむ気持ち(詠嘆)を表します。
※文法書によっては接続助詞の文末用法として扱われることもあります。
例文:
「静かに見れば、心も慰むものを。」
(静かに見れば、心も慰められるだろうになあ(実際はそうしないから残念だ)。)
解説:
ここでの「ものを」は、単純な接続(〜けれども)を超えて、「そうなればいいのに、現実は違う」という話し手の残念な気持ちが強く込められています。

この「を」や「ものを」があることで、平安貴族たちが好んだ「もののあはれ」――言葉にし尽くせないしみじみとした感情が表現されているんですね。
古文の終助詞と間投助詞のまとめ

今回は、古文の終助詞と間投助詞について、その種類と識別方法を詳しく解説しました。
一見ややこしそうに見える助詞たちですが、実は「接続」というルールさえしっかり押さえておけば、論理的に正解を導き出せるものがほとんどです。
- まずは表を見て、助詞を「禁止」「願望」「詠嘆」などのグループに分ける。
- 「きらきら助詞」の歌で、接続(未然・連用・終止)を体で覚える。
- 「なむ」「な」「ね」などの同形語は、直前の語を見て識別する。
このステップを踏めば、苦手だった助詞がきっと得意分野に変わります。
一つひとつの助詞が持つニュアンス(禁止の強弱や、誰の願望か)を丁寧に読み取ることで、古文の世界がより鮮やかに、より深く理解できるようになりますよ。
最後に確認テストです。もし1問でもわからなかったら記事に戻って復習してくださいね。










